最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第二話シリウス戦闘団

着任より三ヶ月後 江ノ島鎮守府

「よーし、今日の執務お終い!!お疲れさん」

 

「お疲れ様でした提督。と言っても、私は殆ど何もしてないんですけど」

 

本日の秘書艦である霧島が話す。普通なら執務は分担するが、長嶺の処理能力が高い為、秘書艦の仕事は誤字脱字の確認と簡単な雑務作業のみになっている。しかも誤字脱字に関しては、基本的に無い為、実際はお茶汲みと資料出し程度である。

 

「殆ど俺が片したもんな。さて、お昼でも食いに行こうか」

 

「ご一緒しても?」

 

「何か約束とかないなら、一緒に行こうや」

 

「わかりました」

 

そんな訳で、鎮守府内の食堂。お昼時というのもあり、様々な艦娘達で溢れ返っている。

 

「さてさて、何にしようかね」

 

「私はそうですね、ちゃんぽんにでもしましょうか」

 

「ちゃんぽんか。なら俺は、炒飯&餃子にするか。間宮ー、ちゃんぽん1つと、炒飯餃子セット!!」

 

「はーい!」

 

この食堂の主である間宮に頼み、間宮は部下の妖精と共に料理を作る。

 

「妖精さん、ちゃんぽんと炒飯餃子セットお願いね」

 

「アイヤー」

 

中華担当の妖精が、中国っぽい返事をする。因みにイタリアン担当は「ピッツァ」、フレンチ担当は「ウィ」、洋食担当は「ボンソー」、和食担当は「サムラーイ」、ファストフード系担当は「ランランルー」、スイーツ担当は「スイミー」と答えるらしい。え?マトモな返事が無いって?気にするな!

 

「そういえば提督って、今日は午後から休みですよね?何かするんですか?」

 

「八咫烏に積んでる武器を下ろして、総点検と整備をするつもりだ」

 

「八咫烏には一体どれだけ積んでるんですか?」

 

「えーと拳銃、サブガン、ショットガン、アサルトライフル、グレポン、軽機関銃が二挺ずつ。それから重機関銃、スナイパー、ロケラン、が一挺ずつ。後刀が二刀に、大砲二つ、各種グレネードと地雷、爆弾とかだな」

 

「何でも入ってますね」

 

「やろうと思えば、国一つ壊せるし」

 

「怖い事言わないでくださいよ.......」

 

フードコートでありがちな呼び出しベルがなり、受け取り口で料理を貰う。他愛もない雑談をしつつ、昼食を済ませて長嶺は自室へと篭る。

 

「八咫烏」

 

「どうした?」

 

「武器の整備をする。全部出してくれ」

 

「わかった」

 

八咫烏から武器が出てくる。竜宮ARと朧影SMGはグリム作だが、残りの兵装は全て長嶺が作り上げた地球上に二つ以上存在しない、文字通りオンリーワンの最強兵器である。そんな兵器を見ながら長嶺は、整備作業を行う。

結局その日はずっと整備に明け暮れて、寝落ちし気付いたら翌朝の5時であった。そんな訳で、シャワー浴びて朝飯でカツ丼二杯食べて、執務に臨む。因みに秘書艦は加賀。

 

「提督、何かする事はありますか?」

 

「今の所は無いな。ここにいる時位は、ゆっくりしてろ」

 

と言いながら、超スピードで書類を片付けてる。なんか速過ぎて、手が千手観音か何かに進化しているようである。そんな無双状態を、一本の電話が遮る。

 

「私です」

 

『よぉ、元気でやってるか?』

 

「元気でやってますよ。いつアンタに地獄化した鎮守府に送ったツケを返そうか、頭ん中で作戦立案しながらね」

 

『怒ですか?』

 

東川がお茶目に聞いてくるが、割とガチでキレてる長嶺。だって普通に考えて殺した相手の鎮守府引き継ぐ、というか側から見たら「乗っ取り」に近い行為をやらされ、来てみたら来てみたで住環境は最悪もいい所。本来傷や疲れを癒すはずの入渠施設は入れば確実に悪化する毒ポーションに変貌し、食事すらマトモに食わせられてなかった状態である。

こんな奴隷よりも酷い仕打ちに気付かず、結果的に尻拭いを全部押し付けられた形なのだから怒りもする。

 

「寧ろ、よく怒ってないと思ってましたね。えぇ?司令長官さまよ?」

 

『マジでサーセン』

 

「はぁ、で?一体何の用ですか?」

 

『今から来れるか?』

 

余りに急なお誘いに、少し驚きつつも予定自体は執務以外に無い。行きたく無いが、行くしか無い。

 

「まぁ、行こうと思えば行けますけど?」

 

『んじゃ、今すぐ来てくれ』

 

「了解」

 

電話を切ると加賀が相手を聞いてきた。

 

「提督、どなたからでしたか?」

 

「ん?東川長官。今から来いだと」

 

「では、今日の執務はどうされますか?」

 

「言うて、ほぼほぼ終わってるし、問題ないんじゃない?」

 

「わかりました」

 

「それじゃ、ちょっと行ってくる」

 

東川の突然の呼び出しに、本心では行きたくないが防衛省に向けて愛車の86を走らせる。因みに長嶺は、様々な車を持っておりでかいミニカー感覚で集めてる。途中でサービスエリアに止まり、豚骨チャーシューメンを啜って一時間半位で防衛省に到着する。

 

 

「失礼します」

 

「待ちかねておったよ」

 

「それで、お話とは?」

 

「まあ待て。ここは今、我々二人しかいない。だから、な?」

 

「OKだ。改めて聞くが、一体何の用で俺を呼んだんだ。親父?」

 

2人だけの時にのみ許される「砕けた感じになれ」という合図を出され、いつもの堅い敬語から普通の仲間と話す時のような口調に変わる。

 

「2つある。1つは今度の大規模反抗作戦に、君達の江ノ島鎮守府と霞桜に参加してもらうことになった」

 

「ほお。で、何処を攻める?」

 

「目標はアメリカ領ハワイ。一言で言うと、真珠湾攻撃の再現だ」

 

「流石に南の島でバカンス、って訳には行かないか」

 

本当ならワイハーでゆっくりバカンスでもしたい。え?ワイハーは古いって?気にすんな。

 

「あぁ。それに特殊な深海悽艦が確認されている」

 

「特殊な深海悽艦?」

 

東川が机のボタンを操作して、カーテンを閉め、映写機とスクリーンが天井から降りてきて、電気が消える。

 

「見てくれ」

 

スクリーンに映像が投影される。そこには長い砲身の一門大砲を装備した、親玉みたいな深海棲艦が映し出されていた。

 

「何だこりゃ?長身砲を装備した深海悽艦か」

 

「我々は泊地悽姫と呼称している。お前は詳しくは知らないだろうが、最近は深海棲艦にも上位の個体が確認されている。今度資料を送ろう」

 

「わかった。で、この泊地棲姫ってのが王か?」

 

「十中八九、間違いない。これも見てくれ」

 

映像が切り替わる。今度は空から地上を撮影した映像だった。

 

「一週間前、空自の無人機が撮影した映像だ」

 

そこに映し出されたのは、大小様々な深海悽艦が中心の泊地悽姫を守る様に布陣している映像である。

 

「泊地悽姫が親玉で確定か」

 

「あぁ。この戦いは、確実に先の太平洋海戦と日本海海戦レベルの激戦になるぞ」

 

「そりゃ初の大規模反抗作戦だからな」

 

この手の場合、相手が油断のしすぎで簡単に終わるか、向こうがしっかり予想を立てて抵抗してくるかの二択である。

 

「一応の大まかな流れは考えてある。まず横須賀と呉の艦隊が、周辺海域の深海悽艦を一掃する。完了後、そっちの江ノ島艦隊が泊地に攻撃を仕掛ける」

 

「細かな所はこっちで決めていいんだな?」

 

「あぁ。泊地悽姫の能力解析の結果についても、さっき言った資料と一緒に後日送っておく」

 

「了解した」

 

1つ目の話が終わったが、今度はさっきよりも重苦しい雰囲気で話してくる。なんか嫌な予感がするし、出来れば聞きたく無いが聞くしか無いので頑張って聞く。

 

「さて2つ目なんだが、最近国内である組織が動いている事が判明した」

 

「ある組織?」

 

「まだ背後関係は分かっていないが、既に自衛隊と軍の将校8名が殺されている」

 

普通ならニュースや新聞に取り上げられて大騒ぎする筈なのに、今の所そんな報道は一切ない。それどころか、裏社会にもそんな情報は流れていない。

 

「報道規制を入れたのか?」

 

「流石にな。事故死ならともかく、ガッツリ殺人だったし。というか、この件を知っているのも一握りにしてある。他の兵士や遺族にも事故死で通した。」

 

「で、手段は?」

 

「順番に射殺、射殺、射殺、刺殺、絞殺、撲殺、射殺、溺死。これらの事件の前には、付近のカメラに決まってボディースーツを装着した集団が確認されている」

 

思ってたよりも結構ガチの殺され方をされており、隠蔽する気はゼロの様子である。

 

「ほう、舐めてくれるじゃないか。この俺が居る国で、同じ組織の人間をそうも殺すとは」

 

「まあ大丈夫だろうが、お前も用心はしておけ。尤も、お前なら殺される前に殺して死体も処理しちゃうだろうが」

 

「了解した」

 

そのまま少し雑談して、スーパーで菓子類を購入して鎮守府に帰ろうとしたのだが

 

「ん?」

 

ドアノブに触れると、何か違和感がある。長年の勘から言って、トラップの類な為、車体の下や周りを観察する。

 

「やはりか」

 

黒い物体に繋がる、元々車に付いてなかったワイヤーがあった。爆弾と思われる物体の取り付けが甘く、簡単かつ迅速に取り外せるが問題が一つある。それは仕掛けた奴が近くにおり、弄った瞬間遠隔でドカーンとされる事態である。

周りを確認すると、なんか怪しい奴がこっちをチラチラ見てるので、一発で「あ、コイツだ」とわかった。そのまま気付かれぬよう接近して、何も知らないのを装い声を掛ける。

 

「お兄さん、すいません。ちょっと手伝ってもらえませんか?」

 

「は、はぁ」

 

「車の下によくわかんない箱がついてましてね、取り外すのを手伝って欲しいんです。懐中電灯で下を照らして貰うだけでいいんで」

 

「わかりました」

 

以外と聞き分け良くて拍子抜けだが、取り敢えず接近させるのに成功する。コレにより、相手は起爆すると自分も巻き込まれる事になり、車体下を照らす為、離れると不自然に思われる。結果、八方塞がりとなり身動きを取りづらくする効果があるのだ。

 

「ちょっと工具取りますんで、まっててください」

 

工具を取り出しながら、相手を観察する。見た目こそ普通の若い男だが、動きの素振りや顔、微かに香る血と硝煙の匂いから、爆弾を仕掛けた犯人ないし仲間と見抜く。

しかし普通に爆弾を取り外し、若い男には

 

「あー、ダメだこりゃ。修理工に持っていきます。手間煩わせて、すいません」

 

「いえいえ、お気になさらず。私はこれで」

 

取り外せたが、敢えて取り外さなかった事にして若い男にコッソリ取り付ける。若い男はというと

 

「あのバカめ。一時はどう成るかと思ったが、外さなかったのが運の尽きだ。起爆コード入力、good bye」

 

起爆コードを入力し起爆するが、爆発したのは若い男である。つまり、自分で設置したのを自分で食らったのである。

 

「キャーーーー!?」

「人が爆発したぞ!?」

「救急車呼べ!!!」

「警察もや!!!!」

 

「詰めが甘いな」

 

パチ、パチ、パチ、パチ

 

背後からスーツに帽子を被った中年男性が拍手をしながら、歩み寄ってくる。長嶺は瞬時にその男が、こちら側の人間だと気付いた。纏うオーラ、歩き方、目つき、感覚を向けるポイント。その全てが熟練された兵士のソレであった。

 

「いやはやいやはや、お見事な一言に尽きる。流石は、あの御高名な長嶺雷蔵氏であられますな」

 

「貴様は何者だ?」

 

右手を左胸に、左手を後ろに回して優雅な礼をする男。その仕草は洗練されており、まるで姫君をダンスに誘う王子のようである。

 

「私の名はトーラス・トバルカイン。近しい者からは、トランプマスターと呼ばれております」

 

「てことは、お前があの哀れな兵士を送りつけた張本人か?」

 

「あー、あれね。アイツが「任せてください」って言うもんだから任せたものの、蓋を開けて見れば超古典的で典型的なワイヤートラップ。あれじゃあ、極東の死神とか言われてる人間相手には相応しくない。ゲームのラスボスにレベル1の勇者で挑むような物だ」

 

そう言いながら被っていた帽子を人差し指で少し上げながら、部下の死を気にも止めてないない様な余裕の笑顔を浮かべていた。

 

「つくづく哀れは男だった。仕舞いには仕掛けた爆弾をそのまま仕掛け返され、それに気付かず一人自爆。バカとしか言いようが無い」

 

「ハハハ、若いのに言うじゃないか」

 

「それで?何をしに来た?戦争をおっぱじめに来たか?」

 

「いやいや、今日は挨拶と謝罪だけだ。部下の非礼を詫びるのも、上司の務めだ。私はもう退散するが、覚えておけ。我らシリウス戦闘団は貴様ら霞桜を抹殺するべく動き出した。手始めの将校殺しは、いいデモンストレーションになったかな?君達もあの者達と同じ運命を辿らせてくれよう」

 

さっきまでとは違う、本気の殺気を一瞬出して長嶺を威嚇する。しかしその程度では、長嶺を威圧することはできない。

 

「ほーう。ならその言葉、そっくりそのままお返ししよう」

 

「お互いに宣戦布告、と言った所か。また会おう霞桜、さらばだ」

 

突如、トランプの渦が発生しトバルカインを包み込む。数秒後、トランプが消えるとその場から消えていた。

 

「トーラス・トバルカイン。覚えておこう」

 

襲撃にはあったが、特に被害は無いため頭を反攻作戦に切り替える。どう言う戦略でいこうか、どういう風に血祭りに上げようか考える。これが楽しくて仕方がない。

 

「深海悽艦共、首洗って待ってろよ」

 

 

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