ヴァーミンロード   作:ベルゼバビデブ

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コキュートス単身転移物語の続きです。

前回第一話にして最終回を迎えましたが続いてしまいました。
まぁ、蛇足だと思ってください。

小話1 刀狩り
小話2 蟲殺しと蟲王
小話3 八本指の六腕vs三本指で四腕
1発ネタ やらかしルプー



ヴァーミンロード小話集

小話1-刀狩り-

 

 新人冒険者コキュートスはある問題に直面していた。

「文字ガ、読メヌ…!」

 ここは異世界、異世界の文字を全く読めないことにコキュートスは気が付いたのだ。幸い、前の依頼はエンリと仲が良いンフィーレア・バレアレからの依頼だったので問題なかったのだが、反面この問題に気付くのに遅れた原因とも言える。冒険者登録はエンリが代わりにやってくれた。曰く、その手ではうまく文字を書けないだろうから らしい。しかし毎回エンリを呼びつけて、受けるかも…受けれるかも分からない依頼書を読んでもらうわけにもいかず、その邪魔にしかならない巨体で依頼ボードの前に立ちすくみ、唸っていた。

「コ、コキュートスさん、い、依頼をお探しですか…?」

 邪魔な巨体をいい加減どかせという周りの圧力に屈した受付嬢が意を決してコキュートスに話しかける。

「ウム…何カ良イ依頼ハナイダロウカ。済マナイガ見繕ッテ欲シイ。」

 コキュートスにとって受付嬢の登場は渡りに船だった。そのあとはどんな依頼が良いかなど条件を聞いてくる受付嬢と問答をし、とある依頼を受注した。

 

「ココガ、盗賊団ノアジトカ。」

 コキュートスの受けた依頼は盗賊団のアジトを偵察し、おおよその人数などを確認するものであった。コキュートスとしては、強者との闘いを所望したのだが、規定に則り新人冒険者にそんな依頼は受注できない。とは言え組合側もコキュートスという新人冒険者は正直持て余していた。そこで考え付いたのが、今回の偵察である。

 本来の任務は偵察して終了だが、仮にたまたま偶然に運悪く盗賊団に見つかってしまい、戦闘になってしまうのは仕方のないことである。そう、そういう業務上の事故として戦闘になる分には仕方がないのだ。

 ガゼフお墨付きの実力を持つ新人冒険者…話を聞けば依頼が殺到しそうだが、蓋を開ければ二足歩行の巨大な昆虫、しかも腕が四つある。普通の新人冒険者は護衛や輸送で実績を積み上げていくものなのだが、コキュートスの見た目を怖がり依頼人が許可しない。組合長のアインザックとしてはコキュートスをさっさと昇格させて強力な魔物退治に向かわせたいのが本音だった。曰く、化け物には化け物をぶつけるんだよ! とのこと。

「うわぁ!?なんだこの化け物!!」

「ウム、見ツカッテシマッタカ」

 コキュートスは木の影からアジトを伺っていたが、その巨体がそんじょそこらの木の影に隠れきるはずがないし、月明かりを受けてテカテカと反射する外皮は目立ってしょうがない。

「お前隠れてるつもりだったのかよ…」

「良いからやっちまえ!」

 巨体なのが災いしたコキュートスは偵察任務中に運悪くたまたま偶然に盗賊団に見つかってしまった。アジトを襲われた盗賊はコキュートスに襲い掛かるが、ハルバートの一振りで叩き切られる。

「武技ノ使イ手ガ居ルト良イノダガ…」

 コキュートスはこの世界の武技に興味を持っていた。ガゼフ曰く、武技にも色々あることを聞いたコキュートスはガゼフ以外の武技遣いにから武技を教えて貰おうと思っているのだ。

「その様相…虫の化け物か」

 盗賊団のアジトを進むと一人の男がコキュートスの前に現れた。コキュートスを見て物応じない態度を見ると、強者なのかもしれないとコキュートスは武器を構えた。

「オ前ハ武技ガ使エルノカ?」

 構えたままコキュートスが問いかける。

「驚いたな…人の言葉を喋る虫とは…その質問の答えは…もう4歩踏み込めば教えてやるよ。」

 コキュートスは目の前の男を観察すると、その言葉の意味を理解した。腰に下げた武器は刀、その構えは居合いである。間合いに入った瞬間に居合の技を仕掛けるのだとコキュートスは理解した。

「ブレインだ。ブレイン・アングラウス」

 武人同士の一騎打ち、名乗られたからにはコキュートスも名乗らない訳にはいかない。

「コキュートス、ダ。」

 コキュートスは名乗りを済ませると、その巨体をズシリズシリと

 1歩

 2歩

 3歩目を踏み出し…た瞬間!。

「馬鹿め!秘剣・虎落笛!!」

 全てを知覚する武技”領域”と神速の一刀”神閃”これらを組み合わせたブレインの必殺の一刀がコキュートスを襲った。

「成程、自分ノ間合イヲ把握デキテイナイノカト思ッタガ、敢エテ4歩ト言イ間合イヲ誤認サセタカ。余リ好カン手ダガ、工夫ヲ凝ラシ相手ヲ討タントスル姿勢ハ評価デキルナ。」

 刀はコキュートスの指に摘ままれ、全く動かない。

「馬鹿な!?止められた!?」

「フム…技ノキレハ悪クナイ。身体モ良ク鍛エラレテイル。ダガ、モウ少シ工夫ガ無ケレバ固イ相手ニハ効果ガ薄イゾ。」

 武技も使えるようだし、何よりどんな手を使っても相手を倒そうと言う心意気に、コキュートスはブレインを少し気に入ったので、技のアドバイスをしてみたのである。

「た、確かにこの技は速さを追求している分、威力はそんなに高くはない…それでも相手の急所を的確に斬りつけるこの技を受けて立っていたやつはいないんだがな…ははっ…」

 ブレインはうなだれている。己の渾身の一振りを容易く止められたショックだった。しかし、目の前の化け物はそんな己にアドバイスをしてくるのだ。自分の中の強さという頂きが一気に見えなくなったが、頂きに近づくためのものを目の前の化け物が持っていると思うと、プライドなんぞ投げ捨てて少しでも強くなるために努力したいと思えてきた。

「コキュートス殿、俺を弟子にしてくれないか。」

 

この日、コキュートスは初めて弟子をとった。

 

 

小話2-蟲殺しと蟲王-

 

 魔物退治の依頼の帰り、新人冒険者コキュートスは村から上がる煙を見て、フラフラと立ち寄った。軽い気持ちで見に行っただけだったのだが、そこで一つ問題が起きた。

「蟲の魔物!?まさか魔神か!?」

 変な仮面の赤ローブにそんなことを言われたコキュートスは何のことだと首を捻った。

「何ノ事ダカ分カラヌナ」

「とぼけるな!クソ、八本指め、まさか魔神と通じていたとは…!」

 目の前の赤ローブは臨戦態勢をとっている。コキュートスとしては、とりあえず襲ってくるなら返り討ちにしようと…但し、今回は依頼等ではないので殺しはしないが…していた。

「フライ!」

 目の前の赤ローブが飛び上がる。コキュートスは出方を伺うため、ハルバートを構え待ち受ける。

「シャードバックショット!」

 キラキラと月明りで光る塊がコキュートスに向けて発射される。コキュートスはハルバートを薙ぎ払って発射された塊を全て叩き落し、地面に落ちた塊を観察する。

「フム、生成シタ水晶ヲ発射スル魔法カ、成程ナ。」

 コキュートスは観察を済ませると一つ摘まみ、指で砕いてみる。そして、この程度の魔法なら仮に当たっても外皮鎧に傷がつくことはないだろうと判断した。しかし、だからと言って相手の魔法を回避も防御もせずに受けるというのは闘いとして味気ないので、コキュートスは出来るだけ防御する方針で闘おうと決めた。

「イビルアイ!援護するぜ!」

 屈強な肉体の戦士が刺突戦鎚を振りかぶり突進を仕掛ける。突進の速さを上乗せした渾身の薙ぎ払いをハルバートの柄で受けると、コキュートスは空いた手で胴体を軽く殴りつけた。

「かはァ!?」

 軽く殴りつけられた戦士は後方にぶっ飛び、地面を回転して減速する。

「中々良イ動キダ。武器ノ特性ヲ活カシ、良ク使イコナシテイル。」

「そりゃ…あんがとさん。」

 刺突戦鎚を杖代わりにヨロヨロと戦士が立ち上がると、おもむろに瓶と取り出し、それを口にする。

「フム、ポーションカ。マダ戦ウ意思ハアルヨウダナ。」

「後ろだ愚か者!くらえヴァーミンベイン!」

 コキュートスは赤ローブが背後に回っていたのを敢えて見逃していたのだが、それを彼女は知る由もない。そして放たれた霧状の魔法はかつて魔神に対抗するために作ったオリジナルの魔法で虫特攻の殺虫魔法であったがそれをコキュートスは知る由もない。

「悪イガ、得体ノ知レナイ魔法ヲ喰ラッテヤルホド甘クハ無イ。」

 ブンブンとハルバートを高速回転させ、その風圧で霧を吹き飛ばす。チラリと戦士の方を見るとすでに刺突戦鎚を振り下ろさんとしていた。

「貰ったァ!」

 振り下ろされた刺突戦鎚を新たに手にしたメイスで受け止める。

「連携モ悪ク無イ。武器ヲ二本使ウノハオ前達ガ初メテダ。」

 実際には、わざわざ武器を使わなくても受け止めることは出来るが、使ってはダメというわけでもないので披露する。

「コイツ!反応速度も視界も半端ねぇ!俺の攻撃を片手で止めてるってのにびくともしねえ!」

 魔法の霧を吹き飛ばし終えたため、ハルバートの回転をやめ、空いた両手で戦士を掴むと、飛行している赤ローブに軽く投げつける。

「ガガーラン!」

 赤ローブの華奢な体で戦士ガガーランを受け止める。追撃しようかとコキュートスが構えると、自身の影に違和感を覚えた。

 コキュートスはすかさず自身の影に氷の針を撃ち込むと、陰に潜んでいた何者かに突き刺さった。痛みで動きの鈍ったそれをハルバートの石突で軽く突くと、戦士ガガーランの比ではない速度でぶっ飛び、木の幹に体を強打した。

「ティア!大丈夫か!」

「仲間ノ心配ノ前ニ自身ノ心配ヲスルベキダ。」

 一気に踏み込んだコキュートスがハルバートを振りかぶる。このまま薙ぎ払えば軽く真っ二つにできてしまえるが、彼女らの首に掛かる冒険者プレートを確認しているコキュートスは流石に殺す気はない。よって、コキュートス基準で軽く薙ぎ払う。

「不動金剛盾の術!」

「ム!?」

 ハルバートは突如出現した半透明な壁に防がれ…たが、そのまま壁ごと、いつの間にか出現していたティアと呼ばれた女と瓜二つな小柄な女と、イビルアイ、ガガーランの3人をぶっ飛ばした。その際、壁とガガーランの間で圧殺(正確には死んでいない)された小柄な女は気絶してしまった。

「フローティング・ソーズ!」

 コキュートスは視界の端に謎の浮遊物を捕らえると、3本をハルバートではじき返し、3本を空いた手に掴んだ。

「奇襲スルノデアレバ静カニスルベキダ。」

 コキュートスは鷲掴んだ3本のソレを軽く投げ返し、ハルバートを持つ手を自身の後方に向けると先ほどと同様に回転させ風圧の盾を生成する。

「ヴァーミンベイン…クソ!コイツ!後ろにも目があるのか!?」

 魔法の発動とほぼ同時に展開された風圧の盾により、霧の魔法は吹き飛ばされる。そしてコキュートスは再度空いた手にメイスを持つと頭上に掲げ、刺突戦鎚の振り下ろしを防ぐ。

「参ったな。これも通じねぇのかよ。」

「オ互イノ攻撃ヲ上手ク陽動ニ使ウ見事ナ連携ダ。コノ肉体デナケレバ厳シイ攻撃ダッタロウ。」

 そこでコキュートスはあることに気が付く、そしてその時にはすでに遅かった。

「ダークブレードメガインパクト!」

 コキュートスは自身の正面からくる爆破攻撃をモロに喰らった。…ように見えたが、ハルバートもメイスも持っていない2つの腕に2振りのブロードソードを持つと、右手のブロードソードを右回転、左手のブロードソードを左回転させると、その間に生じる圧倒的破壊空間は爆破の衝撃すらも完全にいなしていた。…もちろん真正面から棒立ちで喰らっても何のダメージも無いのだが。

 コキュートスは満足したように顎を鳴らし、息を吐く。

「中々良イ闘イダッタ。ダガ、勘違イヲシテモラッテハ困ル。」

 そう言うとコキュートスは自身の冒険者プレートを指ではじき、冒険者であることをアピールする。

「「「えっ??」」」

 

この日、青の薔薇はめっちゃ謝った。

 

 

小話3-八本指の六腕vs三本指で四腕-

 

 コキュートスは青の薔薇から持ち掛けられた協力依頼を受け、遂に王都にその足を踏み入れた。紆余曲折あってアダマンタイト級冒険者となったコキュートスはいまだに若干外見を怖がられるものの、それなりに王国民…大半の貴族を除く…には受け入れられていた。

「あれが異形のアダマンタイト級冒険者の”氷獄”か…」

 そんな声を聞きながら、コキュートスは目的の場所へと歩を進めていた。今回の依頼は八本指のアジトを襲撃し、八本指を壊滅させること。ご丁寧なことに八本指…というか六腕に対し『こっちは"氷獄"の一人で向かうけど、まさか六腕はまさかビビらないよな?あぁ、でも群れていないとビビッて勝負もできない玉無しチキンの集まりだから無理か!HAHAHA』(意訳)という内容の…どこぞの第3王女が書いた…果たし状を送り付けていた為、コキュートスが単独で六腕全員を叩きのめすという無茶苦茶な作戦になった。それを聞いた青の薔薇はというと

「私以外にやられる事は許さん」

「アンタならヨユーだろ、ヨユー。」

「行ける。」

「楽できて良い。」

「頑張って下さい。私達も八本指のアジトを制圧したら直ぐに向かいますから」

と言う感じだった。それと弟子達も彼女らに貸出中である。

「お前がアダマンタイト級の化け物か、確かに見た目だけは強そうだな!」

 ハゲ頭のイカつい男が不敵な笑みを浮かべつつ、両拳を打ち鳴らして挑発する。

「私達六腕を一度に相手にするなんて不安なやつだねぇ」

「本物の強者ってのを教えてやるよ」

 コキュートスは目の前の六人を見やり、それぞれの武器を推察する。

(アノ刺青ノ男ハモンクカ、中々良ク鍛エアゲラレテイル…褐色ノ女ハアノシミターガ武器ノ様ダナ、青ノ薔薇ノラキュース殿ノフローティングソーズト同ジ類ダロウ。アトハソレゾレ腰ニ下ゲタ武器ガ得物カ…ムッ!?)

 コキュートスが驚いたのはローブの男の正体に気が付いたからだ。自分と同じ様に、異形のアンデッドでも人間社会に溶け込む者はいるのだなと思っていると…正確には先日戦った青の薔薇のイビルアイも人外なのだが…そろそろ名乗りを上げるべきだろうと思い立った。

「我ガ名ハコキュートス。"氷獄"ノコキュートスダ」

 顎を鳴らし、息を吐き、ハルバートの石突で地を叩く。その一連の動作の気迫は六腕達を圧倒した。しかし、意地かプライドか、ハゲ男は再度拳を打ち鳴らし、部下に…そして自分自身に喝を入れる。

「"闘鬼"ゼロ!」

 リーダーの気迫に自分達の誇りと自信を取り戻したのか、ゼロに続く様に各々が名乗り始める。

「"千殺"マルムヴィスト!」

「"空間斬"ペシュリアン!」

「'踊る三日月刀"エドストレーム!」

「"不死王"デイバーノック!」

 その瞬間、コキュートスの姿が消えた。何故ならコキュートスは目の前の"不死王"を騙る愚か者に激怒していたからである。その場の誰も捕らえない速度で踏み込み、デイバーノックの前に仁王立ちすると顎を鳴らし、その冷たい息をゆっくりと吹き掛ける。

「不死王ヲ名乗ッテ良イノハ…モモンガ様オ一人ダ!!」

 久しく滾る僕としての血をコキュートスは感じ取ったが、この世界にその不死王たる主人はいない事を思い出すと、急激に冷静になるのを感じた。

「イヤ…済マナカッタ。名乗リノ最中ニ無礼ヲ謝罪シヨウ…」

 と頭を下げ、さっきまで立っていた…今では物凄く舗装がブチ壊れている…場所に戻ろうと背を向ける。武人同士の闘いに於ける名乗りの途中で攻撃など、コキュートスの誇りが許さなかった。それは八本指と言う腐った組織に所属しながらも、純粋に武を極めんともがいてきた六腕も同じだった…まぁ、デイバーノックに関してはコキュートスの気迫に完全にビビってしまい、戦意を喪失していただけだが…但し、ある1人を除いては、だが。

 未だ名乗らぬその男、フードを被り頬に傷のあるその男は背後から…しかも用意周到に幻影による分身を使ってまで…襲い掛かった。

(正々堂々とした果たし合いだと?間抜けがァ〜!!我々は六腕!卑怯だと言われようが!軽蔑されようが関係ない!勝てば良かろうなのだ〜!!)

 この卑劣漢は六腕内で救済されない率No.1(※根拠はありません)の"幻魔"サキュロント。口調がおかしいが気にしてはいけない。コキュートスは内心感心していた。完全なる不意打ち、しかも死角からの攻撃であるにもかかわらず、用意周到に幻影を用いた目眩しを行い、更には声も出さない。奇襲としては完璧であった。…ある一点を除いて。

 コキュートスは振り向き様にそのままハルバートで叩き切る。その後、コキュートスから放たれる冷気が残骸を凍てつかせ、完全な氷の塊になると思いきり踏みつけて粉々に粉砕した。

「完璧ナ不意打チダッタ。ダガ、ソンナニ殺意ヲ出シテ居ラバ場所ヲ教エテイル様ナモノダゾ。」

 仲間を殺されてからの六腕の動きは素早かった。ゼロは奥義発動のため、すかさず構えを取り刺青に宿る力を自身に付与する。その溜めの時間を稼ごうと、マルムヴィストとペシュリアンが左右から同時の攻撃、前方からはデイバーノックの魔法による炎の魔法の援護と、上方後方からシミターが飛んでくる。いつものゼロであれば、自身の出る幕もなく終わると確信するが、今回はそうではない。念には念を…目の前の異形種にはこれでも足りない気がしてならない。着弾した炎による煙が晴れるより早く、ゼロは一生の中で最も精神を研ぎ澄まして、更には武技を惜しみなく使った渾身の一撃を繰り出した。

 

 ガシリと拳が何かに挟まれた感触を感じる。煙が晴れると拳はコキュートスの顎に挟まれているのを認識した。

「素晴ラシイ一撃ダ。鍛エアゲラレタ肉体、研ギ澄マサレタ精神、磨キ抜イタ技、ドレモ素晴ラシイ。」

 興奮の余り、コキュートスは顎に込める力を強くした。同時にゼロの拳が血飛沫を上げる。

「ムゥ!済マナイ、興奮ノ余リ力ヲ込メ過ギタ様ダ。」

 ゼロは自身の必殺が軽く止められたことを認識し、絶望した。周りを見ればレイピアをへし折られ、その切先を眉間に打ち込まれたマルムヴィスト、自身が操っているはずのシミターが両手両足に突き刺さり身動きが取れないでいるエドストレーム、自身の得物を掴まれ、今尚振り回されているペシュリアン、戦意を喪失し項垂れるデイバーノックの姿があった。マルムヴィスト以外は殺されていないことに安堵するが、状況を打開する術は無い。ゼロは死を悟った。

 

この日、コキュートスを師と仰ぐものが二人から五人に増え、ついでにアンデッドの友人ができた。あと、青の薔薇にめっちゃ怒られた。

 

 

-1発ネタ やらかしルプー-

※ヴァーミンロードとは別次元とお考えください

 

 至高の御方々の一人がナザリックに帰還したと聞いて、ルプスレギナは高まる気持ちを抑えられなかった。扉を開けて、そこに座すは古き漆黒の粘体。ルプスレギナは流れる涙を止める事なく、その御方の名前を呼ぶ。

「ドロドロ様!」

「ヘロヘロだよ!!!」

 ヘロヘロは粘体の手で思い切り机を叩く。粘体とは思えない轟音が響き、デミウルゴス監修の下、ソリュシャンによる24時間のお仕置きがルプスレギナを襲った。

「もうお仕置きは懲り懲りっす〜〜!!!」

 

(マジで思いつき書いただけです。)

 

-ヴァーミンロード小話集 完-

 




〜言い訳〜
●刀狩り
この時点のブレインが虎落笛止められたら自信喪失では?→コキュートスは止めつつ褒めたりアドバイスしてるので自信喪失に至らなかった。そう言うことにしてくれ…

●蟲殺しと蟲王
ヴァーミンベインは多分コキュートスにはそこまで効果ないと思う。全く効かないってことはないだろうけど。
原作コキュートスがザリューシュ相手に素手で武器止めたり敢えて防御しないとかしてましたが、当作品のコキュートスはなるべく素手で防御や素で受けるのはしない主義になっています。特に理由はありませんが、味気ない戦闘になるから許して欲しい…

わかりにくいですが、遭遇時はガガーランとイビルアイのみ、途中からティナティアが合流、最後にラキュースがやってきたって感じです。本物わかりにくくて申し訳ない。

●八本指の六腕vs三本指で四腕
コキュートスとデイバーノックは友達になれるのか?→異業同士なんだから友達になったって良いだろう!友情に種族なんて関係ないんだYO!!

コキュートスの弟子
・ハムスケ(作中描写なし。弟子というか勝手に懐いた)
・ブレイン(弟子だけどコキュートスはブレインに武技を教わっている)
・ゼロ(モンクハ専門外ナンダガ…)
・エドストレーム(シミター以外も使わせようと指導中)
・ペシュリアン(使ってる武器が変わり種で面白かったのでコキュートスも勉強中)

何でマルムヴィストとサキュロントは殺害されたの?→毒塗ったレイピアとかおもん無いから。サキュロントに関してはコイツ別に強さに貪欲なわけじゃ無さそうだから見込み無しということで退場。

青の薔薇に怒られた理由→八本指は無事潰せたが何で六腕を弟子にしてるんだ 的なアレ。でもコキュートスに任せとけば安心か的な気持ちもある。

誤字報告ありがとうございました!
重ねて誤字報告ありがとうございました!
さらに誤字報告ありがとうございました!
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