今回はアシュラ・ゴーレム決着編となります
以降は単一ボスにこんな話数使う事無いと思います
芽吹達がアシュラ・ゴーレムと激闘を繰り広げている頃、雪兎と亜耶はそれをモニターで観戦していた。
「おっ、第二形態まで削ったか」
「けど、まだあの悪夢の第三形態が………」
そう、あのアシュラ・ゴーレムにはまだ第三形態が存在する。
第三の面である冷徹の面に切り換えた形態で、第二形態が赤熱なのに対して表面を氷で覆い、武器も岩製から氷製の斬属性主体へと変化する。
また、周囲2mに速度低下や氷結を付与するデバフフィールドまで発生させるとかいう序盤に出てくるにはクソなボスである。
そもそも第三形態まであるボスがファーストボスな時点でクソ?それはそう。
「さて、お手並み拝見といくか」
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Another Side 楠芽吹
第二形態になったアシュラ・ゴーレムは強敵で、浅霧さんが第一形態で片眼を潰した事で切り換わった後もその面には死角が発生しており何とか立ち回れてはいるが、手にした武器でリーチが伸びたせいでアタッカー組は攻め込む事が難しくなったものの、斬属性耐性がなくなった事で攻撃の通りはよくなったのは朗報と言える。
一方の後衛の3人は水に耐性が出来てしまったせいで加賀城さんのメインにしていた水属性アーツも有効ではなくなってしまい、もう1つの地属性も耐性持ちの為に今はストライクカノンの射撃に切り換え、浅霧さんは幻属性の他に風属性をセットしていたので加賀城の代わりに射撃と風属性のアーツを使用してもらっている。
残る山伏さんは風と時属性をセットしており、こちらも時属性が有効の為、射撃とアーツを交互に放っている。
そうして少しずつダメージを与えていくが、私達も何度か攻撃をもらってしまい消耗してきている。
そんな中、加賀城の攻撃が偶々正面の憤怒の面の右眼に当たる。
「当たった!?」
「ラッキーヒットではあるけどナイス!」
これで2カ所の眼を潰した事となる。
だが、ここで突如アシュラ・ゴーレムは持っていた武器を全て手放してしまう。
また、赤く熱していた身体も元の色に戻っていく。
「これって、まさか………」
「そりゃあ、3つあるんだし、あるよね………“第三形態”」
浅霧さんの言葉を肯定するかのように再び頭部が回転し、まだ眼の潰れていない第三の面へと切り換わる。
すると、今度は身体を氷が覆っていき、手には氷で出来た剣が6本現れる。
「【アナライズ】」
直ぐ様浅霧さんがアナライズをかけ直すと、やはり耐性が変化していた。
【アシュラ・ゴーレム(第三形態)】
攻撃属性:水、風、時、幻、斬
有効属性:火、地、空、斬、打
耐性属性:水、風、時、幻
アシュラ・ゴーレムの第三形態こと冷徹の面
これまでのダメージをボロボロになった身体を覆った氷で強引に補修して最後の抵抗に出た最終形態
赤熱していた身体を強引に冷却したせいで防御力は低下しているが、攻撃速度は上昇している
また、身に纏う冷気で敵対者の行動を阻害する
「これを倒せば終わりって事ですわね!」
「待って!弥勒さん!」
これまでと違い有効属性に斬属性が追加された事で近接攻撃が通じると、弥勒さんがブレードバレルで斬り掛かるが、アナライズの文面通り近接の間合いに入った瞬間に弥勒さんの身体の表面が白く霜に覆われ目に見えてその速度が遅くなる。
対してアシュラ・ゴーレムは動きの遅さをカバーする為にリーチの長い武器や大柄な武器を使っていた第二形態と違い、素早い動きで6本の剣を振るい弥勒さんを斬り払う。
バリアと咄嗟に防御態勢を取れた事で致命傷は避けられたものの、弥勒さんは大きく弾き飛ばされフロアの床を転がった。
「なっ!?」
「速い!?」
ただ、速くなったのは攻撃速度だけのようで、移動速度はこれまでとあまり変化はなく弥勒さんへの追撃がなかったのは幸いである。
「弥勒さん、大丈夫?」
「え、ええ………ですが、あの冷気は厄介ですわ」
「ただでさえ手数が厄介だってのに速度低下バフとかエグいね………」
「けれど、それだけあちらも必死ということ」
「ならアタッカーの手数を増やしゃいいだろうが」
「「えっ?」」
そこでこれまで静かだった山伏さんの口調が変わった。
「や、山伏さん?」
「あ〜、まだ出てくるつもりは無かったんだが、このままじゃ埒が明かなそうだったんでな。説明は後で“しずく”に聞け」
どうやら山伏さんは二重人格者だったようで、この戦況を見かねてもう1人の人格が出てきたようだ。
確かに山伏さんのセットしている属性は両方共有効ではない属性の為アタッカーに転じてくれるのなら手数の問題はカバー出来る。
さらに………
「あ、あの!楠さん!これ!」
加賀城さんが私に自身のストライクカノンを差し出す。
「わ、私はアーツで援護するので!これを!」
「二刀流………確かにアプリのおかげで片手でも使えるからやれなくはなさそうだけど………」
「いえ、ありがとう、加賀城さん」
難色を示す浅霧さんだが、私と弥勒さんにとって“それ”はある意味馴染みのあるもの。
そう、かつての選抜での訓練は“二刀流”………それに慣れていた私からすれば加賀城さんの申し出は非常にありがたいものだったのだ。
そうして加賀城さんのストライクカノンを左手で握り私達は最後の反撃へと移る。
「フォワードは私と弥勒、それから山伏さん!浅霧さんは眼を狙った遊撃!加賀城さんはアーツでの援護をお願い!」
「わかりましたわ!」
「今回は従ってやるよ………次はわからねぇけどな!」
「オッケー、私はリーダーって柄じゃないから楠さんに任せた」
「はい!」
「「おおおおお!」」
弥勒さんが右、山伏さんが左、そして私が正面からアシュラ・ゴーレムへと接近すると、先程の弥勒さんの様に身体に冷気が纏わりつき白い霜となる。
「【レキュリア】!」
そこへ浅霧さんが状態異常を回復する風属性のアーツを発動させて私達のデバフを解除する。
「【ニードルショット】!」
加賀城さんも地属性のアーツを放ち援護してくれる。
私達の総攻撃に脆くなったアシュラ・ゴーレムの身体もボロボロになっていく。
「これで!」
ラストアタックとばかりに私は両腕のストライクカノンの乱舞を叩き込んでいく。
「終わーー」
パキンッ!
その時、右腕の私のカノンの刃が砕けバランスを崩してしまう。
それを見逃すアシュラ・ゴーレムではなく、最後の抵抗と隙だらけの私に氷の剣が迫る。
「楠さん!!」
だが、その刃は私に届く事はなかった。
「か、加賀城さん!?」
何故ならそれは割って入ってきた加賀城………の前に展開された光の盾によって受け止められていたからだ。
「加賀城さん、それは………」
「え?え、えぇ〜!?」
どうもその光の盾については加賀城さんもわからないようだが、おそらく加賀城さんの前でドヤ顔をしている彼女の“成長した”と思われる「安全第一」と書かれたヘルメットを被る半透明の精霊の仕業なのだろう。
その光の盾が一際強く輝くと、アシュラ・ゴーレムの氷の剣が弾き飛ばされ、残り体力が僅かだったアシュラ・ゴーレムは他のエネミーと同様のエフェクトと共に消滅する。
「勝ったの?」
「みたい………」
実感が沸かずにその場で呆けていると、他の3人もこちらへとやってくる。
「大丈夫ですの!?」
「美味しいとこ持ってかれたなぁ」
「電子精霊ってそういう感じで進化するんだねぇ」
けれど、こちらの心配をしてくれていたのは弥勒さんだけだった。
そうして少し余韻に浸っていると、フロアの奥にあった扉が開く。
「あっ、奥の扉が開いたよ」
「あれがゴールね」
「やった!」
こうして私達の第一試験は幕を閉じたのであった。
Side Out
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その頃………
「まさかほんとにクリアするなんて………それに精霊が成長した方まで」
「習得スキルは【物理攻撃反射】か………戦闘開始時に自身に1度だけ物理攻撃を無効にして反射ダメージを発生させる光の盾を付与とか【アダマスシールド】*1というより精霊の見た目からしてメットガード*2だろ、アレ………」
クリアされるのを想定していなかったアシュラ・ゴーレムが倒される光景を目にしてモニタールームの雪兎と亜耶はそんな感想を呟いていた。
雪兎としてはクリアもそうだが、山伏しずくの別人格であるシズクの登場や雀の精霊の進化、“彼女”の参戦も予想外だった。
「さてと、それじゃあ将来有望な防人達を労いに行きますか」
そう言うと、雪兎はモニタールームに置いてあるVRチェアへと座りダイヴしていった。
次回で第一試験は終了となります
その後に交流タイムや“彼女”についてのアレコレをやる予定です
シズクが芽吹に当たりが強くない理由ですが、本作の芽吹が原作程勇者に固執してないのと銀が生存してるのが理由です
実はしずく転院前に銀のお見舞いとかに行ったりしていたりします
感想等がありますと執筆の励みになります