咲-Saki- side K 京太郎、雀士への道   作:しおんの書棚

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さあ、役満のかおりん登場です!


四本場 前後 次鋒戦 妹尾佳織は鶴賀の切り札

京太郎 side

 

 あのメンバーの先鋒戦をプラス収支で終えた津山先輩が控え室に帰って来た。

 ほっとしたのか表情が柔らかくなって、お互い笑顔で讃えあうのが微笑ましいな。

 

「見事だったな、津山。能力持ち三人を相手にプラス収支だ、私は誇りに思うぞ」

 

 ははっ、加治木先輩が誉め殺して、津山先輩はタジタジ。でも、その言葉が相応しい闘いぶりだったのは事実だ。

 

「ホント凄いっす! 特に龍門淵の鳴きからの捨て牌であがった時は痺れたっすよ!」

「……アレは須賀君のお陰。思い出したからな、つねに冷静な観察の大切さを。それで鳴いた後の油断した捨て牌を狙ってた……」

 

 そう言って貰えるのは嬉しいけど、あの場でそれをやるのがどれだけ難しいか。

 今後を考えるなら自信をつけてほしいな、油断は禁物だが。なら……。

 

「いえ、津山先輩の実力です。必要な時に必要な思考ができたなら、俺の力じゃありませんよ」

「そうだぞー、とにかくお疲れ〜。で、次は佳織の番だぞ? 準備はいいかー?」

 

 なんだかんだ言って部長もちゃんとやることはやってるんだよな、勘違いされがちだけど。

 

「須賀君から貰った御守りも持ったし、大丈夫だよ? 智美ちゃん」

「妹尾、いつも通りでいいんだ。周りを気にせず楽しんで来い、そうすれば結果も付いてくる」

 

 そして、加治木先輩が締めると。まったくよく出来たメンバーだよ、鶴賀は。

 

「うん、加治木さん。それじゃあ行って来るね!」

 

 そう言って妹尾先輩は笑顔で会場に向かう、俺達の声援を受けつつ部長に背中を押されて……。

 

京太郎 side out

 

 

佳織 side

 

 みんなはとても優しくて、私にいつも通りでいいって言ってくれた。

 でもね? 津山さんの頑張りを見た私も、初心者だけど頑張ろうと思うんだ。わからないなりに出来ることがある筈だから。

 

 須賀君の御守りを握ると、なんだか頑張れそうな気がしてきて。だって、この御守りには須賀君の想いが詰まってる。

 自分だけじゃなく私達のために一杯手伝ってくれた須賀君、だからその想いに私は応えたい。

 

『決勝戦次鋒の選手を紹介します。

 リードをさらに広げることができるのか! 風越女子二年、吉留未春!

 僅差の新鋭、トップを奪えるのか! 鶴賀学園二年、妹尾佳織!』

 

「ちょ、ちょっと押さないでも行くから! 智美ちゃん!」

「ワハハ、いいからいいから」

 

 紹介が放送される中、グイグイ押してくる智美ちゃんは私を心配してくれてる。でも大丈夫、私も鶴賀学園麻雀部の一員なんだから、ね?

 

『此方も僅差の新鋭、名門風越を捉えられるか! 清澄高校二年、染谷まこ!

 大波乱、昨年の王者は巻き返せるのか! 龍門淵高校二年、沢村智紀!

 まもなくスタートとなります、選手の皆さんは……』

 

 アナウンスを聞きながら会場に入ると足が止まる、ここが決勝戦の場で津山さんが闘ってた場所。

 もう他の三人は先に来ていて私を待ってたみたい、まだ時間には余裕があるけど気合いが入ってるのかな?

 

「佳織…」

「大丈夫だよ、智美ちゃん。私も精一杯闘ってくるの、今できる全力で、ね?」

 

 そう言うと智美ちゃんに笑顔を見せてから席に向かったの、私も闘いの舞台へとあがるために……。

 

佳織 side out

 

 

まこ side

 

 優希はあの厳しいメンバー相手にようやった、東場で稼げなかった前半戦分以上に後半戦で稼ぎ出して元点を超えたんなら上出来じゃ。

 しかも前回全国出場校の龍門淵が最下位っちゅうオマケ付き、あとはワシらが風越と鶴賀から稼ぐだけじゃの、任せとき!

 

 そして始まるウチの挑戦。起家は鶴賀、ウチ、風越、龍門淵の順じゃ。

 

 ワシはいつも通り眼鏡を外す、こうすることで今まで見てきた無数の対局の似たような状況を記憶から引き出して打つのがワシの麻雀の特徴。

 実家が雀荘で素人はこない(・・・・・)からの、あらゆる局面が記憶にある。そうそうミスを犯さないのがワシの強みじゃ。

 勿論、普通の雀力も客観的に見て低い訳じゃなか。つまりウチの麻雀は実力と記憶を活かしてこそっちゅうことになるの。

 

 さて配牌は……、悪くはないの。じゃが今はまだ勝負手と言えるほどでもなか、ここは慎重に進めるかの。そう思って数順後……。

 

 「リーチ」

 

 風越のリーチ、先鋒戦の勢いか? そう考えながら引いてきた牌は七筒、浮いてるのは中、さてどうするかの。そしてワシは記憶を引き出す。

 ……似たような状況を見つけたで、これは危ないの。ウチは中を引き入れて七筒を切った、ここはオリじゃな。

 

 って鶴賀の! 生牌の中を切るのはなんでじゃ!? 振り込むぞ!?

 

「ロン」

「ヒャア!?」

 

 ヒャアじゃなか! 何考えとるんじゃ、言わんこっちゃない。

 

「リーチ、一発、中。40符3翻、5,200」

 

 今の打ち筋から見てこの下家は素人臭いの、これは鴨か? ウチはそう思いながら彼女を見ていた………。

 

まこ side out

 

 

智美 side

 

 私は控え室で佳織の対局を見て思わず口にした。

 

「態と教えなかったとはいっても佳織は下手っぴぃだなー、ワハハ」

 

 まあ、役満のためだしなー。仕方ないんだけど、佳織には悪いことしてるって思ってるぞ?

 

「だが、蒲原のツテとはいえ彼女が入部してくれたからこそ団体戦に出ることができた。

 しかも、その得点力は鶴賀で最高なのだから本当にありがたい話だ」

 

 佳織はなー、私の幼馴染権限で連れて来たからなー。

 

「始めは出れるだけでって思ってたんだけどなー、キョウタに会って絶対に勝ちたくなったんだぞ?」

「そうなんですか? まあ、それがなくてもきっと同じ気持ちになっていたと思いますよ。

 みんな、なんだかんだ言って負けず嫌いですから」

 

 それは違うぞー、でもキョウタはそう思ってるんだな? まあ水を差す必要もないから……。

 

「ワハハ、そうかもしれないなー。とにかくここまで来たんだ、絶対勝つぞー」

「ああ、勿論だ。そのために私達は鍛え上げたんだからな」

「そっすね、このまま全国っすよ!」

 

 佳織、一緒に全国だぞー。私は心から佳織の勝利を願った……。

 

智美 side out

 

 

佳織 side

 

 格好良く? わからないなりにできることはあるからって思ったけど現実は厳しいよね。

 今もチョンボ? だけはしない様に私は三つずつ揃えようとしてる。

 

 ん? あれ? あっ!

 

 「リーチします!」

 

 リーチの時は千点棒を出す、だよね? うん、大丈夫。これはちゃんと出来た、役? はよくわからないけど。

 そして二巡後……、き、来た!

 

「ツモです!」

 

 えっと、これを捲って裏ドラ? を確認してから私は手牌を見せる。

 

「リーチ、ツモ、対々和……でしょうか?」

「それは! 四暗刻じゃ!」

 

 ヒャア! ビックリしたぁ。そうだった、これって“すーあんこー”って言うんだったね。点数は、点数は……。

 

「点数ですか? 子ですから32,000点ですよ」

「あ、ありがとうございます」

 

 また、よくわからないけど点棒が一杯。でも、これで私もみんなの役に立てたんだ、このまま頑張ろう!

 私は須賀君のお守りを握り締めて、そう思っていました。

 

佳織 side out

 

 

透華 side

 

「あっはっはっは! キョータローは衣を笑い殺す気か!?」

 

 ぐぬぬぬ、何をしてますの、智紀!?…って。

 

「いつまで笑ってるんですの、衣!?このままでは終わってしまうんですのよ!?」

「しかしだな、これを笑わずしてどうする。衣達を追い詰めているのは素人、なのに役満を平気で上がってくる輩。

 そしてキョータローは先鋒に続き次鋒も期待以上を用意した、ある意味でだ」

 

 それはそうですが……って、それどころではありませんわ!

 

「って、またですの!?」

 

 素人ですから当然振りもしますが、ツモった時の打点が高い!

 

「大きく削られているのは清澄。因果応報、天罰覿面という物だ。

 その証拠に清澄が親の時ばかりツモる、トモキはその分を他家から回収して維持。

 このままなら今度は清澄が喰われるのみ、問題なかろう」

「……そう言われればそうですわね。でしたら、わたくし達が稼ぐのみですわ!」

「そうだね。まだ次鋒戦が終わった訳じゃないけど、僕も稼ぐから」

 

 今年は去年より格段に強い衣がいますし、勿論わたくしも原村和に負けるつもりはありませんわ。

 原村和、いいえ、のどっちを最初に地に墜とすのはわたくしですから!

 

「それにしても素人なのにとんでもない得点力だよね、この人。能力持ちには見えないんだけどな、僕には」

「能力など持っておらんぞ、ただし運が寄り付く様だ」

「それはそれで厄介ですわね、対策の立てようがありませんし」

 

 衣の感覚はずば抜けていて、この手の内容を外したことがありませんわ。

 

「まったく、京太郎はどこから見つけてきたのかしら」

 

 智紀の闘いを見ながら、わたくしはそう呟いたのです。

 

透華 side out

 

 

久 side

 

「参ったわね」

 

 私は優希と二人、控え室で対局を見ていた。咲と和は、和の寝不足解消に仮眠室で休んでる。

 

「何がだじょ?」

「鶴賀の次鋒が素人っていうのがよ、優希」

 

 私も想定してなかったわ、まさか素人が大会に出てくるなんてね。

 

「運よくあがっただけで、振りまくってるじょ? いつまでも続かないじぇ!」

「それがそうでもないのよ、まこにとってはね」

 

 そう言ったのは、()()まこが降りた時。

 

「まこはさっきも話した通り、過去の膨大な記憶から最適解を探すわ。けど、そこに初心者のデータ(・・・・・・・)は無いのよ。

 雀荘に来るお客さんに素人はいないって言ってたしね、それが仇になって鶴賀の妹尾さんについて読み切れない。

 そして、降りた結果……」

 

『鶴賀学園の妹尾選手、またしてもツモ! 振った分を大きく超える得点で鶴賀学園がダントツのトップ!

 二位の風越女子との差は三万点程に開きました!』

 

「という様にツモるチャンスを与えてしまってるのよ、そして他校も乱されてるわ」

 

 結果、次鋒戦は鶴賀の独走。私達は少なくない点を失って三位まで後退することになった……。

 

久 side out

 

 

佳織 side

 

 終わった……、私は点数を見てホッとしました。みんなに迷惑をかけたくないし、少しでも長く一緒にいたい。

 沢山協力してくれた須賀君にも報いたい、それだけを願った私の闘いは鶴賀のトップという結果。

 

 後は智美ちゃん達を信じて応援するから、みんなで全国に行こうね。

 そう思いながら戻った控え室で待っていたのは……。

 

「かおりん先輩、最高っす!」

「ヒャア!」

 

 いきなり現れた桃子さんに抱きつかれてビックリしました。

 

「モモのいう通りだなー、佳織。本当に良かった、大活躍してくれて私は嬉しいぞー!」

「あの、私なりに頑張ってみたので、その……」

 

 智美ちゃんにも褒められて思わず、しどろもどろになってしまいました。

 

「ああ、十分どころか最高だ、妹尾。あの収支に不満などある訳がない、そうだろう?」

「ええ、妹尾先輩は最高の成績を残したんですよ。もっと誇っていいんです」

「加治木さん、須賀君……」

 

 思わず涙腺が……、でもまだ早いよね。泣くなら全国が決まってからがいいって私は思ったので我慢したんです。

 そうするうちに加治木さんが話し始めました。

 

「蒲原、わかってるな?」

「当たり前だろー? ユミちん、振らず逃げ切ってみせるぞー!」

「当然だな、蒲原が連れて来た妹尾がここまでやったんだ。なら、それに応えるのは蒲原の役目。

 とりあえずは昼休みだ、今はリラックスして次に備えよう」

 

 こんなに嬉しそうな智美ちゃん、初めて見たかも。それにあんな真剣な顔……。私はそう思いながら、みんなとの昼休みを楽しく過ごしたのでした。

 

 

【次鋒戦最終結果】

龍門淵高校 二年 沢村 智紀   58,400点(- 9,900点)

風 越 女 子 二年 吉留 未春  112,100点(- 1,200点)

鶴 賀 学 園 二年 妹尾 佳織  141,200点(+30,600点)

清 澄 高 校 二年 染谷 まこ   88,300点(-19,500点)

 

佳織 side out




いやー、先鋒戦より情報の無い次鋒戦。
あったのはかおりんがリーチ・一発・中を振って5200減、四暗刻をツモって32000増の二つだけ!
それと三回まこが親かぶりでかおりんにやられたってことのみ!
なので、原作と全く同じ点数だけ動かし、それぞれの控え室をお送りしました。
(また、風越が無いんですが。みはるんも二言しか話してないと言うのは勘弁してください)

着々と点を稼ぎトップに立った鶴賀、中堅戦には久が出てきますね。
はてさて、ゴッソリ減っている龍門淵とそれに次ぐ清澄。風越はトップに返り咲けるのか、次回をお楽しみに!グフッ(反応が無い、ただの屍の様だ……)
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