呪術廻戦×「巣くうもの」(洒落コワ話より)ネタ   作:蜜柑ブタ

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半日で、勢いで書いたからあまり出来はよくないかも……。



今回は悠仁(※『巣くうもの』)の処遇について右往左往する呪術界と。

お手上げの五条と、ポーカーフェイスの下で遠からぬ最悪の未来に不安しかない伏黒?



五条の喋り方とかは、結構捏造しています。
一応は、腐ったミカンとはいえ上層部には敬語というか丁寧な感じで喋るようにしました。


悠仁の周囲の動きについては、洒落コワ話の「巣くうもの」の登場人物達を参考にしています。
なので悠仁は、モデルにした「巣くうもの」に取り憑かれている問題の登場人物のように良い意味でも悪い意味でも無知な明るい人物として書こうと頑張りました。






それでもOKって方だけどうぞ。









いいですね?







SS2  虎杖悠仁は何も知らない

 

 

 虎杖悠仁。

 15歳。高校生。男。

 家族構成は、つい最近まで入院していたが末期の病と老衰により亡くなった祖父のみ。両親は物心つく前にすでにいなかった。その他親族はいない。

 

 これだけで見ると身内を早くに亡くしていった薄幸な部分を抜けば、普通の少年だ。

 短髪のツーブロックの髪型や釣り目な大きな目や表情豊かな顔、体育が得意そうなのが見て取れる発育の良い体格や健康的な顔色や肌色も初対面で好印象を受ける雰囲気を作っている。

 しかも喋ってみればより印象は良くなる。なにせ素直、人懐っこい、根暗ならぬ根明、若干馬鹿っぽいところがあるがそこが可愛い。短所じゃなく、虎杖悠仁という人間の魅力にしかなっていない。

 

 

 

 なんでこんな子の身体の中に、“あんなモノ”がいるのか、本当に謎でしかない。

 

 

 

 

「虎杖悠仁に住んでいる『巣くうもの』を例えられる言葉は、『寄生虫』。」

 

 呪術界という呪術師の社会情勢における上層部の位置にいる者達への報告の場で、五条悟は彼らにそう返答した。

『きせいちゅう、だと? 呪いではないのか?』

「ハッキリ言って、何なのかサッパリですよ。逆鱗に触れないように加減して注意深く観察しましたが、『巣くうもの』、及び虎杖悠仁には呪力は一切無し。呪力が生まれつき無い天与呪縛も比べられないぐらいの呪力の欠片もない。」

『呪いではないから呪術が通用しなかったということか?』

「いえいえ、呪力が生み出す破壊の力は通用はしていましたよ。けれど、呪力そのものが当たる前から弾かれて無力化されると言った方がいいでしょうかね? 破壊できなかったのは、単純に頑丈過ぎるのと再生力だった。」

『貴様の六眼から見て、アレは一体なんなのだ!? 特級呪物の宿す呪力をすべて消し去りただの屍蝋にしてしまうなどいまだかつてなかったことだ!! アレの仕業だというのか!?』

『両面宿儺はどうなった!?』

「たぶん…、両面宿儺は、消滅していますね。綺麗さっぱりと。指が封印されていた場所や指の封印が解かれた場所には呪いの痕跡が残っていませんでしたから。物理的に破壊されたうえで粉微塵にさらに粉砕されて呪いとしての形すら保つこともできなくなって自然消滅したかと……。」

『なぜそう言える!?』

「アハハハ……、あの惨殺現場を見たら、そう考えざるをえないんですよね~。呪いをあんな殺し方できるなんて知りませんでしたね……。あんな酷いのは創作だけにしておいてほしいぐらいで…、ミンチより酷いって言葉も生ぬるく感じますよ。あんなモノ見たら呪いの見えない普通のそこらいの一般人が冗談抜きで羨ましくなるって……。」

 五条が乾いた笑い声をあげ、最後の方は感情のない棒読みで語る言葉に上層部の呪術師達は言葉を詰らせた。

 自他共に最強の呪術師にここまで言わせるって、どれだけヤバいのかが腐ったミカンなどと陰で揶揄される偉そうなだけの上層部でさえ恐怖を感じた。

『死刑だ!』

「やっぱ、そうなりますよね。」

 誰かがそう叫ぶと他の上の人間達も口々に虎杖悠仁を死刑するよう声を上げるが、五条はそんなことは見越していたので口を開いた。

「死刑なんてしちゃダメですよ。」

『貴様が手も足も出ない危険物を野放しになどできるか!!』

「藪蛇って知ってます?」

『?』

「余計なことをして悪いことが起こるという意味ですよ。虎杖悠仁と、彼に『巣くうもの』は正しく藪の中の蛇です。下手に手を出したら反撃されて終わりますよ?」

『しかし…!』

「だいたい、私の六眼で見ただけで、この目の視線を攻撃だと認識するような相手ですし、殺意無しで私があんなことになったんですから、殺意を向けたら……………………、あなた方の手元にある呪物のような末路になるんじゃないですか?」

 五条が言わんとしているのは、悠仁が拘束された状態から目を覚まし、監視カメラ越しに様子を見ていた上層部の呪術師達の手元にあった武器やお守りとしての呪物が勝手に突然壊れたり、宿っている呪力が暴走するなどして結局最後は見るも無惨に壊れる有様になったことだ。酷いのだと木っ端微塵だったので、壊れる様を見ていた彼らは一斉に口をつぐんだ。

 事前の報告書で、呪物の暴走と破壊が『巣くうもの』が虎杖悠仁を中心に周囲に無差別に放っている波動のようなモノの影響で、それはあらゆる呪い、神霊などなどの物を弾き飛ばして無力化させるという恐ろしい無差別破壊テロだ。

「ああ、それと言っときますね。先ほど私が、『巣くうもの』を寄生虫と例えましたが…………、腸に住む寄生虫が宿主以外の物を気にしますかね? アレは…、自分と、自分が『家』にしている虎杖悠仁さえ無事なら他はどうでもいいという単純な存在ですよ? あなた方は良識ある呪術界の上の者として使えそうなら利用だなんて考えなんてないでしょうが、アレは“虎杖悠仁だけ”しか守らないので何かをやらせようとすれば察知した瞬間に虎杖悠仁を中心に周囲の全てを破壊し尽くすでしょう。なにせ私がちょっと見ただけで過敏に反応して攻撃をしてくるうえに、無限でも防げないどころかたぶんどんな呪術にも適応して容赦のよの字の欠片もない力で破壊をしようとしましたし…………、宣言しときますけどアレに藪蛇しても私は何も手を貸しませんから。」

『ちょっ…!? おま…、五条!?』

「私が死んだら困るでしょう?」

『いや、それは…その……。』

「私はあの時全力を出しました。そして殺される寸前まで追い詰められました。私の後任もいない今の状況で、そんな負け犬の私より強く、なおかつ『巣くうもの』を安全に扱える人間がいますか?」

『のおおおおおおおおおおおおおおお!!』

 上層部のうちのひとりが絶望のあまりに変な声をあげた。

 虎杖悠仁は『巣くうもの』の家だから、死刑できない。殺せない。

 下手に手を出すととんでもない反撃が来る。

 呪術界最強の呪術師が手も足も出なかった。

 虎杖悠仁の中にいる『巣くうもの』の存在をハッキリと認識できるのは、六眼を持つ五条悟だけ。しかし五条悟は『巣くうもの』に負けた呪術界最強。

 長い歴史だけは無駄に積んでいる呪術界で、いまだかつてない八方塞がりである。押すのも引くのもダメ。むしろ殺意の有無関係なく手を出したら終了の確率大。

 あまりの絶望に、どうすればいいのか分からないと腐ったミカンと陰で言われている者達ですら考えてしまうほどであった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 五条は、上層部とのやりとりを終えた後、虎杖悠仁の処遇について当事者のひとりである伏黒に伝えた。

「何も教えない…、ですか!?」

「うん、そう。悠仁には『巣くうもの』のことを一切伝えない。」

「なぜ?」

「恵はどうして疑問に思う?」

「……アレは虎杖の中に潜んでいる。中に潜まれている宿主が何も知らないのは…。」

「悠仁ってさー。良い子だよねー。」

「はあ?」

「あの子は、もしも轢かれそうになった子供が目の前にいたら自分が即死するのも構わず子供を庇って助けるタイプだよ。ねえ? もしも自分が住んでいる『家』に危険が迫ったり、壊れたりしたら……その『家』の住人はどうする?」

 五条が小さい子供に向けたなぞなぞ言葉のようにかける言葉の内容を理解した伏黒は目を見開いて固まった。

「今はまだハッキリとどういう存在なのか…、何のために悠二の中で生活しているのかさっぱり分からないけど、アレが悠仁だけを守る理由は自分の『家』を守るため。それ以外はどーでもいい。そしてアレが体内に住んでいるせいで悠二は普通の生活はできても呪霊や神霊といった普通の生活では触れることがないモノと関われない。見えない、触れない、聞こえない。あの場で寝ちゃったのはアレが『家』である悠仁に負担をかけないための配慮か…、それとも別の理由か……。詳しいことは観察したりして行動を調べないと分からないけど。」

「虎杖が寝るとアレが暴れる?」

「どーかな? ひょっとしたら睡眠状態に種類があるかもね? 1日の終わりに就寝するのと、『巣くうもの』に眠らされるのと2種類。その場で突然寝るってことは相当な眠気が突然襲ってきて抗えないんだろうし。そもそもココに運ぶまでの間の記憶も拘束に使った呪物や札の封印の影響も一切無しでぐっすり寝て寝起きも良かったわけだから、突然の眠気の場合は外での出来事を何も感じないんじゃないかな? それこそ周りが核爆弾で真っ平らになったような殺風景になっても目を覚ますまで分からない。」

「それは……。」

「下手すると『巣くうもの』が体内から悠仁の記憶や意識に何らかの作用を起こしていじって自分の都合良く動かすかもしれない。今のところ悠仁にはそんなことはないみたいだけど……、ある種の寄生虫は宿主を操るらしいし、あり得ない話じゃないよ? でも安心して、今現在この世界に存在している虎杖悠仁は間違いなく虎杖悠仁本人だから。運良く自覚しなかったのと、周りに恵まれたんだよ、きっと。」

「……そうですか。」

 強ばりを解いてホッとしたように息を吐いた伏黒の様子に五条は微笑んだ。

 しかしふと伏黒が疑問を口にした。

「アレは、どうして寄生虫なんですか? 虎杖を守っているんですよね?」

「…………お腹の中に勝手に住み着いて、勝手に栄養を搾取して、勝手に育とうとしている虫がさ……、大人になって殻を破るまで守ってあげるよって言ったら……、恵は歓迎して喜ぶ?」

「ーーーっ!?」

「そーいうこと。……虎杖悠仁という殻を破って…、いったい何が孵化するんだろうねぇ? 悠仁が死ぬまでに孵化するのか、しないのか。それとも死ぬことで孵化するのか。謎だらけで困っちゃうよ~。」

 血の気が引いた伏黒に五条はまるで明日の天気が不安定で分からないから困るみたいな気安さで笑って言った。

「つ・ま・り、僕らにできることなんて、地雷を踏まないように神経使って様子を伺いながら放っておくしかないってこと~。腐ったミカン共が分かってるか知らないけどさ! まさにもうどうにでもなれ~! ってか「ええじゃないか」って踊り出しちゃいたくなるレベルじゃないかな!」

 遠くを見るように顔を中空に向け、楽しそうに語る五条。

 しかし不意に真顔になり。

「もっとも安全なのは、悠仁が寿命を迎えると同時に『巣くうもの』が一緒に死ぬって事なんだよね……。何事もなく死んでくれたらいいけど、余所に移住したり、卵産んで増えたりなんてしたら……。」

 五条と伏黒は黙ってしまった。

 唯一の希望と言える終わりは、悠仁の自然死と同時に『巣くうもの』が一緒に死ぬことだけしかないのだ。しかし寄生虫としての生態があるのなら、宿主に何かあっても自分が死なないようにする手段と、更に子孫を残すことで『生きる』という原始的な基準を満たす方法がある。

 ヤドカリのように住処(宿主)を変えるか、新しい子供を産んで次に繋げるか。

 

「五条さーん、伏黒~。」

 

 その声を聞いて2人はハッとしてそちらを見た。悠仁がこちらに向かって軽い駆け足で来た。

「おま…。」

「どしたの悠仁? あそこから出てきて僕らのこと探してた?」

 だくっと汗をかいて動揺を隠し切れていない伏黒とは反対に、務めて冷静に、なおかつフレンドリーに対応する五条。

「すみません…。腹減って…。誰も来ないし、他に人いないし…。」

「あっ、そっかごめんごめん。なにか食べたいものある? 可能な限り用意してあげるから。」

「いや、そこまでしなくていいけど。」

 すると悠仁の腹の音が盛大に鳴った。

「う~…。」

「アハハハ! 食欲旺盛なのは健康の証で良いことだよ。とりあえず飴舐める?」

「えっ、いいの?」

「ところで僕らの話は聞いてた?」

「ついさっき来たばっかで聞いてないけど? 聞かれたくなかった内容なら安心してよ全然聞いてないから。」

「そっか。じゃあ案内するからご飯食べながらでいいから聞いてよ。」

「なにを?」

「これからの君の生活についてだよ。」

「えっ?」

 五条は悠仁の肩に腕を回して引っ張り寄せるように一緒に歩いて連れて行った。伏黒は汗を拭い、その後を追った。

 

 買い置きしてあったコンビニのパンやおむすびをもらって食べている悠仁に五条が告げる。

 

 虎杖悠仁を、呪術の学び舎である高専で預かり、生徒になってもらうということを。

 

 それを聞いた伏黒が盛大に吹き出し、むせてしまって悠仁に背中をさすってもらったのだった。

 

 

 知られたら困る核爆弾を超える垂れ流しの原発みたいな事情を、何も知らずに抱え込んでいる無垢な存在に、何も教えない、知られないように立ち回りながら普通に過ごすって、どんな苦行だ!?

 後に伏黒恵は、血涙流しそうな顔で語ることとなる。

 

「よろしくな、伏黒!」

 

 根っからの善人である悠仁の人懐っこい明るい笑顔と振る舞いに、苦行を覚悟していた伏黒はなんだかんだでプラスマイナスが少しだけプラスで心労が癒され、最初に覚悟していた苦行にはならなさそうであった。

 だが同時に。

 悲しくなるほど良い奴が、体内に住む寄生虫に身体を破られてしまう未来を悲観した。

 

 

 




「巣くうもの」の分析やその性質については、洒落コワ話でそのことを語ってくれる霊能力者の登場人物の語りを参考にしています。

「巣くうもの」は、あくまでも自分を守ることと、自分が住んでいる『家』である悠仁だけを守ることしかしない。
攻撃の射程範囲に悠仁にとって大切な人がいても無視して巻き添えにする。
悠仁にとって身内であろうとなかろうと敵だと判断すれば攻撃する。
攻撃の結果、悠仁にとって不幸になっても自分と『家(※悠仁の身体)』が無事なら良し。
正しく、お腹の中の寄生虫であり、自分が大人になって外に旅立つ日まで自分と自分が成長するための『家』を守っているだけなので大人になるまでの期間限定の守護。
時期は不明だが、いずれは『家』である宿主を突き破って生まれる可能性があるが、ひょっとしたら宿主の死と同時に一緒に死んじゃうかもしれない。


垂れ流しの原発という例えは基になった洒落コワ話から。霊能力者さんが「巣くうもの」について原発と例えてたと思う。


このネタでの悠仁をどうやって呪術関連に関わらせるか考えて、監視と保護という名目で五条が保護者位置として高専に転入して寮に住むという流れにしました。
「巣くうもの」のせいで呪力が一切無いし、見えない触れない聞こえないので実際に呪術は学んでも実行できないという伏黒甚爾みたいなフィジカルゴリラかな?

まあ、任務に出たとしても移動途中で寝るて寝てる間「巣くうもの」が暴れるか、「巣くうもの」の波動で任務のターゲットの呪霊や呪いなどが逃げるか弾き飛ばされて破壊されるなりして消えているので任務の実行はできないと思います。


次回は、高専での早速の「巣くうもの」の暴れっぷりによる悠仁に知らされない被害を書こうかな?
それプラスで、「巣くうもの」に完敗した両面宿儺が悠仁の夢の中で、「巣くうもの」に一矢報いるために悠仁に自分の術式と呪術の知識をすべて渡すまでの過程を書こうか……。

どのエピソードを希望しますか?

  • 夏油が巣くうものを探す理由になった過去
  • 乙骨と里香を高専に帰還させるには?
  • 京都との交流戦でひと悶着
  • 悠仁の両親の死と、倭助の行動
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