最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第七話子鴉

何の前触れもなく始まる(というか作者の気分)長嶺の一日。

04:00、起床。そのまま部屋に隣接した風呂に行き、シャワーを浴びる。

 

04:25、トレーニング開始。鎮守府の周りを全力疾走で10周(雨の時はランニングマシンで代用)。その後柔軟をして腕立て、腹筋、背筋、懸垂、バービーを各150回。さらにパルクールや森林での忍者走*1をして、最後に刀の素振り(偶に居合い)と射撃を行う。

 

07:00、この頃になると艦娘達も起き始める。一方長嶺は部屋に戻って新聞やニュースを見て、世界各国の動きや国内の動きを伺う。

 

07:30、霞桜の幹部会に出席する。一日の動きや現在確認されている裏の動き等を各々と確認、共有する。

 

08:00、朝食。食べる物は様々だが、基本米を食べる。曰く「一日一膳」らしい。

 

09:00、業務開始。ついでに株取引も始める。

 

11:30、この頃には基本全ての業務が終わる。勿論午前のではなく、午後も含めてである。偶に遠征の報告書等は午後から出ないと出来なかったり、緊急で入ったりする事もあるが基本後は自由である。

 

12:00、昼食。食べる物はマチマチ。ラーメンやおにぎり、サンドイッチや自炊する事もある。

 

12:30、これ以降は大体自由。ゲームしてたり、駆逐艦と遊んだり、勉強教えたり、医学関連の研究をしたり、銃の整備したり、昼寝したり、お菓子作りしたり、ホント自由。

 

19:00、夕食。食べるのはガッツリした物。一応育ち盛りの為、基本肉を食べる。曰く「肉は正義、異論は認めん」らしい。

 

20:00、霞桜の幹部会。一日の報告をして終わり。

 

21:00、大体ゲームかテレビを見てる。後、酒盛りに参加したりもしてる。尚、就寝時間は決まってない。眠くなったら寝る。

 

以上、これが最強提督の一日である。

さて超絶無意味な事に約800字使ったが、知っての通り本編には関係ない。あくまで作者の気分と思い付きで生まれただけ。では、本編行ってみよう。

 

 

 

ガルム隊が帰還してから3週間後 江ノ島鎮守府 執務室

『長嶺よ、貴様ならミッドウェーまでどう攻める?』

 

「そうですね、最寄りの島はハワイ諸島で、本国から近いのは南鳥島とトラック島。となると中継地としてウェーク島は抑えておきたいですね。それから保険として、クェゼリンも抑えていいでしょう」

 

『流石だな。ワシも同意見だ。戦略はどうする?』

 

「確か駐留しているのは、どちらも水雷戦隊でしたね。ならば此方は水雷戦隊で誘き出して、戦艦部隊で奇襲って所ですね」

 

現在長嶺は東川とテレビ会議をしていた。今回の議題、と言ってもそんな大層な会議でもないのだが、ミッドウェーまでの攻め方について話している。

 

『他には?』

 

「霞桜による強襲空挺降下での殲滅ですね」

 

『やはり言うと思っておった。長嶺雷蔵大将、貴様にウェーク、クェゼリン両島の攻略を命じる‼︎と、言いたいんだが、南西諸島方面の資源海域に出撃してくれ』

 

「了解しました。作戦日時等は追って連絡いたします。それでは」

 

(さーて、戦力はどうしようかね?)

 

資料と格闘する事、数時間。作戦も戦力もどうにか決まり、参加者する者を呼び出す。

 

「提督、吹雪出頭しました!」

 

「おう、まだ集まってないから寛いでいいぞ。何なら、これ食うか?」

 

そう言いながら、クッキーの入った皿を差し出す。

 

「いただきます。.......美味しいですれ何処で買ったんですか?」

 

「作った」

 

「手作りですか!?というか、提督って料理できたんですね」

 

「まあ、仕事柄な。霞桜の総隊長なってからは余りやらないが、昔はスパイ任務とかで色々な職業に就いたからな」

 

「例えば何ですか?」

 

「宮廷コック、警察官、車の修理工、建設作業員、サラリーマン、レーサー、大学教授、学生、キャバ嬢とか色々だな」

 

「色々やってるんですね.......」

 

他にも色々やっているが、それを語る前にドアが勢いよく開き島風が飛び込んでくる。

 

「おうっ、おうっ!」

 

「島風も来たか。さて、では2人を呼び出した理由を説明しよう。二人には一時的に、南西方面艦隊に入って貰う」

 

「南西方面艦隊って、金剛さんの所ですか⁉︎」

 

「あ、あぁ」

 

目をキラキラさせながら、テンション高めで聞いてくる吹雪。余りのキャラの代わり様に、長嶺も少したじろぐ。

 

「ここ最近、深海棲艦の動きが活発になっていてな。これをちょっと捻りに行く。作戦海域は今スコール真っ只中で、航空隊は出せない。そこでお前達と金剛型4隻、それに俺を含めた7人で出撃する事に」

 

今度は廊下から地鳴りが聞こえる。

 

「な、何ですか!?」

 

事情を知らない吹雪は怯えているが、長嶺と島風は「あー、またかー」程度にしか思っていない。というかぶっちゃけ、こんな事するのは一人だけである。

 

「てーーいーーとーーくーーー!!」

 

ドアをぶち破らんばかりに突撃し、そのままジャンプしながら空中で回転する。

 

「バアアアアニングゥ!ラアアアアブ!!」

 

抱き着こうとしてくるが、普通に避ける。

 

「ううう、提督〜。避けるなんてヒドイデース」

 

「お前なぁ、あの馬力と成人女性の質量で来られたら俺が死ぬわ」

 

「でも提督なら抱き締められるデース」

 

「いやまあ、出来なくはないけど。でも疲れるし」

 

「ううう、ん?貴女が噂のNew faceネ!!」

 

さっきまで提督と話していたのに、いきなり自分の方に向いた為、吹雪はビックリする。というか、コイツビックリしてばっかじゃね?

 

「は、はい!特型駆逐艦の吹雪です!!」

 

「元気の良いガールネ!デモ、元気の良さじゃ私達も負けないネ!!」

 

「?」

 

「なーんか嫌な予感」

 

「金剛型一番艦、英国で生まれた帰国子女の金剛デース!!」

 

「同じく二番艦、恋も戦いも負けません!比叡です!!」

 

「同じく三番艦、榛名、全力で参ります!」

 

「同じく四番艦、艦隊の頭脳、霧島!」

 

「「「我ら金剛型四姉妹!!」」」」

 

「デース!!」

 

最後に後ろでド派手な爆発がドカーンと有りそうだが、執務室内なのでそれは有り得ない。というか金剛から後、お前ら何処から湧いて来た?

 

「あ、あぁ.......」

 

吹雪が勝手に描いていたらイメージの中の、超お淑やかな金剛にヒビが入る。

 

「待て待て、比叡とかはいつ忍び込んだ?」

 

「それは勿論、こっそり迅速に忍び込んで」

 

「完全に高速戦艦の能力の無駄遣いだな。もうちょい他の使い道あんだろ.......」

 

そう言いながら頭を抱える長嶺。いつもの事ではあるのだが、それでも頭が痛くなる。取り敢えず、作戦の説明をして出撃日、つまり翌日となる。でもって出撃ドックに待てど暮らせど、島風が来ないのである。

 

「あんにゃろ、絶対忘れてやがる」

 

「ブッキー!ブッキーは何も聞いて無いですカ!?」

 

「うぇ?わ、私ですか?特別何も」

 

「提督、どうなさいますか?」

 

霧島の問いに、少し考えてから命令を下す。

 

「こうなったら、無理矢理合流するぞ。手当たり次第に探せ‼︎」

 

そんな訳で、島風探しが始まった。だが、そう簡単にはいかない。島風はフリーダムすぎな奴であり、前は執務室のコタツに挟んでたり、鳳翔の膝枕で昼寝してたりと行動にとっかかりが無いのである。そんでもって、金剛型と吹雪が取った方法は

 

「ハート海域、どれだけ巡っても〜♪」

「ハイハイ、ハーイハーイ!れ」

 

「恋の弾丸、あなたに届かない〜♪」

「三式弾!三式弾!」

 

「お願い助けて、羅針盤のー、妖精さーん♪」

「Wow,congratulations!!」

 

まさかのライブである。というか吹雪に関しては巻き込まれただけ。

 

「吹雪、状況説明頼む」

 

グリムに監視カメラ映像を当たる様頼んで来た長嶺が、目の前の謎の状況に困惑する。まあ探すと言っていたら、何故かライブしてたのだから当然である。

 

「それが「テコの原理こそ最強デース」って言って、何か歌ってます」

 

「歌でドアブリーチするつもりか?音波砲か何かですか?」

 

想像以上に意味不明すぎる理由に、頭が痛くなる。因みに普通なら蝶番を銃でぶっ壊したり、ハンマーでドアをぶち破る。

 

「にわかアイドルに何か負けないからね!!」

 

と言いながら、どこからとも無く空き箱ステージに乗ってマイクをぶん投げてくる那珂ちゃん。

 

「聞いた事がありマース。貴族が手袋を投げて決闘を申し込む様に、アイドルはマイクを投げて決闘を申し込むのデス!」

 

「いや、聞いた事ねーよ」

 

そして空中を舞っているマイクを金剛が取ろうとした瞬間、霧島が横から掻っ攫う。

 

「マイク音量大丈夫?チェック、1、2。よし、問題ありません。はい、お姉様」

 

「サ、サンキューネ、霧島」

 

「さ、さぁ!これで決闘成立!!アイドル頂上決戦の開始始よ!!」

 

「イェース!私は逃げも隠れもしませんヨ。那珂チャーン!!」

 

ノリノリの金剛型と、一応合わせる吹雪。というか霧島に至っては、ペンライト二刀流で振ってる始末。

 

「もうツッコミが追い付かん。誰か助けて」

 

長嶺さん、いよいよツッコミ放棄しました。

 

「ブッキー、榛名、霧島、テートク!此処は私と比叡に任して、ぜかましを探すネー!!」

 

「お姉様、分かりました!」

 

そんな訳で島風探し、続行である。

所変わって、今度は花壇の前の木陰にあるベンチ。北上と大井が談笑している、何とも和やかな風景である。

 

「私の計算によれば、92%の確率で女の子は甘い物が好き。ですが、それよりも好きな物が有ります。それは甘い恋の話。さあ、甘い語らいに引き寄せられなさい」

 

そう、霧島の作戦とは、北上と大井のラブラブ空間を餌に島風を釣ろうと言う物だ。だが霧島はある重大な計算ミスを犯している。それは大井が北上といる時は、他の娘は基本近づかないのである。さらに問題が一つある。

 

「あの、さっきから何か?」

 

「お気になさらず」

 

まさかの二人の座るベンチの1m程前にゴザを敷いて、その上に正座しながら観察していたのである。隠れる気ゼロであり、大井からしてみれば北上さんとの時間を邪魔する奴でしか無いのである。勿論二人は直ぐに逃げ出し、それを追ってフェードアウトする霧島。

 

「霧島の計算が外れるなんて.......」

 

「えぇ!?」

 

「いや、計算ガバガバだわ」

 

「仕方ありません。榛名、出撃しますれ」

 

三度目の正直で、マトモに探し出せるのだろうか?

 

「で、榛名?コレなんだ?」

 

「はい。島風ちゃん捕獲装置です」

 

どう見ても鳥の捕獲装置の餌を、金剛の雑誌に変えただけである。カゴも鳥用のちっさいヤツ。

 

「お姉様方や霧島と違い、非才の榛名にはコレが精一杯。ですがコレなら、きっと島風ちゃんも」

 

「そうですね」

「そうっすね」

 

何か突っ込むのが馬鹿らしくなった2人。生返事である。

 

「掛かりました!」

 

「え!?嘘!!」

「マジかよ!?!?」

 

たしかに掛かった。掛かったのだが、掛かったのは奴が

 

「ヒエー!!」

 

「何やってんだ、比叡」

 

まさかの比叡である。

 

「あ、いや、違!体が勝手に動いてね!?」

 

「わかります、お姉様!」

 

「いや、わかっちゃうんですか!?」

 

何かもう、これ以上は余計ややこしくなりそうなので、長嶺は行動に移す事にする。

 

「埒がアカン。吹雪!他の金剛、霧島とも合流し、出撃ドックに行け‼︎俺は上空から島風を探し出す!!」

 

そんな訳で立体機動で、空を舞う長嶺。数分後、公園で連装砲ちゃんと戯れてるのを見つけて、上から掻っ攫ってドックに向かう。その後すぐに出撃し、南西方面に進出する。

 

 

 

数時間後 南西海域

「うわ、凄い雨」

 

一帯はやはりスコールで大雨であり、航空戦力の投入は無理であった。え?現用のジェット機なら問題ないって?金が掛かるだろ。

 

「みんなおっそーい!」

 

「島風ちゃん、先行しすぎです!!」

 

「そうよ!旗艦は提督なのよ!!」

 

榛名と比叡が注意するが、

 

「駆けっこしたいの?負けないよー!」

 

とか言って走り去る。会話にすらなってないのには、敢えて突っ込まない。

 

「っと、お出なすった。八咫烏、土蜘蛛と桜吹雪を落とせ‼︎犬神、先行し撹乱しろれ金剛型は火力支援、吹雪と島風は雑魚と遊んでやれ。行くぞ!!」

 

「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」

 

斯くして、戦いの火蓋は切って落とされた。

 

「撃ちます!!Fire!!!」

「五連装酸素魚雷、行っちゃってー!」

 

金剛型による火力制圧を軸に、周りの艦を島風が高速性を生かして倒す。一方長嶺は

 

「ヘッドショット、次」

 

桜吹雪による狙撃で、一方的にヘッドショットで倒し続けていた。吹雪はと言うと、目の前の戦闘にオドオドしていた。それでもしっかり魚雷も叩き込んで、深海棲艦を倒す。調子に乗って前に出るが、

 

「吹雪、下がれ!」

 

ニヤリと笑いながら、ル級や取り巻きが吹雪に集中砲火を浴びせてくる。初めて実戦で感じる恐怖に慄き、あろう事か膝から崩れ落ちて動かなくなる。

 

「嫌だ.......嫌だよ.......」

 

そんな事はお構い無しに砲弾を発射するル級。吹雪も砲弾が当たって死を覚悟するが、砲弾は当たる前に起爆する。

 

「おいおい吹雪。恐怖も楽しまねーと、この先やっていけんぞ」

 

そこに立っていたのは、二挺の銃を構えた提督の姿であった。お得意の射撃で、着弾前に信管を作動させたのである。

 

「提督、わたっ、わたっ」

 

「ほら落ち着け、落ち着け」

 

そう言いながら、頭に手を添えて撫でる。

 

「いいか、兵士に取って恐れは大事な要素だ。恐れは身を縛る鎖になるが、上手く操れば敵の裏をかく武器にもできる。だが恐れすぎるな、わかったな?」

 

そう言い聞かせる。

 

「さあ、パーティーの時間だ!!」

 

一人刀を構えて突撃する長嶺。金剛らは見慣れた光景だが、吹雪はそうはいかない。

 

「提督!戻ってください!!」

 

「ブッキー、提督はアレでいいんデス」

 

「でも、提督が死んじゃいます!」

 

「吹雪ちゃん、大丈夫よ」

 

比叡が吹雪を落ち着かせる。

 

「吹雪ちゃんの言う通り、普通なら提督のやる事は無謀です。深海棲艦に対して、普通の人間は無力ですからね。でも、提督は違います。あの人、凄く強いんですよ」

 

「それに提督は、色々と特殊な様ですからね。この間の真珠湾奇襲の時も、戦艦棲姫とレ級を単騎で殲滅したんですから」

 

榛名と霧島も口々に話して、吹雪を宥める。少し落ち着いた頃、後ろで大きな爆発が起きる。吹雪が反射的に後ろを見ると、目の前に広がる光景に釘付けとなった。

その光景とは提督が深海棲艦を圧倒するどころか、完全に遊んでいる姿である。砲弾を銃弾で爆破し、弾丸を装填した瞬間の砲塔に撃ち込んで砲塔諸共爆破させ、手刀で喉を貫き、刀で片っ端から切り刻む。その常識外れの戦い方に、吹雪は恐怖する。金剛四姉は見慣れて来た為、余り驚かない。程なくして、最後の一隻となったレ級にトドメを刺す。

 

「殲滅完了。よし、帰るぞー」

 

 

 

南西方面海域での戦闘より数週間後 執務室

 

「提督、失礼するぞ」

 

「おぉう。どうした?」

 

「どうしたは無いだろ。私は今日の秘書艦だぞ?」

 

「そういやそうだった。あ、そうだ。長門ならこの地形をどう攻める?」

 

ウェーク島の衛星写真を見せる長嶺。そこには環礁特有の珊瑚と、深海棲艦の群れが映し出されていた。

 

「環礁海域。となると、艦娘でも戦闘に支障が出るな」

 

「そうだ。速度と雷撃が制限される上、この量は戦艦の砲撃だけで捌ききれない。そこで囮として足の速いのを近海に侵入させ、ちょっかいかけて後は外まで引っ張って砲撃という作戦を立ててはみた。しかしここは、現場の声も聞いて置きたい」

 

「出来なくはない。だが保険に火力も必要だろう。とすると、最適なのは三水戦だろうな。ただ問題は」

 

「吹雪か?」

 

苦虫を噛み潰したような顔をしながら、うなづく長門。

 

「正直、前線に出したら周りを巻き込む事も十分有り得る」

 

「まあそうかもな。だが、一度アイツの訓練を見てこい」

 

「了解した」

 

そんな訳で偶々訓練をしていた吹雪の様子を見に行く長門。ついこの間の出撃で頭から海に突き刺さるわ、海の上を転げ回るわ、潜水するわとマトモに航行できなかっな吹雪が、しっかり航行しながら弾を命中させる姿であった。

 

「まさか、この短期間で上達しているとは.......」

 

「驚きましたか長門さん?」

 

後ろから現れた神通が声をかける。

 

「あぁ」

 

「あの子は確かに艦娘としての実力は有りませんでした。しかし、どうやら素質は有ったようです。あの子は戦闘の後、すぐにトレーニングを始めて頑張っていました。その結果が、コレです。それにこの間の南西方面での海戦でも、あの子は出撃したんですよ」

 

「フッ、やはり提督は凄い人だ。第三水雷戦隊、旗艦神通。このまま出撃準備に入れ。今度の作戦は、お前達に掛かっている」

 

「はい!!」

 

 

この翌日、会議室に作戦に参加する艦娘達が集められた。参加艦艇は以下の通り。

戦艦 

金剛、比叡、榛名、霧島

 

軽巡洋艦

川内、神通、那珂、球磨、多摩、夕張

 

駆逐艦

睦月、如月、弥生、望月、吹雪、夕立

 

 

艦娘達が話に花を咲かせていると、霞桜第一中隊中隊長のマーリンが入ってくる。

 

「おや、まだ総隊長はお出でになっていないのか」

 

「マーリンさんっぽい」

 

口々に挨拶する艦娘達。マーリンはそれに丁寧に一つ一つ答えていく。

 

「えっと、初めまして吹雪、です」

 

「君が期待の新人さんですね?噂は聞いていますよ」

 

「マーリンさんはね、霞桜第一中隊の中隊長さんで凄腕のスナイパーなんだよ」

 

睦月が説明する。マーリンは少し複雑な顔をしながらうなづく。

 

「そんなに凄い物じゃないですよ。寧ろ私は臆病なチキン野郎です」

 

「え、えっと」

 

「ふふふ、悪口だと思っていますか?ですがスナイパーにとって、臆病やビビリなのは、とても重要なのですよ。

スナイパーは相手に悟られては意味がないのです。それなら臆病で物陰に隠れるのが上手くないと、直ぐに倒されてしまうのですよ」

 

「そうなんですね」

 

そんな和気藹々とした雰囲気も長門と長嶺の入室によって、一気に本気モードとなる。二人が入ってくるや否や、全員が並びマーリンが号令をかける。

 

「敬礼!」

 

全員が敬礼し、2人も返礼する。

 

「さてさて、それじゃ早速作戦を説明する」

 

長嶺が直ぐに話し始める。

 

「皆も知っての通り、先日の戦いに於いて皆の頑張りで基地を叩き、近在の深海棲艦も駆逐されつつあるな」

 

「先日の.......」

 

吹雪は大失態の動きを脳内でプレイバックする。そんでもって、あまりの恥ずかしさに顔を赤くする。

 

「これにより、まだ詳細は言えないが大規模反攻作戦を展開する事が決定された。今回の戦いはその前段だ」

 

全員が驚きの声を上げる。

 

「目標はここ、ウェーク島だ。作戦は簡単、夜戦による奇襲だ」

 

「やったー、夜戦だぁ!!」

 

「姉さん!」

 

夜戦忍者でお馴染み、川内がはしゃぐ。そしてそれを嗜め、恥ずかしがる神通。この鎮守府ではお決まりである。

 

「基本の作戦は三水戦が囮となって敵を引きつけ、予め展開しておいた四水戦と三戦隊で挟撃、殲滅する」

 

「総隊長、では我々の目標はどこです?」

 

「マーリンら第一中隊にはクェゼリン島を攻めてもらう。ここはウェーク島とも近い為、片方が攻撃されるともう片方から増援が来る可能性を孕んでいる。その為、一足先に空挺強襲による奇襲で攻撃してもらいたい。高難易度だが、マーリンの隊なら問題ないだろう」

 

「ご期待に添える結果をお見せ致しましょう」

 

「質問はあるか!!」

 

「「「「「「.......」」」」」」

 

「無いようだな。では、作戦開始は翌日だ。装備の確認が終わったら、今日は休め。では解散!!」

 

 

 

翌朝 訓練所

「鋼の艤装は戦う為に。高鳴る血潮は守るために。秘めた心は愛する為に。ありがとう、大好き、素敵、嬉しい。大切な人への大切な気持ちを伝えることを躊躇わないで。明日会えなくなるかもしれない私たちだから」

 

吹雪を探しに長嶺が歩いていると、訓練所で赤城が吹雪と睦月にこの言葉を贈っている所だった。

 

「赤城らしいな」

 

「提督、いつからそこに?」

 

タイミングを見計らい出てきた長嶺に、赤城が質問する。吹雪と睦月に関しては、突然出てきた事に驚いている。

 

「今来た所だ。さて、吹雪。こっちは来い」

 

「は、はい!」

 

「コレを渡しておこう」

 

そう言って、腕時計型のガジェットを差し出す。

 

「何です、コレ?」

 

「グリムとレリックに頼んで作って貰った、霞桜の装備に加えるつもりのプロトタイプだ」

 

「時計か何かですか?」

 

「時計は勿論の事、GPSの送受信、海図の投影、無線、コンパス、ナビ機、温度計と湿度計、それから水圧計と気圧計も付いた万能モデルだ。まあ差し詰め、俺からのヒヨッコ卒業の証書って所か」

 

「ありがとうございます!」

 

渡したついでに、吹雪の姿を観察する。その目には自信が宿っており、多分これから伸びていく事を感じさせる。敢えてその事は語らず、長嶺はさっさと退散する事にした。

 

「んじゃ、渡すもん渡したし俺は戻るわ。まあ、精々沈まない様に頑張れ。ルーキーは敵を倒すより、生き延びる事を最優先にしろ。命がアレば、どんな屈辱を味わっても晴らす機会なんざ幾らでもある」

 

「提督、もし帰って来れたら」

 

「ストップ。その先言ったら、大体沈むフラグだから言わないように」

 

「はい.......」

 

そう言って去る長嶺。三人はその背中を見送った。それから数時間後、マーリンを見送り長嶺は横須賀鎮守府へと向かった、

 

 

 

数時間後 横須賀鎮守府 執務室

「雷蔵、よく来てくれた」

 

「おう。で、俺は何処に連行されるわけ?」

 

「地下司令室だ」

 

「んじゃ、案内して貰おうかね長官殿?」

 

「ついてきたまえ、長嶺くん?」

 

そんな訳で地下司令部に入る。東川曰く「真上でツァーリ・ボンバが爆発しようが、問題なく指揮を取れる」らしい。

 

「さて、ちょうど作戦開始時刻だな」

 

「えぇ、先陣の三水戦がそろそろ出撃します」

 

東川と長嶺が話していると、衛生からの映像でも出撃が確認される。

 

「長官、江ノ島鎮守府より第三水雷戦隊が出撃しました。予定通り、ウェーク島に向かっています」

 

一時間後に四水戦と三戦隊も出撃し、ウェーク島近海に向かう。数時間後には何方も配置に付き、第一中隊もクェゼリン島の攻略を開始した。

 

「霞桜も始めたようです」

 

「そうか。ん?あの2人は何をしているんだ?オペレーター、3番モニターの映像を拡大して、メインモニターに投影しろ」

 

「はい」

 

オペレーターの操作でメインモニターに映像が映る。そこには川内と神通が零式水偵をカタパルトに設置し、射出している映像であった。

 

「偵察機を出すのか」

 

「敵の目の前でやっちゃったか。鬼が出るか蛇が出るか、何も無いと良いんだが」

 

今三水戦は敵の近くの岩礁に居るのだが、岩で死角になっているが艦載機を出すのは結構博打である。

 

「お返しと言わんばかりに、深海棲艦が航空機を出さないと良いんだが」

 

東川は長年の経験から、最悪の一手を導き出す。水雷戦隊自体、敵に肉迫しての雷撃をする部隊である。その為速度と雷装に力を入れており、それ以外は余り高いステータスではない。そんな艦隊が敵の攻撃、それも航空攻撃に晒されては厄介な事この上ない。

 

「長官、マーリンから連絡が入りました。一時退席します」

 

「わかった」

 

 

「マーリン、クェゼリンは占領したか?」

 

『えぇ、作戦は成功しました。部隊の被害も数名が被弾した事による骨折と打撲であり、完全勝利と言えるでしょう』

 

「しかし無線で来る筈の成功の報告を電話でしたって事は、何かあったんだな?」

 

本来なら無線での連絡だったのだが、電話できたという事は何かしらのアクシデントが発生した証拠である。

 

『それが余り大きな事ではないのですが、敵さんの数が足りないのです。事前情報にあったヌ級10隻の内、4隻がどこにま居ませんでした。更に一個水雷戦隊もです』

 

「そうか。念の為、ウェーク島の方に応援に行ってくれ」

 

『了解しました。しかし一部の部隊を島の警備と残存敵の捜索及び掃討に当てますが、それでもよろしいですか?』

 

「あぁ、あくまでも保険だ。下手したら到着する頃には決着が付いているかもしれないし、まあ気楽に頼む」

 

『了解しました。では』

 

そう言って電話は切るが、長嶺は一株の不安を抱え、懐に忍ばせたある物を握りしめてから戻る。

 

 

「戻ったか。で、何があったのだ?」

 

「クェゼリン島の攻略が完了したそうです。それとは別に、少し嫌な予感を孕んだ情報も入りました」

 

「ほう。何だ?」

 

「クェゼリン島に事前情報にあったヌ級4隻と一個水雷戦隊が姿を消し、付近にも見当たらないそうです」

 

「確かにソレはマズイかもしれないな」

 

そう言いながら東川は頭の中で色々計算を始める。しかしその計算は答えが出る前に止まる事になる。

 

「湾内深海棲艦に動きあり!三水戦の存在が気付かれました!!一個水雷戦隊に追跡されています!!!!」

 

オペレーターの報告に戦慄が走る。

 

「奇襲はご破産だが、当初の作戦は使えるな。そのまま引っ張って、四水戦と三戦隊が展開している海域まで撤退させろ!四水戦と三戦隊にも戦闘指示を下令し、三戦隊は必要に応じて三水戦の後退を支援せよ!!」

 

この命令は3隊に伝達されたが、作戦は深海棲艦の最悪の一手により崩壊する。

 

「大変です!三水戦の進路上にヌ級4隻と別の水雷戦隊が展開しています!!」

 

「チッ、やっぱりこっち側に来たか」

 

長嶺は脳内で現在の状況と戦力を手早く纏め、海図に落とし込む。

 

(現在手持ちの部隊は二個水戦と一個戦隊、それから精鋭二〜三小隊。この内接敵したのは一個水戦であり、しかも敵は航空機。一個水戦と戦隊が救援に急行中。小隊も向かっているが、空路だとしても距離的に間に合わない。しかも動ける部隊で航空機に十分な対抗力を持つのは一個戦隊のみであり、相手の航空機の数も多い。焼け石に水だな。

当然の如く、航空支援なんざアテにはならない。そんなの待ってたら、まず全滅だ。ならばやはり、コイツを使うか)

 

「長官、一つ許可して貰いたい事があります」

 

「言ってみろ」

 

「子鴉を使わせてください」

 

「何だと⁉︎」

 

子鴉、それは長嶺の国家機密の一つに指定されている能力である。この能力を使う事により、最重要国家機密に指定されている『日本の切り札』たる姿を見せる鍵ともなる物である。

 

「国家機密なのは分かっています。しかしここで艦娘達を失うよりはマシですし、海のど真ん中で見てるのは艦娘と深海棲艦だけの物です。仮に他国の衛星に見られたとしても、子烏だけなら問題は無いと思います」

 

「しかしな.......」

 

「今こうしている間にも、艦娘達は敵の攻撃に晒されています。確かに轟沈した所で、新しく同じ個体を作れば問題ありません。しかし彼女達は例え同じ個体が作れたとしても、人間と遜色ありません!目の前で救える命を救わないのは、殺人と変わりません!!」

 

鬼気迫る気迫に、止められないと悟る東川。例え力尽くで止めても撃退されるのは目に見えており、殺す事も多分厭わない。そうなって欲しくない為、選択肢は許可するしか無い。

 

「わかった、もう好きにやってくれ。責任も取ってやるから」

 

「感謝します!」

 

そう言うと、司令室の外に飛び出す。階段を登る時間も惜しい為、グラップリングフックで一気に登る。そのまま高く飛び上がり、鎮守府の屋上に着地する。

 

「ウェーク島は、こっちだな」

 

ウェーク島のある方角を向き、懐から飛行機っぽい見た目の7枚の黒い式神の紙を取り出す。

 

「行け!!」

 

それを前に投げ出すと、重力を無視して加速しながら直進し虚無空間を作って中に消える。

その頃、三水戦と応援に来た四水戦は敵機との対空戦に突入していた。

 

 

 

「那珂ちゃんは皆んなの物だから、そんなに攻撃しちゃダメなんだよぉぉ!」

 

「うわぁぁ!!ぶんぶん煩くって、落とすの難しいっぽい〜!」

 

「撃ちます、Fire‼︎」

 

「勝手は、榛名が、許しません‼︎」

 

三戦隊の金剛型四姉妹も三式弾をボンボン撃つが、余りに数が多く完全に焼け石に水である。そんな中、誰も気付かないが近くに七つの虚無空間が現れて、長嶺の投げた式神が出てくる。7枚の式神は赤黒い炎を出して燃え出し、炎が消えると艦娘が使う艦載機と同じサイズの航空機が現れた。

その見た目は普通のジェット機とは異なる、特異な見た目をしている。まず尾翼がX字になっており、4枚ついている。更に主翼が可変翼であり、主翼下には長い箱が二つずつ付いている。色は真っ黒な下地に金色の幾何学模様が付いており、国籍章が付いていない。その代わりに白いシルエットで二刀の刀を逆手に持った人間と、三つ足の烏、犬の三つが一緒に描かれたマークが付いている。

この7機は出てくるや否や、敵に向かって突撃を始める。

 

「また敵デスカ!?」

 

「お姉様、今度はジェット機です!」

 

「ジェット機には対応しきれません!」

 

「ヒェェェ!!」

 

最初に気付いたのは三戦隊。通報によって三水戦と四水戦にも情報が行くが、対応はできる筈ない。音速を超えて飛行する航空機に、人力で対空砲を当てるのは不可能である。「運が良ければラッキーパンチで落とせるかな?」程度であり、まあまず試すだけ無駄である。しかし艦娘達の予想とは裏腹に、7機は敵中に突っ込むと上部と下部に何かがせり出し、いくつもの小型ミサイルを発射した。まるでマクロスのミサイルのような、ミサイルの弾幕である。

 

「味方クマ?」

 

しかもミサイル自体は小さいのに、一発一発の爆発が巨大なのである。炸裂すると4〜5機、密集していれば10機近くを火の塊に変える。更にはレールガンらしき物や、大口径機関砲まで多彩な武器で艦載機を撃退していく。粗方の制圧が終わると、三水戦の方に向かい支援攻撃を開始する。

 

「例のジェット機が来るよ!」

 

川内が叫び、皆んなが反応する間に上空を通過する戦闘機。今度は四つの箱からミサイルを出して、一気に殲滅していく。目の前で繰り広げられる光景に困惑しつつも、取り敢えずは味方である為、最大限利用する事にした神通は、敵が戦闘機に気を取られている間にヌ級と水雷戦隊の相手を始める。

 

「全艦魚雷発射!てぇぇぇぇ!!」

 

60本近い酸素魚雷は、ヌ級と取り巻きに居た深海棲艦ごと完膚なきまでに叩きのめす。ヌ級が沈み、航空機もその悉くを撃墜された為、残存艦は撤退していく。

 

「やだ、髪の毛が傷んじゃう」

 

勝利ムードに呑まれて全員が油断してしまう。如月も潮風に晒されて髪の毛が傷む事を気にし始める等、隙だらけである。そんな中、黒煙を吐いて今にも墜落しそうな深海棲艦の艦載機が、如月に近づく。それに気付かず、遂には急降下して爆弾を落とし、機体は爆発する。機体の爆発音に気付いた時には時既に遅く、避ける事も破壊する事もできなくなっていた.......筈だった。

 

 

ビーーーーーーーーー

 

 

戦闘機から発射された一筋の赤いレーザーが爆弾を貫き、爆弾を空中で破壊。如月の着弾を防ぎ、中破相当のダメージを許すも沈没の心配は無くなった。

7機の戦闘機は艦隊の上空で編隊を組み、まるで無事を喜ぶかのように一周回ってから西の空へとその姿を消していった。

 

 

 

横須賀鎮守府 屋上

「あぶねーあぶねー。危うく如月が沈むとこだった」

 

そう言う長嶺の頭上に7つの虚無空間が現れて、式神に戻った戦闘機が手元に落ちる。

 

「雷蔵、よくやったな」

 

「親父か」

 

「お前の作戦指揮の仕方は、ワシの理想を具現化したような物だった。艦娘を兵器や駒ではなく、一人の人間として扱い苦楽を共にする。正に真の提督に相応しいだろう。以降の作戦、お前に全て任せる。好きなようにミッドウェーを攻めてくれ」

 

「了解です、長官殿?」

 

「さて、じゃあ早く帰って仲間達を労ってやれ」

 

「そうするよ」

 

 

 

 

*1
霞桜の隊員から名付けられた独自のトレーニング。木と木、正確には枝と枝に様々な方法で渡り、道具なしで縦横無尽に森林を動き回るという物。

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