兎協奏曲番外編 天野雪兎は魔王である   作:ミストラル0

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はじめましてな人もまたの人もミストラル0です
短編集にて割とそれなりに好評だったシリーズの長編版でございます

長編版ということで色々修正したり設定変更した部分もありますが、とりあえず原作前からスタート


〜鷲尾須美の章〜
転生


居眠り運転トラックとの交通事故で即死したはずの村上雪人(むらかみゆきひと)は目を覚ますとベッドの上であった。

 

「(あれ?何で俺生きてるんだ?)」

 

あの事故の際、隣に乗っていた同僚を庇おうとして衝撃が自分に来るようにハンドルを切ったと雪人は記憶している。

 

「(それと、この身体の違和感………まさか)」

 

そこで雪人は自身の身体が成人していたかつてのものではなく、赤ん坊程に縮んでいる事に気付く。

 

「(これ、所謂異世界転生ってやつか?)」

 

それにしては現代とあまり差異の無い部屋の様子から現代に程近い世界観の世界であると推測した雪人は情報を集める事にした。

幸いにも今世の名前は直ぐに判明し、『天野雪兎(あまのゆきと)』という事が判った。

そして、この世界が何の世界なのかも知る事が出来た。

 

『神世紀286年1月1日』

 

雪兎が初めて年越しを経験した時の暦がこれであり、更に少し経ってから雪兎の誕生日が神世紀285年2月3日だと知る。

更には住んでいるのは香川県だという。

 

 

「(神世紀………神暦、そんで香川って………“ゆゆゆ”じゃねぇか!?)」

 

正式タイトルは『結城友奈は勇者である』で、2015年にバーテックスと呼ばれる敵が出現して世界は滅亡の危機となり、2018年頃には四国を除いた地球上の全てがバーテックスにより蹂躪されてしまう。

その後、“勇者”と呼ばれた少女達によってバーテックスに対抗した始まりの物語『乃木若葉は勇者である』通称『のわゆ』。

しかし、初代勇者と呼ばれる少女達は主人公である乃木若葉一人を残して全滅し、奉火祭という生贄の儀式を経て一度は危機を脱した。

それから暦は西暦から神暦と改められ現在に至る。

原作の開始は前日談の『鷲尾須美は勇者である』通称『わすゆ』が298年、『結城友奈は勇者である』こと『ゆゆゆ』が300年に始まる。

雪兎は『ゆゆゆ』に登場する先輩ポジションの勇者部部長の犬吠埼風と同い年である事からも無関係で済むとは思えない。

 

「(とはいえ、何処ぞの虹の赤ん坊じゃないから赤ん坊じゃ何も出来ないしなぁ)」

 

それからしばらくは子供らしく振る舞いつつもやれる事を少しずつ増やしていき、情報を集めながら“その時”に備えて手を打っていった。

 

***********************

 

神世紀289年

 

今世の両親は天野雪定(ゆきさだ)と天野美兎(みと)といい、美兎の父親が社長をしている電子機器メーカーINABA*1で社内恋愛の末に結婚したらしい。

だが、電子機器………パソコンやスマホ等の端末からゲーム機に至るまで西暦時代から発展が低迷している分野らしく、特にスマホは西暦時代とほぼ変わらない姿のままというのだ。

 

「いや、300年近くあって何でここまで技術低迷してんの?」

 

もしかしたら天の神の逆鱗に触れる可能性を恐れて発展しなかったのか、四国しかない閉鎖された世界故に発展しなかったのかわからないが、死んでも治らなかったメカヲタクとしては許すまじき事態であった。

なので雪兎は一石を投じる事にした。

既に子供ながら専門書を読み漁る普通ではない子供と認知されている雪兎は両親に最新のタブレット端末を購入して貰い、それを使って現行の二世代先のOSを開発し、それを雪定を通じてINABAに提出したのだ。

それが評価され、雪定は昇進する事になるのだが………

 

「まさか例のOSを作ったのが儂の孫とはな」

 

「(思いっきりバレてるし)」

 

OSを作ったのが雪兎とバレ、母方の祖父である稲葉徹心(いなばてっしん)に呼び出されてしまったのだ。

 

「雪兎よ、前々から思っておったがお主、普通の童ではないな?」

 

「(あっ、そっち方面でもバレて〜ら)」

 

「別に普通でないからと差別するつもりは無い。ここには儂しか居らぬから話してみよ」

 

「随分と突拍子も無い話になりますよ?」

 

そう断ってから雪兎は徹心に自身が転生者である事を明かす。

 

「なるほどのぉ………それならばあのOSの出来にも納得がいくわい」

 

「し、信じて下さるんですか?」

 

「お主のような童がここまで理路整然と説明しておるのだ。これが童の妄想と片付けるよりは前世があると言われた方が信じられるわ」

 

どうも祖父である徹心はそういう方面にも理解があるらしく、雪兎の話を信じた。

そして、今後も何かするなら自身が後ろ盾になると約束をしてくれた。

これにより雪兎はそれまで辛うじて持っていた自重を投げ捨てる事になる。

*1
美兎の旧姓が稲葉




早速自重しない兎と爺
これからどうなっていくのか………

お楽しみに
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