ってか、この二次と結末の方向性同じでびっくりしましたよ………これについては短編集の方を参照してください。
今回、少し独自設定が入ります。
静那、望、銀といった友人が増え、小学6年生となった雪兎は本格的に準備を進め始めていた。
まずは原作でも東郷美森にあっさりハッキングされていた大赦のサーバーにハッキングを行ない、『勇者アプリ』のデータや勇者関係の情報を入手する。
美森が家庭用のPCを使ってハッキングしたのに対し、雪兎は家の一室をサーバールームにしてその膨大な処理能力を利用したハッキングを仕掛けており、大赦がハッキングされた事に気付かぬまま大量のデータを入手してしまっていた。
だが、大赦でも秘匿レベルの高い情報は紙面でしか残していないようで、肝心な『勇者アプリ』もいくらかデータが不足しており、何処かで実物からデータをコピーする必要が出てきた。
「となると、銀の端末からコピーするのが一番手っ取り早いか」
鷲尾須美は大赦からの命令で『わすゆ』の原作が始まる一年前の段階で東郷美森から鷲尾須美へと名前を変えて鷲尾家に移り、その後訓練を経て勇者として御役目を開始したはず。
乃木園子や三ノ輪銀も同じ時期から訓練を開始していると推測でき、銀に関しては以前に「忙しくなる」と言っていた事から既に訓練を始めているだろうと考えられる為、勇者アプリも端末にインストール済みのはずだ。
「あんまし褒められた手じゃねぇが………」
結局、時間が取れる時に銀と接触し、端末の充電をする為にハッキング機能を持たせたポケットチャージャーを使って勇者アプリをコピーする事に成功する。
「あとはシステムを解析して俺用に改造すればとりあえずは何とかなるが………武装はどうすっかなぁ」
防護服はリリカルなのはシリーズのディアーチェのバリアジャケットをベースにフォーミュラや
武装としては同シリーズよりストライクカノンを作成中で、現在の勇者システムが精霊バリアが未実装であったためにフォートレスのフローターシールドも装備する予定だ。
ただ、ストライクカノンは近接戦闘も可能というだけで本来は中距離射撃用なので他にもフローターシールドの裏にマウントする形で他の武装を取り付けるつもりなのだが、どの武装を使うか悩んでいるのだ。
「いくつか試作して状況に合わせて持っていくとするか………」
後日、INABAのラボにてそれらのテストが行われた。
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それから暫くして雪兎達が中学生となると銀はあまり雪兎達の所に顔出さなくなった。
おそらく『鷲尾須美は勇者である』が始まりバーテックスとの戦いやチームの交流があるからだろう。
システムの方は大体解析が終了して現在雪兎が使えるように改良中である。
「にしてもまさか最寄りの中学がこことはな」
讃州中学。
二年後の『結城友奈は勇者である』の主人公である結城友奈達が通う事になる学校である。
だが、まだこの時期には将来勇者部となる彼女らは誰一人として通ってはいない。
それはそうと、雪兎にはどうしても気になる点があった。
「………で、何でお前まで
「何かおかしな事が?」
「とぼけんなよ、お前銀と同じ神樹館学園に通ってたはず………讃州とは学区違うだろうが」
そう、同じクラスに望がしれっといたのだ。
神樹館学園は瀬戸大橋に近く、建物のモデルが坂出市郷土資料館であることから坂出市が舞台とされており、讃州中学のある讃州市は観音寺市がモデルと言われている。
その距離は約35kmもあり、徒歩では六時間以上掛かる。
更に言えば神樹館は大赦の息がかかった学校の一つで、生徒の多くは大赦に名を連ねる名家の子供………即ち、望の雨宮家もそういう名家の一つなのだ。
これを知ったのは大赦のサーバーにハッキングを仕掛けた時で、いざという時に大赦を脅す材料はないかと情報を引き抜いた際に偶々知ってしまったのだ。
それ故に望がわざわざ讃州中学に入学してきた事が雪兎には疑問だったのだ。
ちなみに静那も同じ讃州中学だ。
「白状するなら俺が同志と同じ学校に入れるように手を回してもらったのだ」
「何でそんな面倒な真似を?」
「そうだな、同志には回りくどい事を言う必要もあるまいな………同志よ、俺と、いや俺の家と手を組む気はないか?」
「何?」
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詳しい話を聞くべく家に望を招いた雪兎は珍しく大声を出して驚く事になる。
「はぁ!?お前の爺さんとウチの爺さん知り合いかよ!?」
「ハッハッハ!俺も同志と知り合ってから聞かされて驚いたものさ」
なんでも昔に静那の祖父である師範も含めた三人で色々とやらかしていた仲らしく、未だに交流があるのだとか。
そんな中、徹心が最近若い頃のように活き活きしているのを知って望の祖父が調べたところ雪兎の存在に行き着いたらしい。
「それで俺が何かしてると睨んでた、と?」
「それで問い詰めたら白状したらしい」
「爺さん、喋りやがったのか………」
「安心しろ、雨宮家は大赦でも改革派でな。現在の主流である保守派には話していない」
「………なるほど、お前の爺さんはあの娘らを使い潰すようなやり方が気に食わないと言う事か」
「ああ、更に言うならば保守派が現在開発中の追加システムにも反対している」
「………“満開”と“精霊”か」
「もうその情報も掴んでいたか。流石は同志だな」
“満開”とは、ゲージを溜める事で発動する時限強化システムの事で、これを発動すると勇者は大幅に能力を引き上げた形態になる事が出来る。
過去、西暦時代にも“切り札”という形で存在したものを比較的に安全にしたものらしいのだが、そのデメリットは発動終了後に身体機能や記憶等の欠損という形で発生する。
原作でもこの満開の後遺症によって様々なものが失われている。
“精霊”の方は西暦時代の“切り札”を発動するのに必要不可欠だった神樹様の一端とも言うべき存在を使い、勇者へのダメージ軽減するバリアや各精霊の元になった存在*2の能力を付与するもので、“切り札”はその能力付与よりも踏み込みその身に精霊を憑依させてその能力を最大限に発揮できるようにするものなのだが、当時のシステムでは人の身でその強大な力に耐えられず発動しているだけでダメージを受け続けるもので、“満開”はそれだけは改善されていると言える。
「だが、まだまだ開発中故に少なくとも半年は実装は無理だろう」
「そうか」
やはり例の遠足の日には現行のシステムで戦う事になるのだと判り、雪兎は無意識に拳を握る。
「それで………改革派とやらの目的は?」
「バーテックス………天の神の打倒と神樹様への依存からの脱却だ」
「へぇ〜」
望の答えを聞いて雪兎は笑みを浮かべる。
いくら神とはいえ神樹様もいつまでも力を振るえる訳ではない。
原作アニメ二期の勇者の章では神婚による回復が必要な程に衰弱していたとされる。
つまり改革派は天の神を打倒してから世界の復興に神樹様の力を極力借りないで済むようなテクノロジーを欲しているのだ。
それを聞き雪兎は改革派という派閥への心象を良くする。
「それでINABAで色々やらかしてる俺にって事か」
「ああ、その繋ぎ役として俺が志願したという訳だ」
「改革派と組むメリットは?」
「大赦と交渉事となった際にはなるべく有利な条件になるよう取り計らうか、交渉役そのものをこちらの人間になるよう手回しをしよう………デメリットとしてはその後に大赦の厄介事に巻き込まれる可能性がある。他にも保守派と改革派の派閥抗争なんかもあるだろう」
「その辺は交渉内容次第だろうが、まあそこは折り込み済みだな」
ここでもメリットだけでなく自発的にデメリットを開示した事は雪兎としても評価に値する。
面倒な連中だとメリットばかり並べてデメリットを口にせず、「聞かれなかったから」で通そうとする者もいるのだ。
雪兎としても改革派が実権を握ってくれる方が都合が良いので介入出来るなら積極的に介入していきたいところである。
なのでこの点はデメリットではない。
「では」
「ああ、同盟という形で協力させてもらおうか」
こうして真の意味で同志となった雪兎と望はこれからの事を話し合うのであった。
サブタイトルの同盟とは雪兎と改革派の同盟を指しています。
次回から少し物語が動きます。