呪術廻戦×「巣くうもの」(洒落コワ話より)ネタ   作:蜜柑ブタ

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やっと執筆できました。

今回は前回夏油が仕掛けた事件に『巣くうもの』を出撃させるが…?


元ネタからどんどんかけ離れていきます。

『巣くうもの』がどんどん凶悪になっていきます。


夏油が仕掛けた事件でモブの子供が多数犠牲になっており少々胸糞です。





※2023/09/23 五条達の過去の事件の時系列を間違えたため一部修正





それでもOKって方だけどうぞ。






いいですね?




SS11  仕掛けられたエサに食いついたら?

 

 

 

 少年院の一件で悠仁は爆睡した。

 しかもいつもより長く寝て丸2日も起きなかった。

 『巣くうもの』が少年院を内部に発生していた呪いの吹きだまりと中に取り残された人間ごと建物を破壊し尽くした。呪術界側で確認できている中で一番となった破壊であったことから『巣くうもの』が住処としてる虎杖悠仁を眠らせる度合いを強めたのではないか? そう考えられたが寝ている間に健康状態をチェックされたが原因は分からなかった。

 『巣くうもの』の反撃が恐ろしいので呪術的な形で調べることができないし、虎杖悠仁に悪影響がある形で体を調べることもできないためできることに限界があったとはいえ最新医療技術を用いてできることはやったはずだ。だがそれでも深い眠りに入っていること以外は不明だった。現に寝起きも良くスッキリ起きて問題なく食事も摂っていたのだから。ただ長く寝ていた影響で喉の渇きを訴えたがその程度だ。

 起きてすぐにいつも通りの習慣で顔を洗ってから朝食を美味しそうに平らげる悠仁は、2日も眠りっぱなしだったとは思えないほど普通すぎた。

「2日も寝てた!? マジで!?」

「そーだよ-。その様子だと全然体調に問題無さそうだね?」

 食事後に保健室に呼び、五条と家入からそう伝えられて悠仁は驚いていた。

「だからやたら喉渇いたのか。あ、でも昔はもっと寝てたことあったみたいだし…。」

「そうなの? じゃあ最長でどれぐらい寝てたのかな?」

「えっと…、爺ちゃんの話だと…、1週間ぐらい寝たことがあったみてー。」

「それっていくつの時?」

「んーと…、3歳ぐらいの時と…、1年ぐらい前?」

「悠仁、今何歳だっけ?」

「15だけど?」

 それがどうかしたの?と首を傾げる悠仁に悟られぬよう動揺する心を抑えて五条が微笑む。

「分かった。ありがと。」

「?」

 五条が務めて冷静な声色で悠仁に言い、不思議そうな顔をしている悠仁の頭を撫でた。

 家入も顔に出さないように務め、けれど五条が考えていることに近い考えを持っていた。

 

 

 

 

 

 

「薨星宮本殿と百鬼夜行の両事件に、『巣くうもの』が関わっている可能性があると?」

「悠仁が長く眠っていたっていう時期と重なるとしたら…ですよ。」

 その後、五条は夜蛾に自身の考えを伝えた。

 悠仁が長く寝ていたという年齢の時期と五条が言う出来事が重なるというのだ。

 この2つは夜蛾も知っている事件で決して表沙汰にならない呪術界で知られる事件だった。

「まだ詳しい調査はしてないので真実は分かりませんが、なーんとなく被っている気がしてならないんですよね~。」

「今回の虎杖の昏睡期間でそう考えたのか?」

「十年前と、1年前に1週間は眠り続けたことがあるようでして、もし眠ったタイミングが……。」

「五条。」

 五条がペラペラと語ろうとすると夜蛾が待ったを掛けるように名前を呼んだ。

「当事者であるお前の気持ちはよく分かる。だが憶測の情報を広めるのはやめろ。」

「……合ってると思うんだけどな~?」

 五条はクスクスと笑いながら道化師のように大げさに両腕をすくめて見せた。

「もしこの考えが当たってるとしたら、雲隠れしてるアイツがいまだに動きを見せてない理由と企みも見える気がするんだ。」

「五条!」

「予測しておくってのは大事です。」

「それは分かっている。だが…、混乱を大きくして嘘の情報が付け足されては敵わん。」

「百鬼夜行を実行したアイツが、『巣くうもの』が関わってる可能性が高い事件に巻き込まれてる当事者でもあるアイツが、なにか勘づいて動いてないなんてありないでしょ? それに仙台で嗅ぎ回ってる姿が目撃されてる証言取れてますし?」

「なっ…。」

 初耳だった夜蛾が言葉を失った。

 五条が言うアイツとは、最悪の呪詛師、夏油傑のことだ。

 かつて五条の同級生で親友だった人物でもある。

「悠仁を引き取るときに悠仁の旧住居のご近所さんと連絡先交換しといてよかった。その人天涯孤独のお婆さんで悠仁のこと気にしてたみたいで、怪しい奴が嗅ぎ回ってるってことを知って連絡してくれたんです。年の功で嫌な予感がしたんですかね。」

 夏油は見た目も手伝ってセールスマンみたいに人当たり良く演技できるが隠しきれない非呪術師への嫌悪は分かる人間には見抜かれると五条は笑って言う。

 

 

 

 翌日、呪術界からの緊急任務が入る。

 幼稚園とその周囲の家屋の一部を巻き込む呪いによる生得領域が発生し、その中心にあった幼稚園が完全に閉じ込められ幼稚園児と幼稚園職員が取り残されているという情報がある。

 生得領域が発生した時の状況が事故やその地域に封印されていたといういわく付きの情報が無く、夏油の姿が前日に確認されていたこと、更に生得領域の発生時に夏油が過去に使用していた呪霊の一部が確認されたことからこの事件が夏油が意図的に起こした非常事態と認定し、五条に指令が下った。

 ただし条件付きで……。その条件とは少し前の少年院の件と同じだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「呪術界…、マジありえねーんだけど!?」

「同感。」

 こめかみに浮かび上がった血管が破裂しそうな様子の釘崎に、一見静かだが不機嫌と殺意ダダ漏れの伏黒。

「二人とも~。まずは感情にまかせた呪力を抑えようか。じゃないとアレに秒殺どころか瞬殺されて地面の染みになっちゃうよ?」

「わかってるっての!! けどこの間のあれの後で虎杖の中のアレ使おうってなる!? 腐ってるどころの話か!?」

「……現場に行く前に虎杖をソッチに行かせて消滅させても…。」

「気持ちはどちゃくそ分かるし僕だってそーーーーしたいけど! 恵、呪術界が潰れたら呪詛師の最大勢力とか諸々が面倒なことになるから、ね? 潰すんなら代わりが用意できてからにしよう。」

「………チッ!」

「恵ってそんな顔と舌打ちできるんだ~。」

 ケラケラとおかしそうに笑う五条だが彼の心の内は伏黒達に負けず劣らず大荒れだった。

 目先の損得で正体不明の危険な存在を利用するやり方に怒りを禁じ得ない。少年院での件で五条の六眼で『巣くうもの』が成長していることが分かっていることも、少年院が今まで披露されていなかった攻撃方法で破壊される様子を映した動画も上層部に伝わっているのに、それでも利益のために利用するのかと。

 救いようがない。

 呪力を持たない普通の人間と呪術界の腐敗に絶望し尽くした元親友の気持ちがよーく分かるが、これは自分が選んだ道である。呪術界を根底から作り替えるには優秀でイカレていても正しい心を持つ若者達が必要だ。その教育のために呪専の教師として教壇に立つ道を選んだ。

 そんな最中で現れた虎杖悠仁の中に潜む正体不明の存在である『巣くうもの』。

 呪いを含めたあらゆる神秘を無差別に破壊し、自分自身の生存以外には無関心で住処として利用している悠仁のことさえ自分が大人になって巣立つまで守るだけのサナギの殻でしかない。腹の中で好き勝手に栄養を搾取して寄生して生活している寄生虫が宿主のことを気に掛けるわけがない。寄生虫によっては宿主を操って死に追いやることさえあるのだ。『巣くうもの』の宿主として利用されている悠仁の未来が明るいもとになるとは考えにくい。

 なんとかしてやりたい。悠仁はとても明るく良い子だ。呪術師にはほぼいない人に好かれる根明な善人。生きていれば素晴らしい未来があるはずだ。

 『巣くうもの』を呪術では倒せないし、下手に悠仁の身に危険が及んだり『巣くうもの』が危険を察して何かしらの反撃をしてくる可能性が非常に高い。だから外的な医学の力をもって『巣くうもの』を除去するという手段も使えない。しかも医学による検査でも悠仁の体内から発見できないときた。

 少年院はけして小さい規模ではない。それを地下数階分まで及ぶクレーターとその中に落ちた瓦礫だけにしてしまう破壊力。それ以前にも音も無く建築物内の一室にいる人間達をレンジでチンした卵のような有様にしてしまったこともある。悠仁の幼少期に山の神を殺して村をひとつ滅ぼしたりもした。明らかに破壊力と攻撃手段が成長しておりこれ以上の成長を促すことに巻き込むのは危険すぎるで済ませられない。

 だが現実に起こっている状況が『巣くうもの』を利用しないという選択肢を選ばなければならないと強制してくる。

 

 

 

 生得領域が発生している現場に先に来た五条は自身の六眼を眩しそうに細めた。

 彼の目で中の状況が全てではないがほぼ全てを見通す。

 中心にある幼稚園にはたくさんの園児と幼稚園職員がいたはずだ。しかしそこにあるはずの命が見当たらない。あるのは領域に居座る強大な呪いだけ。

「特級を即席。宿儺の指は…ない。特級以下の呪物を数種と子供を十数人以上も喰わせて急ピッチで領域と呪霊を生み出すなんて…、完全に釣り針に吊るされたエサじゃん。」

 五条は今回の件が夏油が悠仁を、『巣くうもの』を誘い出すためのエサであることを見抜いていた。

 あの少年院での出来事を参考にした可能性があり、同じぐらいかそれ以上の規模で事を起こせば呪術界が悠仁を出すと読んだのだろう。その読みは完全に当たった。飛んで火に入る夏の虫も生っちょろく感じるぐらい簡単にその通りになった。

「いや、分かってて『巣くうもの』で一網打尽にしちゃえば全オーケーって感じ? あ、そっちのが当たりな気がしてきた…。」

 一網打尽にしてしまえば後々まで問題が先延ばしになったり別の被害の原因にならないから『巣くうもの』を利用することにしたのではないか。その可能性が高いと見て五条はため息を吐いた。

 持っていた携帯に通知が入り、メールで悠仁を予定地点まで移送中ということが記されていた。

 それと悠仁の世話をやらされる役割の吉野がストレスで死にそうだということも別メールで送られてきた。

「可哀想だけど、今の段階じゃ順平しかできないことなんだよ。だから頑張って。」

 五条は吉野にそうエールを送れと返信した。

 『巣くうもの』がもうすぐ攻撃に移る。悠仁が呪霊の生得領域に近寄れば一定距離に差し掛かった段階で強制的に『巣くうもの』に眠らされ、『巣くうもの』が攻撃を始める。

 少年院を破壊した時のこともあるし、同じ攻撃方法が取られることを視野に入れていた。

 だが五条が六眼で見て感じ取った『巣くうもの』の成長の加速は確実なものであることを知らしめてきた。

 

 白い巨大な光弾がある方向から一発飛んで来た。

 その光に五条が気づいて携帯から顔を上げた直後、その光弾は生得領域の壁に着弾した。

 着弾と同時に生得領域を塗り替えるような勢いで一気に膨らんだ白い光が破壊音も無く生得領域をその周辺の一部を巻き込んで消し去った。

 白い光は生得領域と周囲の一部を消し去るまで膨れると音も無く消える。

 そのあとには綺麗なクレーターだけが残された。

 少年院と違い、何もない綺麗すぎるほどの綺麗なクレーターだけが残り、生得領域の呪力もそこにあった建造物などもそこに取り残されていたかもしれない生存者も死体も何も残らず欠片も灰も何もない。

 五条は美しい青い色の六眼を見開いたまま、その手に持っていた携帯をポロリと落としてしまった。

 地面に落ちた携帯の音でも正気に返れないほどの不気味な静けさ。爆発によってできたクレーターではないせいか臭いさえない。少年院の時は少年院という建造物を上から物理的に押しつぶして破壊したから建造物を破壊したときの粉塵と配管などからの臭いがあった。

 だが今回は違う。

 破壊したり焼いたりする時の空気の動きも熱も独特の音さえもなかった。

 白い光に見えた力に触れた物質はすべて跡形も無く消し去った。

 完全なる消滅だった。

 五条の六眼でも何も見えなかった。分からなかった。あの白い光がなんであるのか、正体がまったく分からなかった。

 固まっていた五条の足下に落ちていた携帯がうるさく着信音を鳴らした。それでやっとハッとした五条が携帯を拾い上げた。

 通話相手は伊地知だった。

 伊地知が必死に冷静さを保つが抑えきれない少し震える声で何があったのか伝えてきた。

 少年院の時と同じようにある程度の距離に来たところで『巣くうもの』が動き出した。悠仁が眠り、車を止めるときに悠仁の体から出てきた『巣くうもの』が生得領域を破壊しに動くと思われた。

 だがここで今までに見られなかった動きをしたのだ。

 まるで花の蕾のように大きく膨らんだ先端が生得領域に向けられ、花弁が開くように動いたかと思うと花弁の動きに合せてその中心から光弾が発生して膨らんでそして発射された。

 あの白い光弾は『巣くうもの』の攻撃だった。

 まさかこんな攻撃手段を使うようになったことは、敵も味方も衝撃を受けた。

 『巣くうもの』を都合良く利用しようとした呪術界も、今回の事件を仕掛けた夏油達も、五条と同じように言葉を失いその場で固まっていただろう。

 

 事件現場の跡地の調査を任せ、眠っている悠仁を呪専へ運ぶ。

 悠仁は相変わらずぐっすり眠っていた。自身の中に潜む『巣くうもの』がやったことを何も知らないで。

 しかも中々起きなかった。少年院での件より長く寝ていた。

 この調子だと1週間も眠ってしまいそうである。

 1週間も眠り続ける…。そのことで五条は悠仁との会話を思い出す。

 3歳頃の頃と15歳の頃に1回づつ1週間眠ったことがあったという。

 その二つの時期が五条にとって引っかかっていた。

 五条はその二つの事件のことを思い出す。

 

 

 

 1つめの事件。

 

 星墏体という特殊な体質の少女の護衛の任務。

 呪術界の結界の要である天元との同化をする運命にあるその体質の少女を同化の時まで護衛する任務を呪専に在学していた頃に離反する前の夏油と務めた。

 

 

 

 2つめの事件。

 

 離反した夏油が特級過呪怨霊『折本里香』を狙って百鬼夜行というテロを起こした事件。

 

 

 

 

 その2つの事件には共通する災いが降りかかっていた。

 

 正体不明の攻撃による破壊。

 呪力も感じ取れず、ただただ強大な破壊。

 逆に呪術を消し去り無効化してそれすらも破壊した破壊の力。

 何がそれをやったのかは分かっていなかった。

 あれが一体何だったのか、五条が記憶の脇に置いて生きていた時に遭遇した悠仁に寄生する『巣くうもの』。

 夏油も恐らく同じ考えに至ったから悠仁のことを探っている行動をしていると思われる。

 

 五条は当時の記憶を呼び起こし、あの時の状況を分析することにした。

 

 

 

 

 




前回夏油が仕掛けた特級呪霊を発生させる仕掛けが発動。
多数の命を犠牲に特級呪霊と生得領域を発生させて『巣くうもの』を呼び寄せようとします。
企み通り呪術界が後先考えずに『巣くうもの』を利用。
その結果、とんでもないことに……。


次回から五条と夏油が巻き込まれた『巣くうもの』によるものと思われる攻撃のことについて過去話になる予定です。




※2023/09/23
修正した箇所は悠仁が1週間以上眠った年代を5歳から3歳にしたところです。
15歳の悠仁が12年前なら3歳なので。

どのエピソードを希望しますか?

  • 夏油が巣くうものを探す理由になった過去
  • 乙骨と里香を高専に帰還させるには?
  • 京都との交流戦でひと悶着
  • 悠仁の両親の死と、倭助の行動
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