最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第二十三話パーティータイム

深海棲艦の襲撃の翌日。霞桜の黒鮫がキャンプ地に迎えに参上し、KAN-SENと隊員達を機内に収容。随時、江ノ島鎮守府に向けて出発していった。長嶺は最後の機体に乗り込み、約一時間のフライトを経て半年ぶりに江ノ島の土を踏んだ。

 

「帰ってきた〜!!」

 

「お帰りなさい、提督」

 

出迎えに焦げ茶の髪の長い、大和撫子をそのまんま表したかの様な女性が敬礼で長嶺を迎える。

 

「おう。留守の間、よく此処を守ってくれたな。大和」

 

多分艦これを知らなくても、一度は見た事があるであろう。日本が作った最強にして、戦艦の究極形。大和型の一番艦、大和である。

 

「あの長嶺様、其方の方は?」

 

後ろから赤城が聞いてくる。他のKAN-SEN組も全員が「誰?」と興味津々と言った感じだろうか。そんな顔をしている。

 

「名前だけなら、KAN-SENであれば誰でも知ってる艦だ。日本の戦艦の代名詞的存在、大和型戦艦の一番艦、大和だ」

 

「大和型戦艦、一番艦大和です。よろしくお願いしますね」

 

全員、特に重桜のKAN-SENと戦艦のKAN-SEN達が一番驚いている。そりゃあ異世界とは言えど戦艦界のスターで、重桜組からすれば同郷の有名人が目の前にいるのだから、当然の反応っちゃ当然の反応である。

 

「まずは皆さんを宿舎までご案内致します。そこで荷物を置いて頂き、その後ホールに集まって頂きます。あ、それから提督。東川大臣より「帰還したら連絡する様に」と言伝を預かってます」

 

「今回の一件の報告だろうな。あ、ボーナスもせびっとかねーと。あのクソジジイの事だから、のらりくらりで有耶無耶にして払わねーだろうし。それから大和。夜は、分かっているな?」

 

「はい」

 

後ろに居たKAN-SEN達、特に恋愛や乙女チックな事が大好きな奴。例えばジャバリンとかが、「キャーー」とか何とか言っていた。問題だったのは、赤城とオイゲンである。大和をまるで獲物を狩る前の獣の様な、謎の怒りのオーラというか闘志というか、何とも言えない何かが漏れ出していた。

 

 

 

数分後 執務室

「此処にくるのも半年ぶりか」

 

誰も居ないので受け答えが返ってるわけもなく、自分のデスクの横にある電話の受話器を取る。連合艦隊司令長官のみが使える、防衛省との直通秘匿回線専用の電話であり、会話が外に漏れ出る事はまずあり得ない。その電話を使って、東川に連絡する。

 

『お、電話が来たって事は帰ってきた訳か』

 

「あぁ。ただいま、親父」

 

『なんか大変だったらしいな、色々と』

 

「あんな事になるって分かってりゃ、速攻で任務放棄して他の海域解放に行ってたよ。で、連絡寄越せって一体何の用だ?」

 

『それなんだが、KAN-SENとかいったか?そのKAN-SENには陣営があるんだろ?一応、日本を守る者の長として、どんな者達か見てみたい。そういうわけで明日、各陣営の代表を二人くらい連れて来い。あ、報告書も明日に提出な。それじゃ!』

 

いきなり有無を言わさず、そのままガチャ切りしやがる。これが東川の得意とする「自分が不利になる前に、話を強制的にぶった斬る」という面倒な必殺である。

 

「あっちょ!!もしもし、もしもーし!!!!」

 

(あんのクソジジイ、マジで明日ぶっ殺したろか)

 

「はぁ、こりゃあ徹夜コース確定だ」

 

取り敢えず施設案内は手空きの艦娘に任せ、長嶺は早速デスク上のPCと向かい合い報告書を作り始める。一見簡単そうだが、報告する事が膨大すぎて手首が死にそうになる。

昼食も冷蔵庫に常備しているウィンナーゼリーで、数秒で済ませて作業に戻る。最早、ブラックを通り越した何かであった。一応定時の17時になっても終わるわけがなく、時間なんて気にせずにパソコンと格闘していた。そして18時を回った頃、大和が執務室にやってきた。

 

「提督、失礼します」

 

「おう。そろそろか?」

 

「はい。ご命令通り、KAN-SENの皆さんを歓迎するパーティーの準備が完了しています」

 

「わかった。先に行っててくれ。キリのいい所までやってから行きたい」

 

「わかりました」

 

そんな訳で良い感じの所で一度切り上げ、シャワーを浴び、しっかりとした軍服を纏ってパーティー会場のホールに向かう。因みにこれまでは、戦闘服の下に来ているインナー姿であった。

 

 

 

19:00 パーティーホール

KAN-SEN達は何も知らされず、パーティーホールの中に通されていく。中にはテーブルの上に様々な国の、様々な料理が所狭しと並んでおりKAN-SEN達は目を白黒させて驚いている。

 

「ハハハ。どうだね、KAN-SENの諸君。細やかながら、歓迎の宴の席を用意させて貰った。我々は諸君を同じ日本を、いや世界を守る守護者として迎える用意がある。もし君達も同じ思いなら、そこのグラスを手に取って欲しい」

 

そう長嶺が指差すテーブルにはワイン、シャンパン、ブドウジュースの三種類の飲み物が用意されていた。勿論全員がそのグラスを手に取り、長嶺の次なる言葉を待っていた。

 

「全員手に取ってくれた事に感謝する。さあ、これで俺達は晴れて同じ志を持つ同志だ。今日は多いに飲んで、多いに食え!!!乾杯!!!!!」

 

一斉に「乾杯!!!!」の声が上がり、グラスが高らかに掲げられる。パーティーの始まりである。

 

「あ、そうそう。それから一つ連絡なんだが、各陣営は代表者を2名以上立てておいてくれ。明日、防衛省に俺と来てもらう。連絡終わり!!パーティー再開!!」

 

長嶺は隙を見て15分後位にホールから抜け出し執務室に戻って行ったが、どうせパソコンと睨めっこして終わりなので、我々は今暫くパーティーの方を見ていこうと思う。

 

 

〜愛宕と高雄の場合〜

「あら?ねぇ、もしかして貴女達って高雄と愛宕?」

 

偶々すれ違った青い制服の二人組をKAN-SENの愛宕が呼び止める。

 

「そうですよ〜」

 

「まさかこうも早く、自分と同じ存在に逢えるなんてね。私は愛宕よ、よろしくね」

 

「ぱんぱかぱーん!愛宕でーす」

 

「高雄です。宜しくお願いしますね、もう一人の愛宕ちゃん」

 

艦娘の高雄、愛宕とKAN-SENの愛宕の初接触である。どうやら同じ物の魂だった訳で、波長というか勘というか、何とも言えない物で分かるみたいなのである。後メタイ話で申し訳ないが、書きづらさが半端ないよ。ある意味同じ人物だからさ。

 

「愛宕、向こうにお前の好物のって、もう艦娘とやらと話していたのか」

 

「高雄ちゃん、この二人誰だと思う?」

 

「まさか.......」

 

「そのまさかよ。こっちの世界に於ける私達。こっちの金髪の子が私で、もう一人のショートヘアの子が高雄ちゃんよ」

 

KAN-SENの方の高雄もKAN-SENの愛宕と会った時と同じ様に、波長というか何かで薄々感じていたのだろう。すんなりと挨拶していた。

 

「拙者が高雄だ。これからは宜しく頼む」

 

「拙者って、まるで侍みたいね」

 

「口調通り高雄ちゃん、結構堅物なのよ?」

 

「聞こえておるぞ愛宕!」

 

「フフ、私ですか?」

 

「いやそっちじゃなくて、こっちの獣耳がついてる方だ!」

 

W愛宕がKAN-SENの高雄を弄り出す。流石同一存在というべきか、二人とも息ピッタリである。艦娘の方の高雄は、それを苦笑いしながら見てた。

 

 

〜赤城と加賀の場合〜

「こちらの世界にも、和食があるのですね。姉様」

 

「そうね加賀。慣れ親しんだ食事が取れるのは、嬉しい限りよ」

 

「加賀さん、こっちに超特盛唐揚げがありますよ!!」

 

「流石に気分が高揚します!!」

 

ふとKAN-SENの方の赤城と加賀が横を見ると、目の前の巨大唐揚げタワーに食らい付いてる和服の二人がいた。やはり同じ理由か、二人とも目の前の二人が誰なのかを感じ取る。

 

「おや?もしかして貴女達、赤城と加賀じゃありませんか?」

 

「という事はやはり」

 

「ゴクン。はい。帝国海軍一航戦、赤城です」

 

「同じく加賀です」

 

同一存在に会えた事で、KAN-SEN二人の表情が少し明るくなる。

 

「赤城ですわ」

 

「加賀だ」

 

KAN-SENの方の二人も自己紹介を交わし、色んな意味でキャラの濃い二人が揃った。食う母、演歌歌手、ヤベー奴、戦闘狂。色んな意味で提督及び指揮に心労をかけまくるのが二人もいる訳で、ある意味混ざっちゃいけない奴らが混ざってしまった。

 

「所であの、指揮官様は何方に?」

 

「提督は、あら?加賀さんは見ました?」

 

「いえ。最初の壇上の挨拶以来、一度も見かけていませんね」

 

この時点で艦娘の方の一航戦は察していた。「大方、東川大臣辺りから仕事を押し付けられたな」と。実際その通りで、先ほども書いた通りパソコンと睨めっこ中である。

 

「きっと仕事中ですよ。多分、防衛大臣の方から「明日中に報告書を出せ」と言われたのでしょうね」

 

「なんて可哀想なの指揮官様.......」

 

「ここではいつもの事ですよ。もし手伝えそうな仕事があったら、手伝ってあげてくださいね」

 

「わかりましたわ」

 

赤城同士が話している間、加賀達はというと。

 

「この唐揚げ、結構いけるな」

 

「間宮さんの料理は2番目に美味しいですよ」

 

「ほう。では1番は誰の料理だ?」

 

「提督の料理です。あの人の料理は、ここの誰もが認める絶品料理です。特に肉料理は、アレを味わっては他の物を味わえなくなってしまう程に」

 

「そうか。一度食べてみたい物だ」

 

提督の料理談義で盛り上がっていた。

 

 

〜瑞鶴の場合〜

「ん〜!やっぱり間宮さんの作るスイーツは最っ高!」

 

艦娘の方の瑞鶴が、羊羹やアイスなどのスイーツを堪能していると、後ろから来た人がぶつかってしまう。

 

「あ、ごめんなさい!」

 

「大丈夫よ」

 

振り返るとそこには赤いドレスを着て、その上から白いコートを羽織った栗色の髪の毛をした女性が立っていた。安定の力でお互いに感づく。

 

「もしかして」

 

「貴女」

 

「「瑞鶴?」」

 

同じタイミングで、名前が出てくる。多分、1番息ピッタリだと思う。

 

「こっちの私はこんな感じなんだぁ。巫女みたいで可愛い服ね」

 

「そっちの私はそんな感じなの.......ね」

 

艦娘の方の瑞鶴はKAN-SENの方の瑞鶴のある部位に目が釘付けになる。多分、大半の読者がこの擬音で分かるであろう。

 

ボインボイン

 

チーン

 

そう、胸である。知っての通り艦娘の方の瑞鶴は公式や書き手の人間で大きくなってたりするが、一応ブラウザ版の方は断崖絶壁である。一方でKAN-SENの方の瑞鶴は、普通に大きい。巨乳の部類に入り、何なら爆乳の方にも片足を突っ込むぐらいである。

まあ彼方さんの場合は大鳳やらイラストリアス級三姉妹やら樫野やらと、超特大の乳を持つキャラが多く、またそれ以外のキャラも大体巨乳or爆乳という世界なのでインフレ気味であるが。

 

「同じ瑞鶴なのに、何か複雑な気分だわ。何なのよ、この胸囲の格差社会は.......」

 

「ねぇ、大丈夫?もしかして何処か調子が悪いの?」

 

「あ、あぁ、大丈夫大丈夫。何処も悪くないわ。少し、いやかなり心が痛いけど

 

「え?」

 

「何でもないわ」

 

これ以上は尺の都合上書けないが、その後も様々な所で色々な話に花を咲かせる両者であった。一方その頃、オイゲンはと言うと

 

 

「完全に迷ったわね」

 

トイレに席を外した結果、見事に迷子になりました。取り敢えず歩いていれば、何処かしら知ってる所に辿り着くだろうと考えて歩き回る。だがその考えが余計に事態を悪化させ、益々場所がわからなくなっていた。

因みにパーティー会場がある娯楽施設エリアとは反対方向にある、執務室や作戦室といった重要施設のあるエリアに来ている。

 

「それにしても何て広さなのよ、ここは」

 

それでは念の為この江ノ島鎮守府にどんな施設があるか、簡単に解説しておこう。

この江ノ島鎮守府には、先程書いた執務室、作戦室、会議室、工廠と言った鎮守府の心臓部が集中しているエリア。現在パーティーの開かれている大ホール、屋内プールやフィットネスクラブ、コンビニやら雑貨屋やらと言った店の入るデパート的な施設に公園、庭園といった娯楽設備のあるエリアに加えて、合計5つの滑走路のある空港エリア、艦娘達の出撃ドックや普通の艦が係留できる埠頭と艦船用の修理ドックをも備えた軍港エリア、そして艦娘や今後はKAN-SEN達の家となる兵舎や風呂、食堂といった居住エリアに分かれている。

さらにこれに加えて、地下には戦艦状態の鴉天狗を隠匿する為の秘密地下ドックや、霞桜専用の本部、射撃訓練場、居住施設があったりもする。

 

「あら?」

 

また暫く歩を進めていると少し先にある部屋の扉が開いており、中の電気が付いているのが見えた。やっと見つけた人のいそうな場所に少し安堵する。その部屋に足早に向かっていくと、中から若い男が出てくる。

 

「失礼しました」

 

長嶺でもない若い男で、でも何処かで会った気はする。そんな不思議な男であった。此方に気付き「どうも」と声を掛けてくる。

 

「あなた、どこかで会ったかしら?」

 

「えぇ。一度会っていますよ、鉄血のプリンツ・オイゲンさん」

 

「でもごめんなさい。私、覚えてないわ」

 

「ハハ。確かに会っていますが、この顔では初めましてですから」

 

そう言うと若い男は後ろから、白い狐の面を取り出して顔につける。その見た目にオイゲンは見覚えがあった。

 

「こうすれば思い出せるのでは?」

 

「確かオロチとの戦闘で指揮官の隣にいた.......」

 

「そうですよ。私は海上機動歩兵軍団「霞桜」にて、副隊長をさせて貰っている、グリムと申します。以後お見知り置きください」

 

何処かロイヤルの様な仕草に、オイゲンは内心ウンザリしていた。知っての通りロイヤルというのは、イラストリアスやフッド、クイーン・エリザベスを見て分かる様に貴族や王族色の強い陣営である。

そんな訳で礼儀作法にうるさく、陣営の風潮も「優雅に」とか「華麗に」とかと緩いオイゲンにとっては相性の良くない陣営なのである。

 

「所で貴女は何故こんな所に?パーティー会場からは、かなり離れてますけど」

 

「それが」

 

オイゲンは今までの経緯(と言ってもトイレに行く為に席を外したら道に迷い、適当に歩いたら何故か此処に辿り着いたというだけだが)を説明した。

 

「それは大変でしたね。この鎮守府は様々な設備が有って住環境こそ良いのですが、そのせいでとても広大な敷地ですからね。迷いもしますよ」

 

「私からも一つ聞いていいかしら?」

 

「えぇ、どうぞ」

 

「あそこの部屋は誰の部屋なの?」

 

そう言って、さっきグリムの出てきた部屋を指差す。

 

「あぁ。あそこは総隊長殿、貴女方流に言うなら指揮官の執務室ですよ」

 

「ここがそうなのね」

 

「どうせなら総隊長殿に連れて行って貰っては?中に居ますから」

 

「ならそうさせて貰うわ。ありがとう、グリムさん」

 

「えぇ。どういたしまして」

 

そう言ってグリムは去っていく。オイゲンは気になる相手の部屋である長嶺の執務室に向かって歩き出し、ノックする。中から「どうぞ」と声が聞こえてきたので、中に入る。

 

「一体誰だ。って、オイゲンかよ」

 

「あら、こんな可愛い子が入ってきたのよ。もう少し喜んだらどうなの?」

 

「わーい。可愛いオイゲンちゃんが来たー。うれしいなー。最高ダナー(棒)」

 

清々しいまでの棒読みに、少しイラつきながらも何とかそれを抑え込んで、さっきから疑問に思ってた事を聞いてみる。

 

「で、何で指揮官はここにいる訳?さっきの演説じゃ「仲間」とか「同志」とか色々言ってた割には、こんな所で一人寂しく何してたのかしら?」

 

「明日までに報告書を出せって、クソジジイに言われた。ただでさえKAN-SENだのセイレーンだのと訳の分からない存在が出てきて報告が面倒だってのに、それに加えてCIAの工作員は襲ってくるわ、亡国の亡霊が襲ってくるわで余計にややこしい事になって色々カオスなんだよ。

そんなカオスの極地みたいな状況を報告書に落とし込むのをヘットヘトで作業効率下がりまくりだってのに、やらされてる訳よ」

 

見るからに虚ろな目でゾンビ映画のゾンビみたいな顔色をしてる長嶺に、若干、いやかなりドン引きしてるオイゲン。

 

「そ、そう。それでその、終わりそうなの?」

 

「正直言って、全く終わりが見えん。どう足掻いても、今日は徹夜コース確定だ。いやこれ、徹夜しても終わんのか?」

 

乾いた声で「ハハ」とか言っているが絶望やら悲壮感やらで、正直「長嶺の周りだけ空間が違うのではないか?」という錯覚すら覚えるほどにやさぐれてる。

とここで何を思ったのか、オイゲンが長嶺の後ろに回り込んで首に手を回して顔を耳元に近づける。

 

「仕事終わったら、ご褒美あげるわよ♡?」

 

そう耳元で囁く。これをされてはどんな男でも脳が蕩けて、一発で骨抜きにされてしまうだろう。だが長嶺は極度に疲れているのと極度な鈍感脳である為、全然効いてない。

 

「オイゲン、お前酔ってないか?そこで休んでいいぞ」

 

そう言いながら目の前のソファーを指差す。ホント、全っ然効いてない。尚、主の場合はそのまま抱き抱えてベットルームに行く自信があります。

 

「なら少し休ませて貰うわ」

 

そう言ってソファーに横になる。さっきの一見でオイゲンの負けず嫌いな性格に火が入ったのか、構って貰うために色々始める。足をわざとらしく組んでみたり、胸を寄せて強調してみたり、可愛かったりセクシーなポーズを取りまくる。だがしかしパソコンに集中している為、長嶺一切気付かない。と言うか何なら、見向きもしようとしない。それが面白くなかったのか、はたまた疲れや酔いからかは分からないが、睡魔が襲ってきてそのまま落ちた。

 

 

 

二時間後

「あ、そういやお前、パーティー会場に行かなくて、って寝てるし」

 

まさか寝てるとは思わず、溜め息をつきながら隣の仮眠室にある布団を引っ張り出す。

 

「お前、そんな薄着じゃ風邪ひくぞ」

 

返事が返ってくる訳ないが、そう言いながら布団を上から優しく被せる。

丁度そのタイミングで、大和が執務室に入ってくる。

 

「提督、パーティーは無事終わりましたよ」

 

「そうか。すまないな、留守の間の仕事を押し付けたりとか、KAN-SEN達の寮舎の準備やら歓迎パーティーやらも仕切って貰って。取り敢えず明日から二週間、お前は休暇にしてあるから今日は早く休むといい」

 

「わかりました。所で、仕事の方はどうですか?」

 

「全く持って終わりが見えておりません」

 

最早隠す事すらせずに堂々と言い切る。

 

「やっぱりですか。とにかく、無理だけはしないでくださいね。所で、何故オイゲンさんが此方に?」

 

「あ?知らん。何か此処に来て、疲れてるのか知らんがいつの間にか寝てた。なんかぐっすり寝てるし、起こすのも忍びないから放置してる」

 

「そ、そうですか。ヒッパーさんにはこちらから伝えておきますね」

 

「頼んだ。んじゃ、俺は仕事の続きでもするかね」

 

そう言ってまたデスクに戻る。その後なんやかんやで仕事が終わったのは、翌朝の7時前であった。

 

 

「ここは.......」

 

「あ、起きた」

 

長嶺が仕事を終えて、眠気覚ましにブラックコーヒーを飲んでるときに丁度目が覚めたオイゲン。何時の間にか布団が掛かってるし、眠ってた事に色々困惑してる。

 

「念の為言っとくが、寝込みを襲ったりはしてねーぞ。こちとらさっきまで仕事してたんだ」

 

「そ、そう」

 

「部屋に戻ってシャワーでも浴びて着替えてきたらどうだ?確かお前、今日行くメンバーの一人だっただろ?」

 

「そう、だったわね」

 

そう言うとオイゲンは部屋を出ていき、自室へと戻って行った。因みに内心、気になる相手の前で寝てた事にメチャクチャ恥ずかしがっていた。

 

 

 

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