最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第二十八話ソロモン攻略作戦準備

お見合いの翌々日 08:00 長嶺自室

「ってぇーと、USBUSBっと。お、発見発見」

 

今長嶺は、昨日グリムにもらった報告書のデータを取りに来ていた。自室のPCに刺さったままだったので、それを回収して執務室に戻ろうとする。しかし何かリビングのソファの上が気になり、少し覗いてみる。

 

(まあ何もある訳)

 

ピョコピョコ

 

「は?尻尾?」

 

何かソファの上に、謎の尻尾が生えている。色的に多分KAN-SENの赤城かと思うが、何か色が薄い気がする。生え変わりの時期があるのかは知らないが、それ以前にどうやって忍び込んだかが謎である。しかし赤城くらいしか黒い尻尾の生えたヤツに覚えがないので、赤城と断定して声をかける。

 

「赤城、お前ここで何やって」

 

しかしこの判断は間違っていた。確かに赤城に瓜二つと言って良いほど似ているが、その顔は間違えようもない。数ヶ月前、当時レッドアクシズのトップであった赤城が行ったオロチ計画にて行われた、亡くなった天城を復活させた姿そのものである。

 

「殺した筈だが、生きていたのか?」

 

そう言いながらグリムに連絡し、一帯と海上と出入り口の完全封鎖、大隊長クラスとKAN-SENの赤城と加賀の招集を命令した。

 

「んぅ?ここは.......」

 

(ッ!?起きた)

 

「あの、もし?そこのお方」

 

「動くな!!!!」

 

土蜘蛛HGの代わりに携帯していたデザートイーグルを構えて、オロチに銃口を向ける。

 

「私は怪しい者では有りません。どうか武器をしまって頂けませんか?」

 

「悪いな、殺した筈の相手がここに居るんだ。はいそうですかで武器を下げると思うか?オロチ」

 

「大蛇?私は大蛇ではなく重桜の巡洋戦艦、天城ですわ。尤も、もう解体された筈でしたが.......」

 

まるで本物の天城の様に語るオロチ。だかしかし、オロチの策である可能性は十分有り得る。

 

「所でここは一体何処でしょう?重桜、なのですか?」

 

「正解であり不正解だ」

 

「総隊長殿!!」

 

「来たなお前達。取り敢えず臨戦態勢のまま、オロチの周りを取り囲め。一瞬でも妙な動きをしたら、躊躇無しで撃っていい」

 

「聞きましたね?皆さん、配置に!!」

 

赤城と加賀を呼びに行っているベアキブルを除いた全員が配置に付き、天城をグルリと取り囲む。背後にはマニュピレータにチェーンソーやら何やらを装備したレリックが周り、左にはマーリンが散弾を装填したバーゲストを構え、右には米神に竜宮ARを構え、長嶺の背後にはハウンドの銃身を回転させながらバルクが構え、全体を囲む様にカルファンの鋼糸が取り囲んでいる。

 

「親父!赤城お嬢と加賀お嬢をお連れしました!!」

 

「どうしたのだ指揮官、そんなに血相を変えて」

 

「何やら只事では無さそうですが、一体どうされたのです?」

 

「ちょっと二人とも、こっち来てくれ。で、コイツが本物か判別しろ」

 

何が何やら理解していないが、取り敢えず言われた通りに長嶺の元に行く。そんでもって、自称天城のオロチと対面する。

 

「天城姉様?天城姉様なのですか!?」

 

「天城さんが生きている?まさかオロチか?いや、しかしこの感覚は.......」

 

「コイツはさっき、どう言う訳か此処で寝ていた。勿論連れ込んでも居ないし、昨日の夜や今日の朝も居なかった。簡単に話した感じ、オロチの線も捨て切れないが天城の可能性が高いが気がした。だからお前達の勘というか、天城との絆というか、なんかまあ、そういうのしか判断の仕様がない。で、どうだ?」

 

「間違いない、天城さんだ」

 

「えぇ。指揮官様、この感覚は間違えようもありませんわ。私の姉様、巡洋戦艦『天城』に間違いありません」

 

「わかった。お前達、武器を下げろ」

 

そう命令すると、すぐに武器を下ろして安全装置をかけたり武器をしまい出す。流石の天城と言えど、さっきから何が起きているのか全然理解できていない。そりゃあいきなり解体された筈の自分が、見知らぬ部屋に男と二人きりで居て、目を覚ましたら銃を構えられた上に仲間と思われる人間も出て来て銃突きつけられ、終いには妹である赤城と加賀までもが出てくる。十数分の出来事とは思えない位、濃密な出来事であった。

 

「悪かったな。数ヶ月前にお前さんに似た、というか瓜二つの敵と戦ったモンだから、てっきり殺し切れて無くて報復にでも来たのかと思ったんだ。世界一目覚めの悪い目覚め方だが、どうか許してほしい」

 

「そうでしたか、それなら仕方ありませんね。それにしてもこの部屋といい、貴方といい、貴方の仲間といい、そして赤城と加賀といい。一体ここは何処なんでしょう?」

 

「ここは日本という、異世界の重桜ですわ」

 

「そしてこの男が、この江ノ島鎮守府の指揮官です」

 

「日本?異世界の重桜?江ノ島?赤城に加賀は、いつのまにか冗談も言うようになったのね。でも、こう言う場では言ってはいけないものよ?」

 

赤城と加賀の回答に、やはり冗談だと思ってしまう天城。そりゃあいきなり目が覚めたら、異世界だの何だのと言われて「はいそうですか」となる方自体可笑しい。

 

「あー、天城?これがタチの悪い冗談なら面白いんだが、残念ながらマジなヤツなんだ。俺達の世界にはKAN-SENやセイレーンどころか、重桜もユニオンもロイヤルも鉄血もそれ以外の陣営でさえ、単語としては存在してても国としては古今東西、記録されている限りでは存在していない」

 

「本当なのですか?」

 

「あぁ。だが安心して欲しい。確かにKAN-SENもセイレーンも陣営も無い世界だが、それに準ずる存在や国家はある。ここはそんなセイレーンに準ずる敵に唯一対抗できる、KAN-SENに準ずる存在の本拠地となっている基地だ。

おっと、自己紹介がまだだったな。新・大日本帝国海軍で連合艦隊司令長官と江ノ島鎮守府の提督、それから世界最強の特殊部隊である海上機動歩兵軍団「霞桜」の総隊長、長嶺雷蔵だ。よろしく頼むよ、天城」

 

「天城型巡洋戦艦のネームシップ、天城ですわ。ゲホゲホッ、見ての通り余り気丈ではありませんが、どうぞ宜しくお願いします。早速ですが指揮官様、そのKAN-SENとセイレーンに準ずる存在やこの世界の事を、出来る限り全てお教え願いますか?」

 

「勿論だ。歓迎しよう、天城。さて、赤城に加賀。お前達の姉貴、なんだよな?」

 

「あぁ」

「そうですわ指揮官様♡」

 

「よし。ならお前達は、天城に鎮守府を案内してやれ」

 

二人に指示を出し、姉妹水入らずの時間を作り出す。今度こそ会いたがっていた紛い物ではない、本当の天城に逢えたのだ。積もる話もあるだろう。そう考えてのことであった。3人を見送り自分達も帰ろうとした時、電話が鳴った。電話の主は艦娘の方の明石であった。

 

『あ、提督!!遂にやりましたよ。KAN-SENの艤装を全て深海棲艦に対抗できる様に改修し、艦娘のも連射力をKAN-SENの皆さんと同程度の物に改修できました!!』

 

「それは上々。後は俺が改造するのみ、だな。工廠組を全員集めておけ」

 

『はい!!』

 

「さて、レリック。お前の大好きな、魔改造タイムの時間だ」

 

この言葉を聞いた瞬間、いつもは無表情のレリックの顔が一気に明るくなる。

 

「本当か総隊長!?」

 

「おうよ。さあ、技術班を招集してこい。工廠で待っているぞ」

 

「あぁ!!すぐに行くから、来るまで始まるなよ!?!?」

 

「わかってるって」

 

まさに「水を得た魚」と言うのが一番似合うであろう豹変っぷりに、他の5人も苦笑している。レリックは知っての通り霞桜の技術屋であり、隊員達の使う兵器は航空機から爆薬に至るまで、基本全てレリックが作っている。また性格は根暗と言うか、極度の人見知りで表情も余り変化がない。だがしかし、こういう新しい物を作るとか魔改造となると性格は180度変わって、饒舌かつ少年の様な顔となる。

そしてこうなると良い物を作り出すかヤベェ珍兵器を産み出すかの二択であり、振り幅が0と100の極端な物になっている。因みに部隊内の隠語として、珍兵器が生まれると「レリックが紅茶をキメた」と言われる。

 

 

 

15分後 工廠

「総隊長、まだ始めてないよな!?」

 

「勿論。装備をクレーンに吊るして、工具なんかの準備をしただけだ」

 

「取り敢えず手勢の技術班、50名全員連れてきた。まずは何から行く?」

 

「まずは駆逐艦用の砲とか、対空砲とかの改造から始めよう。艦載機や機関、大口径砲はメインディッシュに取っておこう」

 

「異議なし!始めよう!!!!」

 

そんな訳で長嶺とレリック、レリックの部下である50人の整備班。艦娘からは明石と夕張。KAN-SENからは明石とヴェスタルが来てくれた。以降、この56名は約3週間、工廠に篭って改造作業を続けた。本来なら此処でご覧頂く予定だったのだが余りに大量になり過ぎて、本文を圧迫する勢いだったので、投稿予定の「艦娘、KAN-SEN装備」にて紹介しよう。

割とガチで工廠にいた全員が天使のお迎えを受けかけていた頃、長嶺だけ別の作業をしていた。土蜘蛛HGに代わる新たな拳銃の製作である。

 

「できた.......」

 

 

阿修羅HG

土蜘蛛HGに代わる、長嶺専用拳銃。今回は材質にタングステンを使い軽いが丈夫なフレームに、25mm弾を発射する超大口径拳銃に仕上げている。銃のマガジンは大体グリップの中にあることが多いが、今回は弾丸自体がデカいのでC96モーゼルの様に、トリガーの前にマガジンが付いている。25mmという阿保みたいにデカい弾丸である為、長嶺の腕力を持ってしてもコントロールが難しい。その為、新たに開発した「縦列ダブルオートボルトアクション」と呼ばれる、特殊な機構を用いる事で反動を低く抑えている。まあそれでも、デザートイーグルやマグナムの数倍の反動があり殆どの人間が使えないが。

 

 

「ってみんな、寝てるし.......。俺も、寝よ.......」

 

そのまま工廠の床に倒れ、目を閉じた瞬間に意識が闇の中に消える。次、目が覚めたのはまるまる一日たった翌日であった。

 

 

 

魔改造を終えた翌々日 鎮守府大講堂 

『マイク音量大丈夫?チェック、ワン、ツー。提督、どうぞ』

 

「おう、ありがとさん」

 

この日、鎮守府に在籍している全戦闘員が集められた。今日は遠征も委託も休みにし全員が揃う様に調整したので、艦娘もKAN-SENも霞桜の隊員も戦闘機パイロット達も全員が集まった。

 

『さて諸君。朝からいきなりこんな風に集められて、何が何だかわかってないと思う。どうやら艦娘達は、何人かは勘づいてるっぽいけどな。

先日、東川防衛大臣よりソロモン方面への大規模反攻作戦の指示を受けた。これに際し偵察を自衛隊の方でしてくれた。しかし敵は思ったより、ソロモンの居心地が良いみたいだ。これを見て欲しい』

 

そう長嶺が言うと、本日の秘書艦である艦娘の霧島がスクリーンをだして、部屋の電気を消した。映し出されたのは、航空自衛隊の保有する偵察機タイプのF2によって撮られた映像であった。ソロモンに続く海路は全て封鎖され、旗艦がいる島に関しては完全封鎖&要塞化されていた。ちょうど旗艦の真上を通った時に、映像が途絶えた。

 

『このパイロットは旗艦の発見の報を最後に、消息を絶っている。どうやら敵は本当にソロモンをガチで守り通すつもりのようだ。しかも衛星や他の偵察機からの報告によれば、他の方角にも大艦隊がいたり、小島や岩礁の影に小艦隊も配備する程の徹底っぷりだ。

そこで今回俺の考えた作戦は四方向からに艦隊を殲滅していき、最後は俺の艦に搭載された新兵器で留めを指すつもりだ。詳しくはより正確な情報が上がってから説明するから、今は我慢して欲しい。今回の戦闘にはKAN-SENのみなも、作戦に参加してもらう。その為、本日よりKAN-SENは全員、特別訓練による特殊技能を習得して貰おうと思う。一時間後、飛行場に来る様に。何か質問は?』

 

シーーーーーーーーーーーーン

 

『ないな。では解散』

 

会議が終わった後、全員がぞろぞろと出て行く。思い思いの言葉を口にしながら、数分後には講堂には誰もいなくなった。それを確認すると長嶺は部屋を施錠し、飛行場に向かった。色々訓練の準備をしていると、KAN-SEN達もやってきて訓練の時間となった。

 

「よーし、全員揃ったな。ではこれより、輸送機からの着水訓練をして貰う」

 

「指揮官。その輸送機は動くのか?」

 

「勿論。低空飛行しながら、普通に飛び降りて貰う」

 

エンタープライズの質問にこう返すと、全員が凍り付いた。ついで罵詈雑言が浴びせられるわ、泣かれるわのカオスな事になる。

 

「うわ!ちょ、待て待て待て待て!!物を投げるな!何も飛び降りて死ね、って訳じゃねーよ!!!!しっかり補助してくれる様に艤装を改造してあるから!!飛び降りたら力抜いて艤装に身を任せればいいから!!」

 

「あ、アンタ。自分で進んでる飛行機から、一度でも飛び降りてから言いなさいよ!!難しい上に危ないでしょ!?!?」

 

「え?俺、かれこれ500回は高度2万mから空挺降下したし、マッハ2.5の戦闘機に飛び乗って、パイロットぶっ殺してから海に何の装備もなく飛び込んだりとかしたことあるけど?勿論、艦娘の力も使ってない。素の元からある力で」

 

ヒッパーの怒鳴りも、ぶっ飛んだ超人エピソードで黙らせる。この言葉を聞いた他のKAN-SENも、あまりのぶっ飛び具合に黙った。尚この後どうにか戦域殲滅VTOL輸送機「黒鮫」に押し込み、近海に飛び立った。勿論訓練する海域には霞桜の隊員達を展開させ、不足の事態に備えている。で、いざ飛ぶ段になると

 

 

「指揮官、これちょっと高くない?」

「ご主人様、高過ぎです」

「お兄ちゃん怖いよ.......」

「アンタ、私達を殺したい訳?」

 

現在高度10mである。大体マンションの3階位の高さであり、速度も800kmは出ているので怖がっていた。

 

「いやいや、こんくらい怖くないだろ?見てろ」

 

そう言うと何の前振りもなく、スッと飛び降りて着水する長嶺。全員ポカンとしていて、無反応であった。

 

「親父、みんな飛びませんね」

 

「もうこれ、奥の手使うしかないかなぁ」

 

「使います?あれ、結構荒っぽい力業ですけど」

 

「いいよもう。使っちまえ」

 

そう長嶺が言うと、ベアキブルが今KAN-SENを乗せてる黒鮫に連絡を取る。

 

 

「機長。ベアキブル大隊長より、奥の手の指示が来ました」

 

「やりたくなかったが、まあ致し方ないか」

 

そう言うと機長はいきなり飛行機を揺らして、右に機体を傾けた。でもって仕込んであった装置のスイッチを入れて、仕掛けを起動させる。

 

「バードストライク!!」

 

「チッ、このタイミングでこれかよ。おい嬢ちゃん達!!さっさと飛び降りねーと、このまま死ぬぞ!!!!ってか、もうすぐ輸送機が墜落する!!!!」

 

嘘である。今外では黒煙と炎が見えているのだが、全部バーナーとか煙幕とかそういうので出している。更に意図的に機体を揺らしたり、なんか不安になりそうな警報を鳴らしたり、隊員達の迫真の演技でKAN-SEN達の不安感を煽る。その内、半ば無理矢理押し出して無理矢理着水させる。

 

「うわぁ、KAN-SENが落ちてきてる」

 

「絶対将来使わないワードランキングで堂々のグランプリを取りそうっすね」

 

「だな」

 

海に落とされていくKAN-SEN達を見て、長嶺とベアキブルは遠い目をしながら馬鹿話をしていた。

 

「あの総代。これ、大丈夫なんですか?」

 

「どうした、クザン」

 

「いえ親父、考えてみてくださいよ。総代って一部の層から、絶大な人気というか宗教レベルで崇める勢いで好きな人もいるでしょ?これ、もしかしたら暴走するんじゃ.......」

 

ベアキブルの部下であるクザンがそう言うと、ベアキブルの顔が青くなる。

 

「や、ヤベェ。これ計画したの俺だから、ワンチャン殺されるぞ」

 

「どうします?」

 

「にげるんだよぉ!!!!!!」

 

そう言ってこっそり逃げるベアキブル。因みに長嶺はそれに気づいておらず、この後やってくるKAN-SEN達の全力攻撃が逃げ惑うハメになったのは別の話。あ、空挺降下の方は全員マスターできた。

 

 

 

1週間後 執務室

「ボス、行ってくるわ」

 

「何度も言うが、今回は偵察だ。生き残る事を最優先にして、何が何でも情報を持ち帰ってこい」

 

「わかってるわ」

 

「カルファン。新作、持ったか?」

 

「勿論よレリックちゃん。これ、でしょ?」

 

そう言ってカルファンが手に取ったのは、手のひらサイズの飛び魚の様な見た目の機械であった。

これは新たにレリックが開発した、小型偵察ドローンである。ECCM、光学迷彩、赤外線ジャマーを搭載した偵察機で、遠隔操作か自立稼働で偵察ができる。速度は遅いが航続距離は無限大で、半永久的に動く事もできる。武装はついていないが、爆薬を詰めた自爆用の物があったりはする。

 

「じゃあカルファン以下、40名。先遣偵察隊として出撃します」

 

「任せたぞ」

 

先遣偵察隊の乗った黒鮫はソロモン方面に向けて飛び立つ。本来なら汎用ヘリコプター「黒山猫」の方が規模的にも丁度いいのだが、今回の敵は今まで以上に強敵なのがわかっている。そこで空中戦艦とも言える堅牢な装甲と、バリエーション豊かな武装を搭載している黒鮫に白羽の矢が立ったのだ。

 

 

 

数時間後 ソロモン諸島沖

『カルファン大隊長、我々は一度撤収します。終わったらランデブーポイントで会いましょう』

 

「えぇ。気をつけてね」

 

『そちらこそ』

 

海面に着水したカルファン達は、まずはソロモン諸島沖の入り口に展開する深海棲艦を偵察する。

 

「我々は右に」

 

「じゃあ、俺はこっちで」

 

「頼むわね」

 

三手に別れて偵察を始めていき、各区の規模を偵察する。

 

(って、早速レ級eliteね。しかも9隻いるし)

 

『姐さん。こっちの方に駆逐棲姫がいました。これ、初っ端からキツくないですかね?』

 

「こっちはレ級elite、一人連合艦隊が9隻いたわ。完全に殺しにかかってるわね」

 

『攻略には骨がおれそうだ』

 

それ以降も報告が上がり、地獄具合がわかった。ほぼ全ての海域にeliteやflagshipが20隻以上が確認され、更には姫級が必ず居た。攻略は確実に一苦労である。

 

「長居は無用よ。撤収します」

 

得られる情報は全て入手した。後は逃げるのみ。ランデブーポイントに向かう一行であったが、ここでアクシデントが発生した。なんと姿を哨戒機に捉えられてしまい、近くの水雷戦隊が来ちゃったのである。

 

「!?敵襲!!!!」

 

「みんな応戦準備!!応戦しながら足止めしつつ、全力でランデブーポイントを目指すわよ!!!!」

 

「「「「「「「了解!!!」」」」」」」

 

ドカカカカカ!!

 

先手を打ったのは偵察隊であった。しかし距離が空いていて、思う様にダメージを与えられていない。

 

ズドォン!!ズドォン!!ズドォン!!

 

「敵弾くるぞ!!!!」

 

「クソッ!!!!」

 

「着弾今!!」

 

着弾と同時に巨大な水柱が上がり、爆音が周りに響く。

 

「埒があかないわね。総員、全力応戦!!敵を全部に鉄屑に変えるよ!!!!」

 

了解の代わりに、全員が散開して各個に迎撃を開始する。

 

「撃ちまくれ!!!!」

 

「ファッキン深海!!!!」

 

「RPGファイア!!!!」

 

「銃弾の雨じゃ、受け取りやがれ!!!!!!!」

 

隊員達も中々に強いが、それよりも強いのはカルファンである。

 

「ハァ!!」

 

指を少し動かすだけでワイヤーを操り、輪切りにしたりスライスしたりと瞬殺である。

 

「ギシェェェェェェ!!!!」

 

ズドォンズドォン

 

「その程度じゃ倒せないわよ!」

 

撃ち出された砲弾すら、弾着前にワイヤーで切り刻んで無力化する。そうこうしていると、迎えの黒鮫がやってくる。

 

『全員動くな!!!!』

 

ブォォォォォォォォォォォ!!!!

 

機体の至る所に配置されたバルカン砲やミニガンが全力射撃を行い、四方八方に濃密な弾幕を展開する。

 

ポポンポポンポポン

 

更にスモークグレネードで周りに煙幕を張り、場を更に混乱させる。その間にカルファン達を機内に収容し、戦域から離脱する。

 

「全員乗ったわ!!行って!!!!」

 

「上昇開始」

 

高度を上げつつも牽制射撃で敵を釘付けにして、反撃できない様にしてから離脱する。程なくして離脱したのだが、一難去ってまた一難というやつだろうか。後部左エンジンが爆発し、更にコックピットも吹き飛んでしまい、機体は急激に高度を下げ始めた。

 

「みんな、何かに捕まって!!!!!!」

 

キュンキュンキュンキュンキュンキュン

 

その日、カルファン達を乗せた輸送機はソロモン諸島付近で消息を絶った。

 

 

 

黒鮫が消息を絶った辺りの海上

「ーーーー」

 

「〜ーーー〜〜〜」

 

「ーー」

 

そこにはクルーザーが停泊していて、中には二人の白い骸骨がいた。その内片方は巨大な大砲の様なスナイパーライフルを構えていて、周りには血塗れになった人間の死体が転がっていた。

 

ブォン ブォン

 

まるで「仕事は終わった」と言わんばかりに二人は顔を見合わせると、そのままジャンプし、それと同時に周りに黒い霧とブラックホールの様なものを真上に作って、その中に入ると消えてしまった。この事実を知る者は、誰もいない。

 

   

 

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