呪術廻戦×「巣くうもの」(洒落コワ話より)ネタ   作:蜜柑ブタ

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今回はちょっと短め。


アンケート結果で多かった、夏油が『巣くうもの』を狙うことになった過去編。

星墏体護衛での事件から書きました。

今回は過去をなぞる感じにしましたので台詞は少ないです。



予定と違い『巣くうもの』からと思われる攻撃が2回あったという流れにしました。


また天内理子の死亡状況が酷い状態です。グロ注意。


甚爾が未登場です。






それでもOKって方だけどうぞ。







いいですね?





SS12  星墏体の死の原因

 

 

 12年前。

 五条と夏油と家入が呪専の生徒の2年生として生きていた頃だ。

 呪いという汚れと悪臭極まる代物を扱う専門家の卵として、それを生業とする名家の血筋、呪術と関係ない家から生まれた呪術師だが生まれ持った優れた呪術など様々な理由で呪術の専門学校に在籍することになり、切磋琢磨していた青春の時代。

 だが多感な青少年だったからこそ、あまりにも呪いに振り回されて歪むことになったともとれるかもしれない。

 夏油傑はまさにそうだったかもしれない。

 呪霊操術という呪霊を支配して操る強力な術式を持って生まれた逸材だったが、この術式がそもそも口から呪霊を飲み込んで取り込むという作業をしないといけず、しかも呪霊の味が超最悪ときたもので呪霊の数が多ければ多いほど真価を発揮するからそれが余計に彼の精神をすり減らしたことが考えられる。当人曰くゲロ雑巾味らしい。

 心身を削って呪術師として仕事をし力の無い弱者を守ること。しかしそのことは一般社会には知られない秘密の世界であり呪いの見えない一般人にはフィクションや遠い世界の話だ。だから呪術師の中にはどんなに頑張っても報われないという空しさで精神を病む者が少なくない。

 夏油もそのひとりだった。

 汚物より酷い味に耐えながら何も知らない弱者を守るために命を削る日々。呪いを視認できない者達にはそれらと関わる者達がどう見えるのか。だからこそ日陰で身を隠しながら呪術師が活動していることは賢い彼は十分理解できていた。賢くて強かったからこそ耐えることの大切さを知っていた。

 だが、耐えすぎてしまったのだ。

 物事に限界点があり、耐え続けるだけではいずれ折れて崩れると分かっていても支える術をなかった。

 そうして限界を超えてしまった夏油は、彼が非呪術師全般を猿と蔑む最悪の呪詛師となった。

 

 夏油と同級生で親友の関係だった五条の記憶にある二人の大きな転機となった事件が2つある。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 一つ目は天内理子という少女に関係する事件だ。

 

 

 

 

 呪術界の結界の要である天元という呪術師がいるのだが、天元は星墏体という特殊な体質の人間と同化する周期を持つ。

 この星墏体という特殊体質の人間が天内理子という少女であった。

 彼女は一般人として育ち、家族を失う不幸こそあれその運命によって呪術界に保護されて天元との同化の時を待つ身であった。

 天元との同化について彼女は受け入れているようだったがそう呪術界から教育されていたからかもしれない。

 そんな彼女を良く思わない人間達がおり、五条達はそれらから守るために護衛の任務についていた。

 天元を信仰する宗教団体が天内理子を同化させることを良しとしなかったため、彼女の命を狙うほどの強行に及んだ。

 天内理子とて体質が特異ではあったが、呪術師としての学びはなくあくまで普通の人間の少女で、まさに生贄となるためだけに生かされているに過ぎない不幸な運命に翻弄される哀れな身なのに。

 しかし天内理子とてやはり心を持つ人間だった。天元との同化は自分の人生の終わり。このまま人生を終わらせていいのか?という疑問と生への渇望が芽生えないはずがない。

 しかも天元が同化を必要とする理由は、天元が時と共に呪霊に近くなっていくのをリセットするためであり、ここで同化してもまた時が来れば新たな星墏体との同化が必要となるため彼女が犠牲になっても終わりがない。

 それを知った夏油も五条もやりきれない思いを抱いた。

 彼女がとても良い子だったということもある。

 ここで同化を拒否すれば天内理子は同化せずに人間として生きることができる。拒否権は一応あるのだ。

 だが、残酷な終わりがやってきた。

 家族を失い天涯孤独の身だった彼女を支えてくれた大切な人々との別れに耐えられなかった天内理子は、天元のいる薨星宮本殿にて拒否の意思を示したのだが……。

 

 突如として襲ってきた謎の力によって薨星宮本殿が破壊された。

 全壊ではないが、かなりの被害が及び、天元はなんとか身を守り切れたが呪術界の結界にダメージが入り、建造物への破壊が多く見られた。

 その破壊に天内理子と共にいた夏油も巻き込まれ、瓦礫の中で意識を取り戻した彼が天内理子の無事を確認しようと負傷した体を起こして見たのは……。

 

 巨大な瓦礫に胸から下の下半身を押しつぶされて事切れた、天内理子の死体だった。

 

 仰向けで目を見開いたまま動かなくなった彼女の顔は、なぜ?どうして?という自分に起こったことを信じることが出来ず、死の現実を受け入れられていない表情で固まっていた。

 夏油は自分のボロボロの体を無視して彼女に駆け寄り瓦礫から彼女を救い出そうとした。

 しかし彼女の体を動かすと下半身と腹部が瓦礫で潰されただけじゃなく崩壊した床の下に落ちてしまっていることが判明。そのため内臓の一部が千切れてガタガタの切断面に混ざっている程度が胸から下に残っているだけだった。

 夏油はすっかり小さく軽くなってしまった彼女の死体を抱えたままその場にぼう然と座り込んでしまっていた。

 そんな夏油に叫ぶ五条の声を聞いて我に返った夏油がそちらに振り返った時、第二波の破壊が襲いかかってきてそこで夏油は再び意識を失った。自分の腹の中にいる呪霊達の断末魔と潰れるような音のようなものを聞きながら。

 次に目覚めた時、医療室のベッドの上で大まかな治療が終わった後だった。

 体を動かそうとすると突っ張ったような激痛が襲い、それをやり過ごすと腹の中が妙にスカスカになった感覚を覚えて術式を確認するとため込んでいた呪霊が一匹も残っていなかったことに驚いた。

 補助監督官や夜蛾らからの話を聞くところによると、発見された時に意識はないが口からもと呪いだったであろう泥を口から吐き出し続けていたという。呪いというにはよく分からないほど呪いが呪いとして存在できていないほど潰れていたらしい。

 家入は反転呪術を使えることから負傷者の救護にかり出されて留守だった。五条は、五条家で緊急治療中。大事な六眼と全身の術式に大きなダメージが見受けられたため五条家にしか伝わらない治療方法が必要だったそうだ。

 第二波の破壊のあと、意識を失った夏油の手から天内理子の死体を彼女の命を狙っていた宗教団体がドサクサに紛れて盗んでいったらしい。

 そのことにカッとなった夏油は体の激痛を我慢して医療室から飛び出そうとして夜蛾達に止められた。彼の呪術の要である呪霊が一匹もいなくなってしまっていたため抵抗できずあっさり捕獲された夏油は動けるようになったらすぐに呪霊を補充して天内理子の死体を取り返すために動くことを心に決めた。

 そうして数日後に復活した夏油はすぐに行動し、宗教団体に殴り込んだ。

 宗教団体の本堂で天内理子の死体を取り囲んで彼女の死をめでたいことだと喜んでお祭り騒ぎの信者達は、呪術を使えない非呪術師であった。

 防腐もなにもされていない天内理子の死体の状態など関係なく腕に抱え、夏油は宗教団体から出て行った。彼の背後からは本堂に入ったときから続いていたお祭り騒ぎの信者達の笑い声が聞こえていた。

 呪術界の結界と薨星宮本殿を襲った破壊の力の正体はいくら調べても分からなかった。

 天内理子の死体だが、エンバーミングをして葬儀をした後に彼女の家族が眠る墓に葬られることになったのだがその過程で彼女の体の状態が異常であることが判明した。

 星墏体という呪術師としても特異な体質であることが関係しているのか神経系統のほとんどに焼き切れた形跡があり、それによる脳の細胞の損傷や血管の破裂が確認されたのだ。つまり瓦礫で潰されて死んだのではなくその前に全身の神経を傷つけられた痛みと脳の破壊で先に死を迎えてしまった可能性が高いとのことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天内が死んだのは、天元の近くにいすぎて『巣くうもの』の呪いを破壊し尽くす力の影響が強く出たから…?」

 

 あの時天元との同化を目前にしてその近くまで来ていたせいで天内理子はあのような死因となったのではないかと、過去の記憶と聞いた話を合わせてそう分析する28歳の現在の五条であった。

 あの場にいた当時の夏油が取り込んでいた呪霊達が残らず溶けるように潰れ絶えてしまっていたことを考えるとその可能性が高そうである。

 

 

 

 

 




こんな感じにする予定では無かったのですが、『巣くうもの』が関わったことで状況がどう変わったのかというのを書こうとしたらこうなってしまいました。

天内理子に酷い目にあってほしいわけじゃないのですが…、本当に申し訳ありませんでした。

夏油は腹の中の呪霊が身代わりになる形で助かった感じです。
しかし理子の方は天元との同化を目前にしてしかも天元に近い場所にいたことが影響して瓦礫で潰される前に死亡することに。

『巣くうもの』による2回攻撃については『巣くうもの』が意図して攻撃したわけではありません。偶然そこへの攻撃になってしまっただけ。
その後に起こる夏油による百鬼夜行も同じ感じで台風が通り過ぎるみたいな避けようがない不可抗力の災害みたいに起こる予定です。

ちなみに甚爾は理子を暗殺する依頼を請けてこの場に来ていましたが破壊に巻き込まれて瓦礫に埋もれたりして登場できなかった感じです。でも死んではいませんし発見される前にとんずらしました。あと理子の死体を回収してない。


次回は呪術廻戦0の時系列の予定。

どのエピソードを希望しますか?

  • 夏油が巣くうものを探す理由になった過去
  • 乙骨と里香を高専に帰還させるには?
  • 京都との交流戦でひと悶着
  • 悠仁の両親の死と、倭助の行動
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