みんなも賭け事は生活を圧迫しない範囲で。
ちなみに私のポーカーの知識はマリオのミニゲームにあったルイージポーカー程度です。
挿絵はこみゅきち様に描いていただきました!
https://twitter.com/comyu_game
浮遊城旅館の一角、とある2人がテーブルを挟み向かい合っている。
1人はカンタベリー王国のガーディアンである女騎士。もう1人は最近この浮遊城へとやって来たギャンブル狂の退魔師のミヤ、双方の手にあるのはトランプ5枚。そしてテーブルにはそれなりの枚数の金貨が置かれていた。
「コールです、騎士様は如何なさいます?」
ミヤの問いかけに対し女騎士は首を横に振る。
「そうですか、では私もここら辺で勝負といきましょう!」
双方はカードを見せ合う。
「騎士様がツーペア、私はスリーカード…どうやら私の勝ちですね!」
直後に女騎士はテーブルに突っ伏してしまう。ミヤはそんな様子を見ながらテーブルに置かれた金貨を自分の提灯袋へと入れていく。
「良い勝負でした、また機会があればやりましょう♪」
久々の大勝ちで上機嫌になったミヤは笑顔で言う。
「ねー何してるの?」
そんな鉄火場に合わない可愛らしい声が響く。
サラサラの金髪にキラキラと輝く碧眼、そして頭にはティアラが1つ。
声の主はこの浮遊城の主人である小さなお姫様であった。
「あら姫さまごきげんよう、今のはギャンブ…ではなくトランプでゲームをしてました」
「でもゲームなのに倒れちゃってるよ?」
ちび姫は今だテーブルに突っ伏している女騎士を指さす。
「ああそれは遊び疲れて寝ているだけですからお気になさらず」
「そうなの?」
「そうです」
「「…」」
しばらくの沈黙、ちび姫が言う。
「私もトランプで遊びたいな…」
「なら私と遊びませんか?丁度暇が出来たのでどうでしょう?」
「ホント!?じゃあ2人がやってたので遊びたい!」
「えっ?ポーカーをですか?」
ちび姫の要望に少しだけ困惑するミヤ、するとさっきまでテーブルに突っ伏していた女騎士が起き上がりミヤの腕を掴む。
「心配しなくても大丈夫ですよ、子供相手に賭け事をしようだなんて考えてませんから、これからやるのはただの遊びです、それに…」
ミヤはちび姫を見る。
「ねーねー、どうやって遊ぶの?」
「姫さまもやる気みたいですし止めるのは無粋じゃないですか?」
楽しそうにしているちび姫の姿を見て、女騎士も仕方ないとため息1つをついた後、ちび姫にルールの説明をする。
「えっと…同じ数字かマークを揃えればいいの?」
「もっと複雑な役もありますがそれは中々出ないいのでそんな感じで大丈夫ですよ」
女騎士は頷き、ミヤは少し補足する。
「ものは試し、とりあえずやってみましょう」
「うん!」
ミヤvsちび姫
こうして普段のミヤとしては大変珍しい純粋な遊びとしてのポーカーが始まった。
女騎士がディーラー役となり、ミヤとちび姫にカードが5枚ずつ配られる
(ふむ…手はワンペアですか、普段の私ならここでスリーカード、フルハウスと狙いますが姫さまが相手ですしこのままでいきましょうか)
ミヤは手札を確認後、チラリとちび姫の様子を見る。
純粋なちび姫はポーカーフェイスが出来てなく、何かしらの役が出来ているのか誰からも分かるほどの笑顔であった。
「私はこのままで勝負します、姫さまはどうします?」
「私もこのままで!」
「そうですか、ではお互いのカードを見せ合いましょう」
互いのカードを見せ合う。
ミヤはエース2枚のワンペア、対するちび姫は…
「えっ!?フォ、フォーカード!?」
ちび姫が開示した手札はキング4枚のフォーカードであった。
「やったぁ!私の勝ち!」
勝負に勝ったちび姫は嬉しそうにしている。
「さ、流石ですね姫さま、ではもう一戦しましょうか」
開幕からの強役に驚きつつも再戦をする。
第二回戦
ミヤのストレートに対し、ちび姫はフルハウスとこれまた強役であった。
「やったぁ!また勝った!」
喜ぶちび姫をよそにミヤは女騎士に視線を向ける。
ミヤの視線に気づいた女騎士はイカサマはしていないと否定するようにブンブンと首を横に振る。
(騎士様の様子からすると嘘はついてませんね、実は姫さまがイカサマを…は流石にないですか)
ミヤはビギナーズラックと判断してポーカーを続ける。
-10分後-
「ミヤお姉ちゃんまだー?」
「まっ…待って下さいもう少しだけ考えさせて下さい」
ミヤはあれから何度か戦うも、見事に全戦全敗となっていた。
遊びとはいえ負けがこむと、生粋のギャンブラーであるミヤのプライドはボロボロだった。
(落ち着くのです私、このくらいのピンチはいくらでも乗り越えて来ました…次は勝てます、絶対勝てます!)
などと考えているがミヤは現在ノーペアである。
「私は…全部交換します!…騎士様!」
すごい迫力でカードを女騎士から受け取るミヤ、恐る恐る手札を確認する。
(♡の7がひい…ふう…みい…よう…来ました来ましたフォーカードです!これなら勝てます!)
「私は以上となります、姫さまはどうなさいます?」
「うーんと…私も揃ってないから全部交換する!」
ちび姫も女騎士から5枚トランプを受け取る。
「あれ?さっきと同じで揃ってない…」
ちび姫はポツリと呟く。
(こ、これはもしかして本当に勝ちましたか?)
ちび姫のリアクションに安堵するミヤ。
「ではお互いのカードを見せ合いましょうか」
ミヤの堂々と手札を開示する、役はフォーカードである。
(さて…姫さまの手札は)
ちび姫の手札は
♢の10、J、Q、K、Aであった。
「ロ、ロイヤルストレートフラッシュ!」
ちび姫が出したのはまさかの最強役である。
「えっ?どうしたの、ミヤお姉ちゃん」
突然声を上げたミヤに驚くちび姫。
「し、失礼しました、えっとですね姫さま、これはロイヤルストレートフラッシュといいましてポーカーでは1番強い役なんです」
「そうなの!?同じ数字が揃ってないのに?」
「ええ、そうなんです同じ数字が揃ってなくても同じマークだったり数字が順番になってても役になります、これはその中でも一番出すのが難しく、そして1番強い役なんです」
「えーと、んーと」
ルールの一部を失念していた事と、ミヤの説明についていけないのかちび姫は考え始める。
「つまりは姫さまの勝ちです…参りました」
「やったぁ!また勝ったぁ!」
大はしゃぎのちび姫。
「でもさっきので良かったならカード交換しなくても良かったんだね!」
ちび姫のこの言葉にミヤも女騎士も固まる
「姫さま、それはどういう?」
「えっとね、最初のカードはハートマークだったんだけど交換した時と数字は同じだったからしなくても勝てたんだねーって」
ちび姫の話を要約すれば、始めの手配と交換したカードの両方がロイヤルストレートフラッシュだったという。
そんなとんでもない事を無邪気な笑顔で言うちび姫、これにはミヤも女騎士も驚きである。
(こ…これが王族、生まれながらの強者にして勝者という事ですか、もし賭けなんかしていたら…)
そう思いながらミヤはちび姫の底の知れない豪運に恐怖を覚えテーブルに突っ伏した。
「あれ?ミヤお姉ちゃん、寝ちゃったの?」
突然倒れたミヤを心配そうに見つめるちび姫。
そしてその光景を見て苦笑いを浮かべる女騎士であった…