錦が如く   作:1UEさん

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久しぶりやなお前ら!元気しとったか?錦が如くの最新話やで!

しっかし、作者のアホが……戦闘開始から4ヶ月も待たせよってからに、こっちは体が疼いてしゃぁなかったで!

オマケに投稿日が5月13日やと?ドアホ!そこは日付変更時にワシの誕生日に合わせんかい!

何せ今日で……錦が如くは最終回やからなぁ
明日からこの作品のタイトルは……真島が如くや!

ほな本編行こか!行くでぇ錦山ぁぁ!!





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2005年12月13日。

突如として始まった真島吾朗とのリターンマッチは、狂犬の先制攻撃で幕を開けた。

 

「キェェイ!!」

 

奇声を発しながらドスで斬り掛かる真島に対し、錦山は距離を取って対処する。

 

「ヌゥン、ディ、ウゥリャァ!!」

「よっ、と!」

 

錦山が強敵と闘う時の常套手段。先に仕掛けずに相手の動きを見る。

真島との闘いはこれで三回目となる錦山だが、狂犬の奇怪で奇抜な戦闘スタイルに慣れるのは難しかった。

 

「チッ、ちょこまか逃げんなや!」

 

逃げてばかりで攻撃して来ない錦山に痺れを切らした真島がそう吠えながら更なる波状攻撃を仕掛けるが、錦山は依然として仕掛けることはしない。

奇怪で予測の出来ない動きをする真島に隙を見出せないのもそうだが、錦山にはもう一つ狙いがあった。

 

(いくらあの真島つっても、ずっとこんな動きが出来る訳じゃねぇ。それに、桐生とやり合ってからまだそんなに経っちゃいねぇ。肉体的な限界はある筈だ)

 

それは、スタミナ切れ。

ドスを持った真島を相手にまともに正面からやり合って競り勝つのは非常に難しいと判断した錦山は、真島に攻撃を仕掛けさせ続ける事で体力を消耗させようと画策したのだ。

しかし、そんな事をいつまでも許す程真島は甘くない。

 

「追い詰めたで、このボケが!」

「っ!」

 

錦山は思わず息を呑む。

いつの間にか自分が壁際に追い込まれていた事に気付いたからだ。

 

(しまった!?)

 

真島は素早い足捌きで小刻みに立ち位置を変えながら襲いかかる事で、錦山を逃げ場のない場所へと誘導していたのだ。

 

「くたばれやぁ!」

 

真島は左手で錦山の胸ぐらを掴むと、そのまま彼の身体を壁に思い切り叩き付けた。

 

「ぶっ!?」

 

襲撃の際の衝撃でヒビの入った壁に顔から打ち付けられる錦山。目の前で火花が散り、鼻から鮮血が吹き出す。

 

「イィリャ!!」

 

真島は錦山の頭を背後から掴んだまま、勢いよくドスを持った右手を振り上げた。

狙いは錦山の右手の甲。鋭利なドスの刃が、ここまで錦山の武器となっていた右手を串刺しにせんと迫る。

 

「ッ!!」

 

己の右手の甲をドスの刃が貫く。

迫り来る殺気を感じ取りそんな未来を幻視した錦山はすぐに身体を反転させた。

狂犬の刃は錦山の右手ではなく桃源郷のひび割れた壁に深く食い込む。

 

「ドラッ!」

 

錦山は反転させた勢いのままに、真島の後頭部を掴むとそのまま壁に押し付けた。

 

「ぐぁっ!?」

「セィヤッ!!」

 

壁に刺さったドスの柄頭の部分にこめかみを強打する真島。平衡感覚を失いかけたたらを踏む真島に対し、錦山はすかさず追い討ちのハイキックを叩き込む。

 

「ヒッヒッ……痛いやないか錦山ァ……!!」

「チッ……!」

 

仰け反る真島だが、不気味な笑みを浮かべると直ぐに体勢を立て直す。

その相変わらずのタフネスぶりに錦山はたまらず舌打ちをした。

 

(駄目だ……屋外ならともかく壁に囲まれたここじゃアイツのスタミナ切れまで逃げ切れねぇ……!)

 

もう一度壁際に追い込まれてしまえば、先程のように切り抜けることは難しいだろう。

真島のスタミナ切れを狙うのは絶望的だ。

 

(やるしか……ねぇ!!)

 

不退転の覚悟を決めた錦山は呼吸による脱力と共に、精神と神経を練り上げる。

そして。

 

「デェイリャァ!!」

「──────!」

 

錦山は己の精神を無我の境地へと押し上げた。

全ての感覚が研ぎ澄まされ、真島の動きを手に取るように知覚する事が可能となった彼は、雄叫びと共に襲い来る狂犬の牙を難なくやり過ごす。

 

「まだまだ行くでぇ!!」

「────シッ、フッ」

 

顔面への一刺しから始まる鬼炎の如き波状攻撃を冷静かつ的確に捌いていく。

奇怪で予測の困難な軌道と人間離れした速度で振り抜かれる刃を躱す為には目視してからでは到底間に合わない。

故に、錦山は真島の動きではなく真島の放つ殺気から斬撃の来る位置を先読みして行動に移していた。

 

(────見える。ヤツの動きが分かる)

 

結果、避ける事が困難なはずの狂犬の牙は錦山にとって十分に対処可能な攻撃へと変わる。

 

「シェイヤ!」

 

右。顔面を狙った横凪ぎの一振り。

上半身のみを僅かに仰け反らせて回避する。

左。返す刃で再びの横凪ぎ。

一歩後退して冷静に躱す。

 

「ゃりゃァ!」

「───シッ!」

 

右。顔面狙いの真っ直ぐな一刺し。

頭一つ僅かにずらして回避しつつ、真島の右足にローキックを放つ。

 

「ぐぉっ」

「───フッ!」

 

僅かに動きが鈍った直後に右のストレート。

しかしこれを真島は容易く回避する。

 

「──!」

 

直後、真島の動きが更に奇怪なものへとなった。

右手でドスを振り抜いた勢いのまま身体を回転させ、振り返りざまにドスを左手に持ち替えて振るったのだ。

 

「──ッ!」

 

間一髪避ける事に成功した錦山だったが、ここで相手を安心させる真島では無い。

再びドスを振り抜いた勢いで身体を回転させる事で錦山に背を向ける真島。

好機と見て攻撃を仕掛ける事も出来る錦山だったが、無我の境地に至った錦山の神経が次の攻撃に備えよと警鐘を鳴らす。

 

(───上、ッ?)

 

直後。真島は地面を蹴って跳躍し、その身体を縦に回転させながら垂直に蹴りを放つ。

サマーソルトキック。本来なら格闘ゲームでしか飛び出ないような有り得ざる蹴り技だが、真島吾朗にそのような常識は通用しない。

 

「──チッ!」

 

無我の境地による殺気の予測でどうにか回避する錦山。

奇怪で予測出来ない攻撃とはこういう事だ。

たとえ事前に攻撃する箇所が分かっていても、そこに至るまでの動きや過程が予想だにしないものになる以上、相手の体勢や状況などの視覚的情報は殆ど宛にならない。

相手の動きを観察して見極めようとする錦山との相性は最悪だった。

 

「ゼイヤッ!」

「──!?」

 

いつの間にか壁際に追い込まれていた錦山が、真島の追撃を躱しながら体勢を入れ替える。

対する真島はそのまま壁へと向かっていき、そのまま跳躍すると壁を足蹴にして空中で回転する。

 

「ウリャウリャウリャウリャ───!」

 

さながらテコンドーのような空中での回転を加えた一撃。

喰らえばタダでは済まないその攻撃の中に、錦山はようやく見出した。

 

(────今だ)

 

如何にあの真島吾朗と言えど回転をしている最中であればこちらへの注意が散漫になる。

そこに、彼がつけ入る隙があるのだ。

 

「……あら?」

 

気付けば真島はそんな素っ頓狂な声を上げていた。

空中後ろ回し蹴りをするはずだった真島は、後ろ向きになった瞬間を狙った錦山に捕らえられ、抱えられるような体勢で持ち上げられていたのだ。

 

「────オォラァ!!」

 

錦山はそのまま鐘を鳴らすかの如く頭から真島を壁に向かって叩き付ける。

 

「うぐぉぉ!?」

 

壁を跳ね返った真島が地面に叩きつけられた。

流石の真島と言えど足元が覚束なくなる程の衝撃だったのか、中々立ち上がれずにいる。

 

「──シャァッ!!」

 

直ぐに追い討ちをかける錦山は、ガラ空きとなった真島の腹部をサッカーボールキックで蹴り飛ばす。

トドメとはいかずとも、確実にダメージを与える機会を逃す訳にはいかない。

 

「ぐほっ、ぐぅ…………ぬゥ」

「────ハァ……ハァ……フゥー…………ッ」

 

蹴り飛ばされながらも空中で体勢を整えすかさず立ち上がる真島。そんな真島を息を整えながら油断なく睨み付ける錦山。

再び戦況が動き出す。その刹那。

 

「「っ!!?」」

 

大きな地響きと共に桃源郷が大きく揺れた。

真島が襲撃の際に行ったトラック二台による衝突によって、築年数の古かった桃源郷は崩壊の危機に陥っていたのだ。

 

「ヒッヒッヒ……ヒャーッハッハッハッハ!!」

「────!?」

 

狂気に満ちた笑い声を上げながら真島が迫る。

ドスを振り翳す事無く距離を詰めた真島はそのまま錦山を押し倒し、左の拳を振り上げた。

 

「遠慮せんと死ねやァ!!」

「────ッ!!」

 

横に首を倒すように捻って真島の左ストレートを回避する。

しかし、その一撃は老朽化とトラックの衝撃でヒビの入った桃源郷の床に致命的な亀裂を走らせた。

結果。

 

(────床が……!)

 

耐久値の限界を迎えた桃源郷の床が崩れ、二人の身体が地下空間へと放り込まれていく。

 

「────チッ」

 

すかさず受身を取って着地する錦山だったが、彼は直ぐに己の不利を悟った。

 

(──これは……)

 

錦山が落ちたのは桃源郷の地下空間。

本来、日の目を見る事は無かったであろうその場所は真島が壊し開けた大穴から光が差し込んでいる。

それは即ち、この空間はその場所以外の全てが暗闇に支配されているという事に他ならない。

 

(──殺気が消えてる……?)

 

加えて、先程まで鋭利なまでに感じていた真島の殺気が無くなっている。その事実に錦山は言い様のない悪寒を感じる。

 

(まさか────!)

 

その状況から錦山が真島の狙いを察した時には、全てが遅かった。

 

「────獲ったで」

「──!」

 

錦山の背後から姿を現した真島がその首に腕を回して締め上げたのだ。

バックチョークスリーパーと呼ばれる関節技の一種で、相手の頸動脈を抑える事で昏倒、失神させる事を目的とした危険な技である。

 

(──まずい……!)

 

錦山はすかさず真島の腕を掴んで引き剥がそうと力を篭めるが、真島は後ろに体重をかけつつ確実に固定した腕でその締めつけを更に強力なものにしており、解除するのは困難だった。

 

「往生せぇ、錦山……!」

「が、っ……ぁ…………」

 

超集中状態が途切れ、意識が遠のいていく錦山。

 

(やべぇ……お、ちる…………──────)

 

その身体から抵抗する力が失せ始めた、その時だった。

 

「ぐおっ!?」

 

真島の後頭部に重い金属音が鳴り響く。

突如として襲いかかった衝撃と激痛に意識の混濁した真島は、思わず錦山の拘束を解いた。

 

「オラッ!」

 

自由となった錦山はすかさず振り返ると真島の胴を蹴り飛ばす。

 

「ぐぉっ、ぐぅ……!」

 

後方に退く真島と、距離を取って体勢を立て直す錦山。

そんな二人の間に転がったのは、赤い色をした鉄の塊。

一つの消火器だった。

 

「おじさん!」

 

その声が聞こえたのは二人の頭上。彼らの居る地下空間の唯一の光源となっている大穴の上からだった。

そこから顔を覗かせるのは遥とアケミ。

声の主は無論、遥の方だ。

 

(そういう……事かいな……)

 

真島は彼女達が上から自分の頭に消火器を投げ落としたという事を、朦朧する意識と頭部から流れる流血によって理解した。

 

「へへっ……えぇスロウや……」

「オォラァッ!!」

 

真島が遥たちの方を向いた一瞬の隙を突いた錦山が動いた。

助走をつけた全力の右フックを振り抜く。

 

「!?」

 

直後、錦山の顔は驚愕に染まった。

 

「えぇパンチするようになったやないか……錦山」

 

渾身の力を込めたはずのその一撃を、真島は片手で受け取って見せたのだ。

 

「なっ!?」

「せやけど……それじゃぁ桐生チャンには届かへんなァ!」

 

錦山の拳は受け止められたまま真島の指に捕まって固定され、まるで万力に締め付けられるかのような重圧が錦山の右拳にのしかかり、その顔が苦痛に歪む。

 

「うぅリャァ!!」

「ぶがっ!?」

 

直後、鈍器で殴られたかのような衝撃が錦山の顔面を襲った。

真島の放った右ストレートが錦山の顔を打ち抜いたのだ。

 

「が……、ぐ、っ……!」

「シャラァ!!」

 

堪らず仰け反った錦山に対し、真島は追い討ちの後ろ回し蹴りを放った。

遠心力を武器に繰り出されたその蹴りは見事に錦山の胴を蹴り抜き、その身体がくの字へ折れ曲がり後方へと吹き飛ばされる。

 

「ぐっ、ぅぉぉ……っ」

 

地面に倒れ込んで悶え苦しむ錦山。桐生と並ぶ伝説の極道の攻撃をまともに受け、ダメージを逃がせないでいる。

 

「あら……?こらアカンわ……っ……!」

 

しかし、戦況的に有利であるはずの真島がここに来て膝を突いた。

つい先程彼は後頭部に消火器をぶつけられたばかりであり、その状態で身体を回転させる後ろ回し蹴りを放った結果平衡感覚を失ってしまったのだ。

 

「はぁ……はぁ…………」

 

未だ自身を苛む自らのダメージを無視して、錦山は奮起し立ち上がる。

肉体が悲鳴を上げても、彼の闘志は全く折れていなかった。

 

「ひ、ひっひっ……!」

 

対する真島もまた覚束無い足で無理やり立ち上がると、薄く笑いながらゆっくりと近づいていく。

錦山はそれに応えるように拳を握り、一歩、また一歩と距離を詰める。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……!!」

 

交錯する視線。ぶつかり合う殺気。

張り詰めていく空気。

そして、今。

最後の攻防が幕を開ける。

 

「シャァ!」

「オラァ!」

 

真島と錦山。互いの拳がそれぞれ相手の顔と腹を直撃した。

 

「ぶごっ!?」

「ぐふっ、ぅ……ッ!」

 

ボディブローによるダメージで地獄の腹痛に苛まれる錦山の膝が笑う。

 

「ハッ───!!」

 

しかし、右ストレートを顔面に受けた真島がたたらを踏む姿に勝機を見出した錦山は己を苛む痛みを脇に追いやり、一気に畳み掛けると決議した。

 

「でぇりゃァ!!」

 

こめかみに右フックを振り抜く。

怯んだところに左フックを叩き込む。

再び右。続けて左。

右。左。右。左。

 

「うぉぉおおおおあああああッッ!!」

 

殴る。殴る。殴る。

勢いを止めぬまま一心不乱に拳を振るい続ける錦山。

腰の回転や重心も拳に乗せて、左右のフックでラッシュをかけた。

 

「こん、のボケがァ!!」

 

しかし、やられてばかりの真島ではない。

反撃として放った右ストレートがクロスカウンターの要領で錦山の顔を直撃する。

 

「ぐぼっ!?」

「今度はこっちの番や!!」

 

宣言通り、真島の追撃が錦山を襲う。

先のストレートで怯む錦山を左のフックで追撃し、裏拳のジャブ、エルボー、回し蹴りと技を連携させていく。

 

「シッ、フッ、セッ、テリャ!」

 

フックとストレートでダメージを与え、アッパーで顎をカチ上げた後にハンマーナックルを打ち下ろす。

 

「ぐ、っぁ……!」

「ハァッ!」

 

たたらを踏む錦山に対し真島は地面を蹴って跳び上がると、回転を加えた後ろ蹴りを放った。

ローリングソバットと呼ばれるそのプロレス技の一種は本来であれば隙が大きく当てられる筈もない。

しかし、相手の動きが止まっているのであればその限りでは無い。

 

「ガハッ……!」

 

横凪ぎに蹴り倒される錦山。

決着を予感した真島だったが、その一瞬の油断が仇となった。

 

「オラッ!」

 

仰向けに倒れた体勢のまま真島の右足の脛に両足で前蹴りを放つ。

 

「グオッ!?」

 

弁慶の泣き所とも呼ばれる脛への強襲に大きく体勢が崩れる真島。

錦山はその決定的な隙を逃がさない。

 

「てぇりゃァ!」

 

仰向けの体勢から手を伸ばして真島の手を掴み取ると、そのまま転がるように身体を動かして巻き込んで転倒させる事で優位に立つ。

 

「ハァッ!」

「ぶぉっ!?」

 

手と一緒に絡め取った片足を持ち上げて無防備になった顔面に右ストレートを放ち、それに確かな手応えを感じた錦山はその体勢のままマウントポジションを取って追撃を仕掛けた。

 

「オラッ、オラッ、オラッ、オラッ、オラッ、オラァ!!」

 

腕を大きく振りかぶったパウンドの一撃を連続で振り下ろす。

錦山が全体重を乗せたその打撃は真島の顔面を打ち、その衝撃は頭蓋骨にまで響いていた。

 

「こ、の……ボケェ!」

 

真島は自身の上に覆い被さる錦山を靴底で押し出すように蹴り飛ばして無理やり引き剥がすと、すぐさま立ち上がろうとする。しかし。

 

「なっ、! ?」

 

突如、真島の右足から力が抜けた。

真島が自身の右足に視線を向けると、右足の裾から赤い液体が染み出すように流れ出ていた。

 

(なんや、これは……!?)

 

その驚愕と困惑は一瞬だが真島の動きを確実に止めていた。

そして、その一瞬は。

この勝負の明暗を分かつことになる。

 

「ハァッ!」

 

立てずにいる真島に対して、錦山は上から振り下ろすような一撃を叩き込む。

 

「ぶげっ!?」

 

顔面から地面に叩き付けられる真島。

錦山はそんな真島の頭を掴んで無理やり持ち上げると、追撃の左アッパーで身体を無理やり起こすようにカチ上げる。

 

「うげぁっ!?」

 

そして。

 

「シャアアアアアアッ!!」

 

右足で地面を踏み、全力の跳躍を見せた錦山の飛び膝蹴りが真島の顔面を打ち抜いた。

これ以上ないほどの手応えと感触で、錦山は闘いの終わりを悟る。

 

「ぐへぁ……!が、……ぁ…………」

 

渾身の膝蹴りを受けた真島にもう、立てる余力は残っていなかった。

 

「はぁ……はぁ……俺の……勝ちだ…………!!」

 

錦山はここに至るまで、真島の右足を二度に渡って攻撃していた。

一度目はドスを躱しながらのカーフ───右の脹脛をねらった下段のローキック。二度目は仰向けの姿勢から放った右足の脛への前蹴り。

そして右足は、先の闘いで真島が負傷していた場所でもあった。

 

(ドスの刺さっていた右足……やはり、流石に完治はしていなかったな)

 

錦山はそこを重点的に攻めてダメージを与える事で右足を無力化するのを狙っていた。結果としてそれは真島に致命的な隙を作り出し、勝機を齎したのだ。

 

「はぁ……はぁ……なんや……思ったより、ゴツいやないか…………」

 

そう言って錦山を賞賛する真島だが、錦山は内心でそれを否定していた。

 

(右足の怪我を狙ったのもそうだが、真島は桐生とやり合った後で消耗していた。それに……)

 

決定的だったのは遥が援護として投げ落とした消火器である。

それにより真島は激しい頭痛と脳震盪、更には三半規管の低下から明らかにパフォーマンスを落としており、錦山の攻撃が通りやすくなっていたのだ。

 

「これで一勝一敗……一分けだ。次やる時はキッチリ決着付けさせてもらう」

 

勝つ為には手段を選ばない錦山だが、これで完勝出来たと思い上がる程自惚れてはいなかった。

彼は未だ道の途中。一つの峠を越えたに過ぎないのだから。

 

「せいぜいそん時を楽しみにしておくんだな…………"真島の兄さん"」

「!!」

 

桐生と並ぶ生ける伝説。嶋野の狂犬。真島吾朗。

その呼び方は錦山にとって、そんな彼に対する敬意の表れでもあった。

そして。

 

「へへっ…、上等や、ないか……"錦チャン"……─────」

 

その呼び方もまた真島にとって、目の前の男を認めた証だった。

元堂島組若衆。錦山彰。

龍門を目指し天高く昇らんとする、一人の男を。

 

 

 

 

 

 





へっ、へへっ……やってくれるやないか錦山…………

いや、錦チャン……

コイツならホンマに龍門を……桐生チャンを越える事が、できるかもしれへんな…………


せやけど、ワシは諦めてへんで必ず錦チャンをぶっ倒して……真島が如くの連載を始めたるんや…………!


そんなわけで、お前ら……この後の錦が如くにも、注目やで……


ほな、また…………─────
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