最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第一話大波乱の着任

ズドドドドド、ズドドドドド

ダダダダダダダダダダダダダダダ

鳴り響く銃声。炸裂する砲弾。空を駆けるヘリや戦闘機。ここは戦場。ここは地獄の一丁目。

 

「シン!!お前は日本に必要な野郎だ!生きろ!!!!」

 

そう言って、一人の男が走り出す。走り出す先は、眼前に迫る戦車。男は戦車に飛び付くと、戦車諸共爆発した。

 

 

今度は3人の男がボートに乗っている。ボートは海の上を、ただユラユラと漂う。

 

「悪いな。俺は.......ここまでだ.......。じゃあな、シン、ノブ」

 

ボートから傷だらけで、血に塗れたの男が海に飛び込む。

 

 

「お前は生きろ!生きて、日本を守ってくれ!!」

 

ボートに乗っていた、もう一人の男がサメに向かって身投げして、自爆する。

 

 

——あぁ、思い出した。これはあの日の記憶か。封印した筈の忌々しい記憶が、何故蘇った?ははは、そうか。「戦いを忘れんな」っていう、お前達のメッセージか?そうだろ?なぁ、ノブ、ミツ、ヒデ。

 

 

 

西暦2020年。世界の海は突如として、ある者達によって奪われた。後に深海悽艦と呼称される生命体である。タイプは大別して肌が異様に白い女性の人型と、不気味な魚みたいな見た目の物がいる。中には怪物みたいな見た目だったり、どっちでもないのもいるが、基本は人型と魚型だ。この深海悽艦によって、人類は制海権を喪失。海に面した国や、海に面した国との関わりの大きかった国々は、崩壊するか首の皮一枚で繋がって危険な状態が続いているかの二択となった。勿論、こうなる前に各国は深海悽艦に対する攻撃を敢行した。国境を越え、連合艦隊を組んで戦った。結果は敗戦。奴らに我々の兵器は、どれも通じなかったのである。

しかし一国だけ、深海悽艦と互角に戦える国があった。ユーラシア大陸の東に位置する島国「日本」である。反攻作戦後に突如として現れた、在りし日の戦船の魂を持った娘、通称艦娘を用いて日本はジワジワと勢力を拡大。遂には日本海と太平洋側の領海を解放するにまで至った。

 

 

2030年4月3日東京渋谷区 ラ・トゥール代官山

スマホのアラームが鳴り響く。俺はこの音で目が覚めた。

 

「もう朝か.......」

 

身支度を整え、簡単な朝食を作りながら今日見た夢の事を考える。忌々しくも懐かしい、あの日の夢を。

 

『本日のニュースです。警視庁は失踪した江ノ島鎮守府の提督、安倍川餅氏を「事故死」と発表しました。これを受け帝国海軍は「新たに提督を選定済みなので、国防に穴は開かない」と発表し、失踪した安倍川餅大将についてはコメントを拒否しています』

 

「プハァ、朝はやっぱりキンキンに冷えた緑茶に限る。コーヒーや紅茶は、邪道だ邪道」

 

いや、普通はコーヒー派が多いよ?というツッコミはさておき、簡単な朝食を食べる。メニューはトーストに目玉焼きと「絶対コーヒーが合うだろ」というメニューである。何故に緑茶をチョイスしたかは、わからん。朝の情報番組を垂れ流し、適当に時事ネタを集める。因みに最近のトップニュースは、現職の江ノ島鎮守府提督が失踪した事がである。

そんな朝の優雅なひと時を、一本の電話が終わりを告げた。

 

「もしもし長官ですか?」

 

『そうだ』

 

電話を掛けてきたのは、長嶺の上司たる連合艦隊司令長官の東川である。

 

「なんの御用でしょう?」

 

『いやな、ちょっと今から防衛省に来てくれ』

 

「はい?」

 

『いいからいいから』

 

「わかりました」

 

腑に落ちないが、来いと言われて行かん訳にもいかないので、防衛省に行く為制服に着替える。準備を終えると駐車場に止めてあるSF90に乗って、防衛省へ向かった。

 

 

「失礼します!」

 

「待ちかねておったよ」

 

「お久しぶりです、長官!」

 

互いに敬礼し合う。その姿は、誰が見てもカッコいいと思う程に綺麗な物である。

 

「いや、さっき話しただろう?」

 

「まあ、そうなんすけど」

 

「変わらんな」

 

「人間そうは変わって溜まるもんですか。で、用事とは?」

 

少しふざけ合っていたが、本題に入ると2人とも真剣な面持ちに変わる。

 

「お前に鎮守府を任せたいと思ってる」

 

「鎮守府?霞桜はどうなるんです?」

 

「霞桜はそのまま、お前の行く鎮守府に所属させる」

 

因みに霞桜とは、正式名称を海上機動歩兵軍団「霞桜」と言い、長嶺が指揮する秘密特殊部隊の事である。詳しくは後述するが、取り敢えず「クソ強い特殊部隊」と考えていて欲しい。

 

「そうですか?場所は?」

 

「江ノ島鎮守府」

 

「マジか」

 

この江ノ島鎮守府、一ヶ月前に任務で霞桜が行った所である。しかも任務内容が、そこの提督の暗殺。先程朝の情報番組で失踪したと言っていた安倍川餅は、実は霞桜、というか長嶺が暗殺していたのである。世間では「失踪」としてあるが、実際はもうこの世には存在していない。

 

「気持ちは分かるが、艦娘達の力になれるのはお前だけだ」

 

「気にしちゃいません。ですけど、秘書艦とかは?」

 

「それについては、飛び切りのを二人用意済みだ。入りなさい」

 

「「失礼します」」

 

二人の女性が入ってくる。一人は長いポニーテールの「大和撫子」が相応しい美女。もう一人は褐色肌にサラシを巻いた美女。艦これユーザーなら分かるであろうが、大和と武蔵である。

 

「大和型戦艦一番艦、大和です。提督、よろしくお願いします」

 

「大和型戦艦二番艦、武蔵だ。よろしく頼むぞ提督」

 

「あー、長官?」

 

「何だ?」

 

「海軍の二大決戦兵器がなぜ俺の所に?」

 

実艦でもそうであったように、大和型の2人は日本が保有する最強の兵器であり、実艦では秘匿されていた存在だったが現在は広告塔として海軍の代名詞となっている。そんな2人が配属されると言われて、驚くなという方が無理がある。

 

「おもしろそうだから」

 

「ダメだこりゃ」

 

思ってたよりもアホな理由に、少し気が抜ける。

 

「あ、他にも餞別がわりに、一つの部隊を渡そう」

 

「失礼します」

 

今度は青みがかった白い髪の若い男が入ってきた。

 

「よく来たな。これから君の上司となる、長嶺雷蔵だ」

 

「貴方が、あの霞桜総隊長ですか。初めまして、メビウス1と呼んでください」

 

「メビウス1!?なんで太平洋海戦の英雄がいるんだ!?!?」

 

メビウス1は深海棲艦との初期の戦いである太平洋海戦、正式には「東太平洋反攻作戦」と呼ばれる戦いで、本来なら殆ど現用兵器が効かない深海棲艦を戦闘機で倒した最強の戦闘機パイロットである。彼の指揮する部隊であるメビウス隊は、他の深海棲艦にダメージを与えた戦闘機パイロットの最強格を集めて作られた部隊である。因みに東川もこの戦いに参加しており、指揮官として勝利に導いた事から今のポストに付けていたりする。

尚、メビウス隊の元ネタは某エースなコンバットのメビウス隊である。

 

「お前の部下につける為だ」

 

「俺、これからどんな戦場に行くんだよ.......」

 

「他にも色々付くが、取り敢えずはこんな所だ。そんじゃ、頑張ってこーい!!」

 

「へーへー、わかりましたよ」

 

メビウス1はメビウス隊を連れて戦闘機で向かい、3人は陸路で江ノ島鎮守府に向かう事になった。

 

 

「提督、メビウス1の言っていた「霞桜」とは何だ?」

 

「俺の指揮する秘密部隊の名前だ。任務内容は暗殺とか工作活動とか、まあCIAみたいな事をやってると考えてくれたらいい。これにプラス深海悽艦の撃破も任務内容に入っている」

 

「深海悽艦を倒せるのですか⁉︎」

 

「と言っても、弱い奴らだけどな」

 

と言うが、連携や弱点を正確に攻撃する事が出来れば姫級であろうと倒せるし、総隊長を務める長嶺に関しては.......、それは今は敢えて語るまい。

 

「貴様、中々の人間の様だな」

 

「そうかい?」

 

「あぁ」

 

「あ、そうだ。運転手、自宅に寄ってくれ」

 

「はい」

 

一度自宅に寄って、必要な物をバックに詰めて旅支度をしていた。そして犬と烏を連れて行く。

 

「ワンワン」

 

「提督の飼い犬ですか?」

 

「何て言えばいいんだ?まあ、そういう認識が一番楽なのか?」

 

「何やら含みのある言い方だな?」

 

「ペットではないんだが、いかんせん説明がめんどくさい」

 

「そうか」

 

車が出発して少し経った頃、この謎の犬がその本性を表す。

 

「ポニーテールのお姉ちゃん、お水頂戴?」

 

「いいですよ。って、え!?」

 

「い、今、喋ったのか?この犬が?」

 

「うん?そうだよ」

 

なんとこの犬、見た目は白い毛並みの普通の犬なのだが、喋った上に普通に会話を交わしたのである。普通に考えてあり得ない。

 

「犬神、二人とも混乱してるだろ」

 

「あー、ごめんなさい主様」

 

「提督よ、この犬っころは何なのだ?」

 

「犬神っていう妖怪らしい」

 

「「妖怪!?」」

 

流石の2人もビックリな様だ。

 

「な、何を言ってるのですか?」

 

「なんか三年前に高千穂でコイツから接触してきて、なんか気づいたら眷属化してた」

 

「そ、そんな簡単に」

 

「嫌だって、その前には八咫烏も眷属にしちゃってるし」

 

「八咫烏って、あの八咫烏か⁉︎」

 

「うん」

 

大和に関しては、もう後半から完全にフリーズしている。一方の武蔵は豪快に笑っているから、多分適応したっぽい。

 

「大和よ、どうやら私達は規格外な提督の元に配属された様だな」

 

「そうね」

 

こんな雑談をしている間に、江ノ島鎮守府に到着する。

 

 

「さてさて。出迎えの艦娘が来るらしいけど、居ないね」

 

「ホントですね」

 

「いや、来たみたいだぞ?」

 

小走りでメガネを掛けた、黒髪ロングの女性が向かってくる。

 

「あの、貴方が新しい提督と、同時に着任される方々ですか?」

 

「本日付けで配属となった長嶺雷蔵だ。こっちは戦艦大和と武蔵」

 

「江ノ島鎮守府提督代行の軽巡洋艦大淀です」

 

ここで東川は表情に着目する。まるで全てを諦め、絶望した真っ暗な顔。なんか嫌な予感がしてして、どうにか先手を打とうとした瞬間

 

「あの、私はどうなっても構いません。性欲の捌け口でも、鬱憤晴らしに殴っても構いません。ですから、他の娘には手を出さないでください!!」

 

憎悪を瞳に宿しながら、超特大の爆弾発言を投下したのである。

 

「あー、大和&武蔵?今の発言は、俺の耳が可笑しいからとかじゃないよな?」

 

「は、はい」

 

「大丈夫だ。私も結構すごい発言を聞いた」

 

割とガチで自分の耳がイカれてくれていた方が数段マシだったが、現実は非情な様で自分の耳は至って正常らしい。

 

「よし、大淀。落ち着こうな?うん、一回落ち着け。頼むから」

 

「いえ、お願いです!お願いですから!!」

 

「いやいや、何をどう勘違いしてんのか知らんけど、俺はそういうのをするつもりでここに来てない。まあ、あのクソ野郎が前任だから「信じろ」って言っても、信じてくれんだろうけど」

 

「へ?」

 

大淀は長嶺を信じられないという顔で見ており、まるで初めて神にあったかの様な表情をしている。

 

「俺を信じろとは言わないし、拒絶しようが、どうしようがお前達の勝手だ。詳しくは代表者にも話すから、ここの鎮守府の各艦代表を一か所に集めてくれ」

 

「は、はい!!」

 

大淀はそう言うと大急ぎで、鎮守府の中に走っていく。

 

「提督よ、今の言葉は本当か?」

 

「あぁ、今現在「艦娘=道具」という認識が強い。だか、俺は艦娘達も人間だと思っている。道具なら感情は無いし、自分で思考し行動する事もないだろ?」

 

「そうか。貴様もそう言ってくれるか」

 

「どうやら私達の提督は、規格外だけど優しい提督みたいね」

 

10分後、大淀に連れられ会議室に通される。そこには戦艦長門、空母加賀、重巡妙高、軽巡天龍、駆逐艦浜風が集まっていた。入った瞬間に感じたのは、異常なまでの殺気と恐怖である。普通の人ならチビって、即回れ右したくなるが、長嶺には意味をなさない。

 

 

「大淀、全員揃ってる事でいいのか?」

 

「はい」

 

「あー、では始めるか。俺が本日付けで江ノ島鎮守府に配属となった、長嶺雷蔵だ。陸戦隊の指揮を取った事はあるが、鎮守府の指揮は取った事がない。まあ多分いろいろ迷惑かけるだろうけど、宜しく頼む」

 

「やっぱり、人間は信用できないな」

「長門さん、殺されます」

 

そう語る長門と加賀に、長嶺が気付く。さっきの発言に、殺される要素は無いはずだが。

 

「長門、人間が信用できないとはどういう事だ?」

 

「貴様、ふざけているのか?私達には「前任者を殺した者が着任する」と聞かされていた。なのにお前が来た。これは嘘をついたという事だろ!?」

 

「ああ、そういう事。結論から言うと、前任のクソ野郎を血祭りに上げたのは間違いなく俺だ」

 

「嘘をつくな!あの時、暗殺者はとてつもない気を出していたぞ!!」

 

「なら、これで信じてもらえるかな?」

 

そう言うと目を閉じて、数秒後に目を開ける。その目はさっきまでの普通の目ではなく、全てを氷付けにして動けなくする程の目となり、オーラも押し潰されそうになる程の物に変わっていた。

 

「な、なんなんだ。お前は一体、何者なんだ.......」

 

言った張本人ですら、このリアクションである。

 

「悪いが、俺の全ては最重要国家機密に指定されている。一つだけ言えるのは、俺は文字通りの地獄から生還し続けた人ってだけだ」

 

「カァカァ」

 

「何で烏がここに?」

 

「八咫烏、何かあったか?」

 

「我が主、近海で化け物が艦娘を襲っている」

 

「「「「「シャベッタァァァァゥァァァ⁉︎」」」」」

 

大和と武蔵以外の艦娘は、何かどっかの「らんらんるー」のお店のCMみたいなリアクションをしてた。

 

「規模は?」

 

「ト級1、イ級5、いずれもelite」

 

「マジか。で、襲われてんのは?」

 

「駆逐艦4隻」

 

「誰か、心当たりは⁉︎」

 

「あ、あの」

 

そう言うと銀髪ショート多分駆逐艦、しかし一部が戦艦や空母並みの子が声を上げる。

 

「君は確か、浜風か。何か知っているか?」

 

「今日、遠征で第六駆逐隊が出ているんです。そろそろ帰投する頃なので、多分.......」

 

「わかった。大和と武蔵はここを頼む。八咫烏、犬神、ついて来い‼︎」

 

そう言うと、窓から飛び降りる。一応二階である為、着地ミスったら骨折である。しかし先に飛び降りた犬神が着地したあたりに、青白い光が空から降ってくる。煙が上がり、晴れるとそこには巨大化した犬神が居た。

 

「行くぞ!!」

 

「ワォォォォォォン!!!」

 

上手いこと飛び乗り、海に向けて駆け出す。その上空を巨大化した八咫烏が続く。

 

「八咫烏、戦闘服を落とせ‼︎」

 

「心得た!」

 

八咫烏の腹下から黒い雷電の強化外骨格の様な戦闘服が投下され、それが自動で装着される。

 

「次は幻月と閻魔だ!」

 

「心得た!!」

 

両サイドの胴体部から、白と黒の刀が落とされる。白が幻月、黒が閻魔と呼ばれる名刀であり、どちらも地球上に存在する全てのものを切断可能である。

 

「お前ら、急げ!」

 

長嶺達が向かっている頃、第六駆逐隊は超ピンチな状況だった。

 

 

「マズいわね」

 

「Ураа!」

 

「暁ちゃん!!危ないのです!!!」

 

「え...........嘘...........」

 

ト級の砲撃が暁に命中...........する筈だった。

 

ガキン 

 

砲弾は真ん中から、スッパリと切断され暁に当たることなく海に落ちる。

 

「よお、生きてるか?」

 

「あ、あなたは?」

 

「話は後だ。取り敢えず、今は目の前の敵に集中しろ。お前達、ダメージはあるか!?」

 

「だ、大丈夫なのです!」

「大丈夫よ!」

「ハラショー!」

「わ、私も大丈夫よ!」

 

「いい返事だ。さて、犬神!!」

 

「いただきまーす!!」

 

犬神が先頭に居たイ級に食らいつく。そのままボリボリと食べる。犬神曰く「おっきな煮干食べてるみたい。噛めば噛むほど味が出る」らしい。

 

「し、深海悽艦を食べてるのです」

 

「ハラショー」

 

「そぉら!!!!」

 

回転切りをイ級にお見舞いし、食らったイ級は青い血を噴射しながら沈んでいく。

 

「風神!雷神!

 

八咫烏からマクロスのガンポッドぽいのと、ヘルシングのハルコンネンっぽいのが発射される。この二つがそれぞれ、風神と雷神と呼ばれる専用火器であり、長嶺の腕にロケットエンジンで飛翔していく。その二つは両腕に自動で取り付けられ、横についていたロケットエンジンは格納される。

 

「消え去れ!」

 

風神から風を切り裂くように弾丸が発射され、残りのイ級3隻を穴だらけににする。

 

「砕け散れ!!」

 

雷神からは120mmの徹甲弾が発射され、ト級を貫通する。登場から、物の数十秒で敵を殲滅したのである。

 

『こちらグリム。総隊長殿、鎮守府が攻撃を受けています!』

 

「うへぇ、マジかー。すぐに支援に向かう。お前達も急げ!」

 

『了解しました!』

 

「第六駆逐隊、鎮守府が攻撃を受けてるらしい。すぐに帰還するから、この犬の上に乗れ‼︎」

 

「「「「はい‼︎」」」」

 

「GOGOGO!!!」

 

「飛ばすから掴まって!!」

 

犬神が第六駆逐隊を乗せて走り出す。八咫烏も降下し、長嶺を乗せて飛ぶ。その頃、鎮守府は地上型深海悽艦の襲撃を受けていた。艦娘達も応戦を続けるが、大半は練度も高くない上にロクに整備と補給も受けていない為、超劣勢である。ほぼ全員が生きるのを諦め死を覚悟した時、

 

ボーボーボーーーーーン!!

 

巨大なトレーラーがクラクションを鳴らしながら、深海悽艦の群れに突撃する。このトレーラーには武装が付いており、牽引のジョイント部分の上に120mm速射砲一門、屋根に多目的ミサイルランチャー二基、四隅と中心部分に30mmの機関銃ポッド計六基、車体下に火炎放射器四基、壁一面に銃眼がついており、GTAオンラインの機動作戦センターの改造版化している。

さらに後方に何百台というスーパーカー、スポーツカー、マッスルカーが続く。因みに全て、どっかのトランスフォーマー みたく車モードから変形して、ミサイルランチャーやら機関砲やら大砲やらが付いている。中にはチェーンソーや丸のこ、火炎放射器等の世紀末な装備もいた。最早、目の前のカオスすぎる光景に艦娘全員「ポカーン( ゚д゚)」である。そりゃまあ、いきなり武装トレーラーが突っ込んできて、その後ろから映画でよく出てくる車が重武装で出て来れば、どんな人間もビックリである。

 

「加賀!後ろだ!!!!」

 

長門の叫びに気付いた時には、もう避ける事もガードする事もできない位置まで来ていた。しかし

 

「詰めが甘い」

 

上から長嶺が落ちてきて刀で腕を切り飛ばし、もう一本でとどめを刺す。さらに第六駆逐隊と犬神が到着し、輸送船の殲滅を開始する。

 

「て、提督?」

 

「どうした?」

 

「あ、ありがとう、ございます」

 

「戦場ではコレが日常だろ?気にすんな」

 

深海悽艦の猛攻はまだ終わらない。さっきの大型トレーラーのドアが開いた瞬間

 

「突撃‼︎」

 

「「「「「「「おぉぉぉぉ‼︎」」」」」」」」

 

霞桜の隊員達が一斉に飛び出し、制圧射撃を開始する。上空にもブラックホークとメビウス隊が到着し、ヘリボーンと支援攻撃を行う。物の数分で敵を殲滅し、第六駆逐隊も全員が小破までの被害で済んでいた。

 

「総隊長殿!霞桜、総員到着しました!!」

 

「ご苦労。ほんじゃ装備を直せないよな。あー、取り敢えず纏めるだけ纏めといて」

 

「了解しました」

 

副隊長のグリムが、総隊長である長嶺に報告を行い立ち去る。

 

「第六駆逐隊、君達はダメージを負っているな?すぐに入渠してこい」

 

「て、提督。あの」

 

「どうした大淀?」

 

大淀が何か言いにくそうに、少し緊張しながら何かを言いに来た。

 

「入渠は不可能です...........」

 

「はい?まてまて、鎮守府機能で一番大事なヤツだろ?」

 

「そうなんですけど...........まあ、来てもらったら分かります」

 

そんな訳で入渠施設、まあ風呂に行った訳だが

 

 

「何じゃこりゃぁぁぁぁぁ!?」

 

カビ臭くて暗い脱衣所を抜けると、何という事でしょう。壁一面に真っ黒なカビと何かよくわからない汚れがこびり付き、浴槽も水が真っ黒に変色し入った瞬間に傷が悪化するだろう液体になり、おまけに水垢もしっかりついてるではありませんか。

 

「なあ、ここって入渠施設、艦娘達にとっては風呂だよな?」

 

「はい」

 

「これって、傷が治るんじゃなくて悪化するよな?」

 

「そうですね」

 

盛大なため息を吐きながら、頭を抱えつつ決断を下す。

 

「よし決めた。入渠は諦める。言うて小破だし、今すぐどうこうはならん。それより、お前達の住環境を見せろ」

 

「わかりました。では、こちらへ」

 

住環境を見せて貰った結果だが、控え目に言って地獄である。兵舎の場合だと収納、水道、ガス、電気、窓、冷暖房装置が無い。それどころか布団等の寝具もない。艦娘達曰く「冬は寒く、夏はジメジメする上暑い」らしい。食堂は艦娘用のは最早存在せず、艦娘達は生まれてこの方「食事」をした事がない。艦娘は補給さえすれば生きれるが、空腹感はある。でもってお約束と言って良いように、執務室は豪華絢爛の一言である。一面赤絨毯で、上からはシャンデリアが光を生み出し、大きな窓と豪華な机、応接用のソファと台という「絶対艦娘分の予算を回しただろ」と予測のつく部屋であった。

 

 

「提督、どんな感じでしたか?」

 

「ん?控え目に言おう、超地獄。地獄の獄卒も回れ右して、即全力疾走する」

 

「具体的には?」

 

「どうやら、食事をした事がないらしい。大淀に聞いたら「ショクジ?なんです、それ?」って答えが返ってきた」

 

質問してきた大和と、その横の武蔵も唖然としている。長嶺もその答えが返ってきた時、開いた口が塞がらなかった。

 

「で、どうするのだ?」

 

「当然、食事を作る‼︎」

 

「では、私が腕によりをかけて」

 

安定の大和ホテルの力を見せようとしてくれるが、それを止める。というか本人に「大和ホテル」って言おう物なら「ホテルじゃありません!!」っていいながら、46cm砲を向けられそう。

 

「待った。ここは、俺にやらせてくれ」

 

「提督って、料理できるんですか⁉︎」

 

「できるよ。これでも、暗殺任務で一流シェフに化けた事もある」

 

「多才なのだな」

 

「そうなんかな?まあいいや。グリム!!」

 

「ここに」

 

何処から音もなく、スッとグリムが現れる。忍者もビックリな隠密能力である。

 

「人員を集め、街に出ろ。寝具、水、食材、調理器具をありったけ買ってこい!」

 

「了解!!」

 

「長嶺大将、我々はどうすれば?」

 

メビウス1が声を掛けてくる。因みに滑走路だけは機能していたので、取り敢えず駐機済みである。しかし元が輸送機発着用の粗末な物で、今は使われてない様なので管制官も整備兵もいない。そんな訳で野ざらしで整備も満足にできないが。

 

「メビウス隊には、空港施設の確認をしてもらいたい」

 

「わかりました」

 

「大和、武蔵。君達には艦娘達の心身ケアを」

 

「はい!」

 

「了解した」

 

「俺は長官に連絡して、色々してもらわんと」

 

その夜、鎮守府に居た艦娘達には初めての料理が振る舞われた。量と時間を考えると、カレーが最適な為、霞桜特製カレーが作られた。でもって近くのホームセンターで買ってきた物で、即席野外入浴セットを制作して艦娘達への風呂も提供した。寝る時はテントとかシートとかで作ったスペースに、寝袋を設置して寝てもらった。そして翌朝

 

 

「諸君。俺が新しく江ノ島鎮守府の提督に着任した、長嶺雷蔵だ。海上機動歩兵軍団共々、世話になる。昨日の戦闘の後、君達の住環境を見せて貰ったが、ヒドイ以外の何物でもない。その為、急遽改修工事を行う事とした。その間君達には、俺が個人的に所有する物件で生活してもらう。簡単な話、ごく普通の生活に慣れろって事だ。こちらも最大限のサポートもするし、かかる費用は俺のポケットマネーで賄う。一つ、人間らしい生活を楽しんでみろ」

 

そんな訳で、半強制的に東京の物件に移送した。その物件というのが、基本的に一等地にあるタワマンである。実は長嶺には、幾つもの国籍、名前、経歴を持っており様々な活動で使い分けているのである。その為、世界中至る所に物件や資産を持っているのである。艦娘達はネズミの国とか、大阪のユニバとかで遊ばせおき、別府とかの温泉とかにも行かせて心を癒させておいた。その頃鎮守府では、工作艦という名の万能チート艦明石を迎えて、超特急で鎮守府の改装を行った。

 

 

一ヶ月後

「どうにか完成したな」

 

「我ながら、よくやったと思います」

 

「マジで明石には感謝する」

 

では改修の成果を紹介しよう。

兵舎

冷暖房装備を完備し、各部屋に大きな窓とダブルベッドを一つ設置している。収納も十分で、各部屋にミニキッチンと冷蔵庫も設置済み。これが艦娘一人に付き、一部屋支給される。これ以外にも各艦隊が打ち合わせ等で使用できる簡単な会議室と、姉妹で寝泊りができる大部屋もある。

 

食堂

「食は戦場における、士気を左右する一番大事な物」という持論から、多種多様の調理器具を設置。プロのシェフを呼べば、三つ星レストランの料理を作る事も可能。屋外席もあり、天気が良ければ談笑しながらの食事もできる。

 

入渠施設

様々な効能の温泉を作り、露天風呂や打たせ湯も完備。温泉リゾートばりの施設が揃っている。勿論、上がれば冷えた牛乳もある。

 

工廠設備

最新鋭の工作機械を設置し、建造と開発を効率的にできる。言うまでもないが、明石と夕張の城となっている。

 

軍港設備

艦娘用については、アニメ版と同じ物の為割愛。艦娘用以外にも、輸送船や護衛艦も停泊可能な埠頭と修復もできるドックがある。艦娘用の出撃ドックの上には、霞桜用の物も作ってある。

 

空港設備

大型輸送機も着陸できる滑走路二つと、戦闘機運用には十分な長さのが三つある。格納庫の地下には、更に数百機規模の格納スペースも作ってある。

 

基地設備

こちらは霞桜専用の設備となる。指令室、電算室、装備の整備施設、車両用格納庫と言った本部機能が全て整っている。大半は地下にあり、通常は艦娘の立ち入りを禁止している。

 

娯楽設備

身近な所だと各部屋に風呂とシャワーがあり、自販機もある。さらにはコンビニ、服屋、カフェ、本屋、雑貨屋、小物屋、プール、公園、庭園、フィットネスクラブがある。

 

ついでなので、現在の保有戦力も書いておこう。

所属艦娘

戦艦(長門と霧島以外は、新たに着任)

大和、武蔵、長門、陸奥、金剛、比叡、榛名、霧島

 

空母(加賀以外は、新たに着任)

赤城、加賀、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴

 

軽空母

鳳翔、隼鷹、費用

 

重巡(妙高以外は新たに着任)

高雄、愛宕、妙高、那智、足柄、羽黒、鈴谷、熊野

 

軽巡(天龍、龍田、五十鈴以外は新たに着任)

天龍、龍田、五十鈴、川内、神通、那珂、阿賀野、能代、矢矧、大井、北上、夕張、大淀

 

駆逐艦(暁、響、雷、電、潮、浜風、浦風以外は、新たに着任)

暁、響、雷、電、潮、浜風、浦風、睦月、如月、弥生、望月、長月、夕立、時雨、島風

 

その他

明石、間宮、伊良湖

 

所属航空隊

・メビウス中隊(F22ラプター 8機)

・グレイア隊(F3心神 4機)

・フォーミュラー隊(F3心神 4機)

・カメーロ隊(F3Aストライク心神 4機)

・レジェンド隊(F3Aストライク心神 4機)

・輸送機(C2 9機、C130 3機)

・警戒機(E767 2機、E2C 3機)

 

 

霞桜の戦力

人数 800名(いずれも戸籍無し。つまり、公的には幽霊)

・機動本部車 8台

・自立稼働型武装車 864台

・水上バイク 80艇

・水上装甲艇「陣風」 60艇

 

 

以上が全戦力である。それでは、鎮守府に視点を戻そう。

「て、提督。ただ今戻りましたけど、これどうなってるんですか?」

 

「え?普通に改修工事したけど?」

 

「改修って、ほぼ新築じゃないですか」

 

「そこは、コイツが来てくれたから」

 

大和の質問に、最強の物作りチート艦娘を指差す。

 

「工作艦、明石です。少々の損傷だったら、私が泊地でバッチリ直してあげますね。お任せください」

 

「明石さんが来たんですね」

 

「他にも色々来て貰ってる」

 

その夜、完成祝いと親睦会と歓迎会を兼ねた大宴会が行われた。公園でバーベキューをして、花火して、ついでに肝試しもしてクタクタになるまで遊んだ。

 

 

 

翌朝 執務室

「失礼する」

 

「長門か。てことは、今日の秘書艦はお前か?」

 

「そうだ」

 

「了解した。では早速執務をと行きたいんだが、着任したてで書執務という執務がない。というわけで、適当に遊ぼうや」

 

「!?」

 

長嶺を「コイツ、頭がイカれたのか?」という驚愕の顔で見つめる。普通に考えて「始業時間だし、遊ぶか」って言う時点でヤバいので、正しい反応である。

 

「ん?何で驚いてんの?」

 

「いや、普通は艦娘に仕事をしてもらい、人間は遊ぶんじゃないのか?」

 

「え?」

 

「え?」

 

お互いの間に、よくわからない空気が流れる。

 

「前任のクズっぷりには、なんかもう脱帽物だ。長門、お前の認識は全く持って間違っている」

 

「そうなのか?」

 

「考えてもみろ。お前達艦娘の仕事は、深海悽艦と戦うことだ。その上に仕事をさせるっていうのは、些か都合が良すぎるだろ?」

 

「だ、だが、私達の存在意義が」

 

長年クズの下で働いた弊害か、謎の奴隷根性を発揮する長門。しかし長嶺はそれを一蹴する。

 

「アホ。お前達の存在意義なんざ、お前達自身で作る物だ。他人から言われたのなんかは、所詮ソイツとって都合の良い人物像にしか過ぎない」

 

「しかし私は艦娘、つまりは兵器だ。人間と同じようには振る舞えない」

 

それでも尚食い下がろうとするので、別の作戦にでる。題して「人間とは何ぞや作戦」である。え?命名がダサいって?悪かったな、俺はそう言う名付けセンス皆無なんだよ!!

 

「長門、では質問するが人間が人間足らしめているのはなんだ?」

 

「わからない」

 

「そうか。まあ、そうだろうな。多分、この答えは存在しない。自分が思う物こそが答えとなるだろう。だから俺が言うのも、あくまでも俺の意見でしかない。それを念頭に聞いてくれ。俺は人間が人間たらしめているのは、その生物に感情を持ち、思考して、自分で行動を起こせる物こそが人間だと思っている」

 

「では私達は人間ではないじゃないか」

 

「何故だ?」

 

「私達は提督の指示で動いているからだ」

 

「確かにそうだな。だか、お前達は砲撃の射角を自分で計算しているだろ?そして計算した答えを打ち込んで、砲を撃つ。これは立派に思考して、自分で行動を起こしているじゃないか」

 

「!」

 

長嶺の説明に長門も納得し出したのか、顔色が興味へと変わる。

 

「それに、お前達が唯の道具なら感情なんていらないだろ?俺が君たちを道具として生み出したなら、感情なんて非合理的な物はつけない。そうだろ?」

 

「た、確かに」

 

「まあ作ったのが俺じゃないし、その答えを知ってる訳もないが、大方「人間らしく生活してみれば?」的な意味なんじゃないの?」

 

「ハハハ、お前は意外といい奴なんだな」

 

「いい奴、ねぇ。まあいいや。さて、執務室でやる事がないんだ。部屋からPS5とってくるから、ゲームしようぜ」

 

「本当に遊んでいいのか?」

 

始業開始と同時に遊びに誘ってきたのは流石にまだ納得できてない様で、もう一回聞いてくる。ここに関しては長門ではなく長嶺の方が、少々、いやかなりぶっ飛んでいる。

 

「やる事ないんだもん。規則的には俺もお前も、トイレ休憩とか昼休憩とか、何か用がない限り執務室から出たらダメだろ?なら、ゲームでもして暇を潰せばいい。それに今日は艦娘達も、アラート待機以外はオフなんだし、働いてるアラート待機も実質オフなんだから、遊んだってバチは当たらん」

 

「そういう物なのか?」

 

「俺達はいつ死んでも可笑しくはないんだから、楽しめる時に楽しんだっていいだろ?」

 

「う、うむ」

 

「よーし、そうと決まれば善は急げだ‼︎」

 

そんな訳で稼業時間中は、PS5でグラセフ6のオンラインで遊びまくっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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