呪術廻戦×「巣くうもの」(洒落コワ話より)ネタ 作:蜜柑ブタ
執筆への意欲が戻って来た気がします。
飽きたわけではけしてない。
今回は『巣くうもの』の元ネタのエピソードを参考にしています。
ただしこのネタで捏造したりしてる分、こちらの方が悲惨かも…?
あと名無しのモブ達の死亡や人殺し描写があります。
伏黒と釘崎と吉野が任務でやります。
最後の方で、原作と違い死亡していないキャラが名前は出てないですが登場しています。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
吉野がやってきた後日から悠仁はいつにも増してご機嫌で表情が明るかった。
音信不通になっていた友人と再び再会できて交友関係が復活したのだ、喜ばしいことだ。
吉野が突然連絡を絶ったことについて悠仁は理由を深く追求しなかった。吉野が話したがらないのだから向こうが話せるようになる時まで聞かないでいるつもりなのだろう。
そんな風に追求しない姿勢を不思議に思った釘崎がそれとなく悠仁に聞いた。
突然連絡を音信不通になったことに怒らないのかと。
すると悠仁は小さい頃に同じようなことがあったと困ったように語った。
仙台にある祖父の持ち家がある土地以外に別の土地で長期でいた時期があり、その時に親しくなった子達と音信不通になったそうだ。
音信不通にならないといけない事情がその人にはあるのだから追求しないでいる方がいいこともある。そう祖父から教わり、幼いながらもそう自分に言い聞かせて当時の寂しさと悲しみを振り切ったのだ。
「ふ~ん。それってさあ、どこの場所での話?」
「わっ。」
急に背後に現れた五条。
「びっくりした~。なに? 五条先生。」
「ねーねー、その話聞かせてよ。」
「えっ? なんの?」
「さっき話してたじゃん? 仙台のあの家以外で長く住んでた時の話。」
「えー? …んー。でも俺もあの頃のこと記憶微妙な部分あんだけど?」
「それでもいいから。」
「………分かった。」
気が乗らないから渋々といった様子で悠仁は過去のことを話し始めた。
どこの土地だったかは記憶がないが、山奥の山村だったことはなんとなく覚えている。
1年近くその土地に祖父と共にいたそうだ。
その土地で毎年行われる山の神様に感謝をするためのその村にしかない祭りがあるということ以外は普通の田舎だったらしい。
その年の祭りは特別だったらしく、一定年齢の子供達にくじ引きをさせて当たりを引いた子供が神輿に乗って山の神様が祀られている場所で儀式に参加することになっていた。
それは外部から来た悠仁も例外では無く、なんと悠仁がくじで当たりを引き、神輿に乗ることになった。
短い間にすっかり打ち解けていた村の子供達からお祝いされたり、逆にズルいと拗ねられたいしたが決まったことなので最終的に受け入れられた。
儀式用に用意されていた着物のような物を身につけさせられ、首飾りや髪飾り、白い粉を頬にまぶされたりして準備され、いよいよ神輿に乗せられ神様を祀る村の信者の長が儀式のための正装を纏い念仏のような低い声で唱えられる文字列を歌い、古くさい打楽器と弦楽器が奏でられる中、がたいの良い男達によって神輿に乗った悠仁が儀式を行う場所まで運ばれていった。
「ねえ、その着物ってさ、白い?」
「白かった。なんか白い布みたいなのも頭に被せられたから周りが見づらかった。」
「それって白無垢みたいな?」
「えっ、それって…。」
「こんな感じの。」
「あっ、こんな感じのだった。えっ、これって…花嫁…。」
「まあ神聖な儀式じゃ白い色はよく起用されるからね。そういう意味かは置いといて。で、続きは?」
スマホの画像で見せられた和装の結婚式の花嫁衣装を見て、これに近いものだったことを思い出して微妙な顔をする悠仁に五条が遠慮無くグイグイと続きを話すよう促した。
儀式の場所までの山道の途中で、夜間に行われる儀式であったせいか悠仁は神輿の上で寝てしまったらしい。
「………らしい?」
「覚えてない…。気がついたら爺ちゃんと住んでた家の布団の上だった。」
「じゃあ、実際にどんな儀式をしたのかは全然知らないわけか。」
「うん…。」
「なにかあった? 儀式の後日に。」
言いづらそうにしている悠仁の様子に五条が聞いた。
五条と釘崎の視線に悠仁は重い口を開いた。
「…………村で一番偉い家の人に…………、スッゲー…怒られた……。」
「ありゃま。儀式の途中で寝ちゃったから?」
五条の言葉に悠仁は首を横に振った。
「…………その家の子が、死んだからだって………。」
「…その子は悠仁と同年代だった?」
「うん…。あっ、でもくじ引きはしてなかったかも。」
「村一番のお偉いさんの子だから免除ってわけね。よくある話じゃない。」
「そーなん?」
「で? なんでそれで虎杖が責められたの? そんなことがあったからその村から離れた?」
「………よー分からんかった。なんか…、お前のせいだってばっか言われて…、葬儀の最中だったのにその子の母ちゃんが暴れてメチャクチャになって…。爺ちゃんがすぐ引っ越しの準備して……、他の友達もそれっきりで…。」
「………あんたの責任じゃないわよ。」
「でも…。」
当時のことを思い出してしまった悠仁がシュンッと落ち込んでしまったので釘崎がそう声を掛けるが悠仁は気にしていた。
「そーいう昔ながらの埃被った儀式や祭りって、長く続ける分いつなにが起こるか分かったもんじゃないんだよ。でも巡り合わせが悪くって誰かのせいにしないとやってられないってことはどこでも誰でもやっちゃうことだからさ。小さかった悠仁はただ村の義務でくじ引きで当たって参加を強制されただけ、そして死んじゃった子はその時にたまたま死んじゃっただけ、全部悠仁のせいじゃないから。ね?」
五条が悠仁の頭を撫でた。
「話してくれてありがとう。」
「ん…。」
悠仁は頷いた。
***
釘崎と伏黒は任務に行くことになった。
悠仁は高専に残り宿題の補習となっている。
「…………過去の残骸か。」
釘崎がそう呟く。
血文字のような怨恨たらたらの手紙を手に持ち、虎杖悠仁への怨みの深さとそれから生まれる呪いの濃さを感じた。
高専に送りつけられたこの脅迫文の差出人は、今は無き山村の村長だった家の人間からのものだった。
手紙と共に紙に包まれて送りつけられた女児用の髪飾りには古い血痕がついていた。手紙とは違う悲しみと絶望による呪いがこもっていた。
「ほとんど事故みたいなもんかしら? 山の土地神の生贄にとんでもない怪物が腹の中にいるなんて知られてない子供を差し出しちゃうなんて…。」
「虎杖の責任じゃない。」
伏黒がそう言った。
釘崎はため息を吐いた。
「アレが虎杖の腹にいなかったら予定通り虎杖が生贄として死んでたのに、アレが邪魔して逆に土地神を返り討ちにして、その反動の犠牲に村長の子供が巻き込まれた。よそ者を生贄になるようにってくじも細工してたなんてね……。子供達は知らなかったみたいだけど。腹が立つわ。」
「だから責任は村の人間にある。虎杖の責任じゃない。」
伏黒がキッパリと言った。何度も悠仁の責任じゃないと言っているがまるで伏黒自身に言い聞かせているようでもある。
悠仁が語った過去。とある山村の祭の儀式のくじ引きは生贄を予め決めてから行われていた出来レースだった。子供達は何も知らないまま、大人達が仕組み、そしてよそ者である悠仁をその年の儀式に利用しようとした。
しかし悠仁の体内に住み着く『巣くうもの』がそれを許さなかった。
その結果、『巣くうもの』が山の神を殺した。
山の神の死の影響は、まず村長の子供に影響し命を奪った。
次に起こった悲劇は、村が大規模の土砂崩れで地図上から消えたことだ。
脅迫文の中には村の滅亡と、辛うじて生き残れた村長の一族の数名と付き従っていた忠実な村人数名のことも記されていた。単なる土砂崩れではなく、山の神がいることで守られていた大切な土地であった村から逃げられなくてほとんどの村人が死んだことも。
脅迫文と血痕付き髪飾りを送りつけたのは悠仁が言っていた死んでしまった村長の子供の母親だ。髪飾りは死んだ子供が身につけていた品だった。血の痕は子供の死亡時についたものだ。
「過去を水に流して隠居してりゃ…、せめてまともに生涯を終えられたはずだ。こうなったのも虎杖の責任じゃない。」
「分かってるっての。」
やってられないとばかりに釘崎が舌打ちをし、金槌を取り出す。
「吉野。ちゃちゃっと足を止めてよね。」
『う、うん…。』
吉野の式神が宿された札からクラゲのような式神が出現し、フワフワと宙を泳ぐように浮きながら脅迫文の差出人達が潜伏する建物に向かう。
毒を操る式神には吉野の身体に染みついてしまった『巣くうもの』の臭いによるステルスが働いて今回の件に協力している呪詛師にも感知されない。五条の言うとおり遠隔操作での任務でなら強力な戦力だ。
吉野の式神、澱月(おりづき)の毒が犯人達が潜伏する建物を覆い、やがて中から悲鳴が聞こえ出すが窓や扉まで毒に染まっていて逃げ出すことができない。
「…………マジで…、胸くそだわ…。」
そう言いつつ表情を引き締めた釘崎は金槌を振り上げて血の痕の残る髪飾りに絡まっていた女の長い髪の毛と血文字が書かれた手紙に向かった釘を打ち込んだ。
建物の中で怨みのあまりに呪霊と化した女の断末魔が上がった。
最後の仕上げに、毒まみれになった建物から逃げだそうとよろめく呪詛師に伏黒が影から出した玉犬が食らい付き喉笛を噛みきって、虎杖悠仁に知らされないまま虎杖悠仁の過去の怨みの呪いの事件は終わった。
***
釘崎と伏黒、吉野の任務が終わって後処理を監督補佐達がしているのを眺める男が一人いた。
非常に引き締まった体の黒髪の男は年齢をそれなりに重ねているとはいえ美しく整った顔に気怠そうな気分を表面に出しながらコンビニのおむすびを囓った。口元には痛々しい傷跡がある。
「あー…………未払いの前金の残りもらい損ねた。」
男はおむすびの残りを咀嚼してペットボトルのお茶で流し込み、一握りで空になったペットボトルを握りつぶしてその辺に投げ捨てた。
「さーてと…、どうやってアソコから攫うか。あんの白髪坊主……余計なことしやがって。せっかく良い感じに隠せてたってのに。」
男はその場から離れながら面倒くさそうに呟いた。
歩いているとポケットに入っている携帯端末が通知音を出したため確認すると、男は舌打ちした。
「ちんたらしてる時間ねーか。馬券買う暇もない! ったく…、アイツの情報消しをやり直ししろってか? マジで面倒くせー長期依頼くれやがってあの虎のジジイ。あの世に行ったら覚えてろ。」
心底面倒くさいとばかりにそう独り言をぼやいた男は駆け出した。
その後、仙台の旧虎杖家のある土地の近辺で暴行殺人事件が起こる。
身元不明の複数人の遺体が発見されたが犯人はもちろん凶器も見つかっていない。
ただ司法解剖などの調査の結果、人体があり得ない強大な力で破壊されている部分があり、人間の仕業ではないのでは?と警察関係者は青ざめたという噂があった。
強いて言うならゴリラのような剛力でねじ切られたような……、だと言われている。
殺された被害者の素性が全員呪詛師であるという詳細情報は、呪術界でのみ把握されていた。
そして呪詛師達が最悪の呪詛師である夏油傑の一派の一部であることもである。
今回は洒落怖の元ネタのエピソードを参考にしました。
『巣くうもの』を抱えた元ネタの人物の過去の出来事を参考にしています。
このネタでは悠仁の身を山の神から守ったのではなく、山の神そのものを返り討ちにして殺して山が崩れる要因を作り神を祀っていた村が滅んでしまったという流れにしました。
倭助がその村に悠仁と共にいたのは知人の関係で数年程度身を置くことになったからという理由で。
でもその年の祭の儀式で悠仁を利用されてしまい、最悪な事態になってしまったので大慌てで倭助は悠仁と共に逃げました。もちろん倭助は儀式のことは知りません。
村長の子供の母親は、我が子が悠仁の代わりに命を奪われたと狂乱し、土砂崩れから生き延びても怨みを募らせて命が尽きても呪霊として生き残り達と共に悠仁に復讐を行おうとして呪詛師にも依頼をしたりしていたので伏黒達によって……です。
生き残りの村人達も呪霊や呪詛師に片足突っ込んでるような状態で生け捕りにしてももうどうにもならなかったとか。
最後の方で登場した黒髪の男は伏黒と縁のある人です。
原作と違い死亡せず、ある事情で悠仁と『巣くうもの』に大きく関わっています。
正直この人以外に呪術無しで裏で悠仁のことで暗躍できるキャラが思い浮かばなかった……。
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夏油が巣くうものを探す理由になった過去
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乙骨と里香を高専に帰還させるには?
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京都との交流戦でひと悶着
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悠仁の両親の死と、倭助の行動