数日後 セカンド・エノ 執務室
「ほんで、これが例のヤツか」
「はい。まず我々の、言うなれば国旗はこうなりました」
大和が持ってきた紙には、この軍団のアイコンとなるデザインが描かれていた。艦娘達は旭日旗、KAN-SEN達は自分達の陣営のマーク、霞桜は逆手持ちの刀を持った鎧武者の腕が左にあり、刀の峰から長嶺の持つ銃器達が飛び出し、八咫烏と犬がその下にいるという物であった。
今回のアイコンでは、その全てが融合している。中心には犬神をモチーフにした雄々しい犬がおり、右にはロイヤルの王冠を被ったライオン左には北方連合の吠える熊がおり、ライオンの右側の背中にはユニオンの鷲の翼、熊の左側の背中には八咫烏の翼が生え、犬神には東煌の龍の角が生えている。犬神は首に重桜の桜を吊り下げ鉄血の十字架モチーフの盾を持ち、ライオンはサディアの盾を握り、熊はアイリスのハルバードを持ち、胸にはヴィシアのアイコンをぶら下げている。この3体の背後には旭日旗をモチーフにしたマークがあり、中心の円からは放射状に長嶺の武器と大隊長達の使う武器が飛び出している。そして1番下には、持ち手が上に切先が下に向く様にクロスさせた刀のマークがある。これは長嶺の愛刀だ。
「各陣営のアイコンを合わせたのか。良いデザインだ」
「ありがとうございます。そして呼び名ですが、KAN-SENの皆さんは『アズールレーン』、艦娘艦隊はフリーダムフリート『自由なる艦隊』と名乗ります。霞桜の皆さんはそのままです。そしてこの軍団ですが、今後『ワールドディザスター』と名乗ります」
アズールレーンと霞桜はそのままではあるが、フリーダムフリートもワールドディザスターも悪くない響きではある。特に今後、この勢力は確実にアングラな事ばかりやるだろう。ディザスター、災害というのは間違いではない。
「悪くない響きだな。気に入った」
「ふふっ」
「おぉ、どうした大和?やけに嬉しそうだな」
「いえ。何だかようやく、みんなが貴方の隣に立てた気がするんです。これまででも充分まとまっていましたけど、あんな形ではあったとは言え結果的に国家のしがらみからも解放されて、私達はようやく一つになった気がして。提督は常にお一人で先頭に立ち、常に私達を導いてくれていました。でも今度からは、一緒にとまでは言えずとも、すぐ横を歩いてられる気がするんです」
正直、大和の言葉に面食らった。だが確かに、彼女の言う通りかもしれない。これまで長嶺は1人だった。正確にはあの日、親友を失ってからワンマンアーミーをやってきた。霞桜の連中だろうと、艦娘だろうと、KAN-SENだろうと、家族と呼んだ連中居ても何処か気持ち的には一線を引いていた気がする。それに秘密も持っていたし、格差もしていた。
だがこれからは、そんな事をしなくてもいいのだ。みんなで考えて、納得いくまで話し合って、実行に移して答えを見つけられる。こんなにも嬉しい事はない。
「そうだな。それじゃ、頼むぞ筆頭さん」
「はい!」
大和がそう言って出ていくと、長嶺は軽くデスクで作業を開始する。連合艦隊司令長官と江ノ島鎮守府提督と海上機動歩兵軍団『霞桜』総隊長から解放されたとしても、長嶺はこのワールドディザスターの長であることは変わらない訳で普通に執務はある。
適当に執務を行なっていると、長嶺のスマホが鳴った。普段使いではなく、衛生携帯機能を持った特別性の方である。
「はいはい」
『同志よ、私だ』
「ムージャか!!どうしたよいきなり!!」
電話の相手はアフガニスタン等を拠点に活動している、中東民族独立解放戦線の総指導者ムージャ・トゥルキスターニー・ジブリールからであった。因みに中東のこういう組織と聞くと、なんかヤバそうなテロリストのイメージはあるが、実際の所はリベラル主義者の集まりで今の時代に即した戒律の解釈をしており、イスラム原理主義系の敵である。
とは言えアメリカとかと仲がいい訳でもなく、流石に指名手配はないがブラックリスト入りは果たしている。だがイスラム圏では話せる組織ではあるので、お互い近すぎず遠すぎずで関わっている。というかそういう風に長嶺が仲立ちをした。
『どうしたではない。同志が頼んでいた情報、それが分かったのだ』
「仕事早いな。データは転送したのか?」
『いや、色々積もる話もある。出来れば直接会いたい。そっちも国を飛び出したのだ、会おうと思えば会えるだろう?』
「そうだなぁ。こっちもちょっとばかり金が欲しいし、ドバイの裏カジノ行って巻き上げて、そのままそっち行くわ」
『ドバイにカジノだと?』
謎にカジノがあるイメージが根強いドバイだが、あそこもがっつりイスラム教の国なのでカジノというより賭博行為自体が法律で禁止されている。唯一競馬と宝くじはあるらしいが、ラスベガスみたいなカジノはない。
「知らないのも無理はない。場所は言えないが、とある施設の地下にある。と言うかデカすぎて施設跨ってるし、何なら出入り口は幾つかある」
『そんな物があったのか』
「あの辺の超上流階級の一部が運営してるらしくてな。まあ当然っちゃ当然だが、黒い噂の絶えない連中だ。どうせ後ろ暗〜い金が元手だし、潰す勢いで荒稼ぎしてくるわ」
『まさかインチキか?』
「ムージャくん。日本にはだね、バレなければ犯罪ではないという言葉があるのだよ」
『同志が言うと、本当にそう聞こえてならん。まあ、同志がコチラに迷惑さえ掛けなければ何をしようと自由だ。いつ会える?』
長嶺はチラリと予定表を確認する。だがそれは提督時代の癖であり、今となっては予定も何もない。
「1週間後だ。場所は追って連絡してくれ」
『あぁ。会える事を楽しみにしているぞ』
電話を切ると、早速軍資金の調達に移る。ドバイの銀行に金を送金し、当面のホテルとドバイからアフガニスタン行きのチケットも予約しておく。だがこの時、長嶺に電撃が走った。「これ1人で行くの勿体なくね?」と。
実を言うと現在の霞桜には、ハニートラップ要員がカルファンを除いて殆ど居ないのだ。ハニートラップといっても本番とかまでは行かせないが、単純な女という武器で相手の油断を誘う人材が全く居ない。だがここには艦娘とKAN-SENという、そこらの美女が普通に見える絶世の美女が大量にいる。これを使わない手はない。
(取り敢えずオイゲンは確定。ヤベンジャーズ.......は俺以外に触られた瞬間に、機嫌が良くて睨み、デフォで罵倒、最悪殺す。うん、ダメだな。重桜、及び一部の鉄血艦も見た目的にアウト。ツノやらケモ耳は誤魔化せない。駆逐艦、軽巡は倫理的にアウト。
条件はまず第一にスタイル、というか爆乳が1番だ。もしくはロリだが、これはアウトなので除外。それから好みの差はあれど、妖艶、もっと言えばエロい雰囲気の奴に弱い。特に上流階級は普通に女を取っ替え引っ替え出来るしな。となると……)
長嶺はリストを開く。リストには名前の他、性格や特性なんかが書かれており、長嶺自身全て暗記している。だがそれでも、念の為見ながらやりたい。
(メンバーは艦娘からは愛宕と鈴谷、KAN-SENからはオイゲン、ブレマートン、セントルイス、インプラカブル、ザラ、ポーラ辺りか。流石にこれ以上は連れて行けないし)
という訳で早速、この8人を執務室に呼び出した。かなり異色な面子であり、集まった側から結構驚いていた。
「さてお前達。ここに集まってもらった訳だが、何故か分かるか?」
「えー?うーん、全員提督と結婚済み?」
「まあそれもあるが、ごめん全く関係ない」
「性格のタイプが一緒、って訳でもないよね?」
「YES」
「何かしら?」
「わかったわ。指揮官ったら、こ・れでしょ?」
インプラカブルが自身の胸を両手で寄せて、上下にぷるんぷるん揺らす。恐らく本人は冗談なのだが、ぶっちゃけ殆ど正解である。
「インプラカブル、それほぼ正解」
「あら冗だ——え?」
「指揮官もお盛んね。そういうの、すごく燃えるわ」
「んもう、ハーレムプレイするんですか♪」
「あー違う違う。そうじゃなくてだな」
地味に嬉しそうな愛宕のブレーキを掛けて、例のハニートラップ要員の説明をした。納得はしてくれたが、ポーラから質問が出た。
「ねぇ。それって私達が男を引っ掛けないと行けない訳?」
「いや。流石にそこまでは求めてない、というかむしろ止めろ。今回行くのはさっきも言った通り裏カジノ。それもドバイだ。金で何でもかんでもどうにかなると考えてる、倫理観欠如組が多い。更に言えばイスラム教に於いては、男尊女卑の考え方がある。ぶっちゃけ奴隷の売買なんかもあるんだ。
裏カジノである以上、そういう所にはそういう連中も大量にいる。そこで変に引っ掛けようとしてみろ。耐性もスキルもないのに、普通に食われるぞ。無論性的に。しかも今回は任務とは名ばかり、殆どバカンスだ。仮に売られても助けられるだろうが、期間がどうなるかは分からない。だからまあ、今回は俺の周りで雰囲気慣れ感覚と普通にカジノで遊べ」
ドバイは確かに良い場所である。だが光がある所には闇がある訳で、人身売買が横行しているのも事実だ。しかも今回は闇カジノという、その手の連中の溜まり場。どんな事が起こるかも未知数だ。向こうから来たのを遇らうならいざ知らず、こっちから絡んでいかれては流石に対処しきれない可能性が高い。
「はいはーい!じゃあさじゃあさ、今から新しい服買いに行こうよ!どうせなら新しいので旅行したいじゃん!」
「ねぇ、指揮官くん。その闇カジノ、ドレスコードはあるかしら?」
「勿論だ。ドレス系は3〜4着持って行くといい。とは言え、恐らく滞在するのは5日間程度だ。その間には観光もするつもりだし、普段着と、あとは念の為、水着も持って行け。あそこのビーチとかプール、豪華だぞ」
「指揮官。お金、どうするの?」
「スポンサーがここにいます。オイゲンさん」
最早、愚問である。こっちは実質金は無限にあるのだ。文字通り、湯水の如くジャブジャブ使える。この日は女性陣はショッピングに行き、新たな服を仕入れて来たらしい。
翌日、一行はプライベートジェット機に偽装した実質戦闘機に乗り込む。戦域殲滅VTOL輸送機『黒鮫』にエンジンをスペックダウンさせた物を搭載し、チャフとフレア、20mmバルカン砲4基を装備している。最高速度はマッハ5を叩き出す。数時間後にドバイだ。
数時間後 ドバイ国際空港 プライベート区画
「これがドバイ!綺麗〜!!」
「ホント!マジ綺麗!!」
「文字通り、砂漠のオアシスね」
「みんなはしゃいでますね〜」
「あら。そういう愛宕も、目がキラキラしてるわよ?」
見事にはしゃぐ女性陣。初めての海外に加えて、こういう以下にもなVIP待遇の旅行も初めてである。この反応も仕方ないだろう。
さてさて、こんな大興奮な彼女らであるが、服装もかなり気合が入っている。愛宕は黒のキャミソールに下が透ける半袖服、水色のミニスカートにストッキング、ミント色のハイヒール。鈴谷は白の肩&ヘソだしのシャツに、デニムショートパンツに黒のサンダル。オイゲンは上から黒のサングラス、ヘソと背中は隠れてるのに腰だけは素肌が見えている赤い半袖ニットに、黒のタイトスカート、黒のハイヒール。ブレマートンは白のブラトップ、黒のショートパンツ、右は網タイツ左は靴下で、紺色のバスケシューズ。セントルイスは黒の肩出しシャツに青いスカート、靴には黒のハイヒール。インプラカブルは白のヘソ出しチューブトップに白のサマージャケット、下には淡いデニム色のパンツスカート、ザラとポーラはお揃いコーデで、ザラの方は薄い緑色の胸元の開いたミニスカワンピースに白の帽子、ポーラは胸元の開いた淡い紫色のミニスカワンピースに麦わら帽子を合わせている。
で、最後に長嶺だが、こっちは結構普通である。女性陣が見事にセクシーな服を着こなしているが、こちらはザ・シンプル・イズ・ベスト。上から白の帽子、グラサン、黒の半袖シャツ、カーキー色の七分丈短パンに、黒のサンダルである。
「やっぱり指揮官くんは大人ねぇ。全く動じてないわ」
「ルイス。これはな、擬態だ。あくまでそう演じてるだけだ」
「なら実際のところは?」
「それは…」
長嶺がタラップが掛けられてドアが開くや否や、飛行場に飛び出してそのまま豪快に着地を決める。
「うっしゃぁぁぁぁ!!!!!遊び倒すぞぉぉぉぉ!!!!!!!!」
そう。1番楽しんでいるのは、他の誰でもない。長嶺雷蔵その人である。長嶺はサクッと入国手続きを終わらせると、外に待機させていたロールス・ロイスPHANTOM EXTENDEDのリムジン仕様車に乗り込む。
「あっ、そうだ。お前達にこれ渡しとかないと」
長嶺はバックの中からスマホと、カードを取り出して全員に配り出した。スマホはわかるが、カードの方は得体が知れない。
「そのスマホにはドバイとアフガンで使える決済アプリを突っ込んである。それを翳せば公共交通機関は勿論、買い物だってできる。
カードの方は俺の方で手配したアメックスセンチュリオンだ。限度額とかも無いから、じゃんじゃん使ってくれて構わないぞ」
ドバイには多数の富豪がいるが、このカードを持っている者はそこまでいない。だが霞桜の隊員は、このカードを必ず持っている。因みにこれ、入るには向こうからオファーがないと入れない特別仕様である。
「ねぇ指揮官。このカード、鉄製?」
「そうだ。正確には鉄ではなく、チタン製だ。そのカードを持っていれば、ドバイでは何でも出来る。基本、大体の店でそれ見せれば信用状代わりになる」
「じゃあ指揮官もやっぱり持ってる訳?」
「俺のはこっちな」
長嶺が取り出したのは同じ金属製のアメックスセンチュリオンではあるが、何処かチタンよりも色が薄い。黒というより、白に近い。
「これは?」
「アメックスセンチュリオンを超える、アメックスマスターセンチュリオンカードだ。コイツはこのカードを運営している社長に頼んで作ってもらった、世界に数枚のカードだ」
「え、どういう事?」
「このカードはアメリカンエキスプレスってアメリカの会社が運営しているんだが、ここの会長と社長とは知り合いでな。ここの会社の株も保有してて、一応非公式だが役員もやっている。それでこのカードは、その役員とか社長一家の親族しか持っていないカードって訳だ」
「(ねぇ、ポーラ。指揮官って)」
「(いつものことながら、規格外ね.......)」
KAN-SEN組は勿論、艦娘組も霞桜組も、何なら父親たる東川も、長嶺の底は未だ知れない。ただ1つ言えるのは、コイツが完璧超人を越えてる事だけである。
「あら。何かしら、あの横浜のホテルみたいな建物は?」
「お?もう見えて来たのか。あれがブルジュ アル アラブ ジュメイラ。今回泊まる、ドバイどころか世界一のホテルだ。今回は最上階のロイヤルスイートを取っている。一応、バックアップとして下のスイートも2室とった」
「.......それ、一体いくらしたのかしら?」
「全部でえっと、あー、350だか400だか。どっちだっけ?」
オイゲンの問いにそんな、まるで数百円の話かのように答える長嶺。普通に考えて西成でもなければ、格安だろうと宿泊料金は4桁台後半から。その為、数百円なわけない。となればこの額は、0が後ろに3つばかし付けなくてはならない。お陰でもう全員、驚くのを通り越して軽く呆れている。
間も無くしてリムジンはホテル前のロータリーに泊まり、一行はホテルの中へと入っていく。中は豪華絢爛の一言であり、金やら宝石やらで煌びやかだ。
「すごいわね.......」
「ねぇ提督。アレってもしかして、全部純金製?」
「あー、あの柱は流石に違う。とは言え、高純度の金を延ばした金箔だった筈だ。多分、あれをぶった斬って売っただけで普通にスポーツカー買えるだろ」
「早速チェックインをしないと。指揮官、早くカウンターに行きましょう?」
「インプラカブル。ここはな、チェックインが部屋で行われるんだ」
「?どういう事かしら?」
「まあ付いてこい」
インプラカブル含め女性陣は何が何やらわかってないらしいが、ここは最高級ホテル。そもそもチェックインなんて、些末な事はしない。
一行はエレベーターに乗り込み、最上階のロイヤルスイートに登る。最上階はロイヤルスイートのみであり、エレベーターを降りるとすぐに両開きの扉があって、扉の前には燕尾服を着た男が立っていた。
「当ホテルへようこそ長嶺御一行様。私、宿泊中に身の回りのお世話を担当させて頂きます。バトラーのファーフーリーと申します」
「え、指揮官。これ、どうなってるの?」
「超高級ホテルともなると、各部屋に1人専属の執事が着くんだ。バトラーにお願いすれば、大抵のことはやって貰える」
「はい。お風呂、ベッドの用意は勿論、観光の案内や耳寄りな情報、ルームサービス、お風呂上がりのマッサージも担当致しますよ。女性陣の皆様には、女性のマッサージ師を手配させて頂きますのでご安心を」
そう言って一礼するファーフーリー。その所作はベルファスト並みであり、改めてここが普通では無い超上流階級の生きる世界だというのを感じさせられた。
部屋に入るとファーフーリーからの部屋の説明があり、一通り説明が終わったタイミングで長嶺が動いた。
「では、私はこれにて」
「バトラー。早速、頼まれてくれないか?」
「はい。なんなりと、長嶺様」
「アラブの塔は2塔あり。陽の光、常闇の影は等しく常在なり」
まるで何かの呪文のように唱えると、ファーフーリーの顔付きがスッと変わった。さっきまではにこやかな笑みだったが、この言葉を出した瞬間、笑顔が消えた。
「はて、何のことやら分かりませんな」
「コイツが通行証だ」
長嶺はポケットから金色のメダルを取り出した。表には天板を動かす悪魔、裏には山羊の頭蓋骨を持った悪魔が描かれている。
「.......これは失礼致しました、長嶺様。承知致しました。ですが本日はメンテナスのため、終日休業しております。明日の夜20:00よりオープンしますので、それまでは普通の観光をお楽しみくださいませ。では、失礼致しました」
「指揮官。今のメダルって、一体何なの?」
「文字通り通行証さ。あの合言葉とメダルを見せれば、入場権利を借りれるんだ」
「借りる?」
「何せ秘匿性の高い、というか120%違法のカジノだからな。コイツは今はまだ単なる金貨に過ぎない。中にICチップが入ってて、それを有効化してやらないと入る前に弾かれるんだ。で、帰る時は無効化する。チップは生体認証式で他人が連続して触れたり、長期間持ち主以外が触れ続けると、内部チップは自戒。単なる高価な金貨になる」
「ま、まるでスパイ映画ね」
違法な上に世界有数のVIPを顧客にする以上、これ位のセキュリティや隠れ家的システムは必須である。何よりこういうロマン溢れるヤツは、例えVIPだろうと大好きなのだ。ロマンに興味なくとも、特別待遇というのは麻薬の様に作用する。
「さーて。そんじゃ、観光にでも行こうか」
「でも雷蔵。プランはあるのかしら?」
「ない!!」
「そんな自信満々に言わなくても.......」
「まあでも、ほら。そこから景色を見てみろ」
長嶺の指差した窓から外を見てみると、向こうのほうに何か人工的な巨大島が見える。SFのコロニーの様な、円形の中に枝分かれした細長い島が何本もある、そんな不思議な形をした島だ。
「パーム・ジュメイラ。世界最大の人工島であり、ドバイの工業拠点でもある。あそこにはドバイ1デカいショッピングセンターがある。あそこに行けば、すぐにでも観光気分を味わえるさ。それが終わったら、下で泳ぐとしよう。水着持ってきてる事だし」
長嶺はニヤリと笑いながらそう言った。今回の長嶺、カジノもそうだが、それと同じくらい楽しみにしてることが2つある。1つはこの美女軍団と何処かを練り歩き、惨めで可哀想な性欲に支配された男共の上を行って最高の優越感に浸る事。そして2つ目は、水着姿を拝む事である。
これまでは戦闘とそれに付随する事と、自分のためだと偽って誰かの為に動く事が多かった。だがゆっくりと時間をかけて家族達との出会いやら佐世保での一件を経て吹っ切れた今の長嶺は、これまでの反動か自らの欲望願望が全面に押し出される事が多くなった。水着姿を拝みたいのは、ぶっちゃけ性欲に支配された男共と同じ発想である。もっと言おう、夜戦するつもりである。
まあそんなお色気回(?)は次回に持ち越しである。今回はいつもよりは短いが、代わりにセカンド・エノの概要を説明して終わろう。
大和発案の第二の江ノ島建造計画から生まれた拠点であり、第二の江ノ島である。これまでの霞桜秘密拠点とは違い、初の本部機能を代行できる大規模拠点となる。アニメアズールレーン第五話、本編では第十七話『廃墟ビル群での戦闘』にて登場した廃墟ビルが立ち並ぶ、通称『廃墟島』が場所に選定された。当初は上のビル群を改装、修復する予定だったが調査すると海底下に江ノ島の2.5倍もの広大な空間がある事が判明し、そっちに拠点を移す事となる。上のビルにも施設はあるが、基幹施設は地下に納めている。
地下空間にはソーラーパネルから取り込んだ太陽光を使って明るくしており、昼と夜の区別、温度調節が行える。また各所に植物や川、滝等も設置してある為、息苦しさは勿論、窮屈さも感じさせない様になっている。
地上施設
・大規模滑走路
C5ギャラクシー2機が同時に離陸できる程の面積を誇る巨大滑走路があり、普段は海中にその姿を隠している。管制塔には半壊していたビルを改装し、自動管制システムを設置している。
機体は滑走路横の廃墟が格納庫となっており、ここで保管できる。床がエレベーターにもなっているので、そのまま地下に降ろして分解整備や修理も可能である。
・UAVカタパルト
固定翼機型UAV用のカタパルトであり、島内に計42ヶ所隠されている。緊急時にはここから航空機が飛び出し、防衛の初動や偵察を行う。
・ドライドック
一応大型船を隠せるのが2つと、中型艦様のが20個ある。廃墟の中に隠されており、整備なんかもしっかりできる。大型艦は今のところないが、中型艦用には防衛用の無人戦闘艦が格納されている。
・演習施設
ビル内部や近海を改装して作られた演習施設であり、ARによる敵を出現させられる。特に廃墟だらけなこの島では、グラップリングフックやゲリラ戦の演習がやり易く、艦娘とKAN-SEN対しても最近ではこういった演習を繰り返している。
・娯楽施設
廃墟ビルの屋上を改造し芝生を植えて完成したテニスコートや、ビルに芝生をしき、各種ギミックを搭載させたゴルフコート、野球場、サッカーコート、アメフトコート、バンジージャンプ、ウォータースライダー、アスレチックなんかがある。この辺は未だ色々と増改築を繰り返しているので、要望次第で順次増やしていく予定である。
・エノビーチ
気合いで作り出したビーチ風のプール。コンクリで固めて高さを調整しつつも、砂を敷いたり岩を置いたりしてしっかりとしたビーチを作り出した。更衣室、海の家、コテージも完備している。
・パーティービル
先述のエノビーチをの目の前にあるビルで、見た目こそ半壊した廃墟だが、それはホログラムであり内部はしっかり改装して豪華なパーティールームになっている。更に各階には高級ホテルの客室の様な部屋もあるので、最悪飲み過ぎた時なんかはここに行けば問題ない。
・長嶺別荘
長嶺がちゃっかり自分で作った部屋。地下にも部屋はあるが、しんみりしたい時の為に作り出した。自分で作ったと言いつつ、なんだかんだで部下の手も借りているので、かなり豪華な物に仕上がっている。島内で3番目に高いビルの最上階とその下の階を流用しており、1階部分は主にリビングダイニングとキッチン、ゲーム部屋、露天風呂とジャグジー付きの風呂なんかがある。2階部分には普通に大人数でバーベキューとかも出来そうな巨大テラスと、大型ベッドルームがある。
・長嶺秘密基地
こっちは本当に1人で居たいとき用に作った、誰も知らない秘密基地である。他と違い殆ど手を加えずに廃墟を流用しているので、ミニ冷蔵庫、ハンモック、元からある壊れた小型のソファ、ミニライト、ミニコンロと本当に秘密基地である。その為制作時間、脅威の5分である。
海中施設
・空中超戦艦『鴉天狗』専用ドック
海中に作った専用ドックであり、普段はサブ発電機兼サブコントロールルームとしてセカンド・エノを動かしている。もしセカンド・エノを放棄する様な事態になった場合は、脱出船としても機能する。その場合は後述のセントラルタワーからドック内に全人員を移動させ、そのまま出港する手筈となっている。
・海流発電装置
セカンド・エノ周辺の海流をエネルギーに換える画期的な発電システムであり、セカンド・エノ4つ分のエネルギーを生産できる。余剰分は蓄電池に貯められ、非常動力となる。
地下施設
・セントラルタワー
中心部に聳え立つ巨大ビルであり、霞桜と鎮守府として機能がここに収まっている。内部には射撃訓練場、VR、AR、シュミレーター訓練場、大中小の各会議室、全員が一堂に介する超大型の講堂、資料保管庫、超大型のデータサーバー、長嶺や各セクションの代表の執務室がある。
・大食堂
セントラルタワーの1階にあり、ここで基本的には食事を摂る。流石にオーシャンビューの食堂とは行かないが、それでも緑豊かな庭園が見えるしキッチンの設備面は江ノ島を凌駕している。自動の調理施設や補助設備が増え、かなりの面を自動化してある。しかし拘りの部分だけは手作業工程を残しているので、味は落とさず効率を上げる理想的な物に仕上がっている。
・格納庫
北西部にある大型格納庫。霞桜の各車両は勿論、戦闘機なんかもここに格納する。大規模滑走路の格納庫のエレベーターが行き着く先はここであり、分解整備なんかもここで出来る。
・霞桜、パイロット用宿舎
北部から北東部にかけて建てられている霞桜とパイロット達、要は男性用の宿舎である。宿舎と聞くとなんだか大部屋な気がしなくもないが、1人一部屋の個室が与えられている。一般兵クラスなら4LDKクラスの程度の部屋、パイロット及び中隊長クラスなら2階付き6LDK相当の部屋が与えられ、大隊長達は3階付き8LDK相当の部屋が与えられている。
とは言え、中には修学旅行気分を味わいたい者もいる為、一応大部屋も完備されており、申請さえすれば大部屋で仲間と寝ることもできる。二段ベッドがある部屋や、単純な畳の大部屋だったり意外とバリエーションは豊か。
・艦娘、KAN-SEN用宿舎
こちらは東部にある艦娘とKAN-SEN用のビルであり、こちらは全員に5LDK相当の部屋を与えられる。部屋の設備は霞桜の物と変わらないが、こちらの場合は姉妹艦や部隊で一緒に過ごせる部屋が規模に合わせて与えられている。
・メガリゾート
南東部から南部にかけて作られたデパート兼、たまたま見つかった温泉を用いたスパリゾートが併設されている。内部には艦娘とKAN-SEN用の入渠ドックも入っている為、文字通りの湯治が行える。また内部には水耕農園施設も併設されており、様々な野菜を育てている。
・長嶺邸宅
メガリゾートと艦娘、KAN-SEN用宿舎の間に作られた特別棟で、下層階の殆どは長嶺の愛車達が眠るガレージと、専用の各種研究設備、工作設備が備わっており、居住区画は6階層に別れており、1階には各代表者が集まって会議ができる会議室というか東城会の幹部室の様な部屋がある。2階には小規模のパーティールーム、シアタールーム、オーディオルーム、カラオケ部屋があり、3階には川付きの庭園と小さな和室小屋があり、4階にはリビングルーム、キッチン、書斎、サーバールームがあり、5階には例の温泉を使った豪華な風呂とサウナがあり、6階にはゲーム部屋と寝室、それからバルコニーがある。
・工廠
南西部と西部にある巨大工廠。内部には日用品を作る工場から、各種兵器の整備、開発、製造ができる設備が整っている。更に倉庫も兼ねており、様々な物資が格納されている。
・モノレール
拠点内を走るモノレールであり、これを使って各ビルを回る事ができる。駅はビル内に入っており、24時間365日運行している。
防衛兵器
・無人戦闘艇『オッゴ』
全長 120m
幅 20m
最高速力 65ノット
機関 ウォータージェットポンプ
武装 127mm単装速射砲 2基
75mm機関砲 8基
25mm機関砲 6基
20mmバルカン砲 4基
垂直ミサイル発射装置 128セル
四連装艦対艦ミサイル発射筒 2基
連装短距離艦隊空ミサイル発射筒 8基
Mk32短魚雷発射管 2基
セカンド・エノ防衛用に作られた無人戦闘艦。普通に現代型駆逐艦を相手取ろうと勝てる装備であり、人が乗らないのをいいことに高速性と高機動を獲得している。尚名前は何処ぞのジオンが運用している、空を飛ぶ棺桶から取ってきた。
・無人偵察艇『ストーカー』
全長 20m
幅 3m
機関 ウォータージェットポンプ
最高速力 90ノット
武装 なし
セカンド・エノ防衛用の早期警戒艇であり、武装は一切搭載していない。その代わりに各種レーダー装備と電子戦装備を満載しており、潜水機能も有している。
・A160ハミングバード攻撃機型
ボーイング社のA160ハミングバードのエンジンをより高性能な物に換装し、AH64Eアパッチ・ガーディアンの武装とレーダーシステムを実装した機体。
・MQ58改ハイパーヴァルキリー
ステルスUCAVのXQ58ヴァルキリーに、F22のシステムと『黒鮫』のエンジンを実装し、M61バルカン砲1基、ASM3を装備可能なウェポンベイ4つと、2発のサイドワインダーを装備可能なウェポンベイ2つを装備している。エンジンの換装によりマッハ8を叩き出しつつ、各所の姿勢制御スラスターによりぐりぐり動く化け物機に仕上がった。
・RQ20アベンジャー
ウェポンベイを無くした代わりに、早期警戒機兼電子戦機として運用できる様に各種レーダーと電子戦装備を装備した機体。常時この機体を周辺に展開する事で、空からの目となっている。
・アサルトドローン
ウォッチドッグスレギオンの鎮圧ドローンを元にして製作した、拠点付近や拠点内部に侵攻を許した場合に対処するドローンである。武装にはM134ミニガン2基、AA12ショットガン1挺、Mk47グレネードランチャー1基を搭載している。
・チェエイサードローン
ウォッチドッグスレギオンのCTドローンを元に制作した、アサルトドローンと同じ任務を帯びる機体である。ただしこちらはアサルトドローンよりも機動性が上がっている為、追跡に特化している。武装はGAU19バルカン砲1基、スティンガーミサイル10発、ハイドラロケット弾16発ポッド2基である。
防衛設備
・Ram 3800門
・VLS 4900セル
・227mmロケット弾12連装発射機 180基
・127mm速射砲 800門
・76mm速射砲 900門
・ボフォース57mm機関砲 1200門
・ボフォース40mm機関砲 2300門
・エリコン35mm機関砲 3100門
・ファランクス20mmバルカン砲 5800門
・GAU19バルカン砲 8900基
・M2重機関銃 10,000挺
・MG14z 15,890挺
・M134 26,000挺
・無人戦闘艇『オッゴ』 30隻
・無人偵察艇『ストーカー』 80隻
・A160ハミングバード攻撃機型 180機
・MQ58改ハイパーヴァルキリー 230機
・RQ-20アベンジャー 130機
・アサルトドローン 3500機
・チェイサードローン 1200機