IS×MG 銀龍の物語   作:ミッツ

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 義人はまだこの世界にきて日が浅いため、女尊男卑の風潮にまだ触れていません。
 今回はそれが影響しているお話です。


義人VSオルコット

「では、授業を始める…。が、その前に決めることがある。」 

 

 三時間目の授業のために山田先生と共に教室に入ってきた織斑先生は、開口一番にそう口にした。

 

「再来週あるクラス対抗戦に向けてクラス代表を決めなければならない。誰かを推薦するものはいるか。自薦でも構わんが。」

 

「先生。クラス代表になったら、クラス対抗戦以外に何か仕事があったりするんですか?」

 

 前方の席にいた生徒(確か相川さん)が挙手して質問した。 

 

「クラス代表にはクラスのまとめ役としての仕事がある。また、生徒会やクラス代表会などの会議に参加してもらわなければならない。」 

 

 要するにクラス委員長みたいなものか。

 それにしても、クラス対抗戦か…。ISを動かせない俺には縁のない話だな。流石に機龍を出すわけにはいかないし。

 そんな風に思っていると、教室のいたるところから生徒の手が上がる。

 

「はい! 織斑君を推薦します!」

 

「私も、織斑君を推薦します。」

 

「お、俺かよ!」

 

 なるほど、一夏か…。まあ、妥当なところだな。

 世界に一人しかいない男性のIS操縦者。注目度が高いのは当然でクラスの顔にも十分なりえる。それに、入学試験で教師を倒したという話が本当なら実力も折り紙付きというわけだ。本当は、もう一人推薦されてしかるべき人間がいるのだが、個人的な感情で推薦する気になれない。

 

「織斑先生。俺も一夏を推薦します。」

 

「な!義人てめえ!だったら俺は義人を…。」

 

「なあ一夏、自己紹介の時に行ったよな。俺はISを動かせないって。」

 

「あ、そうだった。」

 

 全く、本当に抜けてるな、こいつは。

 でも、この調子で行けばすんなりクラス代表は決まりそうだな。

 

「ほかに推薦はないか?無ければクラス代表は織斑で決定するが…。」

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

 机を叩く音とともに、一人の少女が席を立った。てか、またあいつか…。

 

「そのような選出は認められませんわ!大体、男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!このセシリア・オルコットにそんな屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!」

 

 ずいぶんな言い草だな。この女は男に何か恨みでもあるのか?

 

「実力からすればこのわたくしがなるのが必然。それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございま…。」

 

「なあ、もういい加減にしてくれないか。」

 

 オルコットの言葉を遮りながら俺は立ち上がった。なんかもう、いろいろと限界だ。

 

「君が日本や男に対してどんな考えを持っていようが俺は知ったこっちゃない。でも、ここまで人を馬鹿にする発言をされて黙ってはいられないな。それに推薦されてるのは織斑一夏だ。彼がISを動かせる以上、男だからと言ってクラスの恥になる事なんてないはずだ。それと、ISを開発したのは日本だ。知ってた?」

 

 つい、挑発めいた言葉が出てしまった。でも、相手も日本や男を馬鹿にした発言をしたし、お相子という事で。オルコットさんはそう思ってくれなかったみたいだけど。

 

「な!あなた、わたくしを馬鹿にしてますの!」

 

「別に。ただ、事実を確認しただけさ。」

 

 ま、休み時間の時から一言いい返してやりたかったけどね。俺の言葉を聞いて、オルコットは顔怒りに染めた。元々肌は白かっただけに、朱が差したせいで顔を真っ赤にしたように見える。

 

「ISを動かせないくせに、わたくしに対しそのような言葉を吐くなんて無礼の極みですわ!」

 

「…おい、俺がISを動かせないことは関係な」

 

「大体ISも動かせない男子がこの学園にいること自体おかしいのですわ!整備研修生か何か知りませんが、整備士ごときが代表候補生たるわたくしに暴言を吐くなど許されるべきではありません!整備士なら整備士らしく、倉庫で機体を磨いてればいいんですわ!。」

 

 プッツン

 

「………今なんつった。」

 

 自然と声に怒気が混じる。俺の様子が変わったことに、隣の席の少女がびくりと体を逸らす。

 でも今は、そんなことを気にしている場合じゃない。俺の目の前にいる女、セシリア・オルコットは言ってはいけない事を言ったのだから。

 

「い、いったいあなた、な、何なのですか!」

 

 俺の剣幕に押されてか、オルコットは俺に向かって身構えつつも、言い返してくる。

 

「………今なんつったって聞いてるんだっ!」

 

 俺の言葉は怒声となってクラスに響く。クラスの女子がびっくりしたように身を竦ませた。織斑先生は特に変わった様子も無く事の成り行きを見守り、山田先生はオロオロとするばかりだ。一夏は呆気にとられ、俺とオルコットを交互に眺めている。そして、オルコットはというと、特性自衛隊で鍛えられ身につけた俺の大声をまともに受け、小さく悲鳴を上げ怯えたようにこちらを見ていた。

 

「君が空を飛ぶために身につけるISを、誰が調整し、誰がチェックしたものかわかっての発言なんだろうな?解っていたら、今みたいな発言はできないはずだ!君は俺だけじゃなく、君の機体を整備しているスタッフをも侮辱したんだ!」

 

 もとの世界にも、己の力を回りに見せつけたがっている自己顕示欲の高いパイロットはたくさんいた。ぞれでも、あいつらは常に俺たち整備スタッフを気に掛け、乗っていて気付いたことなどを話し、積極的に俺たちと意見交換をしていた。

 あいつらは、誰のおかげで自分たちが安全に空を飛べているのかを理解し、信頼してくれてた。その信頼に応えるべく、俺たちも誇りを胸に働いたのだ。

 

 それだけに、オルコットの発言は許せない。

 

 〝整備士ごとき“

 

 その言葉は、彼女のことを思って機体を整備した者たちの信頼と誇りを踏みにじるものだ。

 

「君がどのようにして代表候補生にまでなったのか知らないが、そこに至るまでにどれだけの人が君のサポートをしていたのか君は知らないんだろうな!大かた、自分一人の力で成し遂げたとでも思っているんだろうな!言っとくがそれは大きな勘違いだ!」

 

「お、おい、義人。もうそれくらいにしとけって。お前の言いたいことは十分わかったから。」

 

「そ、そうですよ。オルコットさんも少し言い過ぎただけですし。ほ、ほら、深呼吸して落ち着いてください。」

 

 一夏と山田先生が俺をなだめようとしてくるが、一度着いた火は簡単には収まらない。

 

「それともあれか?代表候補生ってのもパパかママに頼んで成ったのか?あるいは金の力か?だとしたら納得だぜ!君は英国貴族の力を存分に発揮して、そこに至ったんだからな!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、怯んで青くなっていたオルコットの顔に再び赤いものが差した。いや、先ほどとは比べられないほどの赤みが差し、どす黒くなっていると言ってもよい。まるで、親の敵を見るような目でオルコットは俺をにらんでくる。

 

「今すぐ発言を撤回なさいっ!その発言はわたくしだけでなく、我がオルコット家を侮辱するものですわっ!」

 

「それならまず、そちらが先に撤回するのが筋だろ。」

 

 その視線を俺も真正面から睨み返す。あれたちの間にいた生徒は皆、その視線に入らない層に身を低くして頭を抱えている。

 

「何をやってるか馬鹿者ども。」

 

 その言葉とともに俺は頭部にとてつもない衝撃を受けた。1年1組を統べる担任の一撃だ。

 

「まったく、貴様らは今が授業中だというのを分かっているのか?喧嘩なら授業が終わってからにしろ。」

 

 その発言は教育者としてどうなのだろうか?というか、明らかにただの出席簿から繰り出される衝撃ではなかったぞ。確実に何か仕込んでいるだろ。

 

「どうした?文句があるなら、もう一度教育(物理)してやろうか?」

 

「いえ、何もありません…。」

 

 この人は時々人の心を見透かしてくるのではないのだろうか?

 

「さて、では本題に戻ろう。クラス代表は推薦のあった織斑とオルコットで、来週模擬戦をして決めることとする。勝った方がクラス代表だ。それと、」

 

 織斑先生はそこで言葉を切ると、俺とオルコットに視線を向けて言った。

 

「織斑には中条をサポート役として付ける。織斑は素人であるから、ハンデとしては丁度いいだろう。」

 

 それはつまり、今日の喧嘩の続きは来週決着をつけろという事か…。

 オルコットも織斑先生の意図に気づいたのか、俺の方を睨み付けてくる。

 

「完膚なきまでに叩き潰して差し上げますわ。」

 

 上等だ。英国貴族のお嬢様に、大和男児の意地を見せつけてやろうぜ!なっ、一夏!

 

「なんか俺、巻き込まれただけじゃね…。」

 

 一夏のつぶやきは誰も聞いていない…。




 初期のセシリアと義人は相性最悪だと思うんです。
 今回はお互いの地雷を仲よく踏み抜いた結果となりました。果たして、これが後々どう影響していくのか?お楽しみに!

機龍「二話連続で台詞が一つもないのですが。」

作者「………」

機龍「黙るな。」
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