呪術廻戦×「巣くうもの」(洒落コワ話より)ネタ 作:蜜柑ブタ
予定より遅れてしまった。火曜日にpixivに何か投稿する予定にしていたので早速予定が狂うかと焦った。
今回は夏油の過去編その2です。
呪術廻戦0の時系列で『巣くうもの』がいることで何が起こったのかを綴る感じです。
なので原作とは展開が異なり、五条も大変な目にあってます。
乙骨や里香もほぼ出てきてません。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
悠仁が1週間以上眠った時期、2つめ。
それがだいたい1年前の14歳の時らしい。
五条にとっては呪詛師となったかつての親友との大きな戦いになった大きな事件があった時期だ。
後に百鬼夜行と呼び名がついた夏油とその一派が起こした呪術界を転覆させる手段として乙骨優太に取り憑く特級過呪怨霊『折本里香』を狙った大規模な呪術によるテロだった。
経過をはしょり、結果から言えば夏油とその一派の敗北に終わった。
問題なのはこの騒動の終わりだ。
正確には有耶無耶になるほどの大きな攻撃を受けて敵も味方もそれどころではなくなったが正解かもしれない。
天内理子の一件と同じと思われる巨大な破壊の力が百鬼夜行の現場に襲いかかってきたのだ。
見えない力の津波に流されるように吹き飛ばされながら粉々に砕けて潰れていく呪霊の群れ。
同じように吹っ飛ばされる夏油に協力している呪詛師達の負傷、一部が死亡。
大惨事だった。夏油が解き放った呪霊の群れと呪詛師達と、里香をひっくるめてもそれ以上に酷かった。
攻撃範囲が広かったこともあり五条も夏油も逃げられなかった。夏油は手持ちの呪霊が断末魔をあげながら見えない力で潰れて死んでいく影響で動けなくなり、五条も無限が無効化されて防御無しの状態で巻き込まれてしまった。
呪術で逃げることもできなかった。なぜか呪術が不発になりその結果逃げられなかった。今思い出すと呪力自体が無効化されてしまっていたようだ。
自分達の血でできてしまった血の海に倒れた状態で息も絶え絶えのかつて最強だった才能ある二人の呪術師。
肺に溜まる血に咳き込んで喉から血を吐いたが周りに誰もいない。一般人はおろか呪いさえも。
壁に背中と首の後ろを預けた状態で出血と激痛で意識が揺らぐ中、夏油は遠くの高層建造物の間に見えた黒い竜巻のような物を見た。
薄らいでいるがそれは確かにいた。かなり遠くにいる何かがゆっくりと渦巻きながら徐々に姿を消していく。黒いモヤか煙のように見えるが何か不自然だった。さりとて呪いではなかった。
大怪我を負った影響で見た幻覚という可能性もなくはないが、夏油は直感でアレが幻覚ではないと認識した。
そして消えていく黒い竜巻に呼応するようにこの場を破壊した力も薄れていくのを自分の中にある呪力が戻ってくる感触で感じ取った。呪霊どころか呪力自体を無効にしていた不思議な力のせいで最強を欲しいままにできていた強力な術式を使える五条ですら今虫の息になっているのだ。呪力が少しずつ戻って来ているが反転呪術を使えるにはまだ時間がかかりそうだ。必要な呪力が戻るまでに生命活動が停止しそうである。それぐらいの大怪我だった。
まさか二度も同じ力に襲われて、今度こそ息の根を止められそうになるなんて……。
独り言として呟きたかったが声を出すのも辛く、出したかった言葉は音にならなかった。
ふと見れば近場にうつ伏せで倒れている五条の指が微かに動いていた。まだ諦めていないのだろうが、彼の方も夏油と同じく回復手段が無くて徐々に迫ってくる死という終わりを感じているだろう。顔が夏油の方を向いていないので表情は見えないが死に抗おうと歯を食いしばっているかもしれない。夏油もそうしているからだ。
ここで死ぬのか?
こんな形で終わるのか?
あの正体が分からない黒い竜巻のようなもののことを何も知らないまま?
アレは折本里香よりも……恐ろしい…。
「夏油様!」
その呼び声で未練を残しながら遠のいていく意識を飛び起こさせた。
駆け寄ってくる二つの足音に重くなった瞼を開いた。
「夏油様…、夏油様!」
「死なないで!」
二人の美少女。夏油を慕い強い忠誠心を持つ呪詛師の姉妹。
血を流しすぎて体温が下がりあらゆる感覚が遠のいてきていた体に活力が湧く。失った血を補う回復のための呪力が通う。
どうやら念のために用意していた回復用の呪術の道具を二人が夏油に使用したようだ。
大怪我過ぎて完全回復はできなかったが応急処置ぐらいにはなった。おかげで肩を貸して貰えば立ち上がれるぐらいには回復し死は遠ざかった。
夏油が一命を取り留めたことに泣き笑う美々子と菜々子だったが、気が緩んだところで近くに五条が倒れているのに気づいて青ざめた。
「放っておきなさい。」
「ですが…!」
「それよりもここから離れることを優先する。…いいね?」
「…は、はい。」
死にかけている五条にトドメを刺すことも考えて動こうとしていた二人に夏油がそう言って止めさせ、ひとまずここから離れて身を隠すことを優先させた。
美々子と菜々子は五条を今のうちに倒してしまうことの得の大きさに迷うが夏油の意思を優先することにした。
応急処置で命が尽きるのを止められたが自力で動くのは難しい夏油に左右から肩を貸してその場から離れていく。
夏油達が離れた直後五条の腕が動いた。もしここで美々子と菜々子が五条を殺すことを選んでいたら直後に反撃を受けていただろう。五条の回復を直感したから夏油が二人を止めたのだ。
謎の破壊の力による混乱は夏油一派どころか五条達呪術界側にも及んでいたようで途中で合流できた生き残りの仲間と共に遠くまで離れて身を隠すまで問題なく済んだ。
夏油達を取り逃したことは大問題となったが、それについての責任追及をしている場合じゃないほどの被害を復旧させるために腐った上層部もメチャクチャ働かないといけなくて本当にそれどころじゃなかった。
夏油と百鬼夜行参戦の呪詛師達の傷を癒すのに時間がかかり、それ以上に呪術の力と道具などを戻すのに手間がかかった。夏油は呪霊を補充しないいけないので呪術師との接触が避けられない部分があり、強い呪霊が関わる事件ほど五条に接触しかねないのでその点ではかなり大変だった。
そんなこんなで結局夏油がまともに活動できるようになるのに1年近くかかり、それまでの間は呪詛師の一派として活動できずに逃げ隠れするしかなかった。
夏油は平行して自身が2度遭遇した破壊の力の正体を調べて探した。
天内理子の件の時から引きずっていたが本格的に調査を始めたのは呪詛師になり、百鬼夜行を起こしてからだ。
不思議なことにあれだけの破壊を起こす現象について情報が掴めない。まるであれが夢物語だったように霞を掴もうとしてるように見つからない。
呪術界側にも情報が無いことがあまりにも不自然に感じれたが、情報が掴めなさすぎた。
なぜ見つからないのか不思議すぎるが、その原因と思われる存在に直接攻め入られてようやく夏油はアレが夢物語でも存在しない霞みでもなかったことを逆に認識した。
夏油が嫌悪する呪力を持たない猿。だが天与呪縛による恩恵を肉体に全振りしたような圧倒的な強さを持つ男。
目つきと顔立ちから御三家のひとつの家系であることがすぐ分かったが、あの家は呪術の才能の無い者を淘汰する古い考えのカビの生えすぎた一族だ。天与呪縛による恩恵があるとはいえ呪力が無いだけで家族から除名されているだろうし、はなからいないものとしてわざと忘れられているだろう。例え婿入りして苗字を変えていても築いた家庭や現住所なんて調べもしない。
そんな男が夏油達が潜伏する場所に昼夜問わず襲撃し、その結果仲間だった呪詛師の何人かが首を取られた。場所を変えても見つけてきて襲撃してくる。
呪力を欠片も持たず、異常な身体能力によって実現されるステルスによって呪術に引っかからずに呪術師、あるは呪詛師を仕留めることができるのだ。近代兵器を用いてのトラップや遠隔攻撃までされてしまっては太刀打ちするのが困難だ。更に警備として呪霊を配置しても呪霊がなぜか見つけられないというオマケ付き。
夏油は苦虫をかみつぶしたように顔を歪めながら伏黒甚爾からの襲撃に備えて緊張感を解けない逃避行の日々を送りながら、それでも諦めずに破壊の力の正体を調べた。
だが逆に考えた。夏油が破壊の力の正体に近づこうとしたから暗殺しに来ているのではないと。
何が何でもソレに近づかれては困るからなのではないかと。
つまり伏黒甚爾はソレに強く関係を持っているか関係する者と通じているということだ。
恐らくソレの情報を消して回っているのも伏黒甚爾ではないかという考察ができる。奴ほどの透明人間っぷりなら監視カメラなどの科学的な警備体制も簡単にくぐり抜けられそうである。
だったらなおさら手に入れる方が良い。そこまでして隠さなければいけない存在ならば。
正体を知れば接触して取り込む方法に繋がる。
何が何でも知りたい。
伏黒甚爾からの攻撃は逆に夏油が破壊の力の正体に対する執着を強める結果となった。
情報も掴めず、伏黒甚爾からの追跡と攻撃を躱しながらの日々が続く中で転機が訪れた。
呪術界側に大きな動きがあり、仙台で保護されたという少年を五条が呪専に連れ帰ったという情報を掴めたのだ。
五条が何の考えもなく普通の人間の少年を呪専に連れて行くなど…、すでに怪しい。
そうして夏油は仙台に足を運び、金を使って興信所を使うなどして白い髪の男が少年を連れて行ったという情報を探った。
そして旧虎杖家に行き着き、家主だった祖父が亡くなった後住所を変えたという虎杖悠仁という少年と彼の回りで起こっていたという奇妙な話を彼の知人だった人間達から聞き込みができた。
「やっと見つけた…。」
虎杖悠仁が通っていたという高校に残っているソレの痕跡を見た時、夏油は声と身を震わせた。恐怖ではない、喜びでだ。
ついにたどり着いた。ついに見つけた。
2回も遭遇したあの正体不明の破壊の力。
虎杖悠仁。
その体内に住み着く謎の存在。
呪いや神秘などへの破壊行動。
仮名として与えられた『巣くうもの』という呼ばれ名。
五条に先を越されたが一般社会から引き離されたことで逆に見つかって調べやすくなった状況。
夏油は笑う。
見つけてしまえばこちらのものだと。
「ありがとう、悟!」
決別したかつての親友に夏油は大きく感謝して喜びのあまりに狂ったように笑った。涙が出てしまうほど笑った。
そんな風に歓喜している夏油の様子に、伏黒甚爾は陰で舌打ちしていたがそれは夏油には知られなかった。
五条によって虎杖悠仁が呪専に行ったことで伏黒甚爾による夏油への襲撃回数が減ることになり、ある意味で夏油側への有益となったことを五条は知らない。
それがつい最近までの話だ。
虎杖悠仁に接触すればこっちのものだと思って仕掛けた特級呪霊を発生させる仕掛けによる事件で『巣くうもの』が見せたとんでもない攻撃を見て夏油の心が折れかけるほどの衝撃を受けるまでは。
なんか予定通り…、予定通りじゃない展開になりました。
とりあえず夏油は五条と共に『巣くうもの』が関わったことで天内理子の件と、百鬼夜行の時で2回酷い目にあったということにしています。
そしてその出来事によって夏油は『巣くうもの』の力を手に入れたいと考えて裏で調査をしていたが、甚爾に邪魔されていて情報を集められなかったという流れです。
しかし原作の始まりでの時に伏黒と五条が悠仁と『巣くうもの』に接触し、呪専に悠仁を連れていったことで逆に夏油側が今まで把握できなかった悠仁のことを調べることができるようなってしまったし、接触するよう仕向けることができるようなってしまった。
甚爾の方も夏油を暗殺する回数が減ってしまい夏油が『巣くうもの』に近づくのを止めきれなくなってしまった。
でもそういった状況のことを五条はまだ知らない。
夏油は特級呪霊を発生させる仕掛けで悠仁を釣る手を使ったが、『巣くうもの』が想像を超えた攻撃と力を発揮してきたので密かに心が折れかけていたということにしました。
次回は…、京都の呪専との交流戦…、甚爾の存在が五条達に知られる展開にするか。
ついでに禪院が巻き添えで大変な目に遭うとかも。
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夏油が巣くうものを探す理由になった過去
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乙骨と里香を高専に帰還させるには?
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京都との交流戦でひと悶着
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悠仁の両親の死と、倭助の行動