兎協奏曲番外編 天野雪兎は魔王である   作:ミストラル0

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どうもお久しぶりです。
やっと書けたので投稿です。
今回は雪兎達の進捗と勇者部についてです。


発足〜勇みゆく者達〜

あれから更に時は過ぎて春となり、雪兎達も二年生へと進級した。

それと同時に銀や原作主人公である結城友奈と記憶を失い東郷の家に戻った東郷美森が入学してくる。

銀は友奈達は別クラスであったからか少しホッとした表情をしていた。

やはり記憶を失ったと知ってはいてもかつての友達から赤の他人扱いされるのは堪えるようだ。

 

「勇者部、ねぇ………」

 

この時期に四国のあちらこちらで発足した勇者部や勇者同好会は大赦が各地に派遣した勇者候補に指示して作らせた勇者候補を一ヶ所に集めて管理しやすくする為のもので、活動内容は特に定められてはいなかったが、大抵はボランティア活動等を選んでいるのはある意味勇者らしいとも言える。

 

「ほんと私らの頃とは違うんだなぁ」

 

「銀達の頃は適性の高い大赦の名家から選出してたし、神樹館も大赦の傘下だったからな」

 

「でも、本当にここ(讃州中学)が選ばれるのか?」

 

「そいつに関してはほぼ間違いない。勇者適性が歴代でもトップクラスのやつがいるからな、ここは」

 

「その隣に記憶を失ったとは言えど満開を二度も使用した元勇者の東郷を配置したのもそういう事なのだろう」

 

「あんな目に遭った須美をまだ利用しようってのかよ!」

 

「気持ちはわかるが落ち着け、銀」

 

「ごめん、兄貴………」

 

憤る銀を宥める雪兎とて大赦のやり方には異を唱えたいが故にこれまで行動してきたのだ。

残された時間は大凡一年。

やるべき事はまだ多い。

 

「そういえば“アレ”はできたの?」

 

疑似精霊(スピリット)コアの事か?あとは細かい調整をするくらいだが」

 

疑似精霊とは雪兎が開発した精霊を疑似再現したもので、戦闘時に精霊バリア等の補助を受けられるようになるが、元の精霊システムとは違い、非戦闘時に所持者を保護する程の力は無い。

 

「見せて!」

 

「ほらよ」

 

そう言って雪兎が取り出したのは小型のケースに納められた小さな色分けされたレンズのような水晶体だった。

その色は紅、白、紫、橙の4色。

 

「それをコアスロットに填めてみろ」

 

魔王アプリ専用スマートフォンこと【ウルフォ】*1には裏面に付け替えが可能なスライドカバーが取り付けられているのだが、そのスライドカバーは実は二重になっている。

一般仕様はそこがロックされているのだが、その中には先程の水晶体を填められるスロットやそれよりも小さなスロットがいくつか設けられている。

 

「ここに填めればいいんだね」

 

静那が白のコアを手に取りスロットに填め込むとコアスロットから他のスロットへ伸びるラインが白く光り、ウルフォの疑似精霊支援システムが起動する。

カバーを戻し、ウルフォのホーム画面を見るとそこには先程まではいなかった白いデフォルメされた狼の姿があった。

 

「なにこれ、可愛い!」

 

「疑似精霊・朧。実体化させるには精霊のデータが不足してるからホーム画面と触れ合い用のゲームアプリで我慢してくれ」

 

「他にはどんな子がいるの?」

 

「因幡の兎モチーフの十六夜、梟モチーフの月読、月輪熊モチーフの三日月だ」

 

「皆、月を意識した名前なんだね」

 

静那は朧を気に入ったようで、そのまま朧を手持ちとするようだ。

 

「なら私はこれ!」

 

「では俺はこれだな」

 

銀は三日月、望は月読を選び、雪兎の手元には十六夜が残された。

 

「まさかコイツが残るとは………」

 

「いや、だってさ」

 

「因幡の兎モチーフとなれば同志しかあるまい」

 

「INABAで名前に兎入ってますもんね、兄貴」

 

「やっぱそういうオチかい!」

 

どうやら十六夜を残したのはわざとらしい。

 

***********************

 

Another Side 結城友奈

 

私は結城友奈。

讃州中学勇者部の一員として今日もボランティア活動に勤しんでいます!

勇者部は風先輩が立ち上げた「人の為になることを勇んで行なう部」で、私と東郷さんを加えた三人で活動しています。

風先輩は「何れは依頼とかを請け負って活動する部にしたい」って言ってましたが、今日は海辺のゴミ拾いです。

 

「よっ、今日もボランティア活動ご苦労さん」

 

「あっ、天野先輩!」

 

そこへ通りかかったのは学校の先輩である天野雪兎先輩。

天野先輩とは昔に近くの道場に行った時に手合わせをしてもらった事があったのだけれども、何年も前の事だったので覚えてないかなぁ、と思っていたが、天野先輩はちゃんと覚えていてくれていた。

同じ道場の静那先輩も私の事を覚えていてくれたみたいで嬉しかったのだが、風先輩は天野先輩の事が苦手みたいで「あいつは魔王だからあんまし関わっちゃ駄目よ」と言っていて………

 

「結城?」

 

「な、なんでもないです!」

 

「まあいい、こいつは匿名の差し入れってことで他の二人にも渡しといてくれ」

 

そう言って天野先輩は紙袋を私に手渡してきた。

 

「これは?」

 

「朔屋のどら焼き。くれぐれも俺が渡したって犬吠埼には言うなよ〜」

 

そう言って天野先輩は去っていってしまった。

どら焼きは四つ入っていて一つ余ったんだけど………結局、最後の一つは風先輩が妹さんへのお土産として持って帰りました。

そのおかげで天野先輩の差し入れとはバレなかったけど………まさかね。

 

Another Side Out

 

***********************

 

「上手く誤魔化せて樹ちゃんもハブらんように出来たな」

 

そのまさかであった。

*1
オーブメント・スマートフォン。オーブメントのOを0(ウル)、スマートフォンのフォを合わせた略称。




もう少しでゆゆゆ本編に入ると思いますが、気長にお待ち下さい。
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