タイトルの元ネタはNieR: Automataのステージ&BGM名です。
フェンス扉をくぐった四人を出迎えたのはレーザーによる射撃だった。
「……早速かよ」
オルニス程の威力は無いにしても、おもてなしと殺し合いの区別が出来ていない事には変わりない敵に恵里が悪態をつく。
「こんなところにも機械生命体が……こんなフェンス一つで大丈夫なんですか?」
「ちょっとした結界のアーティファクトなんです。余程の事が無い限り破られません。まあ、今回は例外ですが」
傍らで結界魔法を展開する鈴が尤もな疑問を投げかけると、ドライツェントが答えた。どうやらただの金属のしきりではなく、結界魔法が付与されたアーティファクトであるらしい。しかし鈴が少し解析したところ、この結界は中からの脱走を防ぐというより、外からの侵入を防ぐ作りであるように見えた。
とはいえ鈴とてまだトータスに来てから日が浅い。自分の分析結果をあまり信用していない鈴はドライツェントに正解を聞く。リリアーナから、「気になる事はドライツェントに聞いてください」と言われていたからだ。
鈴の疑問にドライツェントは頷く。
「正解です。この先に有るものは露呈すれば王都がオルニス襲撃を超えるパニックに陥ります。故に外部からの侵入を防ぎ、一般人に対して隠蔽する事を第一に作られました。今まではそれでよかったのですが……どうやらそうではなくなる日も近いようです」
どうやらこの先にあるのは国家の平穏を一瞬でぶち壊しにするものであるらしい。今まではアーティファクトなどを使って抑え込んでいたが、それも限界に近付いているようだ。仮にオルニスのような機械生命体があふれ出せば、異世界から召喚された〝神の使徒〟以外対処できないだろう。
「あー、なんかシリアスな話をしてるとこ悪いんだけどさあ、なんか団体さんが来たみたいだよ」
レーザー攻撃の主をファイで撃墜した恵里が敵の来訪を告げる。それから間もなく恵里達は接敵し、来客を出迎えるホスト達の正体が明らかとなった。三角形の頭部を持ち、三本の脚を持つ『ハイドロリック』、軽火砲を持つ小型の機械『セントリー』、機翼による短時間の飛行とカメラ部分からの光線照射が可能な『空中監視装置』。
どれも問題なく相手が出来る部類だ。
「ここは私がやります。念の為結界を張り、周囲を警戒しておいてください」
ドライツェントが槍を構え、前衛に出る。マクリナも前衛職なのだが、ドライツェントが下がらせた。
「足掻いて見せなさい、ゴミクズが」
ドライツェントはそう言って攻撃を開始する。横薙ぎの一閃から始まり刺突攻撃に派生、更に槍を振り下ろして機械を叩き潰し、横方向の回転攻撃へ移行した後、下から巻き上げるような縦回転斬りで浮き上がり、さらに落下の勢いを利用して地面に槍を突き刺し、電流と衝撃波を放つ。締めに槍を蹴り上げて残心した。
「おー、強い」
一方、恵里達はドライツェントの闘いを見て、その強さに感嘆の息を漏らす。自分達が束になっても勝てないであろう闘いを見せられた三人は、敵に回られたら脅威だと思うと同時に「もうアイツ一人でいいんじゃないかな」とどこか投げやりな気持ちになっていた。
一応、ドライツェントが昇格者であるとバレると面倒なので本来の力は出していないのだが、それでも他の三人とは一線を画す強さであるのは間違いない。自分達の仕事は『戦闘の補助』ではなく『監視』であることを再認識した恵里達だった。
しかし、天は恵里達を見放す事はしなかった。
「おぉ?」
恵里が突然襲ってきた横薙ぎの一閃に反応し、跳躍して避ける。攻撃が飛んできた方向にファイで射撃を飛ばすが、相手の姿は見えない。
「何かいるね……」
恵里は『霊視』を発動し、周囲を視る。すると、今度は攻撃の主が判明した。
「敵は槍持った人型。単騎だ」
「エクスカベーターですか……どうにか私でも相手取れそうで何よりです」
「じゃあ任せていいですかね、シズシズのストーカーさん」
「一人じゃキツいですよ、使徒様方じゃないんですから。手伝ってください。あと私はストーカーではありません」
槍を持った人型の機械生命体『エクスカベーター』は一瞬姿を消したと思うと、頭上から鈴に強襲してくる。鈴はチェーンソーで防ぎ、そのまま応戦する。チェーンソーによる縦回転斬りを加えると、エクスカベーターは槍で仕留めようとする。しかし、マクリナの剣と恵里の闇の楔によって妨害され、体勢を崩す。鈴が一気にチェーンソーでトドメを刺そうとするが、エクスカベーターの姿は消えてしまった。
「透明化!?」
「いや、『霊視』で見てるけど姿が無いね。逃げたみたいだ」
「アレも危険な敵ですから仕留めておきたかったのでありますが……仕方ありませんね」
エクスカベーターはオルニスやベヒモス程ではないが危険な機械生命体として認知されている。駆け出しの冒険者がこの敵にやられてしまう事が多いのだ。一般人はおろか、訓練を受けた騎士でさえも油断をすればやられてしまう。
「ちゃんと全員、生き残っていますね」
雑魚敵を殲滅し終えたドライツェントが戻って来る。三人とも性格はともかく実力はある事に安心していた。
「お掃除ありがとう。シスターさん」
「どういたしまして。欲を言えば私もエクスカベーターを相手取りたかったですが、仕方ありません。とりあえず雑魚は殲滅しましたから、先を急ぎましょう」
ドライツェントがそう言った直後、彼女の背後から空中監視装置によるレーザーが飛んでくる。微妙に白けた空気になってしまった。
「で、雑魚が何だって?」
「殲滅しました……だいたいは」
その後も監視装置やセントリー、ハイドロリックなどの襲撃を受けながら進む四人。雑魚狩りはドライツェント以外の三人が担当した。戦闘力的に妥当な判断である。その代わり、厄介な敵が出てきたらドライツェントに丸投げするつもりだ。
「むっ」
前方から多数の矢が飛来し、鈴が結界を張る。オルニス相手ではないので短縮した詠唱で十分だった。マクリナは飛んできた矢に見覚えがあったようで声を発する。
「エクスプローラーですか……」
弓を装備した人型の機械生命体『エクスプローラー』。エクスカベーターと同等に危険視されている敵だ。恵里達が思っている以上に状況は逼迫しているのかもしれない。
「今度は何処にいるのかなー?」
恵里が『霊視』を発動し、襲撃者を探す。しかし恵里が見つける前に、更なる射撃が飛来する。
「うわ、地味に範囲攻撃だよ」
攻撃は爆発矢の類であり、少し躱した程度では被弾してしまう。そして、その攻撃の直後恵里が敵影を発見した。
「敵発見。9時の方向、距離20」
「あ、本当ですね」
20は20kmではなく、約20mである。常識的に考えれば分かるとは思うが。そして、ドライツェントもその方向を見て敵に気付く。相変わらず四人には矢が飛んでくるが、鈴が結界を張るまでもなくドライツェントの槍によって叩き落された。
「アレは私がやります」
「「「お願いしゃーす」」」
適材適所。強い者が強い敵を倒してくれるなら御の字である。恵里、鈴、マクリナの三人は大人しく後方に下がった。
「さて……」
ドライツェントはいまだに矢を撃ち続けているエクスプローラーに狙いを定め、雷を纏わせた槍を投擲する。魔法によって電磁加速された槍はエクスプローラーの反応速度を上回り、その威力を遺憾なく発揮した。
「———!」
攻撃によってよろめくエクスプローラーに更なる衝撃が襲い掛かる。一瞬で移動したドライツェントが槍でエクスプローラーを貫き、槍がそのまま地面へと突き刺さる。
「痛いのでしょう? もっと足掻きなさい、もっと生を求めなさい、さぁさぁさぁ!」
痛みに飢えた修道女はサディスティックな表情を浮かべ、槍を引き抜く。そして、エクスプローラーが矢を放つ前に槍を突き刺し、柄の中点の接続部分を外して双剣のような形にし、そして敵を引き裂くようにその刃を振るった。
しかしエクスプローラーもやられっぱなしではない。ゼロ距離からドライツェントに矢を連射し、彼女の攻撃から逃れようとする。
「っ!」
ドライツェントは一度後方に下がり、二本の刃で矢を弾いていくが、一本はドライツェントの右肩に刺さった。通常であれば痛みに呻くか戦闘不能になってもおかしくない傷。しかしドライツェントは笑っていた。
「久方振りの痛み……! 最高です。敵は逃げたようですが、まあいいでしょう。どうせ向こうからやって来る」
ドライツェントは矢を引き抜き、昇格者に備わった『自動修復』の技能で傷を治す。一応、既知の回復魔法で治したように偽装しているので仮に目撃者がいたとして問題はない。こうしてドライツェント個人としては満足がいく結果で第二戦は終了した。
「ドライツェントさん何で笑ってるんだろーねー」
「「ねー」」
「怖いねー」
「「ねー」」
エクスプローラーの襲撃の後、神山の機密エリアの探索を続ける四人。しかし、ドライツェント以外の三人は彼女を指差してヒソヒソと話している。理由は彼女が帰って来た時の様子であった。
ドライツェントがエクスプローラーとの戦闘を楽しんでいる間、恵里達は襲い掛かって来る雑魚を片付けていたのだが、戻ってきたドライツェントの表情が問題だったのである。笑顔だったのだ。それもどこか快楽に酔い痴れるタイプの恍惚とした笑みだ。
ドライツェントとしては表情は隠しているつもりだったのだが、長い間感じる事の出来なかった『痛み』という快楽は彼女の予想以上だったようである。
「いつになったら私は痛みを享受し……また他者に痛みを施すことができるのでしょう」
これが王城で監視任務に就いていた時の彼女の内心だ。常人から見れば頭がおかしい、実に。
一応こうなった理由は存在するのだが、それを語るのは別の機会で良いだろう。
「そうであったとして、あなた方に何か不利益でも? というか、他人の事を異常者か何かのように話していますが、あなた方も大概ですよ」
「「「え? 何のこと?」」」
「…………」
ドライツェントの目が急速に死んだ。元々平常時は無表情な
「鈴は至って健全なインドア派の女の子だよ」
「至って健全な女の子は笑顔でチェーンソー振り回したりしないよ。それを言うなら僕は至って健全な図書委員の僕っ娘だ」
「至って健全な図書委員は人の醜態を見て嘲笑ったりしないよ」
「お二人とも語るに落ちてますねえ。その点、私は完璧です。至って健全な雫お姉様の守護者です」
「「寝言は永眠してから言え、ストーカー」」
「「「あ“ァ!?」」」
ドライツェントはもう放っておくことにした。異常者というのは得てして自分が健常者だと思い込んでいるのである。こうなったら一刻も早く任務を終わらせて、この異常者どもから解放されるのが吉だと、自分の事は棚に上げて考えるのだった。
女三人寄れば姦しいと言うが、ドライツェントからすれば喧しい。無自覚な変人達の談笑は主に『自分は如何に常識人か』を言い争っている物だ。正直聞いていて面白い物でもないため、途中からは聞き流している。だが変人同士気が合うのか会話が終わる気配がない。
おまけに、
「少しは私を楽しませなさいゴミクズが。わざわざ私の邪魔をしに来たくせして碌な痛みも味わえない……とはいえ、目の前の全てを粉々に潰すというのも一興ですが」
敵が弱すぎて彼女の求める痛みが味わえないのである。襲い掛かるは機械ども、しかしその実軟弱者。後ろについてくるは名状しがたき変人ども。そりゃ独り言くらい飛び出るのが普通だ。しかし、それの内容故に後ろの三人の会話が続くのだと本人は気が付かない。
そして、四人は目的地に辿り着く。そこは神山の途中に開いていた穴から入った場所だ。だが、そこに広がる光景は異様の一言である。目の前に広がるのはトータスに存在する普遍的な街の風景だ。しかし、それら全てが白い物質で出来ていた。談笑していた三人も、その非現実的な光景を前にして少し呆けてしまった。
「この街は突如として現れ、そして王都の地下で成長を続けています」
「ふわっとしてんなあ……というか成長? てことは生きてるの? この街」
「時間経過で面積を拡大しているのは確かです」
この街を構成する。白い物質は、地球でいうところのケイ素、炭素と同一の性質を持つ物質を含む結晶体らしい。しかしデータ不足のため詳細は不明とのことだ。
実はドライツェントの情報には三人に言っていない事がある。この街の製作者自体は判明しており、その正体は目下昇格者達を悩ませている『花』だ。しかし、どのような目的を以てこのような建造物を創っているのかは不明だ。
「なんか……綺麗だけど不気味だね。生気を感じないというか」
鈴が素直な感想を零す。『色』という概念がほぼ排斥され、どこまでも白が続く街はあまりに非現実的で、あまりに非生命的だ。しかも、この街に存在する物は立方体のような構造物と人工物が殆どだ。
四人は暫く進む。今まで頻繁に襲ってきた敵達が街に入ってから一切襲ってこない事も不気味だったが、こちらからはどうする事も出来ないため黙って進むしかない。しかし、四人を待ち受けていたのは更に異様な光景だった。
「え……? 何これ……女の人?」
この街には人間や亜人の女性を象った精巧な人形が点在していた。服装や状態は様々で、地面に横たわっている者、壁にもたれかかっている者、佇んでいる者、寄り添っている者など多岐にわたる。
「ドライツェントさん、何これ」
「女性を象った人形です。内部は精密な機械のようでした。詳細はデータ不足故、不明です」
「そればっか」
「一応持ち去ったり破壊するなどは可能でしたが、暫く経ったら元に戻っていました」
「えぇ……」
一気に不気味さが増した。さながら新手の都市伝説といったところか。ドライツェントによれば、この白い街は王都の地下全体に拡がっているという。生気の感じないこの街が、まるで粘菌や植物のような生物的な挙動をする点も、言いようのない気味悪さを感じる。
人形たちの目は開いており、眠っているとも起きているとも、生きているとも死んでいるともつかない。恵里が試しに目の前で手を振ってみるが、反応は無かった。
街を眺めながら街路を進む四人。地上にある王都とまるきり同じというわけではなく、所々違った意匠も見られる。さながら現代に残る中世風の街並みと言ったところか。地球の地名で言うならばガムラスタンあたりが近いだろう。
人形たちのいる区画を抜けると、少し開けた通路に出た。すると前後の通路が白い立方体で組みあがった壁に塞がれた。
「っ!」
警戒して戦闘態勢に入る四人。彼女らの予想は的中し、両サイドの建物の屋根から双子のハンター、エクスカベーターとエクスプローラーが飛び降りてきた。
「いいねえ、探す手間が省けたよ」
「その通りです。さあ、私に痛みを」
約一名、目的がすり替わっているが些細な問題だ。
エクスプローラーの射撃により開始された戦闘。しかし矢はドライツェントの槍に弾かれ、カウンターとばかりに鈴が放った攻撃結界『伽藍ノ堂』が命中する。エクスプローラーは負けじと矢を放つが、槍を地面に突き刺したドライツェントのポールダンスのような動きに躱され、逆に回転攻撃と派生した槍撃を喰らってしまう。
鈴とドライツェントが戦っている間、恵里とマクリナはエクスカベーターを相手にしていた。例の如くエクスカベーターは頭上から強襲してくるが、恵里はそれを回避し闇の楔『ディムマトリックス』を撃ち込む。そして楔を戦闘用スレーブユニット『カイ』が起爆する。
「ギャース!」
今の悲鳴はエクスカベーターではなく剣で攻撃していたマクリナの物だ。危うく爆発に巻き込まれそうになったらしい。
「使徒様! 流石に危ないであります!」
「ごめんごめん、事前に言っとくべきだったね。チッ」
「あれぇ? 今舌打ちが聞こえたような……」
エクスカベーターは槍を振り下ろし、直線上に衝撃波を放つ。恵里はそれを避けるとエクスカベーターは距離を詰めて恵里に連撃を加える。恵里は遠距離攻撃に特化しているため、近接戦闘はやや不利だ。しかし、恵里は使える身体が一人分ではないのである。
「行けゼータ」
エクスカベーターの前に飛び出したのは幽霊を憑りつかせて支配下に置いた異合解体ユニットのゼータだ。ゼータは備え付けられたチェーンソーでエクスカベーターの槍を受け止め、隙が生じる。そこに恵里が対象を拘束するトワイライトゾーン『デルタディセント』を放ち、エクスカベーターの動きを止める。
「爆発行くよー!」
更に恵里は3本のディムマトリックスを放ち、ファイから三角形の回転刃を放つ『スピニングダスク』を使用させる。トワイライトゾーンのディムマトリックスは起爆し、回転刃によるダメージも加算され、エクスカベーターは大ダメージを負った。
満身創痍の双子のハンターだったが、まだ闘いの決着はつかない。なんと二体の損傷が急速に回復したのだ。
「敵はヒーラー持ちか」
しかし、肝心のヒーラーの姿が見えない。ドライツェントが機械の目で、恵里が幽霊の目で探し、鈴とマクリナは二体の相手をする。マクリナは「私は一般人であります~」と泣き言を言っていたが、非常事態故仕方が無い。
すると二人同時に回復薬を見つけたらしく、ドライツェントは槍投げの構えを、恵里も『コラプス』を撃つ準備をする。そして二人のタイミングを合わせて攻撃が開始された。
まず、ドライツェントが投擲した槍が建物の壁を突き破り内部にいる敵を攻撃する。そして、恵里が放った強化トワイライトゾーンに敵は捕らわれ、ディムマトリックスの嵐に晒される。
「あっははははは!」
そして恵里の笑い声と共に大爆発を起こした。
「やりましたか?」
「やってないね。直前で逃げやがった」
そして恵里達が攻撃していた敵のヒーラーが現れる。それは中央の演算装置らしきものを大小様々な機械が放射状に取り囲む浮遊体であった。
WARNING 異重合端末
ドライツェントの視点で警告表示が鳴り響く。これまでとは一線を画す相手であることが判明した。浮遊体『異重合端末』は自身を中心として広がる環状レーザーを数回放って来る。
「おうおうおう!?」
四人はどうにかレーザーの隙間を見つけて回避する。異重合端末は二つの三角形のような形態となり、相互をレーザーで繋ぐ。更に回転しながら移動し、四人を轢き殺そうとしてくる。恵里は背面跳び、ドライツェントは跳躍、鈴は結界を張り、マクリナはその中に退避した。
そして、敵は異重合端末だけでなく双子のハンターも存在する。損傷を回復した二体は直ちに攻撃を開始した。エクスカベーターが槍の横薙ぎを加え、エクスプローラーが爆発矢を撃つ。そして、突如として二体の姿が消えた。
「逃げたので……?」
「いや、透明化してるだけだね」
見えない攻撃を必死で躱しながら鈴が現状分析をする。双子のハンターは透明化しており、こちらから姿を認識する事は出来ない。幸い、攻撃の直前の気配や恵里の『霊視』の派生技である視界共有の技能『
「遠藤君製造機かな?」
「本人が聞いたらブチ切れそう」
いずれにせよ、異重合端末を破壊しなければ状況の解決は見込めない。だが、逆に言えば異重合端末さえ破壊出来れば形勢は一気に有利になる。
四人は異重合端末への攻撃を開始する。しかし、異重合端末は更に形態を変化させ、レーザーを乱射してくる。
「ここは聖域なりて 神敵を通さず 〝聖絶〟!!」
この攻撃を躱すのは難易度が高いが、防ぐなら結界師の鈴にとっては容易い。恵里が異重合端末にディムマトリックスを放ち、レーザーを中断させる。そこへドライツェントは槍を回転させて下から斬り上げる。鈴はレーザーを防ぐ必要がなくなったため、双子のハンターの攻撃を跳躍して回避、結界で足場を作り一瞬乗ってからチェーンソーで上から異重合端末に強襲を仕掛ける。マクリナも三人に火力は劣るが剣による攻撃を加え続ける。
異重合端末は『瞬身』を使って逃げようとするが、そうは問屋が卸さない。仮に逃げられたとして、ドライツェントの槍投げが飛んでくるだけだが。
そこで『他存在透過』の制限時間が尽きたのか、双子のハンターの姿が現れる。ドライツェントの槍投げが異重合端末を貫き、恵里のコラプスが双子のハンターに降り注ぐ。しかし二体同時討伐とはいかなかったようで、エクスプローラーが矢を撃ってくる。しかし、攻撃を回避した鈴がチェーンソーでエクスプローラーを上下に両断し、勝負は終結した。
「今度こそ……終わりでありますか?」
「多分ね……『霊視』に引っかかってる様子も無いし」
フェンスを越えた時から始まった闘いがようやく終わった。異重合端末に双子のハンター、さらにセントリー、ハイドロリック、空中監視装置、そして闘いに巻き込む形で瞬殺してしまったが、端末によって強化されたそれらの強化体。おそらく間違いないだろうが、この端末がオルニス襲撃の黒幕であることを願いたい気分だ。まあ、後に端末の内在データ解析によりそれが正しかった事が判明したのだが。
四人は満足のいく戦果を持って王城に帰っていった。これ以上この街にとどまっても分かる事も無いので、妥当な判断であろう。他の物語宜しく、帰る行程は全カットである。
四人が帰ってから時間が流れた後、複製された街の人形たちに何かのデータが流れ込む。
「インシデントN2———ターミナル 補足」
「特A危険因子 昇格者のデータをインストール」
「作戦最終目標―――昇格者の殲滅」
「「「「『
人形たちに、生命が吹き込まれた瞬間だった。
はい、盛りだくさんです。とりあえずこれ以上長引かせるのもアレだったので、ここで完結させました。街や人形など伏線だらけですね。そして、ドライツェントの性格も顕になりました。パニグレユーザーの方々であれば何のキャラが元ネタかわかるかも?
備忘録
セントリー、ハイドロリック、空中監視装置:パニグレの雑魚敵。この中のセントリーは全方位射撃を持っているため、思わぬ反撃を喰らう事も。
エクスカベーター:パニグレの敵で『双子のハンター』の片割れ。通称「槍くん」。攻撃範囲が広いのと、頭上からの強襲技をもっているため、よそ見しているとぶっ叩かれる。
エクスプローラー:パニグレの敵で『双子のハンター』の片割れ。通称「矢ちゃん」。個人的にはエクスカベーターよりも脅威度が高い。矢を連射してくるのが厄介で、気付かない内に瀕死になっている事も。
異重合端末:パニグレの敵。本家では攻撃能力を持たず(精々ノックバック程度)、味方の機械体を透明化したり回復したりとサポートが主。しかし今作では攻撃能力が追加され、さらに厄介になった。
円頓:恵里の技能で、『霊視』による視界の解析をリアルタイムで共有できる。名前の元は天台宗の教義で「一切を欠くことなくたちどころに備えることができる」という意味。人気漫画に登場する技名の一部にも使われたことがあるので知っている人も多いかもしれない。
デルタディセント、スピニングダスク、ディムマトリックス、コラプス:パニグレの21号の技。詳細はググってください。一応、過去に登場した際の名前は修正してある。
ドライツェント:他人に痛みを与える事と、自分が痛みを感じる事が好き
オーダー:本作オリジナルの敵。
オルクスの隠れ家の作りかけのメイドロボの目が瞬く。まるで何かを伝えようとするかのように
-
修理して連れていく
-
見なかったことにして放置する