俺は戦力の確保のために召喚部屋を訪れていた。
新たな特異点発見による調査のための戦力の増強、流石にマシュやキャスニキ、トリスタンばかりに頼るわけにはいかない。
「それじゃあはじめるよ、藤丸くん」
ロマンがそう言った瞬間、周りが光り輝き始めた。
お願い、お願いします。誰か、力を貸してください…!
俺はそう思いながら魔力を注ぎ込む。
光の線が一つ、二つ、三つと増える。
「サーヴァントだ」
ロマンの声が聞こえると俺は魔力を注ぎ込むのをやめて、呼び出されたサーヴァントを見た。
黄色い布を纏った俺より背の高い男性。だがフードで顔がよく見えない。
手には黄色い本を持っていて、ちらりと覗く目は俺を射抜くように真っ直ぐこっちを見ていた。
「クラス、フォーリナー。真名はセオドア・チェンバース。今回は黄衣の王として召喚に応じた。さぁマスター、あなたはどの宇宙の真理について聞きたいのかな?」
フォーリナー、はじめて聞いたクラス名だった。いや、元々マスターとして俺は未熟も良いところ、まだ知らないのも多くある。
しかし彼はなんだか、とても怖いような、狂っているような、恐ろしいような気配を纏っていた。
「おっとマスター、私に狂ってると思うのも良いが、私は狂戦士じゃない。そもそも狂っているのが外なる者としてはデフォルトだよ」
黄衣の王って何…?そもそも外なる者…?
俺は恐る恐る声を出した。
「その…黄衣の王って…?」
俺が小さめに放った一言に、彼は吹き出した。
「あはは、そこからかいマスター!まぁ、知らないなら知らないでいい。知らなくても特に困りはしないからね」
「でも、なるべく君のことは知りたいし…」
「そうかい?なら調べてみるといい。私は君がある程度知識をつけたら教えようとも」
彼はそれだけ言うとにこりと笑った。
その笑みに空中にいるような感覚に襲われる。ふわっとしていて足場が安定していない全てが不安定のような感覚。なんだ、これ?何か、背筋が凍るような…。
「大丈夫かい藤丸くん?まだ召喚に慣れていないから無理はしないでくれ。一回部屋に戻って休んだら…」
俺は少し固まったがロマンの声で気を取り戻す。
「だっ、大丈夫!」
「そ、そう?ならいいんだけど」
俺はなんとか笑うと、彼…セオドアに向き直る。
セオドアはキョロキョロと辺りを見回していた。
「その、カルデアを案内するよ!今から君が暮らす場所だし…」
「そうかい?それは助かる。頼んでもいいかな?」
「うん、任せて」
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俺は背後のセオドアをちらりと見た。
彼はゆっくりと歩きながら周りを見回している。
俺は一回深呼吸をするとまっすぐ前を見る。
「マスター、この部屋は?」
「この部屋はスタッフさんの私室だよ。ここらへんはスタッフさんの私室が続くかな」
そんな当たり障りない会話が案内中続く。普通の会話のはずなのに、なぜかいつもよりも緊張が体を支配した。
暫く案内して回っていると、食堂のあたりでマシュに会った。
「こんにちは、先輩。えっと、そちらの方は?」
マシュはセオドアを見て首を傾げる。
「新しく仲間になってくれたサーヴァントだよ!」
「こんにちは、レディ。クラスはフォーリナー、真名はセオドア・チェンバースだ。君は?」
慣れたような紳士的な感じでマシュに笑いかけるセオドア。
「マシュ・キリエライトです。セオドア・チェンバースさんですね。…その、出典の方は…」
マシュがそう聞いた時にセオドアの顔が少し強張る。
「…クトゥルフ神話だよ?」
声は変わらないのに、俺は何故か恐怖を覚えた。雰囲気が怖くなったからだ。
もしかして、出典の話は地雷…?
「そ、そうですか?クトゥルフ神話…気のせいでしょうか、ホームズシリーズの方にいたような…」
「うーん、気のせいじゃないかい?」
はは、と笑うと俺の方を見る。
「えっと、それじゃマシュ、俺はセオドアを案内してくるから!」
「は、はい!お気をつけて!」
俺は急いでセオドアを連れて食堂を離れた。
俺はまた後ろをちらりと見る。セオドアの雰囲気は元に戻っている。
俺は頭の中でセオドアに出典は地雷、と記憶した。
レイシフトまでにはマシュとセオドアとの関係をどうにかしなきゃ行けないかなぁと思いつつ、ロマンが決めたセオドアの部屋まで案内する。
俺になんとかできるかなぁ…。
ここまで更新が遅いのは不定期でメインじゃないからです…そのメインも遅刻してるんですけどね…