最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第十六話潜入レットアクシズ

翌日 07:00

『提督、昨日の攻略作戦ですが、無事に成功しました。しかし阿賀野、扶桑が中破、山城、響が小破しており入渠中です』

 

「了解。補給は手厚くして、出撃した奴らも休ませてやれ。こっちはこっちで、まあ平和にやってるから」

 

秘書艦の大和が昨日の攻略作戦について報告している。現在日本は太平洋の航路を着々と確保しており、そろそろオーストラリア方面やインド洋方面への進出が計画されている。その為、現在アズールレーン基地より程近い海域の解放を進めているのである。

 

『あ、それと報告で上がっているのですが、どうやら何機かの艦載機と深海棲艦の一個水雷戦隊を取り逃している様です』

 

「わかった。こっちでも警戒しておくから、安心してくれ」

 

『はい。それでは、任務がんばってくださいね?』

 

「あぁ。そっちは任せた」

 

という訳で、朝食を取る前に霞桜の駐屯地(と言っても海岸に機関銃陣地とプレハブ小屋を設置し、海に黒鮫を駐機してるだけの粗末な物)に向かい、大隊長のマーリンと会議を行う。

 

 

 

十数分後 霞桜駐屯地

「総隊長、おはようございます」

 

「よおマーリン。早速で悪いんだが、今日の哨戒機は増量してくれないか?近くの海域を攻略してた艦隊が言うには、一個水雷戦隊と航空機を取り逃したらしくてな。もしかしたら、こっちに流れて来るかもしれん」

 

「わかりました。それでは東西南北に一機ずつ、基地上空に早期警戒管制機を一機、周辺海域も偵察させるのはどうでしょう?」

 

「それで頼む。詳しい所は、お前の裁量で適当に揃えてくれ」

 

「了解しました」

 

朝食を取る為、食堂に向かおうとするとマーリンに「総隊長」と呼び止められる。

 

「レリックの置き土産です」

 

SFの武器が入ってそうな箱を蹴り飛ばし、長嶺に渡す。

 

「んだこりゃ?」

 

箱を開けてみると、小型のシールドが入っていた。

 

「コイツは?」

 

「レリックが言うには試作モデルのライオットシールドらしくて、名前は「平泉」と言うそうです。取り回しやすい様に小型ですが、変形させる事によって立ったままでも全身をカバーできる、大型の防弾シールドになるそうです。一応、対深海棲艦徹甲弾を使用した12.7mm弾は弾けるそうです。

更にフラッシュライトによる目眩し、盾自体にスタンガン機能が付いており、相手を非殺傷で無力化できるそうです」

 

「中々にエゲツないの作るな」

 

と言いつつ、腕に嵌めて展開してみる。「ガション」という音ともに、さっきまで顔を守れる程度の板だった物が、変形して一気に体全体を覆う壁となる。

 

「ワオ。こりゃいいね」

 

「レリック曰く、自信作だそうですよ。その内、部隊にも配備する予定だとか」

 

「戦略の幅がまた広がるな」

 

「えぇ。あ、私は訓練の時間ですので、これにて」

 

「おう」

 

マーリンと別れて、長嶺は食事を取る為に食堂に向かう。

 

 

 

08:00 食堂

食堂の番人、ネバダが食事を盛り付ける。因みにメニューはトースト、ベーコン、目玉焼き、フライドポテトである。

 

「〜♪〜〜♪。ほら」

 

「っておいおい、明らかに多いぞ?」

 

渡されたプレートにはトースト4枚、ベーコン12枚、ダブルの目玉焼き2枚、ポテト12、3本が載せられている。勿論他のKAN-SENより多い。

 

「育ち盛りだろ?一杯食べな。それにアンタは客人だ。客人に腹をすかされちゃ、ユニオンの恥だ」

 

「そう言うことなら、遠慮なく」

 

盛られた以上、お残しをする訳にもいかない。気合いで食らいつく。トーストを頬張り、目玉焼きを一息に口に入れ、ベーコンにベーコンを巻いて食らいつく。文面では汚らしいが実際は女の子がいる手前、一応行儀良く食べる。15分程で腹に入れ、自室に戻る。そしてそのまま、溜まりに溜まった執務を開始する。

そのまま完全にゾーンに嵌ってしまい、気づくと時計は短針が丁度一周していた。

 

「うげっ、もう20:40かよ。道理で腹が減る訳だ」

 

鎮守府から持ってきたカップ麺を作り、簡単に食事をとる。食事を終えたのと同タイミングで、マーリンから連絡が入る。

 

『総隊長。アズールレーン側が近海にて救難信号を捉えたと報告が上がりました。如何なさいますか?』

 

「直ぐに黒鮫を上げろ。人命救助の場合を考えて、医療支援型も派遣。規模は念の為、二個小隊だ」

 

『了解しました』

 

「さて、俺も行くか」

 

外に出ると超大荒れであり雨は横殴りに降り、風は強く、木はへし折らそうな勢いでグワングワン揺れている。

 

 

 

洋上

「この嵐で遭難か?」

 

「かもねってエンタープライズ!?なんで付いてきたの!艤装まだ直ってないだろう!?」

 

「そのような状態で出現なさっているのですか!?」

 

現在アズールレーン側が救出に向かっているのはエンタープライズ、クリーブランド、ハムマン、ベルファストの4隻。しかしエンタープライズの艤装は先の戦闘で損傷しており、完全に治っていないのに出撃している。その為、クリーブランドとベルファストが戻る様に説得している。

 

「少しは修復した。問題ない」

 

「でも!」

 

「待って!前方に何か!」

 

ハムマンの言葉により前方を確認する。そこには一隻の艦とセイレーンの艦が存在していた。しかしいつもの赤やオレンジに発光する部分の色が完全に落ちており、何か可笑しい。

 

「セイレーン!?こんな時に!」

 

「いや、よく見ろ。戦闘の後だ」

 

「まさか!救難信号を出した艦がセイレーンとたたかっている!?」

 

「なら、早く助けに行かないと!!でも、こんな嵐じゃ索敵も難しい...慎重に進まなきゃ.......」

 

「索敵なら任せな」

 

丁度その時、長嶺が追い付きクリーブランドに声をかける。

 

「フォックス!!」

 

「この嵐じゃ、艦載機なんて飛ばせないよな。だけど、コイツなら問題ない」

 

そうい言いながら、肩に止まっている八咫烏を指差す。

 

「八咫烏、周辺警戒!!」

 

「心得た」

 

「カラスが喋る噂って、本当だったんだ.......」

 

因みにアズールレーン基地内では、長嶺のペット(犬神と八咫烏)は言葉を喋れるという噂が流れている。

八咫烏が肩から飛び立った直後、後ろから3機の黒鮫が頭上を通過する。

 

「アレ何!?」

 

「俺の部下が乗っている。今回は救助任務だし、医療支援のできる機体も連れて来てるから、救助したらこっちに預けてくれ」

 

「承知しました」

 

「ってアレ?エンタープライズ何処いった?」

 

クリーブランドとベルファストと会話している間に、エンタープライズが何処かに消えていた。辺りを見回すとクリーブランドが見つけた。遥か前方に。

 

「ああもう!なんであいつはいつもああなのさ!!」

 

クリーブランドの怒号は雨にかき消され、エンタープライズに届く事は無かった。

 

 

 

救難信号発信地点

「発進地点に到着しました。降下します」

 

「第一分隊は私と共に駆逐艦の捜索。残りは周辺とセイレーン艦の警戒をお願いします」

 

マーリンが部下達に命令を下す。そうこうしているていると、機体のカーゴドアが開き、パイロットが手で「降りろ」のジェスチャーを送る。

 

「GO!」

 

マーリンの号令に合わせて、隊員達がランディングゾーンを確保する。取り敢えず艦首方向に降り立った為、艦橋の方に歩き始める。ついでにタイミング良くエンタープライズとも合流し、一緒に探索を開始する。

 

「恐らく装備や形状から察するに、旧中華民国海軍、こちら風に言うなら東煌の寧海級軽巡洋艦ですね」

 

「軽巡でセイレーン艦3隻を撃沈とは、中々に大立ち回りしましたね。無事だと良いのですが.......」

 

「大隊長!要救助者発見!」

 

部下の兵士が艦橋と煙突の間で、手を振っている。そこに向かうと赤いチャイナドレスを纏った少女が、紫のチャイナドレスを纏った少女を抱えて此方を睨んでいた。

 

「怖がらないで、私達は貴方の味方です。救助信号を追って来ました」

 

面を外して、優しい笑顔を浮かべながら説明する。その顔を見て安心したのか、急に泣きだす。

 

「お願い、寧海姉ちゃんを助けて.......」

 

「えぇ。メディック」

 

「嬢ちゃん、此処に寝かせてくれるか?」

 

メディックが近寄り、一度甲板に寝かせて貰う。鞄から聴診器等の道具を取り出し、簡単な診察を始める。

 

「外傷は無い。だが骨折の可能性があるな。それに脳震盪と中度の低体温症を起こしてる」

 

「寧海姉ちゃん死んじゃうの!?」

 

「いや命に別状も無いし、後遺症も残らない。隊長、支援機を」

 

「もう呼んでますよ」

 

マーリンがそう言った瞬間、頭上に医療支援型の黒鮫が飛来してホバリングする。姿勢が安定するとカーゴドアから、担架が降りてくる。寧海を担架に固定し、ハンドサインで上げる様に指示をする。

 

「そのまま帰還し、医務室に運んでくれ!」

 

『おう!』

 

無線でメディックがパイロットに指示を出し、それに従い機体は一度離脱する。一先ず安心という所だが、そうは行かなかった。なんと沈黙していたセイレーン艦の一隻が息を吹き返し、砲塔をこっちに向けたのである。

 

「倒し損ねた!?」

 

赤いチャイナドレスの方、平海が驚く。エンタープライズも驚いているが、霞桜の隊員達は驚く前に行動していた。一斉に走り出し、銃口をセイレーン艦に向けたのである。エンタープライズも動き始めようとするが、それをマーリンが「待ってください」と止める。

 

「何故止める⁉︎」

 

「囮はいりません。砲塔を破壊します」

 

そう言うと背中に背負っていたマーリン専用のスナイパーライフル、「バーゲスト」を構える。

 

 

バーゲスト

マーリンの為に特別に設計された、超長距離対応型スナイパーライフルである。ウィンチェスターとM24を混ぜた様な外見をしており、今どき珍しいレバーアクション銃である。機関部を取り替える事により7.62mm、12.7mm、20mmの3種類が使用可能になる。装弾数は5+1発である。

 

 

微かに聞こえる装填の機械音を聞き逃さない為、静かに感覚を研ぎ澄ませる。

 

ガコン

 

「ッ!」

 

ダァン

 

砲弾が薬室に送り込まれた瞬間、トリガーを引いて12.7mm徹甲弾を発射する。迷いなく正確に砲身内に弾丸は入り込み、砲弾を誘爆させて内部機構ごと破壊する。

 

「一斉撃ち方!!」

 

マーリンの号令に「待ってました!!」と言わんばかりに攻撃を開始する。弾丸は勿論、対深海棲艦徹甲弾でありセイレーン艦を串刺しにする。程なくして爆発撃沈し、今度こそ仕留める。丁度そのタイミングで長嶺ら4人も到着する。

 

「先程、砲塔が爆発しておりましたが、何か爆弾を仕掛けておいたのですか?」

 

ベルファストがマーリンに質問する。

 

「いえ、弾丸を砲身内に送り込んで誘爆させただけです」

 

サラッとトンデモ無い事を言うマーリンに、ベルファストの顔が引き攣る。それを見て長嶺は笑いながら、ベルファストに更なる事実を言う。

 

「昨日の襲撃、航空機が向かってきた時に一機だけ、その場でグルグル回りながら墜落しただろ?あの機体はヘリコプターって種類の航空機なんだが、後方に付いてるテールローターってのをマーリンが3km離れた所から撃ったんだ。コイツの狙撃能力は、世界にいる数多いるスナイパーの中でも一番だろうよ」

 

「アナタの方が狙撃は上手いでしょう?」

 

マーリンが思わず突っ込む。しかしベルファストは上の空であった事は言うまでもない。しかし油断している間もなく、別の事態が発生する。

 

『総隊長、レーダーにて深海棲艦の艦載機17機と一個水雷戦隊を探知しました!!』

 

「了解。対処する」

 

「どうした?」

 

「深海棲艦、まあこっちの世界のセイレーンが現れた。マーリン、先に艦載機を叩く。合わせろ」

 

「わかりました」

 

二人は艦尾へと移動しマーリンはバーゲストを、長嶺は土蜘蛛(2挺拳銃)を構える。

 

「来た!」

 

長嶺の声に反応し、まずマーリンが先頭の5機に弾丸を撃ち込む。間髪入れずに長嶺が12発の弾丸を発射し、艦載機を火ダルマにする。

 

「5KILL」

 

「12KILL」

 

海に目をやれば第一大隊と2機の黒鮫が深海棲艦を血祭りに上げ、丁度最後の艦に130mm砲をお見舞いしていた所であった。何はともあれ無事要救助者を救出し、撃ち漏らした深海棲艦も深海に送り返して一安心である。翌日、助けた2人に話を聞くとセイレーンの上位個体が動いている事が発覚し、それを調べるついでに今度はレッドアクシズの基地に向かう事になった。

しかも運良く、ロイヤルメイド隊の2人が派遣されており現地で落ち合う事になっていた。

 

 

 

レッドアクシズ基地 港湾施設

(確かこの辺りで落ち合う筈なんだが.......。あ、いた)

 

「物資の流れから見るに、この奥に何かある様です」

 

「お前もそう思うか?」

 

「はい。って、アナタ誰ですか!?」

 

潜入しているメイド隊の一人、シェフィールドが銃を構える。横でもう一人のメイド、エディンバラはアワアワしてる。

 

「大丈夫、味方だ。ベルファストから聞いてない?」

 

「という事はアナタが、日本とか言う国から派遣された諜報員。確か名前は長嶺雷蔵様でしたね」

 

「合ってるんだが、一応今はコードネームの「ゴールドフォックス」と呼んで欲しい」

 

「承知しました」

 

一向は中に潜入する。中には謎の巨大艦があり、近くに赤城と加賀、そして謎のタコの様な艤装を纏った病的なまでに肌が白く、生気を感じさせない少女がいた。

 

「(なんだありゃ)」

 

「(恐らくこれが、オロチ計画とかいう物の舟でしょう)」

 

「(あ、アレ!セイレーンの上位個体ですよぉ!!!!)」

 

エディンバラの言葉にシェフィールドが警戒を強める。

 

「(なんか良くわからんが、ヤバいことはわかった。どうする?排除するか?)」

 

「(ライフルも無いのにどうや.......)」

 

長嶺の背中を見ると、馬鹿でかいスナイパーライフルがあったのである。因みにさっきまで無かった。

 

「(ありますけど、流石にリスクが大き過ぎるでしょう)」

 

対応策を話している間に、赤城が黒いキューブをオロチの中に入れている。入れた瞬間、赤い光が灯り、まるでセイレーン艦の様な紋様が現れる。そしてまた別の黒いキューブを、赤城はセイレーンから受け取っていた。

 

ガサッ!

 

「誰だ!?」

 

3人が身を屈める。しかし物音を立てたのは別の人間、いやKAN-SENだった。

 

「にゃにゃにゃ、にゃんのことかにゃぁ。明石、道に迷っただけだにゃ。って、にゃにゃにゃにゃぁぁぁ!!!???」

 

明石が超絶下手な誤魔化しで切り抜けようとするが、タコ艤装のセイレーンが触手で明石を捕らえる。

 

「あら、見られちゃったわね。仕方ないわね。好奇心は猫を殺す、なんてね?」

 

「いやぁぁ!!助けてにゃー!!」

 

「待ちなさい。重桜の中で勝手なことは許さないわ」

 

「そんなこと言われてもねぇ。このまま放っておくわけにもいかないでしょ?」

 

何か如何にもヤバそうな雰囲気である為、どうしようかなとシェフィールドが横を向いた時、目の前で銃声が鳴り響く。

 

「おいおい、タコが猫を食うとか聞いた事ねーぞ。魚にしとけ」

 

銃弾を正確に触手に当てて明石を解放し、堂々とタコ女に歩みよる。しかしその前に、加賀が立ちはだかる。

 

「貴様、姉様に傷を負わせた軍人!!」

 

「お?やるか?いいぜ、来いよ」

 

手で「かかってこい」とジェスチャーをして煽る。それに乗って殺意マシマシで、噛み付かんばかりに飛び付いてくる。

 

「おっと」

 

しかし普通にバックステップで躱して、それ以降の殴りや蹴りも普通に避ける。しかも余裕そうな表情をしてスレスレの所を避ける物だから、加賀は完全に怒りで周りが見えなくなる。

 

「さて、じゃあそろそろ終わりにしよう」

 

大きく振りかぶった拳を躱して出来た隙に、鳩尾へ拳を叩き込む。直後「ゴブッ!」という鈍い声と共に、力なく崩れ落ちる。

 

「加賀!!」

 

「大丈夫。鳩尾殴って意識奪っただけだ。クソ痛いが、死ぬ事はない」

 

「流石、裏社会で恐れられてる兵士ね。武闘派の加賀でも敵わないなんて」

 

「初めましてだな、タコ女。こんな所で何をやってる?蛸壺にしちゃ、中々に大きすぎるぜ?」

 

「あら、レディには敬意を持つ様に習わなかったのかしら?」

 

そう言いながら艤装の触手と砲身を長嶺に向けて、脅しをかける。

 

「生憎と、認めた敵以外には敬意を払うつもりは無い」

 

長嶺も両手に携えた土蜘蛛をタコ女に向けて、セーフティーを外す。「一触即発」という表現がこれ程合う場面も中々無いだろう。しかしそんな一触即発は、不意に爆発してしまう事になる。

 

バシュッ!

 

なんと後ろの岩場から、ロケット弾が赤城に向け発射されたのである。

 

「赤城、伏せろぉぉぉ!!」

 

その言葉と同時に長嶺がロケット弾を撃ち抜き、空中で爆破する。

 

「犬神、数は!!」

 

「崖に1、後ろの通路から23。挟まれるよ!」

 

「犬神はあのロケラン野郎を食らってこい。八咫烏、一度外に出て偵察!俺は通路の方を抑える。月華、鎌鼬、竜宮、朧影、幻月、閻魔を落とせ!!」

 

二匹が行動を開始する。まず犬神がロケット弾を装填している兵士の腕を食いちぎり、喉を爪でむしり取る。八咫烏は外海に通ずる水路を飛んで外へと出て、偵察を開始する。

長嶺は一度通路の上に陣取り、中に入ってくるのを待つ。

 

「目標ポイントだ。突入!」

 

「GO GO GO!!」

 

しかし中に入ろうとした瞬間、上から長嶺が月華LMGを構えてぶら下がる。

 

「コンタク」

 

ドカカカカカカカカカカ!!!

 

まさか真上に人が居るとは思わず、呆気に取られて言葉すら発する間も無く銃弾のシャワーを浴びせる。

一方メイド組も赤城から黒いキューブを強奪し、スモークを焚いて撤退する。

 

「長嶺様!」

 

「先に行け!!どうやら俺は、更に仕事がある様だ」

 

長嶺は基地内に敵の気配を感じていた。直後、八咫烏からも「敵影多数」との報告が入り、急遽敵の掃討を開始する。八咫烏の報告によると敵がいるのは武家屋敷、茶屋、鉄血宿舎の3つ。一番近いのは茶屋であり、立体機動で茶屋に向かう。

 

 

 

数分後 茶屋

「瑞鶴、私のお団子食べる?」

 

「貰っちゃっていいの?」

 

「いいわよ」

 

茶屋では翔鶴と瑞鶴が夕日を見ながらお茶を飲んでいた。姉妹水入らずの空間に、願ってもない客人が現れる。

 

「対象を発見。確保しろ」

 

何と完全武装の兵士30人がグルリと周りを取り囲んでいた。

 

「アンタ達誰!?」

 

「我々の指示に従え」

 

瑞鶴が怒鳴るが、兵士達は動じない。無機質な声で命令し、他の兵士達も銃を構える。命令してきた兵士が注射器を懐から出した瞬間、頭が消し飛び右に倒れる。

 

「隊長!」

 

その瞬間、真横から無数の弾丸が飛来し、声を掛けた兵士以下6人が倒れる。周囲を確認すると、空中から長嶺がスライディング着地をしながら肉薄し、鎌鼬SGを至近距離から食らわせる。12ゲージ散弾の威力は凄まじく、撃たれた兵士は後ろに吹き飛ぶ。

 

「霞桜!?なぜ貴様がここに居る!?」

 

「此処は一応日本の領域だ。そこに俺がいて、何がおかしい?寧ろ日本以外の軍事勢力であるお前らの方が、よっぽど可笑しいだろ?日本の領土に土足で踏み入った罪、その血で贖って貰うぞ」

 

右手に竜宮AR、左手に鎌鼬SGを構えて敵に弾丸を浴びせる。進路上の敵を一掃しつつ、翔鶴と瑞鶴を連れて遮蔽物のある店内に逃げ込む。

 

「ハァハァ。あ、アンタ敵でしょ!?何で私達を助けるの!?」

 

瑞鶴の疑問は尤もである。一応、一昨日には砲火を交えた仲ではある。

 

「そんなのお前達を俺の仲間に引き込む為に決まってんだろ?」

 

「ハァ!?」

 

「だってKAN-SENとか言う訳の分からない謎能力持ってて、セイレーンとか言う謎の敵を倒せる唯一の存在なんだろ?でもってお前達に味方は、この島のKAN-SEN以外無い。それなら俺の仲間になって貰った方が、色々都合が良い」

 

話がぶっ飛びすぎて、瑞鶴の脳内は混乱しまくっている。しかし翔鶴は普通に「何言ってるんですか?SF小説の世界じゃありませんよ?」と普通に突っ込んでくる。あ、因みにさっきの会話中にも、普通に弾丸を撃ち込んでいる。

 

「信じられないのは分かる。まあ詳しくはまた教えてやるから、取り敢えず重桜本国なり、鉄血本国に連絡してみるといい。連絡取れないはずだから、な!」

 

最後の一人を倒して、翔鶴に衛星電話とメモを渡す。

 

「知りたくなったら使うといい。俺と会話できる。それじゃ、後は気をつけて帰るんだな」

 

そう言うと倒した兵士の端末を奪い、今度は武家屋敷に向かって飛ぶ。

 

 

 

武家屋敷手前の竹藪

「ハァ!!」

 

武家屋敷の方では、高雄と愛宕が武装勢力と戦っていた。しかしまだ一人も倒せていない。何せ数が2対60という中々に厳しい戦力差な上、二人の武器は刀のみであり、片や武装勢力はアサルトライフルである。

 

「一体何なの、あの人達は?」

 

「拙者が知る訳ないだろう」

 

「って、高雄ちゃん。アレ、不味くないかしら?」

 

愛宕が指刺す方向には装甲車が居たのである。しかも上に大口径機関砲と対戦車ミサイルを搭載した、どう考えてもヤバい奴。しかし装甲車は機関砲を撃つ前に、大爆発を起こして鉄の塊に早替わりすることになる。

 

「そーら、グレネード弾の押し売りだぁ!」

 

なんと真上から長嶺が大蛇GLを使って、40発のグレネード弾の雨を降らせる。装甲車や戦車というのは、実は側面、背面、上下の装甲は薄いのである。その為、グレネード弾の飽和攻撃には耐えられず撃破される。ついでに周りの歩兵も巻き込んで、大爆発を起こす。

 

「い、一体何がおこったのだ?」

 

「装甲車が破壊されたわね.......」

 

装甲車が爆発して呆気に取られていると、背後からククリ刀を持った兵士に襲われる。刀で弾いて距離を取るが、相手は全く動じずに構える。しかし次の瞬間、兵士は真横から蹴りを食らって吹っ飛ぶ。

 

「ククリ刀か。珍しいの持ってんな」

 

「何者だ!」

 

高雄が長嶺に刀を向ける。

 

「ん?まあ、一応味方だ。取り敢えず、コイツを片付けようか」

 

そう言った瞬間、ククリ刀を持った兵士が襲いかかる。しかしバク転で躱しつつ、刀を抜いて応戦体制をとる。

 

「霞桜総隊長、ゴールドフォックス。覚悟しろ」

 

「俺のタマ取るつもりなら、テメェも取られる覚悟はあるんだろうな?いいだろう、かかってこい」

 

そう言った瞬間、兵士が走り出して長嶺に肉薄する。しかしその突進を避けると、後ろから背中を真一文字に切り裂き絶命させる。

 

「弱い。口程にも無いな」

 

そう吐き捨てると、今度は鉄血宿舎へと飛ぶ。鉄血宿舎は既に謎の勢力によって占領されており、中には鉄血のKAN-SEN、オイゲン 、ヒッパー、ニーミ、レーベ、ケルンの5人が捕らえられていた。

 

「了解。直ぐに帰投する。さて、野郎共。本国に帰還するぞ」

 

隊長格の兵士がそう言うと、他の兵士達がオイゲンらを引っ張って連れて行こうとする。しかしその瞬間、窓ガラスをかち割り長嶺が中に飛び込んでくる。

 

「何者だ!?」

 

「悪魔だ」

 

そう言ってニヤリと笑うと、容赦なく周りの兵士に朧影SMGで9mm弾をプレゼントする。

 

「その装備、まさかBig catastrophe!?」

 

「そうだとも。恨むなよ?恨むなら、こんな仕事してる自分を恨め」

 

「や、やめ」

 

有無を言わさず、残りの兵士全員を射殺する。そんでもって鉄血のKAN-SENの手錠を外し、解放する。しかしオイゲンが一瞬の隙を突いて、死んだ兵士の拳銃を奪って長嶺に向ける。

 

「おいおい、何の真似だ?」

 

「アナタ、一応敵でしょ?なら文句言われる筋合いはないわ」

 

「あっそう」

 

そう言いながら後ろを振り返る。

 

「動かないで!」

 

更に前に突き出す。しかし長嶺は堂々と銃を観察すると、突然笑い出す。

 

「プッ、オマ、ウヒヒヒヒ!せ、せめてセーフティー解除してから言えよwww。トカレフじゃねーんだからさwww」

 

そう笑われて、赤い顔しながら確認する。しかしそれを見逃さず、一気に近寄りスライドを外し、ついでに刀を抜いて首に突きつける。

 

「覚えておけ。戦場で慣れないことはするな」

 

パチ、パチ、パチ、パチ

 

何処からともなくスーツに帽子を被った中年男性が拍手をしながら、歩み寄ってくる。

 

「いやはや、流石長嶺くん。見事な体術だ」

 

「なんでアンタが出てくるんだ、え?というか久しぶりだな、トーラス・トバルカイン!!」

 

「あぁ。かれこれ、約1年ぶりだな」

 

そう言った瞬間、12枚のトランプを放射状に投げる。

 

「うおっ!?」

 

取り敢えずジャンプで避けるが、後ろを見ると壁にトランプが突き刺さっていた。

 

「ん?」

 

しかも微かに「カチカチ」という音すら聞こえており、何か嫌な予感がして前に伏せる。その瞬間、トランプが爆発し部屋の壁がぶち抜かれる。

 

「爆発までするとか、もう何でもありだな」

 

「今度はこっちの番だ」と言わんばかりに、刀を構えて肉薄する。

 

「おぉ、やるねぇ」

 

幻月はトランプで弾かれるが、閻魔を前に押し出して突く。しかしそれもトランプで防がれる。その後も一進一退の攻防が行われる。刀でトランプを切り裂き、突いたり薙ぎ払ったりして攻撃する。トバルカインもトランプで刀を別の方向に受け流し、爆弾トランプで攻撃する。そんな攻防が15分も続いたが、決着はつかなかった。

 

「どうやら、勝負はつかないようだねぇ。この勝負は預けておくよ」

 

そう言うと5枚のトランプを取り出し、長嶺に向けると強い光を発して目眩しをし、光が消えるとトバルカインは居なかった。

 

「さて、俺も撤退するか」

 

トバルカインが居なくなったことを確認すると、長嶺も八咫烏に飛び乗って撤退した。

 

 

 

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