咲-Saki- side K 京太郎、雀士への道   作:しおんの書棚

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さー、副将戦前半がやって参りました! 早速どうぞ!


六本場 前半 副将戦 のどっち、リアルに降臨す

モモ side

 

『さあ、県予選決勝! 副将戦です!

 現在、初出場の鶴賀学園が二位の名門風越女子に三万点リード!

 このまま逃げ切るのか、それとも大逆転劇が起きるのか!

 果たしてどのチームがインターハイへのチケットを手にするのでしょう!

 副将戦に注目が集まります!』

 

 これから打つ相手が京さんの麻雀に影響を与えた原村和……、私がそう思いながら歩いていると走り抜けて行く人が。

 あの制服は……。会場の入り口に近づいた頃、目の前には龍門さんが立ち止まっていたっす。

 

「原村さん! 頑張って!」

 

「宮永さん…!?」

 

 ドアの隙間から見えたのは、応援するその声に腕を突き上げた原村和の姿。

 ……なんなんすか? それ。どうして京さんにはそうやって声をかけなかったんすか? 応えてあげなかったんっすか?

 

『副将戦、三分前です! 選手の紹介を始めます!

 さてこの副将戦、やはり注目はこの選手でしょう!

 一年生で日本一強いかも知れない昨年のインターミドルチャンピオン!

 清澄高校一年、原村和!!』

 

 うるさいっすよ、解説者さん。私の前であんまりその名前を出さないでほしいっすね、京さんを追い出した学校の名前を。

 

『そしてもう一人、県屈指と呼ばれるデジタル派!

 昨年の全国大会でも脅威の和了(ホーラ)率を誇った龍門淵高校二年、龍門淵透華!!』

 

 ああ、龍門さんは目立ちたがりなんすね? 出待ちってヤツっすか。私とは正反対……って、なんか雰囲気がおかしいっす。

 ツカツカと無言で卓へ向かった龍門さんは原村和に近づくと……。

 

「友人の痛み、この場で返させていただきますわ!」

 

 そうっすか……、そうっすね。龍門さんの言う通りっす、ちゃんと京さんのには友人も仲間も。そして私がいるっす!

 

『昨年に続き堅実な技術で今年もレギュラーを射止めました! 風越女子二年、深堀純代!

 初出場ながら堅牢な麻雀でここまで来ました! 現在トップの鶴賀学園一年、東横桃子!』

 

 そんな紹介を聞きながら私は卓へ。証明してみせるっすよ、京さん。京さんの、鶴賀の麻雀が最高だって!

 席決めが始まる中、私は京さんへの想いを胸に御守りを握り締めた……。

 

モモ side out

 

 

透華 side

 

 ここまでの打ち筋から言って、まず間違いなく原村和がのどっち(・・・・)……。ネットと全く同じとは言えませんがリアルの情報を上手く処理できていないのでは? と、わたくしは予想しています。

 

 馬鹿馬鹿しい話ですがあのペンギン、普段の環境に近づける意味があるのではなくって?

 どちらにせよ、京太郎の意趣返しものどっち(・・・・)の敗北もこの場で成し遂げて見せますわ!

 

『副将戦、開始です!』

 

 起家は風越、清澄、鶴賀、わたくしの順。わたくしは自分の打ち方を貫いて、あなたを絶対に倒させていただきます!

 そして始まった東一局の八巡目。

 

「リーチ」

 

 風越がリーチですか、この状況ではオリるしかありませんわね。鶴賀は……、愚問でしたわ。京太郎がコーチして、この程度判断できない筈がありませんわよね。

 結局、堅い面子だけに流局。風越が3,000点増えましたか、まあすぐに取り返しますから構いませんわ。

 

 続く東一局一本場も七巡目……、よくありませんわね。原村和が聴牌してますわって、それは!

 

「ロン、断么。30符1翻の一本場は1,300です」

 

 風越が振って原村和の親ですか……、ここは切り替えていきますわ。

 配牌はいい感じの二向聴、両面十分ですわね。無理に鳴かずあがりを目指しましてよ!

 

「ポン」

 

 發を鳴いてきた? 聴牌が近いんですの?

 

「チー」

 

 二副露! しかしまだ張ってはいませんわね。

 そしてこちらは一向聴! さあ、いらっしゃいまし!!

 ふっ、来ましたわ! 行きますわよ? 皆さん、よろしくて?

 

「リーチですわっ!」

 

 わたくしの気合いを他所に揃ってベタオリ……、原村和はそれだけの手牌でオリきれるつもりなんですの? そんなわたくしの疑問などどこ吹く風と流局……、本当に堅い面子ですわね。

 それにしても原村和、のどっちのプレッシャーには未だ至らず……。まだ本調子では無い様ですわね、冷静に観察を続けるわたくしはそう思っていました。

 

透華 side out

 

 

和 side

 

 東三局流れ一本場ですか……。

 不思議ですね、今までこんなことはなかったのに私は緊張していました。

 

「リーチ」

 

 風越がリーチ……。

 

 よくよく思い出してみれば中学団体戦は早々に敗退して機会がありませんでしたし、逆に今の状況は相当厳しい。

 (わだかま)りが完全に無くなったとは言えませんが、チームでの勝利をかけた決勝は初めてでしたね。

 そして宮永さんが、須賀君が見ている! この決勝で私が証明するためには対局に集中して清澄に勝利を! ……そうは思っても思い通りにいかないのが麻雀です。

 

「聴牌」

 

「ノーテン」×3

 

 東四局流れ二本場ですね……。

 

 ……今ならわかります、部長の意図が。エトペンを持つこと、ツモ切りを無意識な物にすること。全ては緊張していても私を最高の状態、部屋でネット麻雀をしている時と同じにするため必要だったという訳ですね……。

 

「ポン」

 

 中を鳴いて二向聴。

 

「ポン」

 

 七筒を鳴いて一向聴。

 

「チー」

 

 三筒を鳴いて聴牌、そして……。

 

「ロン、中のみ。40符1翻の二本場は1,900」

 

 今の私には、全てがネット麻雀の様に見えてきていました……。

 

和 side out

 

 

咲 side

 

 ……南一局、原村さんはここまで少しずつ稼いでる。堅い面子だから流局も多いけど、それでも着実に原村さんの麻雀で。私は信じてる、二人で交わした約束をきっと守ってくれるって。そして配牌を見たみんなが話し始めた。

 

「対子が五つだじぇ、ここはチートイ一択だじょ」

 

「役牌もドラも無いわ、そうでしょうね。少なくとも私ならそうするわ」

 

「うちは染め手が得意じゃけん、染めれそうなら鳴いてくがの」

 

 それぞれの打ち筋から、みんなはそう言ってたけど原村さんはどうだろう?

 

『ポンですわ!』

 

 龍門淵透華さん、だったっけ、鳴いて二向聴。断么、ドラ4ならそれが普通だよね。そして原村さんは引いてきた牌で聴牌、これはいけるかも。

 

『清澄高校の原村選手! この局面、なんと二巡目で聴牌!

 しかも深堀選手の切った当たり牌を見逃しました!

 これはどういうことでしょう? 藤田プロ』

 

『原村はリーチをかける気なんだろう、そのためにあがる確率が高い待ちを狙ってる(・・・・・・・・・・・・・・・)

 既に使った牌は15種、二回に一度は待ちが良くなる計算だからな。

 私がまくるなら使う手でもある』

 

 そういうことなんだね、原村さんの麻雀ならそうかもしれない。そして原村さんは西を積もって……。

 

『リーチ』

 

 カツ丼さんの言う通り、西に待ちを変えて原村さんはリーチをかけた。

 

『原村選手、西単騎でリーチ! 一枚は場に出ていますから残りは二牌!

 藤田プロの言う通りになりましたね』

 

『まあ、その程度、雀士なら計算するさ。

 それはそれとしてだ、この堅い面子から出あがりは期待してないだろうな。

 原村はツモる気でこの待ちを選んだ』

 

 あっ、龍門淵さんが西をツモって……オリた。そして九巡後……。

 

『ツモ、七対子。25符4翻は1,600/3,200点です』

 

 そう言った原村さんは顔を赤らめて柔らかい表情、ここから原村さんの本当の強さが発揮されるんだと私は確信した。

 

咲 side out

 

 

透華 side

 

 南二局早々、原村和の様子が変わったのと同時に強烈なよく知るプレッシャー(・・・・・・・・・・)。そうですか、やはりのどっちは! これでより一層倒し甲斐があるという物ですわ!

 とはいえ、この手牌。いえ、わたくしはわたくしの麻雀を打つ、それを忘れてはいけませんわね。心は熱く、頭は冷静に。例えそれが誰相手だろうとも。

 そうこうするうちに風越が聴牌……、ですがわたくしもでしてよ? 我慢比べと行きましょう!

 

「聴牌」×2

 

「ノーテン」×2

 

 流局……、流石にもどかしくなってきましたわね。幾ら堅い面子とはいえ異常ですわ、流石に我慢の……いえ、もう一度耐えてみせます。それで駄目な時は……。

 

 ともかく南三局流れ一本場、ここで……。

 

「ポン」

 

 この飛ばれさる不快感、いい加減ウンザリですわ。それに風越は索子を二副露、染め手が見え見えでしてよ。そして七巡目……。

 

「リーチ」

 

 親の鶴賀がリーチ? 京太郎の麻雀から行けば危険ですわね。そして風越が親リーの一発目に七筒ですって? こちらも張ったと見ましたわ。

 ……原村和からも聴牌気配、オリですわね。

 

「ポン」

 

 は? 中を鳴いてドラ3ってまさか! 待ちを増やした(・・・・・・・)ツモ狙いですの!?

 

「ツモです、中、ドラ3。30符4翻の一本場は2,100/4,000点です」

 

 やってくれましたわね、もう我慢の限界です!わたくしの親で仕掛けますわ! このわたくしが友人の仇も取れないなんて耐えられるものですか!

 

 そしてオーラス、十一巡目。断么、平和、一盃口、赤1 ……もう一手欲しいですわね。次順のツモは……原村和にできてわたくしにできないとでも? さあ待ちを増やしたこの一撃!

 

「リーチ! ですわ!!」

 

 ええ、そうでしょうとも。貴女達はそうやってオリていればいいんですわ、何故なら……。

 

「さあ、いらっしゃいまし! ツモ!!

 リーチ、一発、ツモ、断么、平和、一盃口、赤1、ドラ2、親の倍満!

 8,000オール、いただきます!! まだまだこれからですわ! 連荘でしてよ!」

 

 わたくしは声高らかに宣言しました。

 

透華 side out

 

 

モモ side

 

 そろそろっすかね……。

 私は待ってたっす、消える(・・・)のを。これだけ周りがバチバチやってて、やたらと目立つ存在が二人。ただ腕が良過ぎると消え辛い(・・・・)、だから待っていたっすよ、このタイミングを。

 

 これだけ衆目を集めれば私は意識の外、龍門さんには悪いっすけど利用させてもらうっすね。

 まずは前半戦を終わらせて、後半戦へ。そこが私の本領を発揮できる場、そのために京さんの麻雀で凌いできたっす。

 

 正直に言ってこの面子の中で本当なら私が一番脆かったっす、けど京さんとの日々が。あの合宿や毎日の対局がより一層私の体質を活かせる様にしてくれた。

 だからこその現状、そしてこれからも私は京さんが仲間だから鶴賀は強いって証明するために。あの日救って貰った命、私を孤独からも救ってくれた感謝を込めて頂点へ!

 

 っと、落ち着くっす。気持ちだけ先走るのは駄目っすね、京さんの教えがまた活きたっす。

 配牌は三向聴、まあまあっすね。まずは手堅く聴牌を目指して八巡目。

 

「リーチっす」

 

 捨て牌を見る限り、間違いなく消えてる(・・・・)っすね。できれば、あそこからあがりたいっすけど……そして十巡目。

 

「ロンっす、メンタン。40符2翻の一本場は2,900、これで前半戦は終了っすね」

 

 悪いっすね、龍門さん。いい手だったみたいっすけど諦めるっすよ? 無警戒で振り込んだ(・・・・・・・・・)龍門さんは驚いた顔をして前半戦が終わったっす。

 

『副将戦前半終了! 龍門淵高校と風越女子はほぼ元点、清澄高校はプラス収支。

 しかし依然トップは三万点差で鶴賀学園が堅守! 後半戦も要注目です!

 只今から五分間の休憩後、後半戦を行います。御来場の皆様は……』

 

 アナウンスを聞き流しながら私は廊下へ、やっぱり待ってくれていたっすね、嬉しいっす! 京さん! 加治木先輩も。

 

「モモ、消えた(・・・)みたいだな」

 

「いやー、流石に決勝は手強いっす、京さん。けど、これからっすよ?」

 

「ふっ、心強いことだな」

 

 私の命の恩人で世界一大切な人と、私を唯一見つけようとした人……。

 

「任せるっすよ、加治木先輩。

 私のリーチには誰も気づけないし、振ることもない。

 リーチにアタリ牌を打つことすら相手のフリテンになる。

 

 私は……存在しない」

 

「ちょっと違うな、モモ。存在しないのは卓でだけだろ?」

 

 京さん……。

 

「そうっすね!

 とにかくここからはステルスモモの独壇場、必ずプラス収支で繋げて見せるっす!」

 

「ああ、信じてるさ。だが、例外(・・)がいることを忘れるなよ?」

 

 そう言った加治木先輩と私が京さんを見ると肩をすくめて苦笑い、そしてこう言ったっす。

 

「モモ、これは俺の予想だけど影響力や体質も精神力に依存する。一応、覚えておいてくれ」

 

 私は京さんの言葉を疑わない、だからとびっきりの笑顔で頷いたっす!

 

 

【副将戦前半結果】

龍門淵高校 龍門淵 透華  95,500点(+15,900点)

風 越 女 子 深 堀 純 代 103,200点(-11,100点)

鶴 賀 学 園 東 横 桃 子 134,100点(-151,00点)

清 澄 高 校 原 村 和   67,200点(+10,300点)

 

 

モモ side out




展開としては原作と全く同じですが、心持ちはまったく異なります。

いやー、今回は情報過多。
パクリにならない言葉選びとかで色々と苦労しました、マジでw

とにかく楽しんで頂けたら幸いです!

なんかもモモの愛が重い? 私の書き方が悪いのかヤンデレ風味になってません?w
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