呪術廻戦×「巣くうもの」(洒落コワ話より)ネタ 作:蜜柑ブタ
伏黒がかなり怖がっています。
五条が頑張ったけどボロクソに「巣くうもの」に負けます。
少しエグい、残酷な表現と流血表現があります。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
この世には、見てはならないモノが存在する。
しかしソレは間違いなく存在していて、知らない人間は知らないまま餌食になることがある。
これは、呪いというこの世の闇の部分に深く関わりそれらを祓うなりして扱い、関わる者達が、呪いより恐ろしくて、呪いより不可解な存在に翻弄された物語である。
伏黒恵という呪術師の少年にとって、虎杖悠仁という同年代の少年に抱いた印象は悪い物ではなかった。
むしろ出会って間もないのに守るべき善人だと判断できるほど良い人間であった。
その日、その時、両面宿儺の指という特級呪物の回収の任務のために動いていた伏黒は、その過程で悠仁と出会うこととなった。
両面宿儺の指が封印されていた場所は、悠仁の学校のオカルト研究会の知人が持ち出すために暴いており問題の呪物はすでに無かった。
出会った時点でおかしいことに気づいていたなら、伏黒はまだこの後に待っている災難を被らずに済んだかもしれない。もしくは問題を先送りできたかもしれない。
おかしい点、それは両面宿儺の指が封印されていた場所で悠仁が地面の上で身体を丸めて寝ていたことだ。
日も落ちた時間帯だが、外で、こんな場所でグッスリと寝るなんてその時点でおかしい。
伏黒は慌てて悠仁を起こしたら、悠仁は何事もなく眠そうに目を擦って起きた。
起きた拍子に指が入っていた古い箱が悠仁の懐から落ち、箱が空いたことで中身が無いことが発覚し、慌てた伏黒が中身のことを悠仁から聞き出して彼の先輩達が取りだしたのだろうと推測された。
次に伏黒が見落とした点がある。
それは特級呪物なんてこの世の呪いの塊みたいな物が入っていた箱やこの箱が封印されていた場所に、呪いの痕跡がひとつも無かったことだ。厳重な封印がされていたとはいえ、隠すには限界がある代物である両面宿儺の指の呪いのカスが臭いも残っていないのはおかしいのだが、核弾頭レベルの危険物の封印が破られそこいらの呪霊を呼び寄せて被害が出ることに慌てた伏黒は呪術師としての経験の浅さから気づくのが遅れた。
悠仁の案内で悠仁が通う学校に来た2人だったが、指を持っているであろう先輩達を探すために校内に入ろうとしたとき、悠仁が急に倒れた。
「虎杖!?」
まさか指に惹かれて集まった呪霊の影響で倒れたのかと心配した伏黒が倒れた悠仁に駆け寄って膝をついて調べると。
悠仁は、寝てた。
熟睡。爆睡。
思わず脱力しそうになるほどグッスリと熟睡していたので、軽く頭痛を覚えたが今はそれどころじゃないと思考を切り替え、悠仁の発育が良い身体を引っ張って運び物陰に隠して寝かせた。
たぶん80キロはあるであろう筋肉質な重たい悠仁を運び終えて、手を放した直後だった。
ユラリと悠仁の身体の表面の空間と影が揺れた気がした。
一瞬見間違いかと思ったが、黒いモヤのように見える影のような物がモワモワと目の前で悠仁の身体から湧きだし、その異様な現象を頭で認識している間にヒュンッと一瞬で黒いモノが一本の触手のように伸びて、伏黒の後方の方へ一気に伸びていった。
あまりに早い動きだったため伏黒が認識するよりも早く後方から、音が聞こえてきた。
遠いが遠すぎない距離で、たぶん校内の廊下から聞こえていると思われる距離のところから、耳を塞ぎたくなるおぞましい音が聞こえてきた。
それは声として認識できないような気持ちの悪い断末魔が混じった、破壊の音。
漫画や小説に描かれるような、生き物が物理的に破壊される時に使われる音の表現がぴったり当てはまる音。
その音はどれくらいかして消えた。
伏黒は後ろを見れなかった。見たくないと汗を大量にかいて硬直した。おぞましい呪いを祓う呪術師としてこの世の闇に触れてきた人間であるのに、さっきの音がしていた“現場”を見たくないと本能が拒否していた。
音が止んで、静まりかえる学校。何事も無く暢気にグーグースヤスヤ寝ている悠仁の寝息が微かに聞こえる。悠仁の寝顔と寝息が実に安らかで安眠状態なのが非常に場違いだ。
「お疲れ恵。…………ねえ、これどういう状況?」
場違いな男の明るい口調が聞こえたが、言葉の最後の方は少し緊張が伺える。
その時、ブワリッとあの黒いモヤが悠仁の身体から溢れ出た。
「なにこれ…? スプラッターホラー顔負けの呪霊の惨殺、殺戮現場って笑えないし…? へっ?」
目を覆っている黒い目隠しを指であげた白い髪の男が青い目で、その惨殺現場を見てからその青い目を伏黒と伏黒の傍で寝ている悠仁の方へ向けた。
するとその瞬間にソレが彼の眼前に迫っていた。
「五条せんせ…!」
我に返った伏黒が五条に襲いかかったソレを今度こそハッキリと見た。
黒いモワモワとした物は、さっきよりも太く分厚く、しかし先端を枝分かれさせて五条のすぐ目の前で見えない壁に阻まれたように広がっていた。
五条にはあらゆる攻撃を防ぐ術式があり、それに阻まれたのだ。
「なにこれ?」
五条が目隠しを外した青く美しい特殊な呪術師の目である六眼で、ソレを観察した。
五条が観察していると、変化はすぐに起こった。
メキメキとかブチブチとか、奇怪な音を立てて黒いモヤが阻まれた壁を探るように蠢き始めたのだ。
「はっ?」
それは六眼を持つ五条にはありえない光景だった。
あらゆる事柄を辿り着けなくさせる特殊な領域を生み出す無限という呪術の壁の前で止まっていた黒いモヤの枝がジワジワと地面を掘り進むように五条と黒いモヤの間を埋め始めたのだ。
「ちょっ…、ウソでしょ…? あり得ないっしょ。」
ゆっくりと、確実に自分に迫ってくる黒いモヤの一部に五条は口元をヒクつかせた。
何者にも敗れないはずの無限を乗り越えて五条に触れるか触れないかの距離まで黒いモヤの枝が迫った時、自身の指から呪術を放った五条の目の前で大きな爆発が起こった。
後方斜め後ろへ飛び退いた五条だったが、爆風から目を離さずにいたはずの彼が自分の身体の横からめり込む丸太のように太い黒いモヤの質量と衝撃を感じて目をそちらに向けた。
無限による防御はできている。なのに相手はその中で普通に動けている。違う、辿り着けなくなるほど遅くなっている中で普通に動けるように動けるほど速く、強大な力だけで無理矢理ごり押して攻撃してきているのだと、六眼だから解析できた。できてしまった。
「う…そ……で…しょ…………ぉ?」
無限によって本来のスピードとパワーが視認できる速さと確認できるパワーに抑えられている攻撃で、自身の身体の肉と骨が潰れて内臓にもダメージが入って行くのを感じながら五条は吹っ飛ばされ学校の運動場に転がり、口から大量の血を吐き出して撒き散らした。
五条を吹っ飛ばした黒いモヤは、更に伸びて五条の左足に巻き付いて軽々と持ち上げた。
反転呪術により瞬時に傷を塞いだ五条は、呪力を溢れさせ、呪術を発動させて攻撃を繰り出した。
呪術師の中で自他共に最強を謳われる五条のその攻撃は、伏黒が知る限りではまさにオーバーキルというレベルの容赦の無い本気で全力のものだ。
しかし、地図上の地形さえ軽く変えられる、あるいは日本という島国を軽く滅ぼせるほどの全力の呪術による攻撃は、五条を捕えている黒いモヤが身じろくように少し揺れさせるだけで終わった。しかも身じろいたのは最初の内だけだった。すぐに慣れたように微動だにしなくなった。
不意に黒いモヤが大きく振り上がるように動き、捕われている五条の身体も上へ持ち上げられた。
そして、振り下ろされる。容赦なく。残像が見える速度で。
加減を知らない幼子が人形などのオモチャを叩き付けて遊ぶように五条の身体が地面に叩き付けられ、四肢が曲がっちゃいけない方向に曲がったり、口から出てはいけない量の血も出た、胴体からも服を突き抜ける肋骨の一部があった。
伏黒は、気がつかぬうちに身体が震えていた。恐怖で腰を抜かしたとはこのことだろう。
「っ~~、ぁ…ぐ……あ…ぅ…う……。」
美しく整った顔から出る体液に血が混ざり、肺と気道に溜まった血でまともに声も出せなくなっている五条の虚ろな青い目と伏黒の目が合った。
人の死に様を知っている伏黒の目から見ても五条がすでに瀕死で、あと少しで死にそうになっている状態であることが分かる。命の灯火が消えかけたうつろな目からは、あまりの肉体へのダメージで痛みを通り越して何も感じなくなっている状態のようにも見える。
そんな状態の五条の身体がまだ掴まれている左足から持ち上げられそうになった時、伏黒が動いた。
恐怖を僅かに凌駕した守らなければ助けなければという意思が伏黒の呪術を発動させた。
伏黒の影から飛び出した式神が黒いモヤに襲いかかろうと飛びかかった。
しかし飛びかかるために動く動作の最中に、式神達の身体が細切れになった。
僅かに空気を切るような音がした瞬間に細切れになった式神に更に攻撃が入り、地面にすり潰されるように形を失い地面に液状になった残骸が広がった。
いつの間にか五条から黒いモヤは離れていたが、五条を捕えていた黒いモヤの先端が蛇の頭のように動き伏黒への矛先を変えたのが分かった。
死んだ。
自分は死んだ。
伏黒は手で印を構えたままぼう然とそう考えた。もうどうにもならない、どうにもできない脅威を前に死ぬと感じるとこうなるのだなとそれ以外に思考が吹っ飛んだ頭で認識した。
そんな伏黒と黒いモヤの間に水のような透明な物が割って入った。
水風船が割れたような音と共に辺りに透明な残骸が散らばった。
枝分かれした黒いモヤが散らばった透明な残骸を残らずすり潰すように動き、すり潰し作業が終わるとやがて用が済んだとばかりに悠二の方へ流れるようにして消えた。
それらのことを伏黒が認識し、我に返ったのは傍で寝ている悠仁が寝返りをうって微かに呻いた声が聞こえた時だった。
どうにか復活した伏黒が、窓を呼び、瀕死の五条と足腰が立たない自分、そしていまだにぐっすり寝ている悠仁の回収と、校内で見つかった両面宿儺の指の回収と、気絶している悠仁の先輩達の保護をしてもらった。
悠仁が起きたのは、翌朝のことで。
「あ~、よく寝た! って…、ここどこ!?」
封印のための大量の御札が隙間無く張られ、なおかつ悠仁を拘束するために縛るのに使った拘束具が、悠仁が起きる頃には普通じゃあり得ない状態と言えるほど破れたり壊れたり千切れたりして使い物にならなくなっており、周りに壊れたそれらが散らばっていて自分が拘束されていたことなど一切知らない悠仁は暢気に伸びをしてから自分がいる場所に気づいて慌て、上記の言葉を発してまったくの無傷で影響も何もないことを周りに知らしめた。
そんな悠仁の傍にある影がユラリと勝手に揺れたのを見て、あの黒いモヤの目撃者である伏黒が出そうになった声を手で口を塞いで押さえ込み、腰を抜かしかけたのを耐えたのだった。
その後間もなく、監視カメラで離れた場所から悠仁らの様子を見ていた呪術界のお偉いさん達の一部が正体不明の何かに攻撃されたり、持っていた呪物などが突然暴走なりひとりで壊れたりして大騒ぎになるのだが、死人が出なかったのは奇跡だと復活した五条が現場状況を見て語ることとなる。
「虎杖悠仁くん…………。……………………あの子の中に何が巣くっているんだろうねぇ?」
五条の六眼による分析により、虎杖悠仁の体内に住むその存在を、『巣くうもの』と定義して記されることなった。
「巣くうもの」の表現や姿は、捏造です。
某動画サイトで漫画動画になっている「巣くうもの」は、多腕の武者のような姿で描かれていますが、このネタでは黒いモヤモヤした影のように黒くて不定型なモノにしました。
「巣くうもの」は、呪いではないという設定にしています。
そのため呪術では殺せない。
五条への攻撃は条件反射です。
敵意があるわけではなく、六眼による視線を攻撃と認識して『家』である悠仁を守るために攻撃した。
トドメを刺さなかったのは排除すべき脅威という認識が薄いためです。これが六眼じゃなく、別の呪術で攻撃していたら粉々にされたあとすり潰されて殺されていたと思います。
伏黒への攻撃の矛先を変えたのに止めたのも、最初に式神を排除した後に伏黒を助けに入った存在を排除したが、この時点で伏黒を脅威と認識する部分が伏黒の戦意の喪失により無くなったのでギリギリ攻撃対象から外れたから。もし伏黒が諦めずに攻撃をしていたら次の瞬間に原形も無くなるほど攻撃されて死んでいました。
次回をもし書くのだとしたら、「巣くうもの」を体内に持つ悠仁の処遇と、悠仁を保護・拘束したことで被った被害とかを書こうと思います。
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