翌日 2ーF教室
「比企ヶ谷が潰れ…」
「雪乃ちゃんも潰れたと。ねぇ、これヤバくないかしら?」
「ぶっちゃっけ、あの委員会は俺ら2人のスキルで回してるような物だろ。俺らいなけりゃ、もうとっくに機能不全起こしてるよ」
休み時間の間、長嶺とオイゲンは今後の対応について話していた。何せ実質的なトップの雪ノ下が潰れ、同タイミングで雪ノ下のフォローを影ながらやっていた比企ヶ谷も潰れたのだ。流石にヤバい。
もう既に長嶺とオイゲンはスポットライトを浴びてしまっているが、今はまだ『才能豊かなスーパー高校生』で収まっている。もしここで下手に仕事能力が高いのがバレると、余計に怪しまれてしまう可能性もある。ここは早いとこ2人を復活させて、隠れ蓑になってもらはないと困るのだ。
「で、どうするのかしら指揮官?」
「取り敢えず雪ノ下の方には由比ヶ浜を差し向ける。アイツなら「1人で抱え込まないで、私達を頼ってよ!」的なことを言う筈だから、まあモチベは戻るだろ。多分本人としても、明日から復活したいってのが本音だろうし」
「『達』に私達も含まれてるのが少し癪だけど、まあ良いわ。それで比企ヶ谷くんの方は?」
「俺が担当する。お前は文実の方を頼む」
「はいはい、わかったわよ」
今回は比企ヶ谷と長嶺の方をご覧頂くのだが、この後、由比ヶ浜は雪ノ下に対して本当に長嶺の予想通りの事を言っている。最早軽い未来予知なのだが、あくまでこれは観察眼、言動の読解力、言動の全てを記憶する記憶力、言動をシュミレートする頭脳が高い次元で纏まっているから出来る荒技である。
放課後 比企ヶ谷宅前
ピンポーン
「はーい。あ、桑田さん!」
「いやっほー。比企ヶ谷いる?」
「兄なら上に居ますよ。にしても、あのゴミぃちゃんにお見舞いに来てくれる優しい友達が出来るなんて.......」
ゴミぃちゃん呼びはまあ、なんか納得できるので反論はしない。確かに比企ヶ谷は才能の塊で心優しい奴ではあるが、一方で世界一の捻くれ者でもある。少なくとも長嶺個人としては、あそこまで捻くれてる者は見たことも聞いたことも無い。
「おーい、比企ヶ谷。生きてるか?」
「死んでるよ.......」
「おっと。なら葬儀屋に電話して、火葬場も抑えないとな。後、墓石も買うか」
「.......俺をローストするんじゃねぇ。で、何の用だ?」
ムクリとベットから顔を出す比企ヶ谷。いつもより顔色は悪いが、疲労の色も抜けていて明日には復活できそうだ。
「何の用も何も、お見舞いだお見舞い」
「お見舞いって、俺の為にか?」
「なんだ、小町ちゃんも風邪だったのか?」
どうやら比企ヶ谷は今迄お見舞いに誰かが来た事がないらしい。まるで初めて優しくされた奴みたいな、なんかすごい驚愕な表情を浮かべていた。
「お前が俺をどう思ってるかは知らんが、少なくとも俺はお前を高く評価してるんだぞ?お前は自分じゃ気付いてないが、お前の能力は結構高スペックだ。才能だって唯一無二の物を持っている」
「俺を煽てても良い事ないぞ」
「生憎と、俺は世辞が苦手だ。これは事実だ。お前は、凄い奴だよ。だって考えてみろ。何処ぞのバカ委員長とワンマンアーミー気取ったナルシスト副委員長によって、グズグズの腑抜けた奴しか居なくなった実行委員で仕事を回してたのは他でもない、お前だろう?
無論、俺やエミリア、それに雪ノ下も働いていたが、同等の働きをしていたのは確かな筈だ」
スラスラ出てくる言葉に比企ヶ谷は恥ずかしくなった。これまで褒められたことは、親からも無かったのだ。
「..........眠いから寝させてくれ」
「そうか。じゃ、俺は帰る」
二週間後 放課後 会議室
「ねぇ、こういうのって今決めるのが普通なの?」
「いや。セオリーは先に決めて、そこから作業だ。まあ何れにしろ、碌でもないのしか出ないと思うがな」
翌日、またいつものように会議室に集まった。だが今日はいつも来ない、サボってる系実行委員も来ている。何故なら今日は、文化祭のスローガンを決めるからである。
普通そういうのは最初に決めそうな気がするが、まあこの際、そこは突っ込まないでおこう。それよりも、突っ込まないといけない状況がある。今会議室には、学校を休んでる実行委員を除けば全員来ている。何なら陽乃や関係ないはずの葉山まで来ている。だが相模は一向に会議を始めず、取り巻きと話していた。それを見て他の実行委員達も自然と、周りの奴らと話し始めてしまっている。中には仕事関連の話もあるが、大半が全く関係のない話ばかりで本来は注意すべきなのに相模はしようとしない。というか生徒会長の城廻が「集まってるよ」と言って、初めて気付いたらしい。
「.......」
(あれぇ?なんだ、セリフど忘れでもした?)
「.......雪ノ下さん!」
なんということでしょう。まさかの全てを雪ノ下に丸投げしやがりました。しかも「じゃあみんなー、今から会議始まるよー」とかも言わずに丸投げ。これじゃ業務委託ではなく、単なる押し付けである。
本来なら雪ノ下も断るべきなのだろうが、現実問題として時間がない以上文句言っている暇はない。
「え?あ、それでは委員会を始めます。本日の議題ですが、城廻会長から連絡があった通り、文化祭のスローガンについてです」
で、色々案が出たのだがマトモなのがない。具体的に書くと
・友情・努力・勝利
・面白い!面白すぎる!
〜潮風の音が聞こえます!総武高校文化祭〜
・一意専心
・ONE FOR ALL
こんな感じ。なんか文化祭じゃなくて体育祭のスローガンらしき物やら、どっかの副委員長が考えてそうな物やら、どっかのクソ王子様が言いそうな物やらと、ある意味バラエティには富んでいる。富んでほしくない方向ではあるが。
「じゃあ最後、ウチらの方から」
そう言って相模が出した案がなんと
☆絆
〜ともに助け合う文化祭〜
とかいう「いやお前、よくそのスタンスで行けたなおい」とツッコみたくなるスローガンだった。
「うぅわぁ」
で、どうやら比企ヶ谷も気に入らなかったらしい。そしてこのタイミングでの発言からして、明らかにスローガン通りにしてやろうという魂胆だろう。
集団を纏める上で一番手っ取り早いのは、何かしらの共通の敵を作ることである。勿論長嶺のような高いカリスマ性を持つ指導者がいれば別だが、早々そういう人材はいない。となると敵を作るのが一番である。どうやら比企ヶ谷は、その敵になってやるつもりらしい。
「.......なにかな?何か変だった?」
「いや。別に」
「何か言いたい事があるんじゃないの?」
「いや。まあ、別に」
(煽り性能高いなー)
明らかに相模の機嫌が見るからに悪くなっている。相模みたいな脳内お花畑で、常に理想にしか生きようとしない奴に取っては青春を汚されたような物なのだ。イラつくだろう。
「ふーん、そう。嫌なら他に案出してね」
「それじゃあ。『☆人〜よく見たら片方楽してる文化祭〜』とか」
実行委員の人間、全員が唖然としている。この3人を除いて。
「アハハハハッ!バカだ、バカがいる!!もう最っ高!」
「フッ、フフフ」
「確かにコイツは傑作だ。お前、やっぱぶっ飛んでるわ!」
陽乃、オイゲン、長嶺の3人である。流石に平塚が止めたが、長嶺とオイゲンとしては「お前に止める資格はねーよ」とツッコミたかった。
「比企ヶ谷、説明を」
「いや。「人という字は、人と人とが支え合って」とか言ってますけど、片方寄りかかってんじゃないっすか。誰か犠牲になる事を容認してるのが、人って概念だと思うんですよね。だからこの文化祭に、文化祭に相応しいんじゃないかと」
「犠牲というのは、具合的に何を指す?」
「俺とか超犠牲でしょ。アホみたいに仕事させられてるし、ていうか人の仕事押し付けられてるし。それで倒れたし。それとも実行委員長言うところの、共に助け合うって事なんですかね?助け合った事が無いんで、俺はよく知りませんけど」
「あ、そうだ!ならよ、こんなのはどうだ?」
ここで長嶺も悪ノリして、比企ヶ谷に続くことにした。何せ長嶺自身も、執務が滞っているのだ。少しくらい、イライラ解消に文句言ったってバチは当たらんだろう。
「よし、できた。『☆オワコン〜骨組みが欠陥工事の文化祭』とか、どうだ?」
「プッ、アハハハハ!!!!君も相当だねぇ!!!!」
「桑田、どう言う意味だ?」
案の定、陽乃は真意が分かったのか笑っている。一方で平塚含め、実行委員達はやはり怪訝な顔である。この反応は予想通りなので、もう煽りに煽りまくってやることにした。
「え?先生まさか、この意味が分からないと?あ、そっか!平塚先生も、この部屋にいる
「.......何が言いたい」
「さてさて、この部屋にいる実行委員に質問だ。この中で仕事の進捗、自分のも全体のも含めてある程度把握してる奴は一体何割位だ?
殆ど居ないよな。何せお前達は自分でやろうとしたのか、はたまた押し付けられたのかは知らんが、どんな形であれ「実行委員」という役に着いたと言うのに、その義務たる職務を全く遂行していないのだから。今日こうやって全員が集まったのも、一体いつ以来やら」
話を続けるに連れて、一様にザワつき始める。平塚は静かに見ているが、その顔色は悪い。
「今の実行委員は、本当にアンバランスだ。雪ノ下や比企ヶ谷と言った、作業慣れしてる奴によって無理矢理延命させられてるのが現状だ。ぶっちゃっけ、回せてるのは奇跡と言って良い。この辺りの人材がいなかったら、とっくの昔に機能不全起こしてご破産になっているだろう。
そんなザマだから、実行委員が作った文化祭の骨組みはスポンジの様にスカスカだ。骨粗鬆症にかかったジジババの骨みたいに、ポッキリ折れてしまう。まあ人間、面倒臭い仕事はサボりたいと思うものだし、俺もサボれるならサボって家でゴロゴロしたいさ。だがなっちまった以上、最後まで責任持たんかい。それから平塚先生。ここまでなっても対応せず、生徒である俺や比企ヶ谷にここまで言わせるとはどういう了見ですか?アンタ、この実行委員会の顧問だろうが。日々の仕事で忙しくとも、ここまでの異常事態には気付けるはずだ。なのにそれをしない。アンタとしては今回も安定の「生徒の自主性で〜」とかいう、クソの役にも立たん様な美辞麗句で塗りたくった理由なんでしょうが、それが通用しないレベルの事態なんだ。教師なら、自分から動いてみろや」
言いたい事は言った。長嶺自身のイライラも解消されたし、ここまで言われてもなお職務を放棄するのなら、もう救いようが無いだろう。
これまでサボっていた実行委員達の顔は、見事に悲壮感漂う物になっていた。だが平塚だけは違った。
「お前、教師に向かってクソとはいい度胸だな。いいだろう、私のファーストブリッドで舐め腐り切った精神を叩き直してやる。そこに直れぇ!!」
「はいはい。というか、俺に当てれたら良いですね。へなちょこパンチ」
「私の実力を知らぬようだな。行くぞ。衝撃のファァァァストブリッッッッッッド!!!!!!!!!」
多分何かのアニメか漫画なのだろう。叫びながら長嶺にパンチを繰り出すが、当たる訳がない。左手でパンチを受け止めつつ、右手は中指だけを立てた状態で首筋に当てた。
「ほら、やっぱり当たらなかった。そんなアホくさい事する暇があれば、早いとこ仕事してください」
「き、貴様.......」
「あ、そうだ。今後俺にこういうことをするのなら、アンタも死ぬ覚悟をしてからやってくださいよ?」
長嶺は「死ぬ覚悟」の所で、少量の殺気を込めて言った。周りの人間を威圧できる位の量はあるが。この一言で平塚が黙ったのは言うまでもない。
そしてサボり組がしっかりやり始めたのも言うまでもない。
数週間後 文化祭当日 体育館
『開演3分前』
『雪ノ下です。オンタイムで進行します。問題があれば、即時発報を』
『証明問題なーし』
『こちらPA、問題ありません』
『楽屋裏、キャストさん準備、やや推しです。でも出番までには問題なさそうです』
見事なまでな雪ノ下の完璧なる指示により、相模の仕事を全部掻っ攫って出来た文化祭。いよいよ開演の時を迎えようとしていた。
『10、9、8、7、6、5、4、3、2、1』
『お前ら!文化してるかぁ!?』
「「「「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」」」」
『千葉の名物、踊りとぉ?』
「「「「「「祭りーーー!!!!」」」」」
『同じ阿呆なら踊らにゃー!?』
「「「「「sing a song!!!!」」」」」
城廻の音頭で場の空気を盛り上げ、そのままチア部のパフォーマンスや校内有志で編成したブレイクダンスが始まる。体育館の空気は完全に染まり切り、方々から「フォー!!」みたいな叫び声が響いている。
そしてこの次にあるのが相模の挨拶なのだが、相模は基本的にこういう場で前に立つのは苦手である。しかも実行委員長を通してつく筈だった自信をつける場面は自分と雪ノ下によって、見事に流れてしまい自信なんざZERO。目に見えてガチガチである。
「ハァ、み」キイィィィィィン!!!!
いきなりしくじった。会場から笑いが出る。勿論貶す笑いではなく、さっきの空気の延長線にある普通の楽しい笑い。だが緊張でガチガチに固まり、殆ど頭も回っていない相模にとっては笑いは全て『嘲笑』になってしまうのだ。
完全にフリーズしてしまった相模に城廻が「気を取り直して、実行委員長どうぞ!」とフォローを入れた。それで少し落ち着き思考が戻ったのか、カンペをポケットから出す。だが落とす。
「(比企ヶ谷。時間やばくね?)」
「(コイツ、さっきからずっとサイン出してるのに気付いてない)」
『こちら舞台前。トラブル発生だ。相模の奴、極度の緊張で視野角が大いに狭まってやがる。さっきからハンドサインを出して巻くように言ってるが、全く見る素振りもない!』
そう報告すると、安定の比企ヶ谷への暴言が始まった。人選ミスだの何だのと。軽口を叩く程度ならいいが、明らかに主題を忘れていた。これでは不味い。
『お前ら、オープンチャンネルで話すな。ってか雪ノ下。お前は副委員長だろうが!委員長が機能不全を起こしている現状、指示を出すのがテメェの仕事だろ!?馬鹿話をする暇があったら早く全体に指示を出さんかい!!』
舌打ちが聞こえた気がするが、この際どうでもいい。気付けば超たどたどしいが、実行委員長の挨拶も進んでいる。アクシデントこそあったが、オープニングセレモニーは無事終わった。
「あー、疲れたー。なんなのありひぇ!?」
「ふふ、お疲れ様真也」
ベンチに腰掛けて休んでいると、いつの間にか背後に居たオイゲンがキンキンに冷えたアクエリを頬に押し当ててきた。流石の長嶺もこうも大量の人混みになると殺意を感じたり、暗殺や攻撃を企む奴を判別したりは出来ても、イタズラ程度の物には流石に見抜けないのだ。
「お前なぁ。お陰で変な悲鳴が出たぞ」
「初めてね、「りひぇ」なんて悲鳴を出したの。というか、あなたでも悲鳴をあげたりするのね」
「で、何のようだ?」
そう言うとオイゲンは急に深刻そうな顔をして、愚痴を言い始めた。この学校生活の愚痴を。
「私達の仕事は潜入なわけだけど、一応普通の学生を演じるのでしょ?なのに入ってから、どう考えても普通らしからぬ事ばかり起きているわよね?襲撃とかは、まあ良いわ。奉仕部や王子様が絡むと、絶対面倒にしかならない。だからこんな時位、普通の思い出が欲しいわ」
「いや、奉仕部入ったのはお前の」
「ダメ、かしら.......?」
潤んだ目で上目遣いされては、断るに断れない。奉仕部と関わる羽目になったのはあくまでオイゲンが元凶なのだが、まあ確かに普通らしからぬ事しか起きてないのもまた事実。今回は長嶺が折れた。
「わーったわーった。で、何をするつもりだ?」
「これ、行きましょ?」
そう言って見せてきたのは、お化け屋敷のポスターだった。題名は『恐怖のチョキ美さん』と書いてある。
それで試しに行ってみたのだが、外観は結構手が込んでる。
「結構本格的ね.......」
「よく作ったな」
因みにチョキ美さんの設定とは、歪な耳を持って生まれたチョキ美さんが他の耳と取り替えたくてハサミで切断しにくる、という物らしい。
「次の方どうぞー」
「さぁ、いいい、行くわよ!」
(怖がってんなー)
会場となっている教室に入ると、結構雰囲気があった。一応教室の筈なのだが、本当にお化け屋敷に入ったようである。セットもリアルで、普通に高校生のお化け屋敷としてはトップレベルの物と言える出来だ。
そしてその弊害が…
「こ、こここれは作り物よね!?そうよね!?」
「あー、案外本物がいるかもよ?幽霊は意外と、お化け屋敷とかに集まるって言うし。もしかしたら脅かしに来てる幽霊の中に本物が」
そこまで言うとオイゲンはダッシュで逃げ出した。どうやらホラー系は苦手だったらしい。因みに長嶺の場合、幽霊なんかより生きてる人間がよっぽど恐ろしいのを知っているので全く恐怖していない。
まあなんか走って追い掛けるのも、逆にここまで作った人間と驚かす側の人間への冒涜な気もするので、一人で色々考察したりどんな脅かしで来るかを予想しながら回った。
一方のオイゲンは、一番最悪の事態が起きていた。このお化け屋敷、本来は丸々お化け屋敷だったのだが、セット製作が間に合わなかったので後半はロッカーでアイマスクとヘッドフォンを装着して立体音響での恐怖を与えてくるスタイルになったのだ。で、当初は「指揮官とロッカーで密着できる!」という目的だったが逃げ出した結果、なんと葉山と一緒に入る事になってしまったのだ。
「もしかして、エミリアちゃん怖いの苦手?」
「そうよ。さっきまで真也と回っていたけど、怖すぎて逃げてきたわ」
「でも、もう大丈夫。僕がついてるから」
「なら安心ね王子様」
そう言って安定の作り笑いで答えるオイゲン。だが内心では最悪以外の何物でもなく、兎に角離れたかった。
(なにが「僕がついてる」よ。あなた程度が、私を守れる訳ないじゃない。私を守ってくれて、満たしてくれるのは、指揮官だけなのに.......)
とまあ、こんな感じである。確かに葉山隼人という存在は、この『総武高校』という狭い社会では多大な力を持つ。葉山なら主人公となれるだろう。だが一歩社会へ出れば、そんな特権はない。あくまでもそこら辺の一般人、ゲームで言えばNPCやモブに過ぎない。
だが長嶺となると、話は別だ。表裏の社会で共に多大な影響力、権力、武力、財力を持ち、網目のように広い人脈も持つ。葉山と比べるのが烏滸がましく思える程に。
逆立ちしたって勝てない男に好意を寄せる女性を、それに劣る男が射止めるのは不可能という話である。因みに葉山的には、自分の好きな相手と密着できるとか神展開でしかない。約10分間程、胸と尻といったグラドルやAV女優以上の肉体を楽しみ、匂いや声、息遣いすらも堪能していた。勿論、下のイチモツも元気にStand upしてた。
そしてこれは誰得だという話なのだが、男の象徴も長嶺の方が直径や長さは勿論、一度の量とかも遥かに上とかいう悲しい結果だったりする。というか多分、総武高校とか霞桜の中でぶっちぎりのNo. 1なのでここは、まあノーカンにしてもらいたい。
「ねぇ、エミリアちゃん。良かったら僕と一緒に回らないかい?」
「あら、デートのお誘い?」
「デートって言う程じゃないよ。ただ少し、君と話したいだけさ。それにデートなら、僕はしっかりプランを練って君に最高の1日を提供するよ」
普通ならオイゲンも断るだろう。こんな男の為に数少ないせっかくのアピールポイントを不意にしたくない。だがここで天啓が奔る。
(これ、敢えて受ければ指揮官も嫉妬するかしら?)
そう。これまでのオイゲンは、行ってしまえば押しに押しまくっていた。なら今度は引いてみる。かの有名な「押してダメなら引いてみろ」方式である。
敢えてここで葉山という自らよりも劣っているが、この場に於いては自分を凌ぐという絶妙な
「いいわ。でも、私とのデートは高いわよ♡?」
「!?あぁ。ありがとう、エミリアちゃん」
完全に悪女というか、男を手玉に取る魔性の女である。そこからはもう、オイゲンのターンだった。何せ惚れてる美女からおねだりされては、流石に無碍には断れない。色々買わされたり、無茶なお願いを聞かされたりと色々やりたい放題にやっていた。
しかも葉山の方はそれに気付いてない。なんでかって?絶妙なタイミング可愛い仕草や思わせぶりな演技をして、葉山を飽きさせるどころかより惚れ込ませていたのだ。そのテクニックはキャバ嬢もビックリな程に洗練された物だった。しかもこれ、恐ろしいのが意識せずにやっているのだ。独学で極めたわけでもなく、ただただ自然に無意識でやっている。ある意味、ハニートラップの達人であるカルファンより恐ろしい。
一方の長嶺はというと
「焼きそばうまー」ズルズルズル
焼きそば食べてた。因みに学内での長嶺は、そのビジュアルとミステリアスたが優しく知的な性格が功を奏して結構人気なのである。そんな訳で、色々サービスしてもらったりして屋台巡りしながら満喫していた。
なんだかんだで昼も周り、そろそろエンディングセレモニーだという頃、問題が発生した。なんと相模が優秀賞と地域賞の結果を持って姿を消したのである。
「困ったわね.......」
「別に困る必要ないじゃない。総評とかはどうとでも出来るし、一番重要な賞の発表は後日発表にしてしまえばいいわ」
「確かにエミリアさんの手も一理あるわ。最悪はそうするのだけれど、地域賞に関しては後日発表では意味をなさないわ」
そう。優秀賞は学内での賞だから良しとして、地域賞は校外から募った有志のパフォーマンスに対しての賞なので後日発表は余り意味を成さないのだ。というか寧ろ、無意味とすら言える。
「どうかした?」
「それがどうやら、相模さんが何処かに行っちゃったのよ。投票結果を持って」
「そっか.......。なら、もう一曲歌うよ。優美子、お願い!」
最初は「テンパってるから」とか言って断ってた三浦も、葉山のスマイルに負けてもう一曲歌う事となった。その間に雪ノ下が陽乃と交渉し、更に時間を稼ぐ作戦として舞台に上がる事になった。これには由比ヶ浜も参加し、ボーカルとして出演する。
そしてその間にオイゲンがSNSで情報を集め、比企ヶ谷と長嶺が捜索に動く事になった。
「で、何かアテは?」
「そんなもんねーよ。というか、あったら苦労しない」
現地で合流した2人は取り敢えず、ポイントを絞ることから始めた。たった20分ちょっとで学校全てを虱潰しに探すのは不可能に近い。そして情報も無い以上、相手の心理を読み解く必要がある。
「俺が思うに、相模は自分の居場所を見失ってる。となると、誰かにそれを見つけて貰いたい筈だ。それを考慮すると学校内にいるのは確実だし、大凡も絞れてくる」
「わーお、流石だな比企ヶ谷。なら、そこからの絞り込みは任せてくれ」
相手の心理を読み解くという手段をアッサリと見つけた比企ヶ谷に驚きつつ、今は文化祭成功のために長嶺も全力を尽くす。本来ならどうでもいいと切り捨てるが、今日くらいは動いたってバチは当たらないだろう。
そんな事を考えながらスマホを取り出し、警戒のために今日だけここに潜入している隊員たちに連絡を取り指示を出す。
「俺だ。お前達、すぐに今から写真を送る女子生徒を探せ。若しくは情報を集めろ」
時間がないのなら、物量でローラーを掛けて手当たり次第に探せば良い。これで見つかる可能性は上がる。
「比企ヶ谷、今仲間にローラーを掛けてもらってる。俺達は可能性の高そうなポイントを絞って、そこをピンポイントで探そう」
「だったら、そうだな。特別棟の上か、はたまた図書館の奥だな」
「オーライ。図書館は俺が向かう。特別棟は任せた」
取り敢えず二手に分かれて、相模を探し出す。図書室へと走り、顔見知りになってる司書さんにも聞いたが図書室には居ない。次は何処を探そうかと言う時、特別棟にいたという目撃情報が入った。
なんかトンデモなく嫌な予感がしたので、比企ヶ谷が既に向かってが長嶺も向かった。そしてその予感は、見事に当たってしまった。なんと葉山と相模の取り巻きがいる中で、相模のやってきた事全部を言い始めたのだ。これまで自分がひた隠し、目を逸らし、誤魔化してきた事実を全て自分の最も嫌いな奴に言われたのだ。ショックでフリーズしている。それを見かねたのか、自らのブランドイメージを保つ為か、はたまた単に苛ついた事による当たりかは知らないが、葉山が無理矢理比企ヶ谷を黙らしたりと事態が最悪な方向へと進んでいた。
(おいおい、こんな最悪な状況とか笑えんぞ)
長嶺としても完全に割り込むタイミングを見失い、入るに入れない。というかこの場で割り込めば、多分余計に火に油どころかガソリンぶっ込む結果になりかねない。傍観する他なかった。
様子を伺っていると、相模は取り巻きに連れられて出ていき、葉山も出て行った。「どうして、そんなやり方しか出来ないんだ」とかいう、クソみたいな発言を残して。
「ほら、簡単だろ。誰も傷付かない世界の完成だ.......」
「誰も傷付かない世界、ねぇ。テメェがバリバリ傷付いてる時点で説得力ねーよ。そこんとこどうなんだ、ええ?真の英雄さん」
意外な奴の登場に、今度は比企ヶ谷が固まった。一方の長嶺は火事場泥棒みたいで気が引けるが、この状況を利用して比企ヶ谷にさらに近付く事にする。
「ホント、お前は超が付くお人好しだな」
「俺がお人好し?そんな事あるかよ。俺はお人好しとは、最も縁遠い男だろ」
「ほう。あそこまでやって、まだ認めないのか。逆にスゲーぞ。お前はお前が思ってる以上に、優しくて他人の為なら自分の犠牲も厭わない、少なくとも俺が出会って来た人間の中では一番優しい奴だ。
先に謝っておくが、さっきのヤツ、実は途中から俺も見ていた。ホントは飛び込みたかったが、なんか小さな火が大火事になりそうだったから傍観していた。本当にすまない」
そう言って長嶺は頭を深く下げた。その姿に比企ヶ谷はただただ驚き、頭を上げろとしか言えなかった。
「なぁ比企ヶ谷。お前、俺の友達になってくれないか?」
「は?」
「俺には『友達』って存在の奴は、もう長いこと居ない。俺のかつての友達は、俺が親友と呼んだ3人は俺を生かすために死んだ。それ以来、俺は友達を作ろうとしなかった。いや、出来なかったと言った方がいいだろう。怖いんだよ、また俺の前から消え去るのが。
でも何故だか、お前はどんな状況でもしぶとく生き残りそうな気がする。なにより、俺の考えとお前の考えが似ていて一緒にいて楽しい」
因みにこの話は、桑田真也としての話ではなく長嶺雷蔵、つまり本当である。長嶺がかつて、3人の仲間を目の前で失ったのは知っての通りだ。長嶺に取って、それは心に深い傷を残した。その結果、友達を作る事に恐怖したのだ。もしまた目の前で死なれでもしたら、きっと世界を滅ぼしてしまうから。
とまあシリアス全開だが、この友達発言、殆ど嘘である。まあ一緒にいて面白いのは確かだが、友達云々は長嶺に取っては本当にハードルが高い事なのだ。今回のは上部だけのリップサービスに近い。
「でもお前にはエミリアがいるだろ?エミリアは友達じゃないのか?」
「アイツは友達って言うよりかは、もう家族か何かに近い。過ごした時間は短いが、戦場で一緒に時を過ごしたんだ。ある意味、家族以上かもしれない」
「そうだったな。お前達はドイツにいたんだもんな」
一応キャラ設定的にYESと答えたが、実際は欧州どころか世界中、ありとあらゆる戦場を駆け抜けて、なんなら戦争してない所でもドンパチしているので、なんかちょっとアレな気持ちだったという。
「で、答えの方は?」
「.......俺は孤高が良いと思っていた。でもお前なら、少しだけ信じられそうな気がする」
「そうか。なら行こうぜ、我が友の英雄さん」
2人は体育館へと歩いて行く。体育館は由比ヶ浜と雪ノ下、そして陽乃に城廻、オマケに平塚まで参加するバンドのライブが最高潮を迎えており大盛り上がりだった。
ライブが終わる頃を見計らい、一応舞台袖に向かうと何故か相模が顔を真っ青にして固まっていた。
「何この状況」
「どうやら、挨拶の紙を落としちゃったらしいわ」
「いや、書きなおせば良いじゃん。それかアドリブで言うとか」
まかさのアクシデントである。相模は超がつくあがり症なので、まあまずアドリブ無理だろう。たが、状況としてはそうする他ないのも事実。一方で時間が絶対的に足りない。相模が逃げてそれを探す時間稼ぎで既に、葉山グループとさっきのバンドが場を繋げた以上、もう同じ手は使えない。絶体絶命である。
「ね、ねぇ桑田くん。お願い、紙を探してきて!」
「は?」
「お願い!」
そう言って手を合わせてウィンクして、かわい子ぶっておねだりする相模。だがこの一言で、長嶺は堪忍袋の緒が切れた。
「ふざけるな!!!!!!!!」
もうここが舞台袖とか、人目があるとか気にしていない。流石にこの発言と、これまでの行動を見ればこうなっても可笑しくはないのは読者諸氏もご理解頂けるだろう。
だがこのアホ女は全く分かっていない。さも「どうして頼んだのに怒鳴られてるの?」という顔である。
「既に無様を晒し、いろんな奴に迷惑を掛けた上でその発言をしたんだ。覚悟できてんだろうな?あ"?
今回の文化祭、お前は自分から実行委員長となった。だが蓋を開ければどうだ?奉仕部に手伝いを依頼したのは良しとして、お前は「手伝い」や「委任」という言葉を着せて仕事を丸投げにし、さらには雪ノ下姉の発言を逆手に取り、危うく実行委員を潰し掛けた。スローガン決めで言った筈だ。「この文化祭は雪ノ下や比企ヶ谷と言った連中で無理矢理延命されてるだけだ」と。というか2人とも一度潰れたしな。
そして比企ヶ谷が敵役になった結果、他の実行委員が纏まりどうにか滑り込みセーフでここまで漕ぎ着けた。無論、雪ノ下姉の発言や雪ノ下の完璧主義精神による、お前の仕事までやり始めたり勝手に進行したり、本来止める筈の教師が止めなかったりと一概にお前だけが悪いとはいえない。だがお前はそれを承知の上でおんぶに抱っこで甘え、結局自分のプライドを傷つけられて逃げた。そして全てを比企ヶ谷に言われると、今度は取り巻きのテメェらと葉山を味方につけて悪者を比企ヶ谷に責任転嫁して逃げおおせる。
で、勝手逃げて落としたであろうカンペを自分で探さず、俺に押し付ける。こりゃ本当に、スカスカの欠陥工事どころかハリボテだった様だな」
そこまで言うと相模は泣き出した。そして取り巻きと、いつのまにか帰ってきていた葉山が色々言ってくる。「酷い」だの「最低」だのと。普通ならそこで止まるだろうが、コイツが止まるわけがない。横に立て掛けてあった長机に拳を叩き込み、一撃で破壊して威嚇とする。
「外野がピーチクパーチク囀るな。耳障りで不快極まる」
葉山達は黙った。その時の顔と声色が、あの夏の日に千葉村で見せた桑田真也、いや。長嶺雷蔵としての片鱗そのものだったからである。
無論取り巻きは長嶺の恐ろしさを知らないが、それでも言い表せない何かを感じ黙る。
「とはいえ今回の一件はさっきも言った通り、お前だけの責任とは言えない。環境的要因があったとも言えよう。時間を稼いでやる。その間に書いてみせろ」
「.......」
「幸にして、お前のクソみたいな行動は今この場の人間位しか知らない。このまま全てを壊すか、少しでもマシにするかはテメェが決めろ」
それでも相模は黙り続ける。恐らく頭が追い付いていない上に、感情の整理も出来ていないのだろう。それを察した長嶺は、よりわかりやすいように言い換える。
「文化祭をフィナーレへと誘う導き手は、お前しかいない。自分の職務と責務に忠を尽くせ。
お前は文化祭で何も成長できていない。そしてここで何もしなければお前は一生、今回の行動が十字架となって付き纏うだろう。だがここでお前が動けば、きっとマシにはなる。お前の掲げた目標を遂行できる筈だ。
お前は1人じゃない。仲間がいる筈だ。文才に自信がないなら雪ノ下を頼れ。前に立つのが怖いなら城廻先輩を頼れ。不安なら葉山やそこの友達を頼れ。時間は俺がキッチリ稼いでやる。フィナーレの準備は抜かりなく比企ヶ谷が全てを調整してくれている。信じろ。そしてお前のデカさを見せてみろ!!」
流石現役の指揮官。人を動かすのが上手い。ここまで言う頃には流石の相模も、落ち着きを取り戻し自信をも取り戻していた。
「桑田、そこまでの大口を叩いたんだ。どうする気だ?」
「なーに。先生達がやったのと、同じ事をするだけですよ」
そう言うと長嶺は立て掛けてあったギターを手に取り、簡単に弾いてみせる。
「桑田くん。あなたギター、弾けたのね」
「これでも、結構多才でな。どんな楽器もある程度扱える。後は、エミリア!」
「何かしら?」
「お前、アスノヨゾラとロキ歌えたし踊れたよな?あれ、やってくれ」
そう。長嶺がやろうとしているのは、オイゲンを山車に観客の空気を更にアゲる。そしてその空気感のまま、フィナーレに突入させると言う物だった。
「うーん、でもタダ働きは嫌よ?何かメリットが欲しいわ」
「なんでだ?こんな楽しい事、他で経験できないぞ。考えてみろ。さっきのライブで観客は盛り上がり、既に最高潮だろう。で、もう終わりと思っている。そこに追加でライブがあり、しかもお前が踊る。
となるとこの文化祭の一番美味い、最上級の極上の部分を俺達だけで独り占めだ。どうだ、おもしろそうだろ?」
「なんか乗せられてる気がするけど、良いわよ。乗せられてあげる」
因みにオイゲン的には初めての長嶺からの頼み事だったので、少し焦らしたがOKするつもりだった。欲を言えば、困った顔が見たかったらしい。
そして舞台は三度目の緊急ライブが始まった。無事時間稼ぎに成功し、どうにか文化祭は幕を下ろした。
数時間後 校舎裏
「で、何のようだ親父?」
『さっき、解析班から報告があった。例の音声だが、また別のをキャッチしたらしい。だが今度は綺麗に解析できてな、内容が全てわかった。
で、内容なんだが』
「なんだ、どうしたんだ?」
『少し不味いぞ。内容は「phase 2に移行せよ」だ』
流石の長嶺も驚いた。未だ何も情報はなく、それなのにいつの間にか計画とやらは第二段階に進んでいるという。
『とにかく、引き続き調査を頼む』
「了解した」
着々と進む何かの計画に、何もまだ把握できてない現状。生きた心地がしなかったと言う。
では最後に、今回の文化祭でのライブの模様をお送りして今回は終わりとしよう。ただ長いので、別に見なくても大丈夫である。また台本形式となるが、そこは許して欲しい。また実際に聞きながら想像してみるのをお勧めする。
時間を戻して文化祭のライブ
「さぁ、飛び入り参加だが俺達の歌も聴いて行きやがれ!!!!」
幕が上がると、そこには黒シャツ姿の長嶺と制服姿のオイゲンがいた。長嶺はギターを装備し、2人ともヘッドセットを付けている。
「さぁ、みんな!文化祭のフィナーレの前に、もっともっと盛り上がるわよ!?」
「さぁ、曲名はアスノヨゾラとロキだ!!みんなもノリノリで聞いてくれよ?じゃあ、行くぜ!!!!」
オイゲン「気分次第です、僕は。敵を選んで戦う少年。叶えたい未来も無くて、夢に描かれるのを待ってた」
長嶺「I know they call it cheating only fighting when Nike's with me.I never had a dream to go forjust waiting for grandest dreams to come to me.」
オイゲン「そのくせ未来が怖くて、明日を嫌って、過去に願って、もう如何しようも無くなって叫ぶんだ。「明日よ!明日よ!もう来ないでよ!!」って」
長嶺「Yet I was scared that time was wasting.The future I hated; the past I was sated and I’d be screaming out like a kid at a loss
“Tomorrow, tomorrow, I wish it never would come”」
オイゲン「そんな僕を置いて、月は沈み陽は昇る。けどその夜は違ったんだ。君は、僕、の手を」
長嶺「But the night will always be the same the moon will set and the sun will return.But you came to me, that special night and my hand was in your hand」
オイゲン「空へ舞う、世界の彼方。闇を照らす魁星。『君と僕もさ、また明日へ向かっていこう』
夢で終わってしまうのならば、「昨日を変えさせて」なんて言わないから、また明日も君とこうやって、笑わせて」
長嶺「Soar in the sky beyond the Polaris into the light, you say
“Just hold my hands now,we have lots to see tomorrow”
Be it a dream, I’ll never let it go I won’t give up, I say
So be it, my yesterdays Let tomorrow be our good day just like todayt」
オイゲン「あれから世界は変わったって。本気で思ったって。期待したって変えようとしたって、未来は残酷で。それでもいつだって君と見ていた、世界は本当に綺麗だった。忘れてないさ、思い出せるように仕舞ってるの」
長嶺「From then on, the world has made its change or that’s what I believed. But no matter how I hope and pray the future is hard to live. Still I believe in the sky that you taught me how to gaze
You and I would see a “miracle” It’s always with me,It’s just that I’ve put it away so the treasures will stay」
オイゲン「君がいてもいなくても翔べるなんて妄想、独りじゃ歩くことさえ僕は。しないまま藍色の風に吐いた幻想。壊してくれって願って踠いたって Eh…
『願ったんなら叶えてしまえや』って、君は、言って」
長嶺「Don’t dare to call me a grown-up walking by myself; even standing is painful alone. I know that you’d just laugh and call me idiot but face the truth, I’ve led my life astray
“You’ve made your wish so you’ve got to make it true”
and you’ll take my hand.」
オイゲン「また明日の夜に逢いに行こうと思うが、どうかな、君はいないかな?それでもいつまでも僕ら一つだから。
またね、Sky Arrow笑って、いよう。未来を少しでも君といたいから。叫ぼう、"今日の日をいつか思い出せ未来の僕ら!"」
長嶺「Let us meet again when the sun will set tomorrow.You can come when you want to come.I will be waiting for you like you did for me. And we'll be “Sky Arrows” and smile along forever
The sky will always connect us and someday we’ll treasure what we’ve seen together on the day today」
ライブの空気は本当に凄かった。最初は皆「何だ何だ」という感じだったが、2人が構え出し、最初のオイゲンがダンスを始めた瞬間、空気が一気に変わった。
いつもは小悪魔風の艶かしい声なのだが、最初の出だしが言うなればショタボに近い低い声からの入りだった。だがそれ以上に、美しかったのだ。その肢体から繰り出されるダンスは、歌詞をそのまんま表す。最初は静かに、サビで激しく動き、間奏中は何処か寂しそうな表情を見せてみたり。また2回目のサビでは、それまで暗い表情だったが「またねSky arrow」の部分で一瞬顔を手で隠し、「笑っていよう」の部分で外すと満面の笑顔を見せてみたりと、しっかりと歌詞に乗っ取っり表情や動きも作っていたのだ。
そして長嶺も忘れちゃいけない。ネイティブの発音を残しつつも、聞き取りやすい英語で話し、なにより本来日本語と英語という一緒に聞くと訳分からなくなってしまうのを、いい具合に一緒に乗せたのだ。その結果、互いを引き立てつつも自分の存在感を出すと言う神がかったものに仕上がったのである。
「次行くわよ!!着いてきて!!!!!」
ジャガジャガジャジャーン
オイゲン「さあ、眠眠打破!」
長嶺「昼夜逆転?」
「「VOX AC30W」」
オイゲン「テレキャスター背負ったサブカルボーイがバンド仲間にやっほー」
長嶺「アルバイトはネクラモード(モード)」
オイゲン「対バンにはATフィールド 」
「「“人見知り”宣言で逃げる気かBOY」」
「「ゆーて、お坊ちゃん、お嬢ちゃん、お金も、才能も、なまじっかあるだけ厄介でやんす」」
オイゲン「Boys be ambitious...」
「はいはい」
オイゲン「like this old man」
「「長い前髪。君、誰の信者?」」
「「信者…信者 …」」
「「勘違いすんな、教祖はオマエだ!!」」
「「ロキロキのロックンロックンロール!」」
オイゲン「かき鳴らすエレクトリックギターは」
「「Don't Stop! Don't Stop! 」」
長嶺「さあ君の全てを」
オイゲン「曝け出してみせろよ」
「「ロキロキのロックンロックンロール!!」」
オイゲン「さあ」
長嶺「日進月歩 」
オイゲン「いい曲書いてる?」
長嶺「動員ふえてる?」
オイゲン「『知名度あるけど人気はそんなにないから色々大変ですね。』」
長嶺「はっきり言うなよ、匿名アイコン」
オイゲン「はっきり見せない、実写のアイコン」
「「いい歳こいて自意識まだBOY!」」
「「ぶっちゃけ、どんだけ、賢く、あざとく、やったって 、10年後にメイクは落ちてんだよ」」
オイゲン「Boys be ambitious...」
長嶺「はいはい」
オイゲン「like this old man」
長嶺「え?」
「「生き抜くためだ、キメろ!Take a "Selfy" 」」
「「"Selfy"…"Selfy"…」」
「「死ぬんじゃねぇぞ、お互いになぁぁ!!」
「「ロキロキのロックンロックンロール! 」」
オイゲン「薄っぺらいラブソングでもいい 」
「「Don't Stop! Don't Stop!」」
長嶺「さあ目の前のあの子を」
オイゲン「撃ち抜いてみせろよ 」
「「ロキロキのロックンロックン、ロール!」」
オイゲン「お茶を濁してちゃ満足できない 」
長嶺「スタジオに運ばれた、スロートコートは 」
「「安心不安心、プレッシャーでいっぱい 」」
オイゲン「実は昨夜きのうから」
「「風邪で声が出ません」」
「「は? は! は? はぁ!?」」
オイゲン「はぁ… 」
「「寝言は寝て言え」」
オイゲン「ベイビー(ベイビー) ベイビー(ベイビー)」
「「死ぬんじゃねぇぞ、お互いになぁぁ!!」」
「「ロキロキのロックンロックンロール!」」
オイゲン「かき鳴らすエレクトリックギターは」
「「Don't Stop! Don't Stop! 」」
長嶺「さあ君の全てを曝け出してみせろよ」
「「ロキロキのロックンロックンロール」」
「「ロキロキの…ロックンロックンロール…」」
オイゲン「死ぬんじゃねえぞ」
長嶺「死ぬんじゃねえぞ」
「「死にたかねえのはお互い様ぁ!!」
こちらも同様にすごかった。アスノヨゾラとは打って変わって、今度は終始楽しそうに踊る。オイゲンはその爆乳を揺らしに揺らし、男子の目を完全に奪う。特に後半の「は?」四連発で表情も可愛かったらしく、男子から歓声が上がる。
長嶺は踊りこそ最低限だが、「はいはい」や「え?」の部分なんかでしっかり表情と声を作りリアリティを演出。ついでに上手い歌で女子を魅了し続けた。
「終わりだ。フィナーレは実行委員長に頼むから、みんな最後までこの盛り上がりを保ってくれよ!!」
「みんな楽しんでくれたかしら?また機会があればやるから、その時も盛り上げてね?」
「「「「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」」」」
こうしてライブは無事終わったのである。因みにいつも土曜投稿なのが久しぶりに日曜投稿になったのは先週が死ぬ程忙しかったのと、この歌詞書きやダンスイメージ探しでYouTube巡りしてたからである。