錦が如く   作:1UEさん

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最新話です



アレスへ

2005年12月6日。時刻は午後10時頃。

錦山彰は、体調を崩し倒れた遥を連れてセレナへとやって来ていた。

伊達から事前の連絡を受けていた麗奈は、錦山を奥の部屋へと通すとすぐに遥に手当を施した。

幸い、大きな怪我や病気じゃない事が分かり錦山は安堵する。

純粋に安否を心配したのもあるが、錦山はまだ遥に対して聞かなければならない事があるからだ。

 

「そう……ショックだったのね、そんなに怖い思いをして……」

 

事情を聞いた麗奈が遥を憂う。

まだ幼い少女にとって、今日の出来事は耐え難い恐怖であったに違いない。

 

「あぁ……なぁ麗奈。この子に何か食べるものでも作って上げてくれないか?」

「うん、分かったわ」

「おじさん……?」

 

二人が話をしていると遥が目を醒ました。

顔色も良く、口調もハッキリしている。

薬がよく効いたのだろう。

 

「ここは?」

「私のお店。よろしくね、遥ちゃん」

 

麗奈は笑顔でそう答えると、店の方へと戻って行った。

錦山のオーダー通り、食べるものを調達する為だ。

 

「俺の友達で、麗奈だ」

「そっか……ねぇ、あの子は?」

「あの子?……あぁ、あの犬か」

 

そう言って錦山は直ぐに思い至った。

この期に及んで遥が心配する対象は一つしかない。

 

「あの子大丈夫かなぁ……元気になったかなぁ?」

「そ、そうだな……」

 

錦山は思わず口篭った。

あの時、意識を失った遥をセレナへ連れて行こうとした直前、二人のヤクザと街の不良達によってあの周辺は大騒ぎになった。

騒ぎに巻き込まれている可能性は高い。

しかし、その心配は杞憂だった。

 

「あら、ひょっとしてこの子?」

「わん!」

 

店側に出た麗奈が犬を抱き上げて戻ってきたのだ。

遥の顔に自然と笑顔が浮かぶ。

 

「良かったぁ、もう会えないかと思ってた」

「コイツ、ついてきてたのか……」

 

餌を与えたことで懐かれてしまったのだろう。

遥は嬉々として仔犬を撫で回し、麗奈はそれを微笑ましく見守っている。

 

「ふふっ、この子も嬉しそう」

「麗奈、ここ一応飲食店だろ?犬なんか連れてきて、衛生的に大丈夫なのかよ?」

 

基本的に、飲食物を扱う建物において動物を飼う事はタブーとされている風潮がある。

食中毒や感染症のリスク等の衛生面の問題がある為だ。

しかし、麗奈はあっけらかんと言ってのける

 

「あら、別に平気よ?カウンターの中や厨房に入られるのは不味いけど、ホールにいる分には問題ないわ。それに、ここは天下の神室町。仮に突っ込まれたってどうにでもなるし」

「そういうもんか?」

「ここは私のお店で私がルールなの。錦山くんに心配される謂れは無いわ。それに遥ちゃんだって嬉しそうにしてるんだし、良いじゃない?」

 

麗奈は暗に、子供の笑顔を大人の都合で台無しにするのは酷であると告げた。

気丈で優しい敏腕ママ、麗奈。

店舗の入れ替わりが激しい神室町で、10年以上もの間店を切り盛りしてきた彼女の器は伊達ではなかった。

 

「そうかよ。まぁ麗奈が良いならそれで良いか」

「そうそう。ね、遥ちゃん?」

「うん!」

 

嬉しそうに答える遥。

そんな遥に、錦山はいよいよ本題を切り出した。

彼にとって、聞かなければならない事を。

 

「遥、さっきお前……由美お姉ちゃんって言ってたよな?孤児院に手紙を届けに来てくれてたって……」

「うん、すっごく優しいんだよ。由美お姉ちゃん」

 

そして遥は無邪気に語り出した。

しかし、その思い出話はすぐに切り上げられる事になってしまう。

 

「毎年クリスマスの近いこの時期になると"ヒマワリ"に来てくれて、お母さんからの手紙とかプレゼントとか持ってきてくれたんだけど……」

「えっ!?」

 

驚きの声を上げたのは麗奈だった。

いきなりの事に首を傾げる遥に対し、錦山もまた驚きを隠せぬまま問いかける。

 

「"ヒマワリ"って……遥、お前"ヒマワリ"にいたのか……!?」

「ん?うん、そうだよ」

「そして、母親の姉は"由美"……って事は……!?」

 

錦山の中でいくつかの情報が繋がっていく。

幼なじみの桐生と由美。そして錦山の妹である優子が失踪した直後、セレナに現れた謎の女。

その女の情報を求めて行動した先に、錦山は遥と出会っていた。

そしてその謎の女はこう名乗っていたはずだ。

"澤村由美の妹"である、と。

 

「お前の母ちゃん、名前はなんて言うんだ!?」

「みづき……」

「えっ……!?」

 

今ここに、三人の共有する情報が繋がった。

遥の探している母親の正体。

それは錦山が今探している謎のホステス"美月"だったのだ。

 

「知ってるの?お母さんの事」

 

先程の微笑ましい笑顔は何処へ行ったのか。

遥は一転して真剣な表情で錦山に問いかける。

そのあまりの押しの強さには藁にもすがるような思いすら感じさせる。

 

「お母さんどこ?どこなの!?」

「いや、俺も今探してる所なんだ……由美の事も、優子の事もな…………」

「ゆうこ?」

「ん?あぁ、俺の妹の事だ。それより遥、由美の居場所は分かるか?」

 

錦山の問いに遥は首を振った。

彼女が今探しているのは由美では無く、母親の"美月"の方なのだ。

 

「そっか……」

「……ねぇ、おじさん。おじさんの苗字って"にしきやま"だったよね?」

「あ?あぁ、そうだけど……それがどうかしたか?」

 

改まって苗字を聞かれ、怪訝な顔をする錦山。

しかし遥は、なにか思い当たる節があるようだ。

 

「何か気になるの?遥ちゃん」

「うん……おじさんの妹って"ゆうこ"って言うんだよね?」

「あぁ、そうだ」

「私、知ってるよ。おじさんの妹の事」

「なんだって!?」

 

驚愕する錦山に、遥は更に意外な情報を提供してきた。

 

「おじさんの妹ってきっと"優子先生"の事だと思う」

「優子、先生?」

「うん。私の事、ずっとお世話してくれた先生なんだ。お散歩したり、絵本読んでくれたり……」

「えっ、優子ちゃんってヒマワリの先生だったの……!?」

「麗奈、お前も知らなかったのか?」

「うん……私も、退院してから一度しか会った事無かったし、彼女自身すっごく人見知りだったから、実はあまり会話も出来てなかったのよね」

 

驚愕する大人達をよそに、とても楽しそうに優子の事を話す遥。

その遥の表情からして、とても良い先生であった事が伺える。

 

(優子が、ヒマワリの先生に……)

 

手術とリハビリを終えて帰国した優子は、ヒマワリで先生をやっていた。

奇しくもそれは、彼女が錦山と最後に会った時に彼に語っていた夢だったのだ。

 

(そっか……アイツ、やりたい事出来てたんだな……!)

 

意外な所で知った優子の情報に錦山は感動していた。

あれだけ生きるのが危ういとされていた妹が元気に退院し、自分のやりたいことを僅かであっても出来ていた。

その事実は錦山にとって、何よりの救いに他ならない。

 

「なぁ遥。由美や優子についてもっと知ってる事、無いか?」

「え?えっと……」

 

遥は顔を困らせて黙りこくってしまう。

しかし、錦山としてもここは退けない。

今はどんな事でも情報が欲しいのが、今の錦山の現状だった。

 

「ちょっと錦山くん、遥ちゃん困ってるじゃない」

「で、でもよ……」

「……いいよ、おじさん」

「え?」

「私の知ってる事、全部話す」

「本当か!?」

 

目を輝かせる錦山だったが、遥はここで条件を突きつけてきた。

 

「うん。その代わり、私も一緒に……良い?」

 

錦山はすぐに思い至った。

遥はついて行こうとしているのだ。

自分の母親を探している錦山の後に。

 

「……さっきの店で、お前の母ちゃんの居場所を聞こうとしてたんだ。でも、今は手掛かりがねぇ」

「私、知ってるよ。"アレス"でしょ?」

「本当に?遥ちゃん」

「うん……だから私も一緒に。私だけじゃどうしてもお母さんに会えないから……ねぇおじさん!良いでしょ!?」

 

錦山は現在、東城会のほぼ全ての勢力から目の敵にされている。

今の彼が遥と一緒に居るのはあまりにも危険だ。

 

(どうする……?)

 

だが、遥の目は何処までも真剣だった。

母親に会いたい一心で、神室町という危険な街を歩き回って来たのだ。

今更引くことは出来ないのだろう。

 

「……分かった、他にどうしようもねぇからな」

 

やがてその真っ直ぐな瞳に錦山は折れた。

実際、遥が居なければアレスの場所は分からない。

彼女を共に連れていかなければ先に進めないのだ。

 

「やった!」

「ただし、だ。危なくなったら直ぐに俺の指示に従う事。約束出来るか?」

「うん、分かった」

「よし……じゃあ、まずは腹ごしらえといくか。腹が減ってはなんとやらだ。麗奈、改めて頼むぜ」

「分かったわ。二人共、大人しく待っててね」

 

錦山と遥。

出所した元ヤクザと小学生の女の子という、世にも奇妙な組み合わせが生まれた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の11時を回った頃。

俺は遥を連れてセレナを出た。

遥の母親の"美月"が居るというアレスへ向かう為だ。

 

(美月……一体優子の何を知っているって言うんだ?)

 

桐生の言っていた話では、その女は優子の事も知っているらしい。

そういった意味では、俺にとっても因縁浅からぬ女であると言える。

 

「おじさんはミレニアムタワーに行ったことあるの?」

 

俺が物思いに耽っていると、遥が声を掛けてきた。

事態が緊急性を要するので失念していたが、目的地に着くまで何も話さないと言うのも変な話だ。

それに、この時間帯に遥ぐらいの歳の子を連れているのは傍から見た時にだいぶ怪しく見える。

職務質問された時に厄介だ。せめて親子か身内には思われる程度に仲良くしてた方がいいだろう。

 

「いや、実は俺も初めて知ったんだよ。まさか"あの場所"にあんなビルが建つことになるとはな」

「あの場所?」

「あぁ。あそこは昔、色々あった場所でな。俺もよく覚えてるよ」

 

カラの一坪事件。

再開発計画に伴う地上げの中で偶然見つかった、たった一坪の土地を巡って起きた堂島組のお家騒動。

俺は堂島組からマトにかけられた桐生を救うため、あちこちを駆け回っていた。

そして、アイツが堂島の龍と呼ばれだしたのもそこからだ。あの時の事は今でも鮮明に思い出せるほど、俺の脳裏に刻まれている。

 

「ふぅん……この街にはたくさんの思い出があるんだね」

「そりゃな。俺も長いことこの街で暮らしてたが、本当に色んな出来事が起こるもんだ。危ない事もいっぱいあったが、退屈はしなかったぜ?」

「そうなんだぁ……私も大きくなったら、この街で暮らしてみよっかなぁ」

 

遥の発言に俺は危ない予感を感じる。

この子の肝の据わりっぷりや行動力からして、本当にやりかねないからだ。

 

「……マジ?」

「うん。ダメなの?」

「ダメってことはねぇが……オススメはしねぇぞ?」

「え、なんで?」

「言っただろ?危ない事もいっぱいあったって。神室町は女の子が一人で過ごせるような安全な街じゃねぇんだよ」

 

神室町は天下の東城会のお膝元だ。

街の中にはヤクザをはじめ、タチの悪いチンピラや外国人が大勢いる。

いたいけな女の子一人で住むのは危険極まりない行為に他ならないのだ。

 

「じゃあ、おじさんが私を守ってよ」

「え?俺が?」

 

困惑する俺をよそに、遥は何気なく続ける。

 

「だっておじさん、由美お姉ちゃんのお友達なんでしょ?だったら、これからもずっと会うことになりそうだし。それにおじさん、とっても強いから」

「おいおい……アテにするのは結構だが、いつでも俺がそばに居ると思ったら大間違いだぞ?」

「そうなの?」

「当たり前だ。俺だって暇じゃねぇ」

 

何せ今の俺は、いつ誰に殺されても可笑しくない状況なのだ。

この一件が片付いた時に無事でいられる保証はどこにも無い。

そんな状態の俺がそばに居ても、かえって遥を危険に晒すだけなのは明白だ。

 

「じゃあ、どうすれば神室町に住んでいいの?」

「そうだなぁ……」

 

問われた俺は少し考える。

どうすれば住んで良いのかを聞くあたり、遥の中で神室町に住む事を譲る気は無いのだろう。

であれば、遥が危ない目に遭わない状況にするしかない。

 

「遥が大きくなった時も傍にいて守ってくれるような、強くて優しい奴と一緒ならいいかもしれないな」

「それって、おじさんじゃダメなの?」

「あぁダメだ。俺なんかよりもずっと強くて優しい奴じゃなきゃな」

 

俺の脳裏には、数時間前に会った男の顔が浮かんでいた。義理堅くて真っ直ぐな俺の親友にして、渡世の兄弟だった男。

あれぐらい強くて優しければ、悪い虫も寄ってこないだろう。

 

「うーん、そんな人居るのかなぁ」

「居るさ。お前もいずれ会えるよ」

 

首を傾げる遥にそう言ってから、ふと考える。

 

(そういや桐生は由美に妹や姪っ子が居たことを知ってたのか?いや、もし知ってるならわざわざ俺に隠したりしない、か……)

 

桐生は最初、美月の事を"優子についての情報を持つ女"であると紹介してきた。桐生の性格上俺に隠し事をする可能性は低く、アイツは本当に美月に対してはその程度の情報しか持っていなかったのだろう。

しかし、実際の"美月"は由美の妹を名乗っていたり、セレナで働いていたりと謎の多い人物だった。

そしてその娘である少女、"遥"。

もしかしたらこの子も、何かしら今回の事件に関わりがあるのかもしれない。

 

(今度はこっちから質問してみるか)

 

そう決めた俺が、遥に質問をしようとした矢先だった。

 

「あー、ちょっとちょっと」

「あ?げっ……!」

 

巡回中の警察官に声を掛けられた。

明らかな職質だ。

 

「あなた達、どういうご関係?」

「えっ、どういうって……?」

 

おそらく職務質問などされた事が無いのだろう、警察官からの質問に遥は困惑する。

だが、俺の脳は今この状況をどう切り抜けるかを必死に導き出そうとしていた。

 

(厄介な事になったな……口裏を合わせようにも、俺はまだ遥の事をよく知らねぇぞ……!)

 

現役の頃は腐るほどされてきた職質。

本来なら口八丁でどうにかなる所だが、今回は俺一人の問題じゃない。

もしも任意同行になれば、俺は仮出所の身でありながら葬儀場で暴れた前科者としてしばらく表立った活動が出来なくなる。

それだけじゃない。無断でヒマワリを飛び出した遥も施設に連れ戻されてしまうだろう。

 

「で、何?あなた、この子のお父さんか何か?」

(落ち着け……なんとかここを切り抜けるんだ……!)

 

俺は冷静を装って警官からの質問に答えた。

 

「いや、俺はこの子の叔父だ。訳あって今は、兄貴夫婦からこの子を預かってるんだ」

「ほー、叔父さんね。じゃあなんでこんな時間にそんな大事なお子さんを外に連れ出してるんだい?」

「この子、こういった都会の街は初めてでさ。興味津々だったから連れ出してやろうと思ったんだ」

「へぇー、こんな時間に?アンタも大人なら、この街がどんなに危ないか知らない訳じゃ無いでしょ?とてもまともな判断とは言えないなぁ……」

(ちっ、結構食い下がってきやがるな)

 

引き下がろうとしない警官に焦った俺は、ここでミスを犯してしまった。

 

「この子がどうしてもって言うからよ。悪いな警官さん、今日はもうウチに連れて帰るよ」

「ウチねぇ……アンタ今何処に住んでるの?ちょっと身分を証明出来るもの見せて貰えないかな?」

(っ、しまった……!)

 

その場を離れようとするあまり、俺は警官に付け入る隙を与えてしまった。

身分証は失効されている免許証があるが、身元を確認されれば葬儀場で暴れた犯人として俺は間違いなく捕まる。

 

「いや、今はちょっとな……」

「身分証明書もないの?困ったねー、悪いけど二人とも署まで来て貰える?」

「いや、そいつはちょっと困るって言うか……嫁さんにも怒られちまうし……」

「嘘つくならマシな嘘つきなよ。アンタ指輪してないじゃないか。それにその格好、とても善良な一般人には見えないんだけど?」

「言いがかりはよしてくれ。こいつはファッションなんだ」

「はいはい、アンタみたいなヤクザ崩れはみーんなそう言うんだよ。後は署で聞かせてもらうから、ほら行くぞ」

 

状況はほぼ詰みに近い。

残された手段は少ない手持ちの金を賄賂として握らせるか、指名手配を覚悟で逃げるかの二択だけ。

ほとんど博打に近いやり方だけだ。

 

(どうする……?)

 

まさに絶体絶命。

一か八か、賄賂を握らせるためにポケットの財布に手を伸ばした。

その時だった。

 

「あの、お巡りさん……!」

「ん?なんだい?」

 

遥が声を上げた。

正直不安はあるがそんな事を言ってられる場合じゃない。

今はもう、遥の発言に全てを賭けるしかないのだ。

 

「これ以上、おじさんの事悪く言わないで……」

「へ?」

(遥、何を言う気だ……!?)

 

俺は思わず生唾を飲み込んだ。

この子の発言に俺達の未来が掛かっている。

 

「おじさん、お父さんと喧嘩して家出してきた私を助けてくれたの。仲直りするまではウチにいていいよって」

「え、そうなの?」

「うん。私が神室町を見てみたいってわがまま言ったのは謝ります。ごめんなさい。だから、もうおじさんの事悪く言わないでください!」

(は、遥……!)

 

予想外のファインプレーに俺は思わずガッツポーズを取りそうになった。

あまりにも上手いその返しに拍手をしてやりたい気分だ。

 

「ああー?じゃあ、本当に叔父さんなんだね?」

「はい!」

「……ってな訳なんだが、わざわざ人をヤクザ呼ばわりしておいて、何か無いんですか?」

「はい、大変失礼いたしました!」

「分かってくれて何よりだ。俺たちももう家に帰るからよ、そっちの手間ぁ取らせて悪かったな。行こうぜ、遥」

「うん、おじさん!」

 

俺が何気なく手を伸ばすと、遥は元気よく返事をしてその手を掴んだ。

敬礼して謝罪する警官の前でこれみよがしに手を繋ぎ、仲良さげに去っていく。

完全勝利と言うやつだ。

 

(やるじゃねぇか、遥……!)

 

目が合った途端、したり顔でウインクをしてくる遥に思わず破顔する。

きっと、この子とは上手いことやっていけそうだ。

 




如何でしたか?
次回はコアな人気を集めるあの男が登場です
お楽しみに
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