錦が如く   作:1UEさん

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GW中、のんびりダラダラやってたらこんなに空いてしまいました。
最新話です。どうぞ


謎の組織

天下一通り裏。

神室町の玄関口である天下一通りと神室町の中で最も広い通りの一つである中道通りを繋ぐその道は、かつて"堂島の龍"と呼ばれた伝説の極道である桐生一馬が、まだ東城会に在籍していた頃に"桐生興業"として事務所を構えていたテナントビルや、そんな桐生が参戦していた地下格闘場「ドラゴンヒート」を管理運営する極道組織"九鬼組"の事務所などが存在する通りだ。

そんな通りの真ん中に、第三公園は存在する。

ホームレスや不良のたまり場になっていることがほとんどの場所だが、今回は血だらけになったヤクザ者が一人倒れているだけである。

 

「東ィ!!」

 

しかし、そのたった一人のヤクザ者でさえ誰かにとってはかけがえのない人間である事に違いは無いのだ。

 

「おい東、しっかりしろ!大丈夫か!?」

 

松金組の極道、海藤正治は昨日の怪我で痛む身体を無視してここへと辿り着いた。

そして、そこで無惨にも倒れた弟分である東を抱き上げる。

打撲と流血による被害が見受けられ、意識は無い。

 

「東……!」

 

そして、海藤と一緒に公園を訪れた錦山もまたその惨状に胸を痛める。

彼は、錦山のゴタゴタに巻き込まれた結果としてこのような目に遭ってしまったのだから。

 

「彼なら心配ありませんよ。命に別状はありません」

 

背後から聞こえた声に、錦山は反射的に振り返る。

そこに居たのは、先程彼らが交戦した連中と同様の格好をした男だった。

その口ぶりから、東は組織の追っ手に追い付かれてしまったであろう事が容易に想像できる。

 

「テメェらが、東を……?」

「我々の計画の邪魔をするからです。彼を殺す命令は下っていないので生かしてはおきましたが、何か問題でも?」

「ふざけやがって、覚悟出来てんだろうな……!?」

 

全身から怒気を漲らせ、海藤が男を睨み付ける。

眼光だけで射殺せそうなほどの殺気を放つ海藤を無視し、男は錦山に向き直る。

 

「錦山さん、ですね?貴方をお迎えする準備が出来ました。どうぞこちらへ」

「シカトしてんじゃねぇぞコラァ!!」

 

堪忍袋の緒が切れた海藤が、ついに怒りのまま男へと襲いかかった。

それを見た男が眉ひとつ動かさず懐に手を入れる。

 

「ぶっ殺す!!」

「チッ!」

 

海藤の拳が振り上げられ、男の手に拳銃が握られる。

一瞬で決着が着くかに思われたその勝負は、錦山が間に入る事で中断される。

 

「あ……?」

「なにっ!?」

 

錦山は己の右手で海藤の拳を容易く受け止め、包帯の巻かれた左手で男の取り出した拳銃の銃身を掴む。

両者の攻撃を完璧に封じこんでみせた。

 

「落ち着け海藤。殺るのは今じゃねぇ」

「は、離しやがれ錦山!止めんじゃねぇ!」

「コイツの口ぶりから察するに、遥はもうコイツらの手の中だ。今ここでコイツに手を挙げたら、遥の無事はマジで分からなくなる」

 

遥と行動を共にしていた東がこのような目に遭っていて、遥の姿が見当たらない。

となれば、既に遥の身柄はこの謎の組織が抑えていると言っても良いだろう。

 

「なぁ、そうなんだろ?」

「はい、仰る通りです。ご同行頂けますか?」

「条件がある。コイツも一緒だ」

 

錦山の提案に男は眉を顰めた。

彼の目的は錦山だけであり、始末対象で無いにも関わらず自分に明確な殺意を向けてくる男など彼からすれば邪魔でしかない。

 

「残念ですが、それは出来ません」

「そうか……なら」

 

直後、錦山は海藤の拳を受け止めていた右手を動かして拳銃を持った男の手首を殴り付けた。

 

「ぐぁっ!?」

 

男はあまりの衝撃と激痛に拳銃のグリップから手を離す。

彼が気付いた時にはもう、拳銃は錦山の手に渡り銃口が頭に突き付けられていた。

 

「今ここで死ぬのとこっちの要求を呑むのじゃ、どっちが良いんだ?」

「っ!!」

「言っとくがな、こっちはもう殺しで十年も懲役喰らってる身だ。ただの脅しだと思ってんなら……その眉間に風穴開けてやるぞ?」

 

錦山の目を見た男は、即座に悟る。

彼の目は"本気"であると。

形勢逆転。もはや男に選択権は存在しなかった。

 

「……分かりました」

「よし。ならさっさと案内しろ」

「こちらです……」

 

錦山達は男の案内に従い西公園を出る。

遥がいるとされる目的の場所は、そこからすぐ側にあった。

 

「あ?ここって……」

「スターダスト……!」

 

錦山の良き協力者である一輝が経営する神室町No.1のホストクラブ、スターダスト 。

男が案内したのはその店だった。

 

「この中か?」

「そ、そうだ……」

「そうかい……ご苦労さん!!」

「ふぐぉ!?……か、っ…………─────」

 

錦山は案内を終えた男を背後から羽交い締めにして頸動脈を締め上げた。

瞬く間に意識を失う男を解放し、即座に放り捨てる。

 

「コイツは貰っとくぜ。行くぞ海藤」

「あぁ!」

 

錦山は奪った拳銃を懐に入れ、ついに海藤と共にスターダストへと踏み込んだ。

 

「一輝、ユウヤ!居るか!?」

 

店内は音楽も無く、人影も見当たらない。

ただ照明ミラーボールだけが店内を煌びやかに照らしているだけだ。

 

「お待ちしていましたよ……錦山さん」

 

そんな時、吹き抜けのVIP席から錦山を見下ろす男が現れた。

黒スーツに青のネクタイを締め 髪をオールバックにしたその男は、見慣れないマークのバッヂを胸元に着けている。

おそらくこの男が遥を拉致した主犯格なのだろうと錦山はアタリをつけた。

 

「遥は無事なんだろうな……?」

 

錦山の問いに対して、男は答えない。

その代わりに、彼の手下と思われる男がその背後から遥を連れて現れる。

 

「遥!」

「クソっ!」

 

海藤が遥を助け出すためにすぐさま階段を登ろうとするが、遥を連れた男が海藤に拳銃を向ける。

状況は膠着状態に陥った。

 

「……一輝達はどうした?」

「別室です。縛るくらいはしてありますが、無事ですよ」

 

錦山はその言葉に一定の信用を置いた。

西公園にて東を殺さなかった事から、少なくとも彼らは目的の無い殺しはしない集団なのだろうと錦山は予測する。

 

「何者だテメェら……?」

「それはやめておきましょう、お互いの為です。それより、お嬢さんが持っていたはずのペンダントは?」

「やっぱりそれが目的か……チッ、どいつもこいつも…………」

 

錦山は悪態を付きながらもポケットから銀色のペンダントを取り出す。

 

「お渡し願います」

「いや、遥が先だ。こっちに引き渡せ」

「いいえ、ペンダントが先です。お渡し願います」

「二度は言わねぇぞ」

 

男の要求に対し、錦山は毅然とした態度を貫く。

あくまでも優先するべきは遥の身柄。

100億の事などは二の次である。

 

「では……このお嬢さんがどうなっても良いと?」

 

男の言葉に呼応するように、彼の部下が銃口を遥のこめかみに突き付ける。

人差し指で引き金が引かれたその瞬間、その若過ぎる命は瞬く間に失われてしまう事だろう。

しかし、それに対しても錦山は一歩も引かない。

 

「そんな事をしてみろ…………」

 

錦山は先程奪った拳銃を懐から取り出し、チェーンで繋がれたペンダントに銃口を突き付ける。

 

「お前らが欲しがってるコイツをこの場でぶち砕いた後、テメェら全員ぶっ殺してやる。」

 

ペンダントを盾に、遥の解放を要求する錦山。

黒スーツの男は怪訝な表情を浮かべる。

 

「正気ですか?それには100億の……いや、それ以上の価値が有るんですよ?」

 

男は理解出来ないとばかりに首を傾げるが、その態度に錦山は激怒した。

 

「正気じゃねぇのはテメェらの方だろうが。人間の……遥の命は金じゃ買えねぇんだよ!!」

 

人間の生命は失われれば最後、二度と戻りはしない。

ましてや遥はまだ年端もいかない少女。

これからを担うべき若く幼い命なのだ。

そんな尊い命が、100億という金とそれを手に入れたいという人間達の薄汚い欲望のために利用されようとしている。

 

(そんな事……俺は絶対に認めねぇ!)

 

人の道を外れた連中に、一丁前に交渉を仕切る資格など無い。

そう考える錦山の脳裏に、譲歩するという選択肢は存在しなかった。

 

「はぁ……埒が明かないですね」

「そりゃこっちのセリフだ。さっさと遥を解放しやがれ」

「……分かりました。ではこうしましょう」

 

男はそう言うと部下に指示を出した。

遥は部下の元から解放され、一歩ずつ階段を降り始める。

やがて、遥が階段のちょうど真ん中に辿り着いた段階で男が声を上げた。

 

「ストップ!そこで止まってください」

「!」

 

遥が立ち止まる。

海藤が遥の元にたどり着くまでに必要な階段の段数は、残り四段。

 

(海藤……信じてるぞ……!!)

 

錦山は遥の救出を海藤に託す。

彼の身体能力があれば、直ぐにたどり着ける筈だ。

 

「ペンダントをこちらに投げてください。これが、最大限の譲歩です」

「…………」

 

ふと、錦山は遥と目が合う。

背後から命を狙われている状況で、今にも泣き出しそうな程にその瞳は潤んでいた。

 

「遥!…………お前の命が最優先だ。分かってくれるな?」

「うん……!」

 

遥が頷くのを確認した錦山は、チェーンでぶら下げていたペンダントを手のひらに持ち替える。

 

「ちゃんと取れよ?そぉら!」

 

そう言って錦山はペンダントを下から掬い上げるように放り投げた。

直後、その場の全員が一斉に動き出す。

 

「っ!」

 

海藤は遥を救い出すべく階段をのぼり始め、遥もまた海藤の元へと走る。

同時に、錦山は右手に持った拳銃を構えて銃口をVIP席へ向ける。

狙いは当然、拳銃を持った男の部下だ。

そして、それを察知した男の部下もまた錦山へと狙いを定める。

 

「ぬぅッ!!」

 

遥を抱えた海藤が気合いと共に階段からホールへと身を投げた瞬間、乾いた銃声が二つ同時に響き渡った。

 

「ぐぁっ!?」

「チッ!」

 

錦山の撃った弾丸は部下の肩を撃ち抜き、そんな部下の放った弾丸は錦山の持った拳銃へと着弾していた。

破壊された拳銃が衝撃で錦山の手から弾け飛び、文字通りのガラクタとなってスターダストの床に転がる。

 

「っ!」

 

そして、放り投げられたペンダントが男の手元へと収まる。

この間、僅か二秒。

ペンダントと遥の身柄はそれぞれ、欲していた者達の手へと渡ったのだ。

 

「海藤!無事か!?」

「おう!嬢ちゃんも無事だぜ」

 

言葉通り、海藤の腕の中に収まっている遥に怪我は無かった。

しかし、錦山が安堵したのも束の間。

 

「「「「「…………」」」」」

 

増援と思われる黒ずくめの男達がスターダストへと押し入り、あっという間に錦山は包囲されてしまう。

頭数は合計六人。一人で相手取るには苦戦を強いられかねない人数だ。

 

「海藤!遥の事は任せたぞ……!」

 

しかし、錦山はそのまま遥を海藤に託して臨戦態勢を整え始めた。

懐からスタンバトンを取り出してシャフトを引き出し、左手に構える。

 

(得物を握るくらいなら、何とかなるな……)

 

牽制の意味を込めてスタンバトンを持った左手及び左半身を前に、自由の効く右手及び右半身が後ろになるように構える。サウスポースタイルに近い構えだ。

 

「フッ……」

 

VIP席に居る男が余裕のある態度で軽く手でサインを出した。"殺れ"と。

 

「上等だ、行くぞコラァ!!」

 

錦山の叫び声を引き金に、謎の男達との闘いは始まった。

 

「フッ!」

 

先頭の一人目が、ナイフを翻し襲いかかる。

錦山はその斬撃に対してバトンのシャフトを当て、高圧電流を流した。

ナイフが火花を散るような音を立てて一人目の手から離れた隙に、すかさず首元へシャフトを突き付ける。

 

「うぎゃぁっ!?」

「オラァ!」

 

錦山は瞬く間に気絶して無力化した一人目を捨て置き、続く二人目の顔面に右の拳を叩き込む。

 

「ぶげぁっ!?」

 

数多の敵を屠ってきた渾身の右ストレートが二人目の頬骨を折り、鼻を潰す。

文字通りぶっ飛ばされた二人目は、その勢いのままバーカウンターの内側へと放り込まれていった。

 

「このっ!」

 

三人目が懐からサイレンサー付きの拳銃を取り出す所を見た錦山は、左手に持ったスタンバトンを敵目掛けて放り投げた。

 

「ぐぁっ!」

 

拳銃を持った手にスタンバトンが直撃し、電流が流れる事で拳銃を取り落とす三人目。

錦山は慌てて拳銃を拾おうと屈んだ三人目との距離を詰め、その顔面をサッカーボールキックで蹴りあげた。

 

「あが、っ!?」

 

下顎を砕かれるの同時に脳震盪を起こした三人目は、そのまま意識を失い崩れ落ちた。

 

「貰ったぜ……!」

 

錦山は三人目が拾おうとしていた拳銃をすかさず拾い上げ、己の武器とする。

それを目撃した四人目、五人目、六人目もまた、懐から拳銃を取り出して一斉に錦山へと銃口を向けた。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

錦山は雄叫びを上げて店内を走りながら、その引き金を連続で引いた。

サイレンサーによって銃声をかき消されたその拳銃は、空気を切り裂く弾丸の音のみを立てながら目標へと迫っていく。

対する組織の男達の拳銃にはサイレンサーが無い為、その銃口からは乾いた銃声が絶え間なく響き渡る。

 

「ぐぅっ!?」

「がぁっ!?」

「ぬぉっ!?」

 

錦山の撃った弾丸が男達の肩、腕、足をそれぞれ撃ち抜き、彼らを戦線離脱へと追い込む。

一方で男達の撃った弾丸は走りながら発砲する錦山を捉えられず、その身体には新たに付いた傷は一つもない。

 

「クソっ!」

 

それを見ていたVIP席の男が拳銃を取り出し、錦山へ躊躇いなく発砲した。

 

「ッ!」

 

間一髪で弾丸を躱した錦山が反撃とばかりに銃を発砲するが、男はすぐさまVIP席の柱へと身を隠す。

 

「野郎……!」

 

店内全体が見渡せるVIP席を陣取る男は、地の利において完全に錦山よりも優位に立っている。

たとえ錦山が何処にいたとしても発見が出来る上に、柱のような遮蔽物もない為 今の錦山には身を守る術が無い。

 

「貰った……!」

 

柱の影から飛び出した男が、再び錦山へと引き金を引く。しかし、その銃撃は錦山へと当たる事はなかった。

 

「あがっ、ぐぉぉぁぁぁああぁあああっ!!?」

 

錦山は先程行動不能にした男の部下の内の一人の背後に回り込む事で、その部下を肉壁にして弾丸を防いでみせた。

男の放った弾丸は部下の腹部を直撃し、悲惨なる断末魔が上がる。

 

「正当防衛だ。悪く思うなよ」

「貴様……!」

 

その後 男は柱を、錦山は男の部下を盾にしてそれぞれ身を守り壮絶な撃ち合いを何度か続ける事になる。

 

「死ね!」

「チッ!」

 

謎の組織との闘いは完全に銃撃戦の様相を呈しており、スターダストの店内は血と硝煙の香りが入り交じる修羅場と化していた。

 

「クソっ……!」

 

その最中。やがて錦山の持つ拳銃が弾切れを起こす。

先程三人を戦闘不能に追い込んだ分、錦山の持つ拳銃の方が相手よりも残弾数が三発少ないのである。

 

「動くな!」

「っ!」

 

新しい拳銃を手に入れようと戦線離脱した部下達に迫る錦山だったが、それをみすみす見過ごす男では無かった。

攻撃手段を失った錦山は、その場で立ち尽くす事しか出来ない。

 

「ふん、残念だったな!手こずらせやがって……」

「…………」

 

優位に立った事で僅かに余裕を取り戻す男。

そんな男を真っ直ぐに睨み付ける錦山。

 

「これで貴様は終わりだ……!」

 

引き金に指をかける男。

万事休すの現状に歯噛みする錦山。

決まったも同然の決着。

だが。

 

「いいや、終わるのはそっちの方だぜ」

 

そこに待ったをかけた男が現れる。

錦山から遥の保護を任されていた海藤だった。

 

「海藤……!?」

「なに?どういう事だ?」

「へへっ……」

 

男の問いに対して、海藤は不敵に笑ってみせる。

明らかに勝ち誇ったその態度に男は苛立ちを隠せなかった。

 

「どういう事だと聞いているんだ!!」

 

男の持つ拳銃の銃口が錦山から海藤へと向けられる。

しかし、海藤は不敵な笑みを崩さない。

その態度に激昂した男が引き金を引こうと指に力を込めた。

その直後。

 

「海藤!無事か!?」

「カチコミじゃオラァ!!」

「いてまうぞボケがァ!!」

 

怒号を上げた男達がスターダストになだれ込んで来た。

その男達のいずれもが、手に拳銃を所持している。

 

「……こういう事さ」

「なっ!?」

 

思わず面食らう男だったが、錦山は合点が行った。

 

(そうか、コイツら松金組か……!!)

 

起きた事象は至って単純。

襲撃を受けた海藤と東の報復に、東城会系のヤクザである松金組が"返し"をしに来たのだ。

海藤の先程の態度は、松金組が来るまでの時間稼ぎ。

形勢逆転のための布石だったのだ。

 

「馬鹿な、何故ここが!?」

「東だよ。お前らが散々痛めつけた俺の弟分が、ここに俺達が居ることを知らせてくれたのさ」

 

そう言って海藤は携帯の画面を開いて見せる。

そこには彼の弟分からのメールが表示されており、組に応援を要請した旨が記されていた。

 

「お前らの敗因は二つだ。一つは東を始末しなかった事。もう一つは……俺ら松金組を敵に回した事だ!!」

 

増援として送り込まれた松金組の構成員達が、一斉にVIP席へと銃口を向ける。

こうなってしまえば最後、海藤や錦山を始末する事はおろか残弾を全て撃ち切る前に蜂の巣になってしまうだろう。

 

「くっ……クソっ……!!」

 

狼狽える男だったがもう遅い。

唯一の退路である出入口はヤクザに封鎖され、部下達はいずれも瀕死あるいは戦闘不能。

状況は完全に"詰み"だった。

 

「テメェらはもう終わりだ。諦めろ」

「…………」

 

ついに、男の手から拳銃とペンダントが落ちる。

それは紛れもなく、彼らの敗北宣言に他ならなかった。

 




今回出てきたコイツら、名前の表記が無いから『男』としか描写出来ないのキツい……
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