咲-Saki- side K 京太郎、雀士への道 作:しおんの書棚
(原作では13ページであっと言う間に終わり、手すら無かったので死にそうです)
京太郎 side
『先鋒戦、各校の選手を紹介します。
昨年の覇者、龍門淵高校二年、井上純! 王座奪還なるか、風越女子三年、福路美穂子!
初出場ながら破竹の勢いで決戦進出、清澄高校一年、片岡優希!
同じく初出場ながら堅実かつ安定した打ち筋で決戦進出、鶴賀学園二年、津山睦月!』
アナウンスに合わせてモニターにはそれぞれの顔が映った、何かあったのか? 優希の顔色がよくない。
他は慣れたもので津山先輩からは特に過度な緊張が見えなかった、いい状態だな。
「清澄先鋒の優希は何かトラブルを抱えてるみたいです、表情に焦りが見えました」
「それは気の毒だが朗報だ、勝負の世界だからな」
確かに、優希の爆発力は侮れないからな。それが少しでも下がるというなら先鋒戦の行方はウチにとって良い方向に転がる。
加えてあそこには純さんがいる。流れをコントロールして確実に抑えてくる筈だ、問題は……。
「風越の福路さんは個人戦入賞の常連、正直言って一番怖いのは福路さんですね。
優希は南場に入れば一気に失速しますが、福路さんには安定した強さがある」
「むっちゃん先輩が上手く読ませない河を作れるかっすね、堅さは心配してないっすから」
俺達はそう話しながら見ていると対局が始まろうとしていた、運命の決勝戦が……。
「信頼して見守るだけだなー、今できるのは応援することだぞー」
そう言った部長の言葉に全員が頷いた。
京太郎 side out
睦月 side
此処が決勝戦の場……。だというのに私は落ち着いていた、何故なら私は私にできる事をするだけ……。
今までと何も変わらない、相手が能力持ちだからといって私にできることは鶴賀の麻雀を打つのみだから……。
「清澄の片岡だったな、お前ら終わったぞ? うちの大将が御立腹だからな、まあ俺もだが」
「……言い訳はしないじょ、でも最後に勝つのは清澄なんだじぇ!」
須賀君の言う通り、龍門淵は清澄を狙ってる……。けど油断はしない、全員が“倒すべき敵”。
私は余計冷静になっていく。観察の重要性を知り、実践を経たこの大会で確信したからだ。
見逃していいものなど一つもないという須賀君の言葉が正しいことを……。
そして見た、清澄の片岡さんが“半分のタコス”を食べたのを。彼女はタコスを食べてゲンを担ぐと聞いた。
それを半分ということは……、後半戦があると知らなかった? どちらにしろ、本領が発揮できないならチャンスが広がる。
私にとって初めての決勝、先鋒戦が始まった……。
睦月 side out
優希 side
一回分しかタコスを準備してなかったから半分にして持ち込んだんだじぇ、これで持てば……。
親は私、龍門淵のノッポ、鶴賀のポニーテール、風越のお姉さん。配牌も悪くないじぇ、これなら行けるじょ!
そう思ってたのに東場で無敵の私が“やっと”一向聴……。やっぱり半分じゃ、いつも通りにはいかないじぇ。
「ポン」
ポニーテールの捨て牌をノッポが鳴いた? 私の引いた牌は不要牌。そして一巡後に今度は……。
「チー」
また鳴いたじぇ、そして私は未だに聴牌できてない……。おかしいじょ、こんなことって……。
「ロン、断么、ドラ1。30符2翻、2,000だ」
あっ……、集中できてなかった私はノッポに振り込んだんだじょ。京太郎と打った、あの時みたいに……。
優希 side out
京太郎 side
「龍門淵の純さんは完全に潰しにいってますね、最初から流れを奪って」
「まだ一度あがっただけだが……」
「いえ、奪った以上はそう簡単に逃しませんよ、純さんは」
親になってエンジンがかかった、そして鳴きを入れてはどんどん流れを引き寄せて……。
『ロン、中、白。60符2翻は5,800!』
中は暗カンで両面待ち、優希から直撃か。完全に純さんのペースだ。
東二局一本場、やっぱり強いな、けど……。
「これで
「ああ、須賀君の言う通りになったな。このままワンサイドゲームになりかねんか。
厄介だな、能力持ちは。だが津山は失点していない、まだ始まったばかりだ」
「ええ、その通りですね。今の津山先輩は不用意に振ったりしません、それに……」
手牌を見て俺は確信していた、津山先輩があがる、と。
「そうだ、こういうこともある」
純さんの目が優希に行ってる隙を上手くつけた、
『ロン、白、發。50符2翻3,200点の一本場は3,500点です……』
※咲原作において一本あたり300点がルールですので、それを適用しています。
まあ、削られてるのは優希なんだが。
ところで俺は運と流れに相関関係があると思ってる。そして場にある運の総量は一定で、それをより多く掴むのが流れ。
そこからいけば優希の能力は東場に限り“全員の運を自分の物にする”というものだ。
それを純さんが崩して奪った、そんな中で津山先輩はあがった訳だが……。
さて、このあがりの意味がわかるかな? 龍門淵のみんなには。
俺は上手くいったことに安堵した、神代さん達に感謝しながら……。
京太郎 side out
純 side
馬鹿な……、アイツからは
俺が見落とした? あり得ないな……。ならアイツも何か能力持ちなのか? それとも京太郎が鍛えた結果だとでも?
いや、わからないことを考えてミスるのだけは御免だ。アイツにも気をつけながら行くしかない。
風越も何を考えてるかわからないな、慎重に行くとするか。
親はアイツか……、手牌は状況から見て悪くないし流れもある。さっさと流すのが正解だな、なら……。
俺は思惑通りに手を最速で組み上げた、速度重視の……。
「ツモのみ、30符1翻はゴミだ」
これでいい、アイツに何かされる前に親は流した。次は東四局で風越の親番だな、要注意だ。
その上で……、清澄を削って息の根を止める!
間違いなく今回も流れは俺にあるな、そして手牌は……。ぶち当てるか、清澄に。
「ポン」
これで一飜、發を喰った。手は染まりかけてる……って、ソイツだ!
「チー」
聴牌、ここで溢すのは清澄だろ? ……ほらな?
「ロンだ。混一色、發、ドラに赤ドラで満貫。8,000!」
これで南入、この調子で行く。もう清澄は沈んだ、あとは鶴賀と風越に気をつけるとしようか!
純 side out
美穂子 side
龍門淵の井上さんは調子がいいのね、波に乗っているわ……。だけどいつまでも主導権を渡してはおけないの、昨年の雪辱を晴らすためにも。
私は前半戦、見極めに使うと決めてたので気にする様な展開という程ではないのだけど……。
ところで清澄の片岡さんは本当なら東場に強いのね? 井上さんが集中的に狙ってるので間違いなさそうです。
鶴賀の津山さんは堅くてとてもいい麻雀を打ちます、出上がりもあって理想的ね。ただ、少し気になるわ……。
もう少し見極めが必要そうです、勝負は予定通り後半戦に持ち越しましょう。
「チー」
また仕掛けるんですか? 片岡さんに。
「ロン。清一色、満貫だな。8,000だ!」
次は井上さんの親です、片岡さんがとても危険な状態ですから流してあげますね。
それにしても津山さんはとても冷静なのね、風越でもレギュラー争いができるレベルですよ?
待ちの麻雀ですが本当に堅い、先程の聴牌は危なかったですし。
「チー」「ポン」
チーとポンが同時ならポンが優先、私は井上さんの鳴きを邪魔しながら手を仕上げました。
この辺で一度、流れを変えた方がいいと感じたから。
「っく」
そうそう思い通りに行くと思われては困りますよ? 今度は井上さんがかぶる番。
これだけ早い仕掛けです、井上さんの麻雀なら安牌確保が間に合ってない筈ですね。
そして……。
「ロン。混一色、發、ドラ3に赤ドラ、跳満ですね? 12,000点です」
ドラを増やしてお返ししますね? あまり波に乗られて離され過ぎる訳にもいかないわ。
そして次の南三局は津山さんが親です、もう一度ゆっくり観察させてね。
私はいつも通り観察を続けることにしたの、後半戦に備えて……。
美穂子 side out
モモ side
「さっきのポンで流れが変わった。風越の福路さんは様子見することが多いけど、ここぞという時にはあがってくる」
京さんの調査結果は詳細で、特に強ければ強いほど入手し易い牌譜から風越のキャプテンさんを丸裸にしてるっす。
能力持ちかはハッキリしないって言いながらも、それがどうして通ると判断できるのかわからないケースが多いから、多分能力持ちだとは言ってたっす。
「じゃあ、このまま波に乗るっすか?」
「いや、様子見だと思うぞ? ここまでの感じからして観察に徹してる。
たださっきは手牌が良かったのと、龍門淵の独走を許さないために楔を打ち込んできた。
見られてるのは清澄とウチだな、後半戦は一層厳しくなりそうだ」
なるほど……、やっぱり情報は大事っす。これはどんな結果が出ても京さんには感謝してもしきれないっすね。
対策を検討できたのは京さんの調査結果があったから。それに私達だけじゃ清澄と龍門淵の情報をあそこまで正確には手に入れられなかったっす。
『前半戦も南三局! 現在のトップは名門、風越女子! 次いで昨年の覇者、龍門淵高校ですが僅差です!
新鋭の二校では流石に厳しいのか、特に清澄高校が苦戦しています!』
『いや、そうとも言い切れない。特に鶴賀の先鋒の相手はずっとエースだった、だがここまでの試合でまったく振ってない。
ポイントゲッターが後ろに控えている以上、元点で十分なんだろう』
この態度の悪い人が藤田プロ……、まくりの藤田って異名があったっすね。
「やっぱり藤田プロはわかってるな、流石は“まくりの女王”。
ウチが厳しい? どこに目を付けてるんだか、この解説者。
藤田プロの言う通り津山先輩はしっかり自分の麻雀を打って振りはしてない。
それどころか出あがりしてる分だけ役目以上、メンバー構成を把握してから言って欲しいな」
「ホントっすね、能力持ち三人と闘って元点以上なら言う通り実質勝ちっすから!」
私は初心者だった京さんがここまで強くなるとは流石に思ってなかったっす。
けど、今の鶴賀で一番強いのは間違いなく京さん。私は自分のことの様に嬉しいっすよ?
だって、それだけの努力を最初から見て来たのは私だけなんすから……。
モモ side out
優希 side
東場でまったくあがれなくて、南場でもそれは同じ。それどころか振り過ぎて……。
! 駄目だじょ! どんな時も全力を尽くすって京太郎との麻雀から学んだ私が諦めちゃ!
確かに南場は苦手だけど逃げたら余計酷くなる! 今できるのは少しでも多く点を残して南場を切り抜けることだじぇ!
後半戦の東場で盛り返すためにも、これ以上は失点しないじょ!
ん? なんかいつもの南場より手牌が良いような気がするじょ? とにかく頑張るじぇ!
あれ? 本当に手が進む……。でも、どうしよう……。
このままあがりを目指す? それとも守りに? 迷ったまま手なりに進んだら……。
「リーチだじぇ!」
私は結局攻める麻雀を選んだんだじょ、だってそれが私だから。けど……。
「チー」
ノッポ! いい加減にして欲しいじぇ! 思った通りツモってこれなくなったじょ!
「ロン」
へ? ポニーテールがノッポの捨て牌であがった?
「七対子、ドラ2。25符4翻は9,600点です」
命拾いしたじぇ……、私は失点が怖くなって次からは守るって決めたんだじょ。
リーチ棒、勿体なかったじぇ……。
優希 side out
睦月 side
清澄を狙っていた龍門淵から当たり牌が溢れた、なら遠慮なくあがらせてもらう……。
鶴賀の麻雀は基本堅守、チャンスを逃したりは絶対にしないしできない。
何かあったのか龍門淵は驚いてるが……、ここは今まで同様冷静に堅守して行こう。
南三局一本場、手牌はまあまあといったところ。安牌を確保しながら安全に打っていく……。
引きはそれなりに良い、聴牌まで二向聴か。だけど無理は禁物だ……、安牌を十分確保しなくては。
……妙に警戒されてるな、龍門淵と風越に。私は特別なことなど何一つしてないんだが。
そう思いつつ私は鶴賀の麻雀を貫く。常に観察し、そこから情報を得て振らず、機会があればあがる。
だから気づいた、龍門淵の聴牌気配に。折角得た点を必要以上に減らす必要はない、親に拘る理由も。なら……。
「ノーテン」×3
「聴牌」
龍門淵は悔しそうだが、これでいい。私の役目は振らないこと、あがるのはオマケの様な物だ……。
千点棒を出して前半戦オーラスを迎える。ただただ役割に準じ、次へと繋げるために。
睦月 side out
衣 side
キョータローは約束を守ってくれた、ジュンの顔を見ればわかる、
だが、その何かがわからぬ。まるで雲を掴むが如し、能力持ちで無いことだけは確かなのだが。
まさかキョータローと同類か? にしても特有の違和感の無さからそれもあり得ぬ……。
「おかしいですわね、純が振るなんて。まだ風越相手ならわかりますが、鶴賀の先鋒は堅いだけですわ」
「……純は驚いてた、流れを感じなかった?」
「そういう生き物ってこと? そうは見えないんだけどな、僕には」
うむ、良い線までいってると思うが衣にもわからぬ。
しかし、見事と言っておこう、友達の手腕に!
『ノーテン』×3
『聴牌』
見事に稼いで凌ぎ切ったな、ジュン相手に対等とは。先鋒でこれならば大いに期待できるというもの。
此度も楽しませてくれるな! やはりキョータローは、そこらの有象無象とは違う。
衣は嬉しくて仕方なかった、これまでの相手は
『先鋒戦前半終了! ほぼ三校が横並びで後半戦を迎えます! 清澄高校の巻き返しなるか!
五分の休憩後、同じ面子による後半戦を開始します! 御来場の皆さんは……』
ジュンには後で聞くとしよう、一体何が起きたのかを。衣はそれを楽しみにしていた……。
【先鋒戦前半終了時結果】
龍門淵高校 二年 井上 純 109,300点(+ 9,300点)
風 越女子 三年 福路 美穂子 109,700点(+ 9,700点)
鶴 賀学園 二年 津山 睦月 111,600点(+11,600点)
清 澄高校 一年 片岡 優希 69,400点(-30,600点)
衣 side out
何故か原作を踏襲しつつ睦月が振らない様にしたら、トップになっていた。
何を言ってるかわからねぇと思うが、俺にもって感じです、正直。
いやはや、睦月には自覚がありませんが、周りは違和感を感じる様です。
後半戦はちょっと時間下さい、マジで知恵熱出そうw
ちなみに筆者の表現力不足でわかりずらいかも知れませんが勘弁して下さい!
これでも必死に書いたんですー!
そうそう、京太郎が清澄にいない以上、タコスは誰も準備できません。
こんな所でも弊害が出るんですから、京太郎は清澄が勝つために必要な仲間だったと私は思っています、少なくとも優希には。
今後、どうなるかはわかりませんが。