お前はもう絶対に本気を出すな   作:最条真

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誤字報告めっちゃ助かります!
じぶんでも見直してるつもりなのに案外見つからないものですねー。

朝起きたらランキング乗ってて草なんだ。
まじでこんな稚作を評価してくださって感謝の極みです。


7.このままでいいのか、このままがいいのか

俺たちを尾行していたうちの馬鹿どもから逃げてきたところで、いつのまにか俺がアリシアの手を握っていたことに気がついた。

 

「悪い、いつのまにか握ってた。ちょっと強く握りすぎた、か...」

 

「だいじょ、ぶ。うん」

 

アリシアは耳を赤くして俯いていて、恐らく俺も同じように顔を赤くしていたと思う。女の子の手がこんなに柔らかいことを始めて知った。

自然な流れでアリシアの手を握ってしまった。

 

......あまりにも恥ずかしすぎたので正直その後のことはよく覚えていないが、とりあえず俺たちはさっさとお使いを済ませたらしい。

 

当然その荷物は自然に男の俺は持つわけになるのだが、荷物の重みなんかより俺の左手に握られてるその白い手が気になって仕方ない。

 

「なぁアリシア」

 

「どうしたの、アル」

 

「その手はいつになったら離すんだ?」

 

「......離す必要ないでしょ?」

 

依然その白い手は俺の左手を掴んだままだ。というか結構力が強い。

今、俺たちは大通りを歩いているわけだが。これは他人からみたらカップルのように見えるのではないか。

 

手遅れ?いやまだどうとでもなる。

 

そうして俺達は近場の喫茶店へと逃げ込んだ。

 

んで、そのまま勢いでちょっと早めの昼食と洒落込んでいるわけだが。

 

「普通対面に座るものでは?」

 

「別に今更でしょ」

 

「その手はいつになったら離すんだ」

 

「......別に今更でしょ?」

 

「サンドイッチが食べにくい」

 

「食べさせてあげようか?」

 

「それは遠慮したい」

 

この距離感はまずい。俺の理性が仕事をしている内になにか手を打たなければ。

顔面の破壊力がやばい。可愛すぎる。

もう少し男との距離感を大切にして欲しい。自分が美少女である自覚を持てといいたい。

 

俺も幼馴染みとはいえ曲がりなりにも男なのだから。

勘違いしてしまいそうになるから止めて欲しい。

 

肩と肩がふれあう距離で手を繋ぎながら昼食を食べる馬鹿がどこにいるのだろう。ここにいる。

 

残念なことにこれは現実である。

男が想像しそうな理想のシチュエーションに俺は立っている。

 

初めのお使いという趣旨はどこにいったのか。

これはもうデートじゃないか。そもそも人目を避けるために喫茶店に逃げ込んだ訳だが、全然店員さんがいるじゃないか。

 

馬鹿だった。過去にもしも戻れるのなら浅はかな自分をおもいっきりグーで殴りたい。とっとと『ギルドホーム』に戻ってアザミさんにどうにかしてもらうのが一番よかった。

 

この世でもっとも可愛い存在がそこにいる。

おまけに俺はその存在と手を繋いでいる。

 

「なあアリシア」

 

「どうしたの?」

 

「俺が男である自覚をもう少し持った方がいい」

 

「そうなんだ?ふふふ」

 

「何故笑うんだ」

 

「いや、私そういう目で見られてたんだ、って」

 

「そりゃ当たり前だろ。悪い、気持ち悪かったか?」

 

「安心した」

 

「へ???」

 

なぜ安心するのか。

訳が分からない。というかこの状態からどうにか離脱しなければならない。

手を握られ、アリシアとの距離がめっちゃ近いこの状況を。

 

「なあアリシアーー」

 

「あ、きた」

 

「何がーーッ!?」

 

アリシアが指差す先。

そこには満面の笑みでストローが綺麗にハートマークを描くジュースを運ぶ店員さんの姿がそこにあった。

 

そう。ハートマークを描いている。

ストローが二つ突き刺さっている、いわゆるカップルしか飲まないやつ。

 

店員さんはそれを置くなりそそくさと退場して、俺達の間に静寂が訪れる。

 

「......アリシア?」

 

「ノリと勢いで」

 

「別に俺は口づけとかそういうの俺は大丈夫なわけだが」

 

「私も別に問題ないから頼んだわけだし」

 

「女としてそういうの意識したりしない?」

 

「アルだからいいんだよ?」

 

「絶対に他の男にするなよ?絶対勘違いするから」

 

「アル以外にするわけないでしょ」

 

そういう勘違いしそうな言葉を言わないで欲しい。

本気で俺が勘違いしたらどうするんだろうか。こいつは。

 

気を付けたいのは、その距離感。

今の関係が最も心地よいものだと知っているから。

壊れるのが怖いから。だから必要以上に踏み込んではいけない。

 

そうは思うものの、俺がストローに口を付けているのもまた事実な訳で。

 

自意識過剰が過ぎるかも知れないが、恐らくアリシアは俺に対しての好意が多分ある。俺も憎からずそう思ってるわけだ。

 

でもその好意が幼馴染みとしてのものだったら。

 

でも、万が一にもその想いをアリシアに否定されたとき。

 

俺はどうするんだろうか。

 

一生このままがいいわけじゃない。それでもまだこのままでいいと思ってる。

俺が勇気を出すのはいつになるんだろうか。

 

このままでいいのか、このままがいいのか。

 

自分のことなのに、自分が一番分からない。

でも、まだ俺が勇気を出せない理由はきっとーー、

 

「どうしたの?アル」

 

「いいや、なんでもない」

 

「ふふ、変なの」

 

万が一にも俺に向けてくれるその笑みを失いたくないからだろう。

喫茶店での早めの昼食。カップル紛いのことをしながら、今更自覚する。

 

俺は心の底からアリシアが好きなんだと。

 

否定されたくないから。俺はその一歩を踏み出せない。

俺は臆病な男だ。

 

「ねえ、アル」

 

「なんだ」

 

「ジュース美味しいね」

 

「ああ」

 

ちなみにジュースの味なんか白い手の感触に気を取られ過ぎて感じていなかった。

 

「なぁアリシア?」

 

「なに?」

 

「この手はいつになったら離すんだ?」

 

「私の気が済んだら」

 

いつになったら俺は解放されるのだろうか。

結局それは『ギルドホーム』に帰るまで続いた。

 

もうあれだ。弁明の余地とかない。

 

 

端からみたらただのバカップルじゃねぇか。

 

 

確かに今はそれはまだ勘違いだが、いつかはそれを現実にしたい。

手を繋ぎながら、そう思った。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「なぁアザミ......」

 

「どうしたのダリウスー?」

 

「お前が二人に見える.....」

 

「昨日飲みすぎなんだって。もうすこし控えな?」

 

「やだ」

 

「はぁー......。とりあえずお粥食べる?」

 

「鮭のやつ食べたい」

 

「はいはい」

 

 

 




別にわざわざお使いに行かせる必要はなかったけど、機転を利かせたアザミさんのファインプレイ。

万が一にも否定される可能性があるなら、変わらなくていいと思うアルベルト君。

自分で書いててなんだこのチキンってなる。
中学生の恋愛ってこんな感じなのかな?


文字数が少ないのはご愛嬌。多分次回文字数多くなるので許して。


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