「紹介が遅れたね。ぼくの名前は
コードネームみたいなものだって認識してくれ。
君はあくまで会社の広告塔の予定だから、本名のままで仕事してもらうよ」
そんなことを言われた私は今、水徳商店街の寄合所のお手伝いをしている。
掃除やら、段ボールを運んだり、お使いを頼まれたり・・・。
羅輯は私を仕事に行かせる前にこう言っていた。
「AUGUSTUS社は一種の人材派遣会社さ。
派遣先はボランティア団体だったり地域の商店街だったり・・・。
とにかく、地元と結びついた企業だってこと。
・・・まあ、今、一部から評判がすごく悪くなってるんだけどね」
彼の言ったことを検討すると、私を雇用してイメージアップを図っているようだった。
しかし、今のところ会社の評判の悪さなど感じてなどいなかった。
商店街の人たちは私に親切にしてくれるし、わからないことも教えてくれる。
もしかすると、私を働かせるために適当言ったのではなかろうか?
そんなことを思いつつも、仕事の手は休めなかった。
なんやかんやで数時間が経っただろうか?
だんだんと下校する生徒で増えてきたような気がする。
ブラウン色の制服はずいぶんと品がよく見えた。
さぞかし学力の高い学校に通っていることであろう。
私も転生前の知識を活用すれば、そのような学校には通える。
・・・だが、それは転生後も台湾であることが前提となる。
そんなことを思いつつ仕事をしていると、声をかけられた。
「・・・うん?ねえ、君?アウアウの子?」
私に声をかけた少女は白い制服を着ていた。
おそらく、ブラウン色の制服の生徒たちとは別の学校の生徒だろう。
「アウアウ・・・?いえ、私はAUGUSTUSから・・・」
「なんだ、やっぱりアウアウじゃん!バッジ付けてるし」
私はハッとした。
目の前の少女はAUGUSTUS社のことをそう呼んでいるだけだ。
ちなみにバッジは羅輯に支給されたものだ。
SPQR、会社のスローガンを短縮した金色のバッジ。
「・・・ええ、まだ新入社員ですけど」
「へえ~、まだ新人さんなんだ!
あーしは木崎衣美里っていうんだ!」
「木崎衣美里さんですね。
初めまして。私は還願といいます」
「ほぁんゆぇん・・・カワイイ名前だね!」
「・・・ありがとうございます」
ずいぶんずけずけと、しかし気分は悪くならない。
変わった少女だ。私はそう思った。
「ホァンユェン君少し借りますねー!」
「あいよー!」
それから私は寄合所の一室に連れて行かれた。
そこはずいぶんと少女趣味にデコレートされていた。
彼女は私を座らせて、こう訊いてきた。
「ねえねえ、ホァンユェン君ってどんなすごい力を持ってるの?」
「・・・えっ?」