ゴミ箱   作:ヘイ!尻!モテる方法教えて!?

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価値のない勝利

入学式も終わって本格的に学校生活が始まった

 

これだけの数のウマ娘を見るのは初めてだ、周りのウマ娘の子達は男に負ける私と違って皆足も速いんだろうって思ってた

 

私もこの学園に来た以上負けてはいられない、才能が無いにしても努力をしなくてはと思っていたのよ

 

でも実際にはここにいるウマ娘は全て私より足が遅かったわ、人間に負ける私よりもね

 

ここはウマ娘のエリートが集まる学校だと聞いていたから嘘でしょ?って思わず言っちゃったわ

 

私が想像していたトレセン学園には私以上の人材がいくらでもいて、そういった人達と切磋琢磨しつつ色々な技術を盗んだりレースで競いあって勝ったり負けたりするんだと勝手に思っていたの

 

実際にはそれだけ競い合えるだけの相手なんていなかったんだけどね

 

そんな勝手な期待が裏切られてもまだ私はこの学園に期待していたわ

 

ここでは一般的な授業に混ざってレースの走り方やトレーニング方法の授業があるからよ

 

私みたいな素人が必死に最新の論文やトレーニング理論を学んで実践するよりも高い効果の修練方法を教えてくれるのではないか?という期待があったの

 

私はアイツと走っては負けた原因を分析してレースで勝負をする、さらに原因を分析してまたレースで勝負をして負けたら再度分析をする

 

同じ事をずっと繰り返してレベルアップをしてきたの

 

でも最初のうちは走法やポジション取り、スキルと呼ばれるようなテクニックを鍛えて追い縋っていたけれど最終的にはやはり身体能力を鍛える必要があるという結論に至ったわ

 

私はインターネットや技術書、論文等を漁って色々トレーニングをしてみたけど、いい加減身体能力の底上げも頭打ちになってきたのよ

 

だけどここならプロから肉体強化のやり方を直接教わる事ができる

 

トレーニングのやり方を間違っていたから身体能力が伸びずに男相手に勝てなかったんだと分析していた私はトレセン学園のトレーニングにかなりの期待をしていたの

 

ここには素晴らしいトレーニング設備、走りやすいコース、優秀な指導員の全てが揃っているはずだって

 

そうして期待していた私は授業で教えられる内容に失望を隠せなかったわ

 

 

まだ一年生という事もあるのでしょうけど、しかしあまりにもトレーニングの負荷が少ない上にトレーニング理論も基礎の基礎の基礎的な事しか話さない教員達

 

それに入学したばかりだとトレーニング器具等もあまり使わせて貰えないのよ

 

絶対に勝ちたいヤツがいて、そいつに勝つ為に覚悟を決めて地元を離れて鍛え上げにきたの

 

でも現実はアイツと走っていたほうがずっと速くなれた

 

地元にいればアイツとはいくらでも走れるしいつだって会えたのにそうしなかったのはトレセン学園に来たほうがもっと速くなれてアイツに追い付けると思ったから

 

でもこれじゃあ覚悟を決めてトレセン学園まで来たのはまったくの無意味じゃない!

 

・・・いえ、流石にそれは言い過ぎかもしれないけど、それでもアイツと走ってる時に得られる事のほうがよっぽど多いように思えるわ

 

授業の時間も退屈で仕方ない、入学してからはプロの指導の下効率の良いトレーニングができると信じていた私は入学した後にレースの事以外に時間を割きたくなかったの

 

そうはいっても何事でも一番を目指す私は勉強でも手抜きなんて考えられなかったわ

 

だからそれを両立する手段として予め入学前に全ての授業の範囲を予習しておく事にしたの

 

入学後に使う時間を最大限確保できるようにする為に入学前に猛勉強したわ

 

私は優等生だから授業は勿論真面目に聞いて授業の時間に復習してる、そして復習に充てる時間の分を練習に費やしている

 

じゃあ練習時間の間に何をするかって事だけど相手になるウマ娘も効率の良いトレーニングも良い設備も無いこの学園の中ではやれる事は限られてたわ

 

基礎的な体力トレーニングを行った後は終始アイツならこうする、アイツならこれくらいの走りはするというような妄想のアイツとシャドーレースをしていたわ

 

記憶のアイツにはなんとか勝てるけど実際のアイツはそれ以上に進化しているでしょうね、アイツもワタシと一緒で進歩する事を止めるヤツじゃなかったし

 

アイツを意識して走れば走るだけアイツとのレースを思い出す、アイツの事をそうやって思い出すと口元が緩む

 

認めたくはないけどアイツ以上の相手なんていない、妄想でもライバルと走って競い合うのは楽しかった

 

あー本物のアイツと走りたいなと強く思う

 

そんな事ばっかり考えてたら今や簡単にはできなくなったレースが恋しくなってきた、これがホームシックかしら?

 

ああ、妄想でいくら勝ってもダメ、アタシが一番だなんて胸を張って言う事はできない

 

アイツに勝たなくちゃいけない、そうしないと本当の一番になれないと私自身が知っている

 

弱い子をイジメての勝利なんかじゃない、もっと価値のある勝利が、本当の一番が欲しい

 

こういう事を考える時アタシは本当に幸運の元に生まれて来たんだなって実感する

 

だってそうでしょう?他の子にはアイツがいないのよ?

 

人生を掛けて走る意味も

 

自分がどんどん別物のように強くなる実感も

 

本気以上を出して勝てないレースも

 

言葉では表せない程信じられる相手も

 

全部ない人生なんて耐えられないわ




ステALL1200くらいで金スキル盛り盛りですかねこのダスカさんは
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