真剣で旭に恋しなさい!〜月鏡、朝日に照らされて〜   作:夢迷月

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旭さん回。

前回は特に気合入れて書いてたので、たくさんしおりが付いてて嬉しかったです。ありがとうございます。感想も非常に励みになっております。


第五話

 決戦から明けて月曜日。1-Cの教室前で、黛由紀江は立ち尽くしていた。

「……そろ〜り」

「ま、校門からここまでぶっちゃけ何もないですよね。オラ知ってた」

 携帯ストラップの松風にセルフツッコミさせながら、由紀江は恐る恐る教室に入る。

 すると、ドアを開けた瞬間クラスメイトたちが由紀江の元にわっと群がってきた。

「黛さん! おとといの決闘凄かったよ!」

「おーい皆! 一年の希望の星が来たぞー!」

「あ! 黛さん! 倒れてたけど大丈夫だった?」

 人の洪水に晒されて、由紀江はパニックになる。

「あわ、あわわわわわ」

「おいおいこりゃやべーぜ、まゆっち。モテ期……ってやつかな」

「あはは。何それ、腹話術?」

「どわああああまゆっちオラを助けてえええ」

 クラスメイトが手に乗せた松風をひょいっと返してもらってから、由紀江はこほんと一つ咳払いをした。

(力を抜くべき時は抜く、入れるべき時は入れる、ですよね)

 そして巴の教えを思い出し、自然な、ごく自然な微笑みを作った。

「はい。私はもう、大丈夫です。これからまたよろしくお願いします、皆さん」

「……」

 クラスメイトたちは、その笑顔に見惚れていた。一年生を中心に黛由紀江ファンクラブができた瞬間だった。

「わわわ私は何かしてしまったんでしょうか」

「大丈夫だまゆっち! オラ分かんないけど多分大丈夫だ!」

 黙り込んだ教室の中心で本人はパニックに戻っていたが。

 そして級友に囲まれる由紀江の姿を見る怪しい影が一つ。

 1-S所属、入学当初から一年の統一を目指していた武蔵小杉である。

「ぬぬぬ……黛さん、決闘断ったから弱いと思ってたのに……みんな一年最強は黛さんって言ってるわ……このプッレーミアムな私がなんとかしなくちゃ」

 一つ断言できることがあるとすれば、彼女の悪巧みが実をつけることは今後なかった。

 ともかく黛由紀江は決闘を経て、更なる気の運用と数名の連絡先、特に朋友となる大和田伊予のものを手に入れることが出来た。

 こちらの顛末は、朗らかだった。

 ……こちらのものは。

 

 

 

 

 3-S。

 こちらのクラスはいつも通りだった。もともと受験期の特進クラスである。せいぜい土曜日に殺気を撒き散らしていた巴に対し授業に集中出来なかったからとちくちくなじるだけで、概ね変わらない空間だった。

 ちなみに、三年生のSクラスにはあまり選民意識はない。あるにはあるが、三大名家の不死川がいる二年生のような露骨なものは存在していない。

 なぜなら、川神百代がいるからである。見下した発言でもしようものなら、あの剛拳が飛んでくることは容易に想像出来る。彼らも馬鹿ではなかった。

 加えて言えば、学年一位の最上旭の発言については皆従うのに誰も印象に残らず、学年三位の京極彦一が人間をみな平等に観察対象として見ていたから、というのもある。

 そういう意味では、ふとした時に人を見下した目になる学年二位の相馬巴が一番選民意識を持っていたといえる。そしてそんな彼も、表立って言葉にするようなことはしない。これらが3-Sの選民意識を和らげていた要素だった。

 なにはともあれ、巴はほっとしていた。彼には最上旭さえ居ればいいとはいえ、級友に嫌われるのをなんとも思わないほど冷めてもいなかった。

 そんな彼が新学年開始から一ヶ月経ち、座り慣れてきた椅子に着いて手提げから官能小説を取り出した時。

 ガラッと教室の扉が開く。巴は落ち着いてバッグに書籍を入れ直した。

「おい相馬! いるか!」

 そこに居たのは、意味ありげなニヤニヤした笑みを浮かべた武神川神百代だった。巴は頭を抱えた。

「……んだよ、川神さん」

「なーんでそんなに不機嫌なんだよー。いたいけな一年生まんまとたぶらかしたくせにー」

 軽快かつ俊敏なフットワークで、百代は巴に擦り寄る。肩を叩こうとしてきた手を巴はぺしっと打ち払った。連発してきても全て叩き落とした。百代は舌打ちを一つする。巴も舌打ちを返した。

 だが、今日の武神は一味違っていた。標的を京極彦一に変えて話を続ける。

「なー京極、聞いてくれよ。相馬のやつさあ、決闘してた一年生に苗字じゃなくて名前呼んでくれって言われてるのにあれから一回も会ってないんだってさ」

「ほう。見応えある決闘だと思っていたが相馬もなかなか手が早い。最上くんはいいのか?」

「別に。私たち付き合ってるわけでもないのよ」

「あははははは! 言われてるぞ相馬!」

「なあこれキレていいよな?」

 巴と百代の関係は、基本的に百代が喧嘩をふっかけ、イライラを募らせた巴が発散手段としてからかうというものである。だが、百代の唯我独尊な思考回路では巴にからかわれたという事実だけが残るので、今回由紀江の名前をまだ呼んでいないという格好のネタを手に入れた武神はここぞとばかりに反撃していた。

「それにしても相馬か。相馬かー」

「一体何が言いたいのかな川神さん」

「いーや別に。ただお前には……おっ? おっ?」

「真剣で出てけ!」

 巴は百代の背中を押して教室の外に出て、後ろ手でドアを閉める。朝自習していたクラスメイトの、あんまり騒ぐなという視線が巴の裃に突き刺さっていた。

「ちぇー。しばらくからかってやろうと思ってたのに」

 頭の後ろで手を組んで唇を尖らせる百代に、手を合わせて拝むようにして巴は頼み込んだ。

「ほんと頼む。からかうのは良いから旭さんの前だけではやめてくれ。あの一件で土曜からずっと不機嫌なんだ」

「へぇー。ふーん」

 ニヤニヤしていた。鬼だった。いや武神だった。

「それって嫉妬なんじゃないのか? んー?」

「そうらしいけど、違ってても自分に告白してくる男が他の女に目移りしてるとかいい気分しないだろ」

「私みたいに女の子侍らして両手に花なんてする度胸はない感じか?」

「無理無理。なにより不誠実だろ」

 ここら辺は巴もごく一般的な感性を持っていた。この言葉を聞いた百代は途端に真剣な表情になる。

「でもさ、不誠実って言うけど実際お前どうするんだよ」

「……何が」

「昨日島津寮で打ち上げやったんだよ。まゆまゆお疲れ様会。川神院の厨房から肉かっぱらって」

「それはそれで何やってんだよ……」

「まあそれはいい。それで、まゆまゆだけどさ。ずっとお前の話してたんだよ。顔真っ赤にしながら。あいつ、仲間内でもなかなか会話に入れないようなやつだったのに、お前のことになると饒舌になったんだ。まゆまゆと初めて会った時も、料理の話になるといっぱい喋ってただろ」

「そう、なのか」

 百代の言葉にこもっている意味を理解した巴は、なんとか生返事を搾り出した。

「まあ、取り敢えずまゆまゆから何されてもあんまり邪険にしてやらないでやってくれ。したら私が飛んでくる」

 ファミリーの姉貴分としての側面を見せる百代に、巴が今度はしっかりと返事をする。

「俺は、旭さん一筋だよ」

「それでもだ。早いとこ名前呼びに行ってやれよ、相馬」

 百代は巴の肩に手を置き、教室に向かおうとしたところで用事を思い出したように振り返った。

「そうだ。相馬。今度……そうだな、今度の日曜とか川神院来ないか? 稽古したいんだ、お前と」

「あー、少なくともその日は無理」

「いや来てくれさえすればいつでもいいんだけど……何かあるのか?」

「旭さんとデートすんだよ」

 そう口にした瞬間、巴は全身に寒気が実体化して霜のように降り掛かる幻覚を見た。いつの間にか、武神が懐に潜り込んでいる。拳を硬く握り膝に力を溜め、まさにアッパーカットを撃つ瞬間の姿だった。

「……お前さ、いっぺん死んでこい」

「いやこれ俺悪く……ぐはっ!」

 馬鹿が一人、天井に突き刺さった。あまりにもしょーもなさすぎて、お互い勝敗にはカウントしなかった。

 

 ギャグ時空では、オートカウンターも危機感知も作動しない。男は乙女からの制裁を避けられない。

 そういうふうに、出来ていた。

 

 

 

 2009年 5月 17日

 

 日曜日の駅前は、活気がありつつも人の姿はまばらだった。

 相馬巴は、いつもの裃姿に足袋ではなく、くすんだ青のジーンズに謎の英字が入った黒いTシャツを着用し、その上から薄手のジャケットを羽織りスニーカーを履いていた。帯刀もしていない。

 彼は待ち合わせのために駅前で手持ち無沙汰に立っていた。

 なぜ同じ家に住んでいるのにわざわざ待ち合わせをするのかというと。

『私、結構テンプレートとかって大事にするタイプなの』

 という想い人の鶴の一声があったからである。

 そう言われたからには、待つしかない。巴は待ち合わせ時間の1時間前に、目印になる時計下へ待機していた。

 そして予定の15分前。彼に鈴が鳴るような声がかけられる。聞き間違えるはずもなく、最上旭の声だった。

 ベージュのギャザースカートに、色味を合わせたノースリーブのTシャツと派手なところはない楚々としたコーディネート。持ち手が籐で出来ているバッグをちょこんと持った姿は、文句なしに可愛らしい。上から下までじっくり見てしまった巴は思わず息を呑んだ。

「待たせたかしら?」

「い、いや、全然待ってないよ。それじゃ行こうか、旭さん」

「ふふ。さっきの視線、まるで舐め回すようだったわ」

「服、とっても似合ってるよ。付き合ってください」

「ありがとう。でもまだダメ」

 告白を断ってから、旭は巴と腕を絡めた。丈の短いTシャツからまろびでた素肌同士の触れ合いにドギマギしつつ巴から指を指に絡めて手を恋人繋ぎに変えようとすると、旭はあっさり受け入れてくれる。いつもはここら辺でデコピンが飛んで来ていた。

「あれ、指絡めるの許してくれるんだ」

「……たまたまよ。こんなのよりもっと絡み合いたいわ。もちろんホテルで」

「それは、付き合ってないからダメ」

「じゃあ今日OKしたらホテルに着いてきてくれる?」

 巴の心臓が跳ねる。今までより一歩踏み込んだコミュニケーションだった。

「……節操がないようでイヤだけど、旭さんがいいなら」

「冗談よ。ほら、おしゃれ用の服買いに行くんでしょう? 行きましょうか」

「わっ、ちょっ、旭さん早いよ」

 今日は、入学式の日に行けなかった買い物の続きという名目だった。本当のところは、旭以外知らない。

 

 

 

 夏物立ち並ぶブティックの中。シャッと音を立てて、試着室のカーテンが開く。見目麗しい黒髪乙女は、巴にせっせと運ばせた服を上下ずつ入れ替えながら着せ替え人形になっていた。

「これ、どうかしら?」

「可愛い」

「もう、さっきからそれしか言わないのね」

「いや、可愛いのはほんとなんだ。旭さん、なんでも似合うから」

「ふふ。ありがとう。なら、この中で貴方のお気に入りは?」

 まだ試着室の中に残っていたのは、旭から見て特に巴の反応が良かった数着のセット。そのうちの一つを巴は指差す。

「……それ」

「これ? 女の味を知らない童貞みたいなチョイスね」

「童貞ですが、なにか」

「素敵って言ってるのよ。じゃ、もう一回着てみるわね」

 カーテンが閉じられ、衣擦れの音が微かに聞こえてくる。もう一度開けられた時には、巴にとっての桃源郷が広がっていた。

「どうかしら?」

「とっても可愛いです……っ!」

「発情した?」

「……正直」

 髪をさらりとかき上げた旭が着ていたのは、真っ白なワンピース。清楚な見た目とは裏腹に、膝下まであるスカート部分から見えるしっかり肉のついたふくらはぎや胸元から少し見えている黒いキャミソールが妖艶な魅力を醸し出していた。

「ありがとう。でもこれは買っても外じゃ着られないわね」

「なんで?」

「なんでって……汚れ気になって外でご飯食べられないかもしれないし。それに想像してみて。このワンピースで外に出たとして、前から見ると日光で私の膝から太ももまでのシルエットが浮かび上がってきて、ついには私の恥丘やお尻の肉の影が……」

「……ゴクリ」

 フェティッシュな光景がありありと想像できた巴は生唾を飲み込んだ。彼もまた健全な若者だった。

「お分かりかしら?」

「……分かった。でも、二人きりの時にたまに着て欲しいな」

「ふふ。じゃあ白いハットも買っておきましょうか」

 是非そうしよう、と応じて大喜びで巴は帽子売り場に行った。

 無邪気な男の背中を見て、女は一人呟く。

「……悩んでた自分が、馬鹿らしく思えてくるわね」

「あっ、旭さん、もってき、ゴホッゴホッ」

「ああもう、帽子ごときに急いで変な歩法使わないで。まったく」

 帽子を受け取って目深に被り、上目遣いで巴を見上げながら旭はこう言った。

「……仕方ない人ね」

 白皙の肌に、朱色がわずかに差さっていた。

 

 

 

 相馬巴は、服装を元に戻した旭と共にフードコートでパフェを食べていた。バニラアイスもチョコもフルーツもふんだんに盛られたそれを食べつつ、対面で優雅に髪を上げながらそばを食べている旭を眺めていた。

(……居心地いいなあ)

 旭といるとドキドキして、ムラムラするが。それ以上に落ち着くと巴は思っていた。

 刀が鞘に納められるように、在るべきところに自分が存在出来ているような、そんな感覚。これを去年直接言ったら、じゃあ私の鞘に貴方の刀を……とか言い出したのでそれからは言っていないが。

 二人とも食べ終え、セルフのお冷やで人心地つくと巴から話を切り出す。

「旭さん、これからどうする? また服見るか、映画でも見るか」

「じゃあ、映画かしら。今何があってるの?」

「ざっくり恋愛もの、ホラー、サスペンス、アクション……こんなものかな」

「巴はどれが見たいの?」

「アクション……と言いたいところだけど、今日はデートらしく恋愛映画が見たい」

「別にデートらしくなんて、しゃちほこばらなくてもいいのに」

「そうしたい日もあるんだ。じゃあ行こうか」

 巴は立ち上がり、荷物を抱えてからごく自然な動作で旭に手を伸ばす。それを取った旭は腕にピッタリと寄り添った。

 

 

 

 

 

 

『卒業式が終わってから家で言おうと思ってたんだけど、我慢出来ないから、言うよ』

 青年が、胸に花をつけた黒髪の女性に告白する。その声は桜吹雪にかき消されてしまったが。

『……はいっ』

 女性はぽろりと涙を零しながら、満開の桜の花にも負けない可憐な笑みで告白を受け止める。それから、主人公は彼女の頭を抱えるようにして口付けを交わした。周りでは仲間たちが大騒ぎして……

 そして、エンドロールに入る。エンディングの曲がタイトル回収も兼ねていて完璧な出来だった。

 

 

 映画館を出た二人は、フードコートとはまた別のカフェスペースに移って感想会に入った。旭はサンドイッチを頼み、巴は季節のアイスを頼んでいる。

「あの二人、きっとあれからセッ○スするわね。最後の制服えっちだとか言って」

「またそういう風に話を繋げる……まあ、俺もすると思うけど」

 ちなみに、原作ではする。

「いや、俺はあの逆転がすごいと思ったね。作中ではわりと一貫して悪だとされてるけど……」

「そうね。お姉さんに言われないと何もできない、じゃなくてお姉さんに言われればなんでも出来るっていう……」

 映画の内容は、主人公の家に転がり込んできた昔の知り合いで一年先輩で風紀委員長のおにぎりしか作れないお姉さんとの恋愛模様だった。二人は映画で分かる限りの細かいところまで考察していく。

 ひとしきり話して、空が茜色から藍色に移り変わる時間帯。映画の中で出てきた単語を、巴はぼんやりとしながら口にする。

「それにしても、卒業、か」

「巴は、寂しいの?」

「いや、旭さんがいれば寂しかないけどさ」

「私がいないと、寂しい? それを一人で慰めるの?」

「まあ、旭さんがさんざん悪戯してから帰った後の部屋では……って何を言わせるんだ」

 巴は煩悩を振り払うように被りをふる。旭はそんな男に妖しい笑みを向けた。

「ふふ。言わせた口を塞いでみる? 貴方の三本目の足で」

「だんだん調子出てきたね……」

「……調子、悪かったかしら。そんなつもり無かったのだけれど」

 巴の言葉に、旭は素直に浮かない顔をした。巴は慌てて取り繕う。

「ああ、いや、その……」

「その?」

「最近、元気無かったから。いや、俺がそうさせてたんだろうけどさ」

 旭は目を丸くして、それから目を逸らした。

「だって、貴方が由紀江にご執心だったから」

「由紀江さん、か」

 どこか大切な宝物を守るような口調の男を、旭は横目で睨め付ける。

「目移り、した?」

「したかどうかで言えば、魅力的な子だなとは思った」

 嘘をついても仕方ない、と観念して巴は正直なところを話す。

「でも、俺には旭さんしかいないよ。君といると、ほっとする。自分が何者かも、はっきりするから」

 その答えに満足したように頷くと、旭は立ち上がる。

「……じゃあ、帰りましょう。私たちの家に」

「ああ、帰ろう。旭さん」

 二人はぴたりと寄り添って家路についた。

 

 

 ゆったりしたペースで歩く、とっぷり日は落ちて、白い光を放つ街灯立ち並ぶ帰り道。もう少しで最上家が見えてくる。

「ねえ、巴」

「なに、旭さん」

「映画のラストシーン、綺麗だったわね」

「ああ、綺麗だった」

「……」

「……」

 沈黙が流れる。あと角一つ曲がれば、もう最上の屋敷が視界に入る。

「……巴。キス、しない?」

「分かった」

 いつもからかわれている仕返しとばかりに、巴は即答する。そして勢いよく腰を抱き、唇を重ねた。

「ちょっ、積極的ね……んむっ!?」

 一瞬だけ手をバタつかせた旭だったが、すぐに受け入れる。月明りと電灯だけが照らす、たった5秒だけの、本当に唇と唇が触れ合うだけの、ままごとみたいなキスだった。

 ほんの少し空けた距離で、お互い見つめ合う。真剣な覚悟の灯った瞳で、巴は想いを告げる。

「旭さん、好きだ。付き合ってくれ」

 旭は目を逸らさないまま、顔をほんのり桜色にして……指で軽くおでこを押した。

「……ふふ。まだ、ダメ♪」

「んがっ」

「でも、ドキドキしたわ。さあ、ハウスよワンちゃん」

「……わん」

 巴は旭に手を引かれて歩き出す。前を歩く想い人の足取りが軽いのを見て、男は少しだけ安心した。

 

 

 

 

 

 それにしても、と相馬巴は思う。

 映画の中で出てきた節目、卒業までに、自分はこの素敵な女性をものにすることが出来るのだろうか―――

 

 ―――夜が、更けていく。

 

 

 

 




つよきすは一学期やってから三学期の乙女さんルートやるとほんとに感動する。マジで。
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