──天ノ川学園校内 放課後
……全ての決着の、いくらか後のことだったかな。
その日、オレは雑談の長い先生に捕まってしまって、いつもより少しだけ仮面ライダー部へ向かう足を早くしていたと思う。
その道中になんとなく気になって、ふと中庭に視線をやったんだ。するとずいぶんと珍しい光景が見れた。
如月が、立ち止まってぼーっと空を見上げてたんだ。……変だろ?あのいつも鬱陶しいくらい元気に満ちてて、落ち込むことは多少あっても芒洋とした様子なんてそうそう見れないアイツがだ。
それがどうしても気になってな。声をかけたんだ。おい、ぼーっと突っ立ってどうしたって。だがアイツはこっちに目も向けずに聞き返してきた。
いつもは話をしてるときに人に目を向けないなんてありえないから、結構驚いたのを覚えてる。
──なあ、宇宙鉄人、って覚えてるか?
──そりゃ覚えてるが、どうした?
──…………XVIIとはダチになれた。アイツは機械だけど。なでしこもそうだ。なでしこだって同じ人間じゃなかったけど仲良くなれた。理事長なんかホロスコープスの親玉で、たくさんの生徒を苦しめて、お前を殺されだってした。それでも最後はきっとダチになれてたと思う。
──……あのふたりは、どうだったんだろうな。
──!おい如月それは
──いやわかってる!
──わかってるんだ、賢吾。
──……別に後悔してるわけじゃない。俺はやらなきゃいけない、やるべきだと思って行動してたし、お互い真剣で、必死で、ちゃんと向き合った。
──……でもな。
──あいつらはあの時お互いを確かに想いあってた。
──それが……ちょっとだけ惜しくなっただけなんだ。
──お前は優しすぎるよ。如月。
──……どうかな。やっぱり後悔してるのかも。
──……部活行こうぜ!もう結構待たせちまってるだろ!今日は祝勝会だからな、さっさと行かないと怒られる!行くぞ賢吾!
──あっおい待て如月!
……その後は特に会話もなくそのまま部活に行って、みんなと集まって、ホロスコープスだとかスイッチだとかが解決した祝いをした。俺もアイツも笑顔で、みんなも笑顔で、とても楽しい時間だった。全てが終わって、穏やかな日常が始まるんだと思うと肩の力が随分と抜けた。
……あれ以降如月が空を仰いで凪いだ目をするところは見ていないし、そんな様子もない。
今こうして話すまでは俺だって忘れてたし、もう思い出すこともないだろうな。
……涙もろいアイツの目には涙は無かったし、ならいいんだと思う。
それだけだ。