最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第六話会議とエース

吹雪が着任して、ついでに泊地棲鬼を深海に送り返して3日。この日、長嶺はいつもの戦闘服ではなく第一種軍装にて、横須賀鎮守府へと向かっていた。因みに乗っているのは公用車の黒塗りクラウン。

何故横須賀に行くのかと言うと、長嶺の紹介の為である。実を言うと色々立て込んでいて、マトモに他提督への紹介や顔合わせすら出来てないのである。一応着任以前から振り返ると、

長嶺率いる霞桜が国内のテロリストを一掃する→その時にテロリストの首領でもあった前提督安倍川餅部論部論流界(汚物の集合体と粗大ゴミ)を暗殺→後任で着任するも、余りに酷すぎて鎮守府を急遽大リフォーム(というか、ほぼ新築)→シリウス戦闘団とかいう組織に長嶺襲われる→装備と戦力の増強→艦娘反乱&長嶺監禁&霞桜と長嶺の報復→ハワイ解放→近くの海域も解放

と、こんな感じである。期間としては半年未満であり、他提督と会う暇なんざ無かったのである。

 

「なんか俺、半年満たんで凄い事したな。ってか、詰め込みすぎじゃねーのうp主?」

 

正直詰め込みすぎたと思ってますby鬼武者

 

「あのー、閣下?先程から誰とお話出るのでしょう?」

 

「ん?神様」

 

「か、神様ですか?」

 

「うん」

 

「あ、はい」

 

 

 

1時間後 横須賀鎮守府 会議室

「ここか。よし」

 

重苦しい扉を開けて、中に入る長嶺。中には既に長嶺以外の全員が集まっていた。

 

「来たか、長嶺」

 

正面に座る東川が威厳たっぷりに話す。仕事モードの東川を前に、長嶺も気が引き締まる。

 

「えぇ。到着が遅れ、申し訳ありません」

 

「よい。お前は仕方がないだろ?」

 

「そう言って頂けるのならさいわ」

 

「異議あり!海軍伝統である五分前行動を疎かにし、他者への謝罪が無いとは何事か⁉︎貴様それでも帝国軍人か!?」

 

なんかハゲツルピッカーな太ったおっさんがキレている。

 

(えぇ、あのクソ親父、俺の本来の職を説明してないのかよ。するって言ってたのに)

 

「返事はどしたー!?もう我慢ならぬ、歯を食い縛れぇ!!!!」

 

「まあまあ、落ち着いてください」

 

今度は隣の爽やかな若い男が止める。

 

「せめて理由を聞いてからでも遅く無いでしょう?」

 

「黙れ青二才!!」

 

「ワシも賛成だ」

 

今度は東川と同じ位の男が静止する。

 

「総長、この少年が例の新人ですか?」

 

「あぁ。さて長嶺、自己紹介なさい」

 

「はい。江ノ島鎮守府司令を拝命しております、長嶺雷蔵大将です。若輩の新参者ですが、何卒宜しくお願いします」

 

長嶺が深々と頭を下げる。

 

「彼は江ノ島鎮守府の司令官の他に、ある部隊の指揮も取っている」

 

「ある部隊?」

 

若い男が首を傾げる。

 

「お前達も名前程度なら耳にした事がある筈だ。海上機動歩兵軍団「霞桜」と言う部隊だ」

 

霞桜の名を聞いた瞬間、全員の顔が驚愕の物となる。

 

「霞桜って、あの霞桜ですか⁉︎というか実在していたのですか⁉︎」

 

若い男が取り乱すのも無理はない。霞桜の任務とは深海棲艦との戦闘もそうだが、その真たる任務とは暗殺や軍要人への憲兵任務である。つまりは汚れ仕事や公には無かった物とされる仕事をしており、存在を知るのも極一部である。士官クラスの上役だとしても噂程度でしか知られておらず、都市伝説程度の扱いだったのである。

 

「そうだ。任務の特性上、公には認められてはいないから諸君が知らないのも無理が無い。それから遅刻の原因も霞桜に関する事だ」

 

「でしたら、余り詮索しない方がよろしいでしょうな」

 

老年の男が、気を効かしてくれて詮索を止める様に言ってくれた。

 

「そうして頂けるのなら、私としましても助かります。我々霞桜は、影となる事でその真価を発揮できますので」

 

「そう言うわけだ。諸君も他言無用に頼む」

 

「総長、僕達の紹介はしなくていいんですか?」

 

「あ、忘れておった。それじゃ、権蔵から頼む。

 

「ハッ」

 

老年の男が立ち上がる。

 

「ワシの名は山本権蔵。舞鶴鎮守府の司令をしておる」

 

「次は僕だね」

 

今度は若い男が立ち上がる。

 

「僕は呉鎮守府司令の風間傑。地理的にも近いから、よろしくね」

 

「格下如きに、俺の名を語らんといかんとわ」

 

最後にハゲツルピッカーが立ち上がる。尚、超嫌そうである。

 

「俺の名は河本山海。佐世保鎮守府司令だ」

 

「まあ他にも組織の長は居るんだが、取り敢えず今いる三人とは一番深く関わるだろうからな。よく覚えておきなさい」

 

「了解致しました」

 

「さて、では会議を始めるとしよう」

 

最初は各管轄の海域での報告や、新しい装備について等の事務的な連絡が行われた。そして本題の次の新たなる反攻作戦について議題は進む。

 

「では今回集まって貰った理由なんだが、新たに反攻作戦をしようと思っている」

 

「で、次は何処を攻めるんですか?」

 

「まあそう焦るでない。昔から権蔵は変わらんな」

 

「いやはや、お恥ずかしい」

 

「まあ良い。皆、これを見てくれ」

 

テレビモニターに、ある島が映し出される。

 

「こりゃ何処だ?」

 

「この地形は.......」

 

「ミッドウェー島、ですね」

 

その特徴的な地形に、風間と長嶺の2人はすぐにミッドウェーと分かった。

 

「その通り。大戦時は米本土攻撃の拠点として占領する目的だったが、今回は南太平洋方面への南下作戦の、予備補給基地や中継地として利用する予定だ。シーレーンの完全解放の足掛かりを作る為の土台となる。皆も奮励努力して貰いたい」

 

「して、誰がやるんです?」

 

「長嶺の江ノ島にやってもらう」

 

「異議あり!」

 

机を叩き、河本が勢いよく立ち上がる。因みに長嶺はイライラしてきたが、一応怒りをおさめている状態である。

 

「何故、我が佐世保艦隊を使わないのですか!?練度も士気も天を貫く程であり、他艦隊の追随も許しません!なのに何故!!」

 

「お前の所は地理的に遠いだろ。お前の管轄地である佐世保は日本海側故、即応性に欠ける。その時点でお前と権蔵は対象外だ。残るは鹿児島、呉、江ノ島、横須賀、仙台、釧路な訳だが、この中で一番練度が高いのは俺の横須賀と風間の呉だ。だが横須賀は首都防衛が主任務であり、呉は外海に出にくい。とすると次に練度の高い江ノ島に白羽の矢が立つ。ついでに霞桜やメビウス中隊も配属されているから、戦力も申し分ないしな」

 

「ですが何故、こんなガキに国運を任せるのですか‼︎」

 

「聞き捨てなりませんなぁ」

 

ここまで沈黙していた長嶺が立ち上がる。流石にイライラMAXなので、その語気は少し荒い。

 

「ガキだから何ですか?確かに成人してませんが、アンタよりは戦場を知っている。今の発言、撤回して頂きたい!!」

 

「何だと!?」貴様、この俺に逆らうのか!?!?」

 

「いやいや、アンタと俺は階級変わらんでしょうが。なのに何故、そうも偉そうにしてんです?」

 

「黙れ!!貴様は年功序列というのを知らんのか!?」

 

まさかの時代遅れな化石とも言える考えに、内心ウンザリしているが一応正面切って論破しにかかる。

 

「知ってますけど、年功序列だ何だと言ってる暇があったら、一匹でも多くの深海棲艦を沈めるか、海域解放をした方が遥かに良いんじゃないですかね?」

 

「言わせておけば!!」

 

そう言いながら刀を抜く河本。全員が顔を青くする。東川と当の本人を除いて。

 

「河本!!」

「河本さん、剣は不味いでしょ!!」

「ハァ」

 

「貴様、模造刀で叩かれた時の痛さを知らんようだな?」

 

旧軍での短剣や軍刀は真剣だったが、現代では防犯の観点から式典以外は基本的に模造刀である。その為、後頭部辺りを殴らない限り死ぬ事はないが、くそ痛い事に変わりはないのである。

 

「御託は良いから、早くやるならやれよ」

 

「望み通りにしてくれる!!」

 

振り下ろされる刀に対し、長嶺は両手をクロスさせて受ける。殴られた鈍い音ではなく、ガキンという金属同士のぶつかる音がする。

 

「河本大将、これでも一応現役の特殊部隊総隊長ですよ?たかが素人の攻撃(・・・・・)を弾けなくてどうしますか?」

 

「ぐぬぬ」

 

「やっぱり仕込んでたか」

 

東川が苦い顔をしながら話す。

 

「勿論。何なら実弾入りの拳銃と、各種手榴弾。それに仕込みナイフと、制服の下に防弾防刃ベストも装備してますよ?あ、勿論刀も真剣にしてます」

 

「言わんで良い。言わんで。で、その腕のは何だ?」

 

「グラップリングフックですよ。私の優秀な技術屋の部下が制作した、深海棲艦の砲撃にも耐えられる優れものです」

 

「ホント、お前のとこは常識が通じんわい」

 

東川が予想はしていたが思ってたより武器を持ち込んでる上に、なんか聞いた事もない謎に防御力の高い装備まであった事に呆れていた。

 

「それが霞桜です」

 

「そうだな。さて、河本山海。貴様を減俸八ヶ月とする。異論は認めん。では、解散。あ、長嶺は執務室に来てくれ」

 

「「「了解」」」

 

「クッ、了解.......」

 

約1名不満を持っているが、一応解散となった。因みにこの河本は、これ以降の話に於いて長嶺の足を引っ張って行く。

 

 

 

会議後 長官執務室

「まあ座れ、雷蔵」

 

「へいへい」

 

「で、何であそこで抵抗した?」

 

「首を斬り飛ばして無いだけマシと思え」

 

「あのなぁ、やるなら徹底的にやれよ。ってか寧ろ、殺しちゃっていいから」

 

てっきりお小言かと思いきや、予想の斜め上を行く上司の言っちゃいけない言動第一位の物を出してきて、流石の長嶺も止めに入る。

 

「親父、それを部下に頼んだら終わりだ。というか普通ここは怒るとこだろ」

 

「だってアイツ、河本コンツェルンの総帥で俺よりも顔利くから、表立って文句は言えねーんだよ」

 

「そーかい。で、今回呼んだのは、そんな愚痴を聞かされる為なのか?それなら帰るぞ」

 

「待て待て!違う!!しっかり用事ある!!」

 

結構ガチで止められた。しかし長嶺は早くgo to 江ノ島したいので、早く言って欲しい。

 

「よし。なら、早よ言え」

 

「コホン。雷蔵、今度の作戦指揮を評価したいから、ここで指揮を取れ」

 

「えー、まあ良いけど」

 

「なら用は済んだ。帰っていいぞ」

 

「へいへい。んじゃ、なんか有ったら連絡しろ」

 

「ラージャ」

 

そう言いながら出て行く長嶺。そのまま階を下り、談話室的な所の前を通る。すると中から、ある人物が出てくる。

 

「長嶺くん」

 

「ん?あ、風間大将」

 

ビシッと敬礼をする長嶺。それに対し風間も返礼する。

 

「何か御用でしょうか?」

 

「今時間いいかい?」

 

「え、えぇ」

 

「なら少し顔を貸してもらうよ」

 

そう言いながら談話室の中に連れ込み、近くの席に座るよう促す。風間はコーヒーの自販機の前に行き、コーヒーを1つ買う。

 

「カフェオレだが、飲めるかい?」

 

「はい」

 

「僕の奢りだ。遠慮なく飲んでくれ」

 

「ハッ。では、いただきます」

 

なんか厄介事を持ち込まれそうで直ぐに切り上げたいが、一応先輩提督なので無碍にするのは後々不味いかもしれない。まあ厄介事じゃない可能性もあるので、そっちの楽観的な予想を信じる。

 

「さて。君を呼んだのは、個人的に君と話がしたいから何だ。会議の時も言ったけど、僕達は地理的に近いからね。お互いに良好な協力関係を結んだ方が、色々都合がいい」

 

「確かにそうですな」

 

長嶺はカフェオレ、風間はブラックを飲みながら話し始める。最初は互いの趣味や得意な戦術。好きな芸能人やゲーム等、多種多様な会話を楽しんだ。

 

「所で君は本当に霞桜の総隊長なの?」

 

「まあ、こんな見た目ですから実感湧かないでしょうが、歴とした総隊長ですよ」

 

「じゃあ一つ聞かせてくれないかな?」

 

「何です?」

 

「君の鎮守府の前任、安倍川餅は本当に失踪なのかい?」

 

「と言うと?」

 

なんか思ってたよりもしょうもない事だったので、長嶺も少しふざけて「真実を知る裏の人間」を気取る。

 

「噂じゃ霞桜、噂の中じゃ秘匿部隊Xって言うんだけど、そこが暗殺したって。他にも同時期に起きた北海道、神奈川、高知での爆発事故も霞桜がやったって言うのがあるんだ」

 

「さあ、どうでしょう?」

 

「機密事項かい?」

 

「勿論。我々はこの国の影ですから。ですが、そうですなぁ。安倍川餅の事だけはこう言っておきます。「安倍川餅は霞に撒かれ、桜吹雪に包まれて世を去った」とだけ」

 

不敵な笑みを浮かべ「誰かに喋んなよ?」という圧を込めながら話す。

 

「それは答えじゃないのかい?」

 

「他言無用でお願いしますよ」

 

「何も聞かなかった事にするよ。あ、そうだ。君に頼み、正確には君のところに居るメビウス隊に頼みがあるんだ」

 

「何でしょうか?」

 

「ウチの部隊が模擬空戦をしたいそうだ」

 

「てことは、エーリューズニルの番犬ですか」

 

恐らくなんの事か分からない人も居るだろうが、それは今からのお楽しみである。

 

「そういう事さ。アポが取れたら、僕の所に連絡してくれ」

 

「了解」

 

「引き留めて悪かったね」

 

「カフェオレ、ごちそうさまです」

 

鎮守府に帰還後、すぐにメビウス隊寮舎に行きこの事を説明する。その結果二つ返事でOKが出た為、風間との協議で一週間後に演習となった。

 

 

 

一週間後、江ノ島鎮守府近海上空

両翼が青のF15Cと片翼が赤のF15Cが飛んでいた。

 

『よお相棒、まだ生きてるか?』

 

『あぁ、生きてるとも』

 

『こちら江ノ島コントロール。ガルム隊、来訪を歓迎する』

 

正式名称、呉鎮守府航空団第六飛行隊。しかし人は彼らを「ガルム隊」と呼ぶ。7年前の欧州戦争での傭兵時代の名称だが自他共にそれを通り名としている。正式名称に組み込みたかったらしいが、流石に著作権上許可されなかった。しかし通り名とコールサインについては黙認されているので、実質はほぼ公認されてたりするのだが。

何はともあれ、2機は江ノ島鎮守府の滑走路に着陸する。そして出迎えの長門に連れられ、執務室に通されたのであった。

 

「提督、失礼するぞ」

 

「失礼します!」

「失礼します!」

 

「って、あ!!」

 

ここで一人の男が声を上げる。

 

「おいピクシー!」

 

もう一人の男が腕でつつく。そりゃいきなり上級将校に「あ!」とか言ったら、不敬どころの騒ぎじゃない。

 

「あぁ、良いんだ。久しぶりだな、ピクシー」

 

「生きてたのかシークレットボーイ‼︎陸の鬼神がまさか提督とはな」

 

「提督、こちらの方と知り合いなのか?」

 

長門が困惑した表情で聞く。因みに顔には出してないが、つついてた男も内心困惑してる。

 

「昔、戦場で会ったことがあってな。最初は敵同士だったんだが、成り行きで任務に協力してもらったんだ」

 

「一応聞くが、幽霊じゃないよな?」

 

「まあ公的な幽霊ではあるな。差し詰、足のある幽霊って所か」

 

「そりゃ良い」

 

久しぶりの再会に冗談を言い合う2人に、長門が気まずそうにしている。なんか役目は終わったっぽいので、長門は部屋を出る事にした。

 

「あー、私は失礼するぞ」

 

「あぁ、出迎えありがとな」

 

「では失礼する」

 

そう言って長門が出て行く。

 

「そうそうコイツがあの円卓の鬼神、ガルム1のサイファーだ」

 

「サイファーです」

 

「相棒、コイツは堅苦しいの嫌いなんだ。気楽に行け気楽に」

 

「そうそう。俺は敬語がそんな好きじゃなくてね。気楽に頼むよ」

 

「そういう事なら」

 

そう言いながら握手を交わす二人。こうして空と陸海の鬼神が巡りあった。

 

「所でアイツらは元気にしてるか?」

 

「いやアイツらはお前と別れた後、全員亡くなった」

 

「そうか.......」

 

「聞いてるかもしれないが、あの一件は全て最重要国家機密だ。他言無用で頼むぞ」

 

「わかってるさ」

 

「それじゃ、俺達はメビウスの所に行く」

 

「行ってら」

 

 

 

執務室前廊下

「で、アイツは一体何者だ?」

 

「それは場所を移す必要がある。今はメビウスに会わねーと」

 

「いや、その必要は無いみたいだ」

 

そう言いながら指を指すサイファー。その先には本を腕に抱えて、廊下を歩いてハンガーの方に向かうメビウス1である。

 

「メビウス!!」

 

「え、あ!ピクシー教官!?それにサイファー教官も!?」

 

居ないはずのピクシーの声に、メビウスは驚いて持っていた本を落としかける。

 

「久しぶりだなメビウス」

 

「えぇ。お二人共、てっきり海外に行ってるのかと」

 

「特別講師の後、本来なら日本を立つ予定だったんだ。だがスカウトされて、今は非公式の航空隊として呉にいる」

 

サイファーの説明にまたもビックリするメビウス。まさか意外と近くに居た上に、スカウトにOKした事が意外だったのだ。

 

「それで今日は何しに?」

 

「何だお前、シークレットボーイから聞いてないのか?」

 

「し、シークレットボーイ?」

 

「あー、長嶺提督の事らしい。俺も詳しくは知らん」

 

ピクシーの発言に訳の分からないメビウスにサイファーが補足する。

 

「俺達はお前の所の部隊と模擬空戦する用に頼んだんだ」

 

「私は「呉の航空隊に居る腕利きの奴らが、お前達メビウスに挑戦状叩き付けて来たんだが、どうする?」って言われただけです。その場で多数決取ったら、満場一致で受ける事になったんですよ」

 

「何だ、シークレットボーイは俺達の事隠してたのか」

 

「まあ、教官と生徒だから名前出したら受けないだろうしな」

 

「知ってたら受けませんでしたよ.......」

 

因みに3人の関係性とは訓練生時代の教官、正確には特別講師と生徒なのである。当時、深海棲艦の襲来で戦死したパイロット補充の為に教官達ご現役復帰した為、教官の補充としてガルム隊や他の武勲を上げた傭兵を雇ったのである。

その時偶々、サイファーとピクシーの担当がメビウスの居た訓練校だったのである。二人がメビウスの才能を見抜き、利点を伸ばせるアドバイスをした結果、太平洋海戦で名を馳せる英雄となったのである。

 

「まあ受けたんだから、きっちり勝負してもらうぞ」

 

「わかりましたよ.......」

 

サイファーの本気モードのトーンで言われた言葉に、メビウスは諦めた顔でハンガーに連行されていった。

 

 

 

30分後 滑走路

『江ノ島コントロール。ガルム隊、メビウス1、メビウス8離陸を許可する』

 

今回の演習のルールを簡単に説明しよう。

・戦うのははガルム隊VSメビウス1とメビウス8(又の名をオメガ11、もしくは伝説のベイルアウター)

・使用機種はガルム隊はF15C、メビウス1と8はF22ラプター

・スタートの合図は4機がヘッドオンからすれ違ったと同時に。

・機関砲とミサイルの弾頭はペイント弾に換装しており、命中したら撃墜判定である。

 

「始まるな。ってか、みんな集まってるし」

 

長嶺が周りを見ると手空きの艦娘、霞桜隊員がそろっており、中にはカメラを回したり双眼鏡装備で観戦してる奴もいる。

 

『ガルム1、離陸する』

 

『ガルム2、行くぜ!!』

 

『メビウス1、行きます!!』

 

『メビウス8、出る!』

 

4機が空に舞い上がる。互いに編隊を組み、そのままヘッドオン体制を取る。

すれ違った瞬間、戦闘が始まる。初手はメビウス1であった。

 

『FOX 2!』

 

「いきなりスプリットS*1か」

 

『うお、マジか!?』

 

『チッ』

 

いきなりすぎる攻撃に、天下のガルム隊と言えどもたじろぐ。しかし、そこは最強エースの一角。直ぐに回避行動に移り、そのまま機銃掃射を加えてメビウス8を堕とす。

 

『メビウス8、撃墜‼︎』

 

『嘘だろ.......』

 

メビウス8もまさか一撃で堕とされるとは思わず、混乱する。しかしメビウス1は二人ならやりかねない為、驚きはするが「あー、やっぱりかー」と言わんばかりにすぐ落ち着く。

 

『ロックオン!FOX』

 

サイファーがミサイルを撃とうとした瞬間、長嶺が無線に割り込む。

 

『お前ら、悪いが訓練中止だ。飛び込みの客を出迎えろ。深海棲艦が現れた』

 

この知らせに4人の顔が一気に強ばる。

 

『幸い、距離がある上に進行速度が遅いから、一度帰還し兵装を変更。その上で出撃しろ』

 

「「「「ウィルコ!!」」」」

 

そんな訳で補給を済ませて、残りのメビウス中隊、グレイア隊、レジェンド隊を加えて出撃する。これに合わせて即応性の高い霞桜も出撃し、艦娘達は後詰め役として出撃している。

 

 

 

御蔵島と八丈島の中間 上空

『こちらレジェンド1、敵を捕捉』

 

『よし、ならやっちまおう』

 

ピクシーの提案に、全員が声高らかに同意する。

 

『全機続け。行くぞ!!」

 

深海棲艦が気付き、対空攻撃を開始する。弾幕で更に黒い煙がボンボン上がり、弾幕も形成される。

 

『よし、花火の中に飛び込むぞ』

 

しかしその程度では止まらない。ガルム隊とグレイア隊が突撃し敵の攻撃を引き付けている間に、レジェンド隊がASM3で戦艦を倒す。更にメビウス中隊も上からスマート爆弾を落として、周りの駆逐艦や軽巡を破壊する。

そうこうしていると、霞桜も到着して一気に殲滅を開始する。

 

「野郎共、かかれ!!」

 

長嶺の号令に隊員達が一斉に弾幕を貼りながら突撃する。長嶺は幻月と閻魔を構えて、弾幕に合わせながら深海棲艦を切り刻む。

 

「オラオラオラオラ!!邪魔じゃ!!邪魔じゃ!!邪魔じゃ!!!!」

 

鬼神とはよく言った物で、敵からすれば鬼神か悪魔である。だって通った後は穴だらけになって、腕か足か首の何れかが飛んでるのだから当然である。

 

『あれが海の鬼神か。納得だ』

 

サイファーもこの評価である。

 

『でもアレ、本気の一割も出てないぜ?』

 

ピクシーのカミングアウトにサイファーが驚く。因みに見た感じ、敵を千切っては投げ、千切っては投げの無双を体現した様な戦いっぷりである。

 

『アレでか!?』

 

『アレでだ。アイツが本気を出せば、先進国だろうが地図から消せる。文字通り存在を歴史書と記憶以外の全てな』

 

この発言は全く持ってその通りであるが、今は敢えて語るまい。語るとすれば、このシリーズが終わって次のシリーズも終わった位だろうか?

何はともあれ、深海棲艦は殲滅。事後を海自に任せ、長嶺達は帰投した。翌日、ガルム隊は呉に帰還したのであった。

 

 

 

*1
180度ロール、ピッチアップによる180度ループを順次、あるいは連続的に行うことで、縦方向にUターンする空戦機動。こちらは高度を下げながらするのに対し、高度を上げながらするインメルマンターンというのもある。

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