最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第三十四話江ノ島鎮守府の大晦日

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!なんで大晦日まで仕事なんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 

物語開始早々いきなり長嶺の叫びから始まってしまい、本当に申し訳ない。現在長嶺は仕事納めと言わんばかりに、大晦日だが大量の執務を消化中である。念の為に言っておくが、何もサボってた結果で溜まって訳ではない。こうなった原因は、東川にあるのである。

このクソジジイ、なんとソロモン攻略の報告書を提出した時に仕事を押し付けて来たのである。その結果、一応大晦日と正月三ヶ日は休める程度には仕事が終わる計算だったのに、その計算が見事なまでに狂わされた。あ、因みに東川は粛清代わりに御年玉を大量にせびってある。それも家一軒建つレベルの大金を。

 

「ってか、マジでこれ休めるのか.......」

 

そう言いつつも、延々とキーボードを叩き続ける。現在時刻は0834。終わる気はしない。

 

 

 

12時間後 

「お、終わったァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

 

どうにかこうにかで終わらせた。因みにあの後、一切席を立たず飯も食わずで、終わらせたのである。腹ペコではあるが東川からお年玉を強奪した時に、ついでに高級食材も強奪しておいたので飯種には困らない。

そんな訳ですぐに自室へ直行し、冷蔵庫を開けて何を作ろうかと迷っている。取り敢えず伊勢海老、松阪牛&佐賀牛、イベリコ豚、寒ブリ、トラフグ等々、高級食材が大量にある。他にも酒の類もコレクションも含めて、大量にあるし1人宴会も余裕でこなせる。

 

「ふむ、ここはしゃぶしゃぶとするか。後は天ぷらに刺身も作って、それを酒でも付ければ良いだろう。うん!これこそ、最強の組み合わせなり!!!」

 

聞いた感じ成金親父にしか聞こえないが、一応コイツはまだ未成年である。お酒とタバコは20歳になってから。(多分、読者の大半は酒呑める年齢だと思うが)

さてさて、調理開始である。と言っても、食材を刻むだけの簡単な調理だが。そして大半の食材を切り終えたところで、お客さんがやってきた。

 

「指揮官様ぁ♡」

 

「え?赤城?」

 

どういう訳か、KAN-SENの赤城が来たのである。しかもそれだけではない。その後も大鳳、愛宕、鈴谷、オイゲンとKAN-SENの中でも長嶺に好意を抱いてアタックしてくる奴ら(尚、安定のことだが勿論当の長嶺本人は、1ミリ足りも気付いてない)がやって来た。無論、来る約束とかもしてない。

 

「で、お前達は何しに来た?マジでここには何も無いぞ」

 

「何を仰いますか。指揮官様の部屋というだけで、ここは伝説の宝物庫と同じですわ♡」

 

赤城のコメントに珍しく全員が頷いた。まあコイツら的にはエロ本やAVを見つけて好みのシチュとか格好をリサーチしたいのと、仮にロリコンや熟女好きなら調教して矯正したりしようと考えてるだけである。

まあそんな物、持ってないんですけど。

 

「宝物庫って。ここは高価な物も有るには有るが、一応仕事道具だからな?」

 

「何も貰おうって訳じゃ無いわ。ただ、ね?」

 

「いや、ね?って言われてもわかんねーよ。まあ後で、高いヤツを順に紹介しても良いが」

 

愛宕的には少し不服だが、それはそれで面白そうなので乗る事にした。あわよくば、用意してる間に何かしら情報が手に入るかもしれないし。

 

「で、マジで何しに来たよ。何も態々こんな夜の、それも年の瀬に、なんでも鑑定団よろしくお宝鑑定しに来た訳でもないだろ?」

 

普通の男なら年の瀬に美女集団がやって来たら、多分「え?もしかして気があるのか?」とか凄い勇気ある奴なら、そのまんま合体しまくりコースとか姫初めコースに突入するだろう。だがコイツには、そんな考えがよぎることは無い。

ここまで鈍感だったのは流石に予想外だったのか、はたまた安定とは言え呆れているのか、内心全員が溜息ついていた。ただ1人を除いて。

 

「もう、こんな夜中に女の子集団が男の部屋に来てやる事なんて、1つしか無いじゃない。お姉さん達と、楽しいことしましょ?」

 

愛宕が誘惑してみる。流石にコレなら攻略できるかと皆考えていた。では、答えというか続きを見てみよう。

 

「楽しい事、ねぇ。じゃあ、とっととヤるとしようか」

 

何と長嶺さん、ノリ気である。どうやらこのまま合体コース&R18コースへ突入するみたいなので、ここで時間軸を朝に飛ばさせてもらう。R18コースについては、後日特別枠でR18版を投稿するので、大乱交スマッシュシスターズに関しては少しお待ち頂こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、なる筈も無かった。長嶺は立ち上がると、ベッドルームではなくキッチンへと歩いた。まさかの行動に愛宕は動揺し、他の皆も「え?え?」という顔をしている。

 

「あの、指揮官?楽しいことって、何すると思ってますか?」

 

「え?飯、というか宴会だろ?年の瀬だし。ってか、丁度今から飯にしようとしてたから、そのタイミングを見計らって来たんだろ?」

 

「あ、はい.......」

 

まさかの解答に、全員が頭を抱えた。今は丁度キッチンに居るので、ここで女性陣は作戦会議を始める。

 

「指揮官様、どんだけ鈍感なんですかね。ワザとでしょうか?」

 

「指揮官の反応は、ちょっとアレですよね。もう、病気の域です」

 

「でも、アレがデフォみたいよ。霞桜の隊員達が言うには「ラノベ主人公よりもヒドイ」とか「恋愛やそっち系統の事が、端から脳に含まれてない」とか散々言われてるし」

 

大鳳と鈴谷のコメントに、信頼度の高い情報をオイゲンが伝える。

 

「もうこれ、誘惑云々の話じゃ無いわね」

 

「こうなったら、一時的に同盟を結びましょう。幸い宴会だから、うまく行けば誘惑出来るかもしれないし」

 

一方の愛宕と赤城は、持ち前の冷静さを持って瞬時に対策を立てた。宴会なら当然酒も出るし、無ければ自前で用意すれば良い。で、酔ったフリでボディタッチをしたりさせたりすれば、ワンチャンある。

しかも今回の場合、そこらのキャバクラの嬢よりも遥かに容姿に優れた美女集団が揃ってる。不本意ではあるが、ここは協力関係を結んでおいた方が効果も高い。てな訳で、「指揮官攻略同盟」成立である。

 

「でも、何をどうするのよ?」

 

「そう言う事なら、私に考えがあります」

 

鈴谷が提案したのは「まずは適当な理由をつけて自室に戻り、エロい格好で戻って来れば良い」という物であった。すぐに作戦は実行に移され、格好は以下の様になった。

 

赤城

・梅と雪

 

大鳳

・春の暁に鳳歌う

 

愛宕

・冬の風物詩

 

鈴谷

・白ニット&タイトスカート(スキン無かった)

 

オイゲン

・百花繚乱

 

勿論、下着も透けてたりエロかったりする勝負下着である。本来なら待つべきなのだが、流石に朝から何も口にしておらず、さっきまで全力投球で仕事しまくっていた為、ちょこちょこ刺身を摘んだりして待っていた。大体30分位すると、お色直しして帰ってきた。

 

「お帰、え!?」

 

出て行くときに「お酒を取りに行ってくる」と言われて出て行ったのに、帰ってきたら全員の格好がガチモードになってたので流石に驚く長嶺。いつもなら周りをフリーズさせているのに、今回は長嶺がフリーズする番みたいだ。

 

「あら指揮官様ぁ?なにを驚いているのですか♡?」

 

「いやいやいやいや!普通に考えて「酒とりいく」つって出て行った奴が、お色直しして帰ってきたら驚くわ!!!!」

 

「女の子って言うのは、男の人の前では綺麗に見られたいものよ?」

 

大鳳のコメントに突っ込んだら、愛宕から謎のレクチャーが入り、それに便乗した他の3人からも色々言われたので、なんかもう面倒になって来たし、いい加減腹が減ったので宴会スタートとである。

 

「指揮官?何故、テーブルにお湯しかないのかしら?」

 

「あー、オイゲンはしゃぶしゃぶは初めてか」

 

「!?」

 

どういうわけか「しゃぶしゃぶ」と言った瞬間に、ビクッとオイゲンが反応した。

 

「指揮官、今なら間に合うわ。警察署に行きましょう?」

 

震え声で何故か「自首しろ」的な事を言われ、長嶺含めオイゲン以外の全員が「はい?」って顔をした。一体、しゃぶしゃぶの何処に犯罪要素があるのかと、全員が疑問に思っていた。

 

「オイゲン、何を言ってるのかしら?しゃぶしゃぶが犯罪だなんて、聞いた事ないわよ?」

 

「愛宕知らないの!?この間、ドラマで言ってたのよ!「シャブはサツに捕まるから、隠しておけ」って!!ネットで調べたら違法だって書いてあったのよ!?!?」

 

この発言に全員が大爆笑した。まさかの「しゃぶしゃぶ」を薬物の「シャブ」と勘違いしてたのである。確かにシャブは違法であるが、それ以前に食事のメインディッシュが違法とな関係なく、薬物というのも中々にカオスな光景である。

一頻り笑った後、長嶺が説明するとオイゲンは顔を赤くした。その後、数日間はこのネタでイジられたのは言うまでもない。

 

 

「さてさて、じゃあ犯罪の誤解も解けた事だし始めようか」

 

そう言って持ってきた肉達に、全員が息を呑んだ。一目見ただけで、その肉がどの位するかが見て取れたからである。

 

「指揮官、その肉は一体何処で?」

 

「この間のソロモン諸島攻略の時にクソジジイから仕事押し付けられたから、代わりにお年玉を請求してやったから、行き掛けの駄賃として強奪してきた。あ、肉以外のブリとかフグとかもな」

 

「オイゲンさんの言う事、ある意味当たってましたね.......」

 

鈴谷がボソリと言っていたが、誰にも聞き取られなかった様だ。普通に考えて上司から食材を強奪してくるとか言う、リアルでやったら即刻法的と社会的にクビがすっ飛ぶ行為をサラリと言ったのだ。しかしコイツの場合はやりかねないので、驚きよりも呆れの方が強かった。

 

ブーーブーー

「おっと、そのクソジジイから電話だ」

 

そう良いながらポケットからスマホを取り出して、画面に映ってる「東川」の画面を見せる。因みにワザワザ、東川の後ろに()で「クソジジイ」と書かれていた。

 

『もしもし?』

 

「何の様でしょうか、クソ大臣殿」

 

開口一番にこの発言は、流石の赤城達も顔が一気に強張る。上司、それも国の重鎮であり、国を実際に動かす側のトップである大臣に向かって、堂々と「クソ大臣」と言い放ったのだ。周りの人間も肝を冷やすだろう。

 

『あの、えっとですね。怒ですか?』

 

「ハハハ。ただでさえ超シビアなタイムスケジュールでソロモン諸島攻略の報告書作りを指示してきたのに、それを出したら「代金代わりだ」と言わんばかりに大量の仕事を押し付けてくれやがって、折角大晦日と三ヶ日は休める様に調節してた仕事のペースを見事に狂わせてくれやがったのに、当の御本人であられるクソ大臣殿は、呑気に閣僚組との忘年会に行ってやがった事なんて、これっぽちも、ぜーん然、全く怒ってませんよ」

 

口ではこう言ってるが、実際はかなーり怒ってる様で(というか、どんなに温厚な人間でも絶対怒る)、口こそ笑っているが目から完全にハイライトが消え、周りの重力が3倍くらい重くなったのでは思える程にドス黒い物が見え隠れしていた。

 

『え、そうなの?』

 

「えぇ。ただアンタの家と職場に、深海棲艦の大艦隊とテロリスト集団が大群で押し寄せて、そのまま蹂躙されて来れないかなぁ、と願ってるだけですから。ハハハ」

 

『怒ってるじゃないか!』

 

いやいや、怒らない方が無理だろ。

 

「とまあ、冗談はここまでにして。一体何の用です?」

 

『あ、うん。例の件だが、また通信データが入った。今、パソコンかタブレット開けるか?』

 

「はいはい、ちょっと待ってくださいよ」

 

スマホを耳に当てたまま、後ろにあるタブレットを引っ張り出して立ち上げる。

 

「開きましたけど、メアド言った方が良いですか?」

 

『頼む』

 

そう言われたので、タブレットのメアドを口頭で伝える。因みにこのタブレットは、機密資料を見れるように外部からのアクセスは一切遮断されてる物で、安定の技術屋レリックとネットやコンピューターのスペシャリストであるグリムが作った特注品である。ハッキングする場合は仮にネットと繋いだ状態だったとしても、スパコンレベルの演算能力がないとハッキングどころか侵入も出来ない。

 

『今、データを送った。やっぱり音声の質が悪いから、聞き取るのは無理だと思う。まあ後で一回聴いたらいいだろう。で、今回分かったのは所定、潜入完了、装備、問題、潜伏、2年って単語だけだ』

 

「どうやら、潜入完了な上で既に日本の何処かに潜んでる事は確かな様ですね」

 

『それで何だが、作戦の実行を早めようと思っておる。具体的には、用意が出来たのと同時にやるつもりだ』

 

「いえ、それは避けた方が良いでしょう。恐らく2月とか3月の、何か微妙な位置から転入となると目立つ。珍しくは無いが、ここは当初の計画通り、転勤とかの理由を付けての4月から転入の方が良いかと」

 

この意見は潜入のプロとしての視点からの意見である為、東川も二つ返事で承諾してくれた。潜入に於ける超大前提である「出来る限り目立たない」を出来なければ作戦もオジャンである。

 

『そっちの方で探っているのだろうが、何か掴めたか?』

 

「掴めてりゃ、そっちに報告しますよ。まあ怪しいのはシリウス戦闘団、CIA、IR辺りでしょうがね」

 

『根拠は?』

 

「んなもん状況証拠ですよ。シリウス戦闘団は存在自体が謎な上、既に軍人を弾いてる。CIAは例のアズールレーンとレッドアクシズの一件で3回位襲って来てるし、IRは鹿児島基地事件と首都高で交戦し負かしている。シリウス戦闘団はよく分からんから一先ず置いといて、CIAとIRは報復とかメンツの為に、俺達を釣る為の餌としてこの手の事をやっても可笑しくはない。まあ矛盾というか、謎な部分は大量に残りますがね」

 

さてさて、此処で一応2人が何の話をしているのか解説しておこう。2人の話している「例の件」というのは、中国語で「総武高校」だの「暗殺計画」だのという見るからに不味い臭いを撒き散らかす音声を入手して、その対抗策の為に長嶺を学生として学校に送り込む計画の事である。

あの後もソロモン諸島攻略と同時並行で霞桜は調査を続けていた。そして公安、内調、自衛隊の秘密諜報機関も調査を続けているが、成果は何も得られていない。誰を暗殺するのか、総武高校との関係性、戦闘員の素性、潜伏先、各種ヒントになりそうな情報と言った全てに於いて決定打どころか雲すら掴めてない状況である。

 

『こちらでも引き続き調査は続けるが、そちらも何かあったら報せてくれ』

 

「わかりましたよ。それじゃクソ大臣殿、来年がアンタに取って最悪の一年にならん事を祈ってますよ」

 

そう言って電話を切った。一応電話中も他の皆は箸を進めていたが、後半からは箸もとめてずっと聞き入っていた。

 

「ねぇ指揮官?その「例の計画」って言うのは、聞かなかった事にした方が良いかしら?」

 

「あー、別にどっちでも良いぞ。どうせ年が明けたら、他の奴らにも説明するつもりだったし」

 

「なら、その計画というのを聞かせてください」

 

大鳳が一番に食い付き、他の4人も食い付いた。で、全部話せる限り話した。勿論、艦娘かKAN-SENの誰かを1人連れて行く事も。

 

「そういう事なら、この赤城にお任せください!」

 

「いいえ!大鳳にお任せください!!公私共に、手取り足取り「お世話」致しますわ!」

 

「指揮官、お姉さんに任せなさい?」

 

「いいえ!指揮官、私はJKですよ?私こそ適任です!!」

 

「指揮官、私にしときなさい?後悔はさせないわよ」

 

案の定、大波乱である。そりゃあ任務の一環として、合法的に指揮官の側に居られる権利を貰えるなら何が何でもゲットしたいだろう。

 

「あー。その意気込みは嬉しいんだが、多分この中で適任なのはオイゲンだけだぞ?」

 

この一言にオイゲンこそ顔を紅くして照れて可愛い反応をしたが、それ以外は全員ハイライトオフで、今にも襲い掛からん勢いであった。

 

「フフフ、オイゲンはどうやらソウジの必要があるようね.......」

 

「指揮官様はきっと、御乱心なのですわ。そうでなければ、私を選ばない事なんて.......」

 

「ねぇ、何で?何でなんですか指揮官!」

 

「お姉さんの何処がいけないの!?」

 

見事なまでにカオスである。勿論こうなった事にも、理由はしっかりある。それも合理的かつ現実的な理由である。

 

「おいおい、なんでそんな落ち込むというか豹変してんだ!!取り敢えず理由を説明するから、一先ず落ち着け!」

 

どうにか場を収めて、4人の怒りと暴走を仮だが止めれた。

 

「まず今回のパートナーの選定基準だが、第一に空母、戦艦、駆逐艦、特殊艦、潜水艦でない事が絶対条件にしてある。空母と戦艦は艦隊戦に於ける主力であり、旗艦として機能する事も多いからな。KAN-SENの加入によって頭数は増えているが、あまりここから動かしたくない。

駆逐艦は単純に容姿が幼すぎて、変に疑われたり目立つ可能性が高い。特殊艦は工作艦とか給糧艦の様に数が少なく、希少性が高いから動かすと全体の任務に支障をきたす可能性が高い。潜水艦も同じ理由だ」

 

「ならどうして、お姉さん達はダメなのかしら?」

 

「そうです!私達はどっちも重巡ですよ!!」

 

「なら、その耳と角。どう説明付けるんだ?」

 

愛宕と鈴谷が外された理由は、その容姿である。愛宕は頭に黒い獣耳が生えており、鈴谷も赤い鬼の角の様な物が生えている。流石にこれは、どうしようもできない。

 

「一応、ステルス迷彩機能を使えば消せるが、もし何かの拍子に解除されたりとか、動きとかでバレたら元も子もない。あくまで今回高校に行くのは、潜入任務だ。違ったならお前達どころか他の奴らも適当な理由とか、あの手この手使ってでも望むなら連れて行ってやりたい。

が、あくまでこれは任務。失敗は許されない以上、バレる可能性は例え少なくとも取り除ける限りは全て取り除きたい。

それにオイゲンが適任と言ったが、試験もキッチリ受けてもらった上で判断する。しかもこの試験は、対人戦闘を前提として行う。誰がなるかは分からん」

 

合理的かつ論理的な説明に、流石に反論は出来なかった。この話に関しては何もプラスにならないと判断し、最初の目的である誘惑方向へと持っていく。

まずは酒を飲ませまくって、ベロベロにして甘えさせてやろうと考えていた。しかし飲ませまくる前に、勝手に長嶺が飲みまくっていた。

 

「ングッングッングッ」

 

ただ飲み方が、完全に水であった。水をガブ飲みする様に、日本酒をコップに注いでは一息で飲み、また注いでは一息で飲みを繰り返していき、すぐに一升瓶を空にしてしまった。

 

「し、指揮官?そんなペースじゃ、少し酔ってるんじゃないですか?鈴谷のココ、空いてますよ?」

 

そう言ってムチムチの太腿を軽く叩いた。つまり「膝枕、してあげますよ?」という事である。しかし長嶺の答えは

 

「いやいや、日本酒とか水と変わらねーよ。この程度で酔う程、ヤワじゃない」

 

そう。何を隠そう、長嶺はガチの酒豪なのである。度数70%の酒を一升瓶一本分の量を一気飲みしても酔わない程度には強い。

 

「あ、そうですか.......」

 

鈴谷、轟沈!

オイゲンは一応少しは予想していたが、他3人は「ここまで酷いのか」と驚愕していた。どうやら予想の3倍近く酷かった様だ。

 

「うふふ♡指揮官?お姉さん、少し酔っちゃったみたい.......。肩貸・し・て♡?」

 

「ベッド空いてるぞ。キツかったら、俺よりそっちの方が良いだろ。医学的にもキツイ時は横になった方が良いと、研究結果が出ている」

 

「そういう事なら、横にならせて貰うわ」

 

愛宕はそう言って立ち上がると、そのままワザとこけようとした。こけて、そのまま大きな胸を押し付けてやろうとしたのだが、弾丸をも捉える動体視力と反射神経に、超大口径の武装を片手で操る化け物レベルの腕力を持つ長嶺に掛かれば、こけて当たる前に支えて阻止できてしまう。

 

「おいおい、マジで大丈夫か?」

 

そう言って長嶺は、そのまま愛宕の足を持ち上げて、背中に腕を回してお姫様抱っこする。

 

「え?え?指揮官?」

 

「そんな千鳥足じゃ、頭から壁に突っ込みかねん。このまま運ぶ」

 

いつも余裕たっぷりに振る舞う愛宕とて、流石に想い人に乙女の夢とも言える(知らんけど)お姫様抱っこをされてる状況下では、流石にいつもの様には振る舞えない。頭がオーバーヒートして、完全に借りてきた猫状態である。

因みに残りの4人はオイゲンは一度されてるので羨ましそうにして終わりだったが、他3人は完全に嫉妬心を燃やしてドス黒いオーラを滲ませていた。

 

「そうですわ。指揮官様、先ほど言っていた高価な物、というのを見せてください」

 

赤城が次なる作戦を展開するべく、まずは長嶺を排除する。次なる作戦とは、部屋でのお宝探しである。因みに「お宝」とはエロ本やAVといった、長嶺の性癖が分かる物である。

 

「あぁ、いいぞ。だが、色々あるからなぁ。ちょっと時間が掛かる」

 

「気にしませんわ」

 

そう言って長嶺は奥の部屋へと消える。その隙に全員で家探しを始めるが、それを許してくれる程、長嶺は甘くはない。仕掛けておいた無色無臭の睡眠ガスを部屋に充満させて、全員に夢の世界へと旅立って貰う。

 

「全く、油断も隙もありゃしない」

 

流石に放置する訳にもいかんので、ベッドルームへと運んで眠ってもらう。因みにガスは気化性が強く、使用するとすぐに分解されるので5分後にはガクマスクを外しても問題なく活動できる。

夢の世界に旅立った奴らを運んだら、後片付けに入る。洗って伏せて、流石に疲れたので自分も眠る。翌日、目が覚めて色々戸惑っていたので「部屋から戻ったら、なんか全員泥酔してた」と誤魔化して部屋に帰した。

超鈍感朴念仁男と言えど、恋愛でもこの手の事には敏感なのである。

 

 

 

 

 

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