錦が如く   作:1UEさん

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断章です。
いよいよ、この時がやってきました。



断章 2000年
惨劇へのカウントダウン


2000年。12月24日。

この日、東京の郊外にある養護施設"ヒマワリ"の前に、一台の車が止まった。

 

「さて……着いたな」

 

車から降りてきたのは、筋骨隆々を絵にしたような恵まれた体格を持つ一人の男。

彼の名は、桐生一馬。

東城会直系風間組の若頭補佐であり来月に直系組織昇格を控えた、東城会の中で今一番勢いのある極道者である。

弱きを助け強きをくじく。そんな古き良き任侠道を地で行くその生き様に惚れ、彼の率いる桐生組の門を叩く者が連日後を絶たない。

そんな男の中の男はこの日、自分が育った故郷でもあるこの場所を訪れていた。

理由は至極単純。この日は年に一度の、ヒマワリの子供達全員でクリスマスパーティを開く日なのだ。

 

「親父、自分達は事務所に戻りますので」

「あぁ、ご苦労だったな斎藤」

「はい、失礼します」

 

運転及び護衛担当の構成員にそう声をかける。

彼は一礼した後に車を発進させた。

 

「さて……」

 

桐生は己の荷物を確認しながら敷地内へと足を踏み入れ、玄関先までたどり着く。

 

「邪魔するぞ」

「あ、おとうさん!」

 

桐生が戸を開けると、一人の女の子が目を輝かせた。

 

「ゆうこせんせい!ゆみおねえちゃん!おとうさんがきてくれたよー!」

「…………」

 

そう言いながらその少女は、勢いよく桐生の胸に飛び込んだ。

少女の名前は、澤村遥。

桐生の大切な愛娘である。

 

「遥。いい子にしたか?」

「うん!みんなとなかよくしてたよ!」

「そうか……偉いぞ、遥」

「えへへ〜」

 

優しく頭を撫でられた遥は、嬉しそうに目を細める。

そんな娘の笑顔を見て、桐生は心が洗われる気分だった。

 

「一馬くん」

「一馬」

 

そんな時、桐生に声をかける二人の女性がいた。

一人はこのヒマワリで子供達の面倒を見ている先生であり、桐生の親友であり兄弟分の錦山彰の妹。錦山優子。

そしてもう一人は桐生と錦山の幼馴染であり、彼が心から愛した女性。澤村由美だった。

 

「由美、優子。その格好は?」

 

桐生は彼女達の格好について言及する。

彼女達は先に到着している事を聞かされていた桐生だったが、今二人はコートを着て防寒をしている。

まるで今来たばかりかのような格好と言えたが、実際は違っていた。

 

「ちょうど良かった……私たち、これから買い出しに行く所だったんです」

「なに?そうなのか?」

「うん。だから一馬、ちょっとの間だけ、子供達の事見ててくれる?」

 

そう頼まれた桐生だったが、買い出しであれば別に彼女達が行く必要は無い。

 

「いや、そんな事なら俺が行ってくるぞ?」

 

わざわざ寒い中、そんな面倒な事をするのは男の仕事である。

そう考えた桐生はそう言って二人を引き留めようとした。

 

「大丈夫ですよ一馬くん。すぐに戻って来ますから」

「それに、一馬に任せてたらトンチンカンなもの買ってきそうだし?ね?」

「む……バカにしてるのか?」

「じゃあ一馬、子供達のプレゼントや飾り付けの道具一式買い揃えてって言われてもちゃんと一人で出来る?」

「ぐっ…………」

 

元来、細かい計算や仕事などを苦手とする桐生はそう言った事に滅法弱い。

結果として、ぐうの音も出なくなってしまった。

 

「だから、ここは私達に任せて。一馬くんは子供達と遊んでて下さい」

「…………仕方ねぇ、分かったよ」

「よろしい。じゃあ遥ちゃん。私たち、ちょっと出かけてくるから」

「お父さんと、いい子にして待っててね?」

「うん!」

 

そう言って、由美と優子は二人してヒマワリを出て行った。

残された遥と手を繋ぎながら、桐生はそれを見送る。

 

「ねぇ、おとうさん」

「ん?」

「おかあさん、きょうもきてくれないの?」

「っ……」

 

桐生はその言葉に胸を痛めた。

何故なら遥の母親は、つい今しがた見送った由美に他ならないのだから。

 

「あぁ……お母さんはな、仕事が忙しいんだ」

「おかあさんっていっつもそう……わたしのこと、きらいなのかな……?」

 

しかし、遥本人は由美が自身の母親であることを認識していない。

それは桐生と由美が決めた事。

時が来るまで、自分の子供に母親を名乗らないという決まり事によるものだった。

 

(由美…………)

 

その原因は、桐生の生きる極道という世界にある。

職業柄故かそれとも元々の性質からか、桐生はあらゆる人間から目の敵にされることが非常に多い。その危険は桐生は愚か周りの人間にさえ及ぶ可能性を秘めている。

彼の親である風間はその可能性を危惧し、由美に対して母親を名乗らないことを提案したのだ。

風間の管理下にあるヒマワリにいれば子供は安全だが、由美はそうでは無い。

桐生一馬の妻である事が露呈すれば、命や身柄を狙われてもおかしくないのだから。

 

「遥、それは違う。お母さんは誰よりも、お前の事を愛してるんだ」

 

だが、桐生は知っている。

本当は誰よりも、由美が遥の事を愛している事を。

そして心の底から、彼女の母親を名乗りたがって居ることを。

 

「ほんと……?」

「あぁそうさ。今は無理でも、お母さんは必ず遥に会いに来てくれる。必ずだ」

 

だからこそ、桐生は力強く遥に告げる。

由美にそんな事を強いてしまっているのは、一重に桐生の率いる桐生組の力が足りていないからだ。

何者にも手出しをさせないほどの絶対的な力と組織を持ってして、彼女達を護る。

それこそが、今の桐生が目指している目標だった。

 

「……うん、おとうさんがそういうなら。しんじるよ」

「ありがとうな、遥」

「うん!」

 

遥は元気よく頷いた後、ツリーの飾り付けをする子供達の輪の中へと戻って行った。

それを見届けながら、桐生は携帯電話を取り出してある人物に電話をかける。

 

『はい、斎藤です』

「俺だ、桐生だ」

 

それは、先程桐生が見送った桐生組の構成員だった。

 

『親父。どうされたんですか?』

「お前、まだ近くにいるよな?」

『はい。国道にも出てませんが……』

「ちょうどいい……由美と優子が買い出しに出るそうだ。二人を車で拾って、ついでにそれを手伝ってやってくれ」

『買い出し?それって、例のパーティ用のですか?』

「あぁ。俺じゃどうにも信用されてないみたいでな。代わりに頼まれてくれないか?」

『分かりました。お任せ下さい』

「すまない。よろしく頼む」

 

桐生はそう言って電話を切る。

彼は万が一の事が起きないようにと、自分の構成員を護衛に付けたのだ。

 

(よし、これで心配は無いだろう)

 

ひとまずの安心を得た桐生は、靴を脱いで中に上がる。

桐生が過ごした頃から変わらない、懐かしい匂いと雰囲気が桐生を暖かく迎え入れた。

 

「あ、かずまおじさんだ!」

「おじさーん!いらっしゃーい!」

「まってたよ、一馬おじさん!」

「おう。元気か?お前達」

 

ヒマワリで過ごす子供達が、一斉に桐生の元へと駆け寄って来る。

月に一度のペースで遥の様子を見に来る桐生は、他の子供達からもよく懐かれていた。

 

「おじさん、その袋は?」

「あぁ、これか?」

 

不意に、一人の子供が桐生の持った大きめの袋に目を付ける。

 

「これは、お前達へのクリスマスプレゼントだ」

「え?本当!?」

「あぁ。優子先生達が帰って来たら、ちゃんと渡してやるからな」

「やったー!」

 

それを聞いた子供たちは大はしゃぎした。

彼等にとっては年に一度、欲しいものが手に入るまたと無いチャンスなのだ。

嬉しいに決まっている。

 

「ん……?」

 

そこで桐生は、ある違和感に気付いた。

遥を含めた子供達の数を目視で数える事で、その違和感の正体にたどり着く。

 

「なぁ、遥。新一はどうしたんだ?」

 

一人、子供達の人数が足りないのだ。

桐生にその子の行方を問われた遥は素直に答える。

 

「しんちゃん、いまびょういんにいるの。」

「病院?何かあったのか!?」

「うん。かぜひいちゃったんだって。しんちゃん、からだがよわいから……」

「そうか……」

 

新一は遥の一個下で、ヒマワリの中では最年少の男の子である。

生まれつき身体が弱く病気がちなその子は今、病院で過ごしているとの事だった。

 

「おとうさん。あとでしんちゃんにもプレゼントわたしてあげて?」

「あぁ、分かってる」

 

桐生は途端に心配になる。

なにせ彼は新一を、赤ん坊の頃から知っているのだから。

 

(後で、病院にも行かないとな……)

 

ふと、桐生は窓の外を見る。

そこから見える空模様は、彼の心を顕したかのような曇天に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐生がヒマワリを訪れてから約数十分。

由美と優子は、神室町に訪れていた。

欲望と権力の街であるこの場所も世間のクリスマスブームに乗っかり、あちらこちらで商戦が巻き起こっている。

 

「ふぅ……結構買ったなぁ」

「だねぇ」

 

由美と優子は手に紙袋を持っている。

その中には雑貨屋で購入したパーティグッズや、クリスマス用の食品やお菓子などが入っている。

そして、そんな彼女達の背後では三名の男達がそれ以外の荷物を受け持っていた。

 

「ごめんなさい、みんな。荷物持ちをお願いしちゃって」

「「いえ、お気になさらず。姐さん」」

 

由美の言葉に二名の屈強そうな男がハキハキと答える。

 

「おい、外でその呼び方はやめろ!親父に言われてんだろうが!」

「「失礼しました、兄貴!」」

 

それに対して苦言を呈したのは、彼らよりも小柄な一人の男。

長い黒髪にパーマをかけた獅子の鬣を彷彿とさせる髪型をしたその男こそ、桐生が護衛を託した桐生組の構成員。斎藤である。

 

「わざわざありがとうございます斎藤さん!車で送って貰った上に買い物まで手伝って貰えるなんて」

「いえいえ、コイツらの言う通り気にしないでください。自分ら、親父の命令でここにいる訳ですから」

 

優子の送る感謝の言葉に対し、斎藤はそう言って答える。

些か過保護とも言えるかもしれない桐生の行動だが、斎藤は決して異を唱える事はしない。

 

(由美さんは過去、敵組織に拉致られちまってる……親父が心配なのも納得だ)

 

"堂島の龍"と呼ばれた桐生一馬は、良くも悪くも世間や周囲の注目を集めやすい。

その中に当然彼を恨む連中も多く存在する。

由美はかつて、そんな裏社会の闇に一度巻き込まれてしまった事があるのだ。

桐生一馬の女であるとして。

 

(あの時の親父は、今でも忘れられねぇ……)

 

桐生は怒りのままにたった一人で由美を拉致した連中のいる場所へ殴り込み、その場の全員を瞬く間に殲滅し制圧。

見事に由美を取り戻して見せたのだがその時の桐生の表情と気迫は凄まじく、斎藤はそれだけで"殺される"と錯覚した程だった。

 

「それにしても……お二人が同行者に親父を選ばなかった理由が、ようやく分かりましたよ」

 

そう言って斎藤は、自分の持つ荷物の中の紙袋を掲げた。

 

「まさかお二人が……親父へのプレゼントを計画していたとは」

「へへへっ……」

「まっ、そういう事」

 

得意げに笑う由美と優子。

彼女たちは今日、桐生には内緒で彼に対するプレゼントを購入していたのだ。

 

「きっと一馬くんの事だから、目の前でプレゼントを買うなんて事になったら遠慮しちゃいますもんね」

「そうそう。一馬、きっと照れくさくなって"いや、俺は受け取れん"とか言うんだろうなぁ」

「いやはや……流石にお二人は、親父の事をよく分かってらっしゃる」

 

これは、いつも実直に頑張っている桐生に対しての贈り物。そして、命の恩人たる桐生に対しての感謝の気持ち 。

それをサプライズで渡そうというのが今回の企画なのである。

 

「一馬くん、喜んでくれるかな……?」

「無論です。優子さんと由美さんが一生懸命選んだプレゼントですから。きっと大切にしてくれますよ」

「そうそう。なんだかんだ言っても、一馬は結構こういうの嬉しがるタイプだから、大丈夫よ」

 

そう言って笑い合う一同は、車が停めてあるパーキングを目指して裏路地に入り込む。

皆が皆、この後の幸せな時間に胸を膨らませていた。

しかし。

 

「……ん?」

 

その穏やかで暖かい時間は。

 

「えっ?」

「どうしたの?」

 

なんの前触れもなく。

 

「兄貴、アイツは一体?」

「っ……!」

 

唐突に奪い去られる。

 

「ぐぁぁっ!!?」

 

突如、荷物を抱えていた護衛の一人が悲鳴をあげる。

その腹部には、真っ赤な染みが広がっていた。

 

「おい!大丈───」

 

直後、もう一人の護衛の頭に真っ赤な華が咲いた。

肉塊と化した護衛が、無様にも地面に崩れ落ちていく。

 

「ひっ!?」

「な、なに?なんなの!?」

 

恐怖に怯え硬直してしまう由美と、状況に理解が追い付かない優子。

斎藤は手にしていた荷物を捨て、懐からナイフを取り出して臨戦態勢を取る。

 

「何者だ、テメェ!!」

 

その視線は、突如として目の前に現れた男に向けられていた。

白い服を身に纏い、女の能面を被ったその男の手にはサイレンサー付きの拳銃が握られていた。

彼の部下を撃ったのは間違いなくその拳銃であったことを、サイレンサーの先端から立ち上る硝煙が如実に現していた。

 

「この野郎!!」

 

斎藤は前傾姿勢を取ってから勢いを付けると、瞬時に敵との間合いを詰めた。

そのまま右手に持ったナイフを閃かせる。

 

「っ!」

 

後ろに飛び退いた男だったがその一閃を防ぎ切ることは出来ず、彼のつけた面の口から下が叩き斬られる。

 

「!?て、テメェは……!?」

 

顕になる素顔の下半分を見て、斎藤は一瞬だけ硬直する。

その隙が仇となった。

 

「な、何よあなた達!?」

「いやっ、離して!」

 

斎藤の背後で、別の男達が由美と優子を拉致しようと羽交い締めにしていた。

 

「しまった!由美さん、優子さん!!」

 

焦った斎藤は彼女達を助けようとして踵を返す。

それはつまり、銃を持った相手に背中を向ける事を意味した。

 

「がっ、ぐぉっ……!?」

 

脇腹。

そこに走った強烈な衝撃の後、斎藤はその箇所が急激な熱を帯びた事に後から気付いた。

撃たれたのだ。背後を向いた瞬間、その拳銃で。

 

「よし、サツが来る前に連れて行け」

「「はい」」

 

うつ伏せに倒れた斎藤を踏み越えて、能面の男は部下を指揮する。

 

「いやっ、助け、むぐっ!?」

「〜〜〜!!」

 

由美と優子は白服の男たちに口を抑えられて大声を封じられ、そのまま近くのバンへと連行されてしまった。

 

「ク、クソッ……が…………!!」

 

薄れ始めた意識を気合いで保ち、斎藤はポケットから携帯を取り出した。

この非常事態を、一刻も早く伝えるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、桐生の携帯に着信が届く。

 

「ん?」

 

それは今まさに、待ちきれなくなった子供達のためにひと足早くパーティを開催させようとしたその時であった。

 

「一馬、どうした?」

 

そう声をかけるのは、風間新太郎。

桐生の育ての親であり今は渡世の親でもあるこの男もまた、例年クリスマスには必ず顔を出す男の一人だった。

 

「部下からの電話です。ちょっと出てきます」

 

和気あいあいとした雰囲気のその場を離れ、携帯を耳に当てる。

 

「俺だ」

『お、親父……大変です!由美さんと優子さんが……拉致られちまいました…………!』

「な、なんだと……!?」

 

その報告は、桐生にとってまさに最悪の出来事だった。

嫌な汗と共に顔色は真っ青になり、心臓が早鐘のような速度で脈打ち始める。

 

「相手は誰だ!?近江か?それとも別の組織か!?」

『考えたくは、ありませんが…………おそらく、東城会の者かと、思われます……』

「何!?」

 

驚愕に目を見開く桐生。

東城会の人間が東城会の人間を襲う。その不可解な現象に、桐生は耳を疑った。

 

「どういう事だ?なんで東城会がうちの組を!?」

『そ、そこまでは、分かりません…………三人で、護衛に、ついてましたが……一人、殺られ、ました…………」

「斎藤!今どこだ!?」

『か、神室町……中道、通り……裏……質屋の近く、です……俺も、……脇腹を…………撃たれ、て…………』

「おい斎藤?斎藤!!」

『う…………うぅ……………………』

 

意識が朦朧としているのか、斎藤の口数が明らかに減っている。

このままでは危険だった。

 

「どうした、一馬?」

「由美と優子が、東城会の奴らに攫われたらしいんです!」

「なんだと?何故、東城会が……?」

「詳しくは分かりませんが、俺の部下が一人殺られてます。怪我人も出ているそうで……」

「不味いな……せっかく近江連合との関係が落ち着いたってこの時期に、どんな理由であれ内輪揉めしてる事がバレたら厄介だぞ…………」

 

風間が頭を悩ませる。

東城会本家の若頭でもある彼は、桐生を含む総勢2万5000人もの勢力を誇る極道達の舵取りの一部を担っているのだ。

突如として訪れた非常事態に、風間は大局的な決断や思考を余儀なくされる。

 

「親っさん!俺、神室町に行ってきます!ヒマワリの事をお願い出来ますか!?」

「あぁ、分かった。……一馬!」

「なんですか?」

「今回の件、俺にも何が起きてるか分からねぇ。事態を把握する必要がある。もしも向こう何か分かったらどんな些細なことであっても報告しろ。良いな?」

「……はい、分かりました!」

 

風間の命令を受け、桐生はすぐさま身支度を整え始める。

 

「おとうさん、どうしたの……?」

 

遥はそんな父の様子を心配そうな眼差しで見つめていた。

 

「遥、お父さんは今から由美お姉ちゃんと優子先生を迎えに行って来る!先にパーティーを始めててくれ!」

「お、おとうさん……!?」

 

それだけを言い残し、桐生はヒマワリを飛び出した。

身を切るような寒さの中、彼は一心不乱に駆け出す。

 

(由美……優子……無事でいてくれ…………!!)

 

 

 

これは、これから起こりうる惨劇の幕開け。

 

 

 

桐生一馬が桐生組を独立させる、一日前の出来事だった。

 




次の章及び断章でいよいよ、真相が明かされます

桐生の身に一体何が起きたのか

見届けて上げてください
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