ぱきっ。
聖杯は嘆く、もう沢山だ、もう限界だと。
その日、聖杯はついに壊れた。
そして、第■■■■■■■次聖杯戦争にて、突如としてバーサーカー ヘラクレスが消息不明となる。
異変はついに起こることとなった。
だが、多くの魔術師やサーヴァントはそれに気づくことは無かった。
ただ2名を除いて。
「む……ついに壊れたか、あのガラクタが」
本来のアーチャーである英雄王、ギルガメッシュは1人呟いた。
彼の目の前には無数の魔獣が屍となって積み重なっていた。
「くだらぬ……つまらぬ…他のサーヴァントも見当たらぬなァ…」
いかにもつまらないというのを体現するようにわざと大きな欠伸をする。
「いっその事全て薙ぎ払ってしまえば少しはマシに…む?」
彼は前方に人影を見つけた。それはいかにも貧弱に見える銀髪の少女だった。
「そこな小娘、貴様はサーヴァントだな?」
少女は首を傾げながら答える
「私…?多分、サーヴァントです、はい。」
何かがおかしい、とアーチャーは思う。このサーヴァント、おそらくセイバーには「何かが足りていない」と。
「ならば貴様は…自分の真名はわかるか?」
「真名…?私に……?」
やはり違和感を感じる、それを確かめる為に、鑑定の宝具を使用する。
「あの…?」
英雄王の中で違和感は確信に変わる、このサーヴァントには「何も無い」。
そして作動した千里眼によって見えた、彼女の未来がどうなるかが。
「…ふむ。そこなセイバーのサーヴァントよ、我が真名はギルガメッシュ、英雄王ギルガメッシュだ。とくと覚えよ。」
「は、はい!!」
「そしてセイバーよ、我はお前に2つ聞きたいことがあるが…良いな?」
無名のセイバーは頷く。
「まず1つ、お前には『無い』のだろう?」
頷く。
「そしてお前はたった今生まれた、間違いないな?」
「お、おそらく…」
やや自信なさげに頷く。
「ふむ…」
千里眼の力によって、これからセイバーがどうなるか、自分がどうするべきかを理解はしている。だが、こんな風前の灯火のような者に負わされた運命は、自分の味わった人生の中でも少し重い部類に相当すると感じる。
ならば、するべき事はこれしかあるまい。
「セイバーよ。」
「はいっ!?」
世界を託すには、これしかない。
「我は今から…貴様を試す。」
「試……す?」
「ああ、貴様を試す。」
セイバーは瞬きを忘れたように呆然としていた。
「何も暇潰しだとかそういうことでは無いのだ、セイバーよ。」
「な、ならどうして…?」
「我の目は『千里眼』と言ってな、遥か未来すらも見通す力がある。そして我は貴様の未来を『視た』。故に貴様を試さねばならない。」
理解が出来てないのだろうか、依然として呆然としている。
「詳しくは語れん、それは理(ルール)に反するからな。我は未来への道標として、貴様を送り出す為にお前を試す。これ以上は何も言わんぞ、良いな?」
「は…はいっ!」
いい返事だ、と思う。
話を掴みきれていないにもかかわらずにとも思うが。
それでも良い、始まる前から腑抜けでは相手にならないからだ。
セイバーは最初から持っていたであろう木刀を青眼に構えた。
「さぁ来い、名も無きセイバー。世界を救うための第一歩として、まずは我を超えてみよ。」
数多の宝具と一本の木刀が、交差した。
ここに、人類最古の英雄と、無名の英雄の一騎打ちが始まった。