咲-Saki- side K 京太郎、雀士への道   作:しおんの書棚

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さあ、吹き荒れろ!闘牌の嵐!


六本場 後半 副将戦 逆鱗に触れる一言

モモ side

 

『それでは注目の副将戦、後半を開始します!』

 

 起家は龍門さん、風越、原村和、私。けど、今の私には関係ないっす。

 目立ちたがりだけど友人思いの人とか、腹だたしい存在感のあるパーツを持つ人がいる。

 なら、その逆がいて当然っすよね? 私は存在感が無いなんてレベルじゃなく、表現するならマイナスの気配(・・・・・・・)。マイナスは声どころか捨牌まで巻き込んで誰にも聞こえず見えないっす!

 あっ、「京さん以外」が正確っすね。

 

 そして5巡後。龍門さん、一向聴っぽいっすね。なら……。

 

「リーチっす」

 

 私のリーチはダマと一緒っす。おや、いいのを張ったっすか、龍門さん?

 

「リーチですわっ!」

 

「ドラ切りでリーチ、いいんすか? それ。

 ロン、リーチ、一発、ドラ1。40符3翻は5,200(ゴンニー)っす!」

 

 あー、龍門さんの顔が怖いっすねー。

 

「貴女っ、しっかりリーチ宣言を発声いたしまして!?」

 

「したっすよ?」

 

 ……聞こえないだけで。

 

 そこでふと視界に入ったカメラ、機械を通せば私も沢山の人に見てもらえるんすね。この試合、きっと凄い多くの人が見てるんだろうけど私を見てくれるのは京さんだけでいいっす。

 

 京さんに出逢うまで私は自己主張しない限り認識されない存在で、子供の頃からどんどん酷くなる状況にうんざりしてコミニュケーションを放棄してたっす。そんなことをしていれば余計に拍車がかかったっすけど、どうでもよかった。

 

 けど、そんな私の命を救ってくれて。普通のコミニュケーションの楽しさを思い出させてくれて、普通の恋愛だって。

 なのにそんな京さんを追い出したのは絶対に許せないっす、そして私の存在を証明してくれた様に京さんの存在は私が証明してみせるっすよ! だからいくらでも頑張れる。私は頑張るっすよ、京さん!

 

「リーチ!」

 

 おっと、思い出に浸ってる場合じゃないっす。原村和、調子良いっすね。……でも私はもうオリない(・・・・・・)っすよ。そして、これが例え当たり牌だったとしても……。

 

「ロン、リーチ、一発、平和、ドラ2。満貫は8,000」

 

 そんな、はずが……。

 

「まさかっすけど……、見えるんすか、捨て牌が?見えないんじゃ……」

 

「見えるとか、見えないとか……。そんなオカルトはありえません(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 ……は? 今なんて言ったっすか? 見えるとか見えないとかありえないって……私の存在を全否定したっすね!!

 ただ見えるって答えならまだよかった、けどそれだけは絶対に認められないっす!! 私の孤独も苦しみもわからないくせに!!!

 

 『モモ、これは俺の予想だけど影響力や体質も精神力に依存する。一応覚えておいてくれ』

 

 その時、浮かび上がったのは京さんの言葉。精神力に依存するなら……。

 私は卓でだけこの体質を心から受け入れた(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

モモ side out

 

 

衣 side

 

 この瞬間を衣は決して忘れないだろう、その場に立ち会うなどまずもって希少。まさかこれ程の物を秘めていたとは!

 

「今、奇幻な手合が生まれた……」

 

「え?」

 

「ハジメ、トモキ、ジュン。……このままではトーカは負ける。

 覚悟だけはしておけ、点が残らなければ衣とてどうにもできぬ。

 説明など一切合切不要、刮目してみよ」

 

 東三局、鶴賀の妖異が目覚めたのはあまりにも早過ぎる序盤。これではいくら点を奪われるかわかったものではない。

 実のところ、衣はあの者から微かな気配を感じていた。トーカが二度も無警戒で振るなど異常、そう思い期待していたのだが……。

 

「衣相手ならばなんとかなろうに……、いや相対してみなければ断言はできんか。

 そして今のトーカでは……、あの面子ではそう簡単に止められるものではない。

 可能性があるとするならば、治水のトーカか……」

 

 見よ、先程までトーカ以上に見えていた清澄の狼狽を。効果まではわからんが絶対的有利を齎す物なのは間違いない。

 

「アレを凌ぐには三者の協力が有効、しかしそれはあり得ん。

 ここでもキョータローが影響してくるとは……、約束を守るにしても度が過ぎるぞ」

 

『東二局で振り込んだ鶴賀の東横選手。

 不可思議な行動はありましたが落ち着いての東三局になります。

 

 それにしてもあの堅い打ち筋から危険牌を切ってまで最速で聴牌を目指す強気な打ち筋。

 随分と思い切りましたね、藤田プロ』

 

『危険牌どころか当たり牌もだ、だが全員見逃している(・・・・・・・・)

 私にも理由は全くわからんが……、あの場で何か起きている(・・・・・・・)のは間違いなさそうだな』

 

 ふっ、一応はプロということか。

 ここで見る限り麻雀自体に何の違和感も無い、見た目はな。だが誰もあがらない(・・・・・・・)

 

『ロンっす、リーチ、一発、断么、平和、赤1。満貫は8,000っすね、返して貰うっす』

 

 ……本人以外はな、そして衣はこの対局から目が離せなくなっていた。

 

衣 side out

 

 

和 side

 

 私は、私にはもういつもの麻雀が打てなくなっていました。いえ、正確ではありませんね。何故か東横さんのリーチに気づかず、しかも筋から読み切れる当たり牌を切ってしまったのです。

 

「私の親番っすね」

 

 その声は普通なのに何故こんな不安を……、とにかくもう一度あの状態へ!

 こんな時ですが手牌は応えてくれました、後は私の麻雀を打つのみです。

 

 三巡後、聴牌。ここはリーチする場面ですね。

 

「リーチ」

 

 さらに三巡後、風越からの当たり牌に……。

 

「ロン!」

 

「いいんすか? それ、フリテンっすよ?」

 

「え?」

 

 そう言われて見た東横さんの捨て牌には確かに私の当たり牌が……、そんな!

 しかし、現実に私は見逃していてフリテンに間違いは無く……。親の東横さんに4,000、子の二人に2,000を……。

 

「東四局一本場っすね、続けるっす」

 

 淡々と過ぎていく中、私はなんとか聴牌まで漕ぎ着けました。しかし、一度崩れてしまった自信を取り戻すのは難しくて。

 

「ロン」

 

 東横さんの声に思わず怯えてしまいました、しかし振ったのは龍門淵。

 

「リーチ、混一色、發、ドラ3。親の倍満の一本場、24,300っす。二本場、続けるっすよ」

 

 リーチを聞き逃した? 龍門淵も驚愕の表情で……。けれど、そこにある現実に点棒を渡すしか私達にはできなかったのです。

 

和 side out

 

 

純代 side

 

 先程から何かがおかしい、インターミドルチャンピオンの原村和がフリテンするなどいい例。ここはもうツモるしかない、それ以外は危険だと私は感じていた。

 安くてもいい、とにかく鶴賀を流すのが最優先。親を継続されて振り込めば点差の広がりが大きすぎる。

 

 一向聴の配牌! ツモのみでもいい、とにかく私は流すために最速の聴牌を目指す。そして二巡後聴牌、まだ他は張っていない。仮に出たとしてもツモ以外ではあがらないと決めて次順。

 

「ツモのみ、30符1翻の二本場は500/700です」

 

 これでいい、そしてここからはひたすらツモを目指す。それ以外はあまりにも危険だと私の経験が訴え続けているのだから。

 

純代 side out

 

 

京太郎 side

 

「ステルス中のモモが振った時にはどうなるかと思ったが……。

 あれ以降は問題無い様だな、偶然か?」

 

 加治木先輩の話を聞きながら俺はずっと考えていたことを話す。

 

「いえ、モモのステルスに偶然は通用しません。

 少なくともあの時、理由はわかりませんが和には見えていた(・・・・・)

 

 ですが、その後フリテン。

 これは何かがきっかけになってモモの体質が強化されたと見るべきでしょう。

 それが和を上回った。精神力が影響するとの仮説、当たっていた可能性が高いです」

 

「確かにあの時、何か話していたが……。流石に、ここでは聞き取れんからな。

 

 そう話しながらも南一局を見続けている。モモの表情はどこか冷たく感じるな、何かあったのは確実だ。

 そしてモモは実力を遺憾無く発揮、五巡目で聴牌か。

 

『リーチっす』

 

 ……声に感情が乗ってない、心配だな。けど、今の俺達にできるのは応援することだけだ。

 

『リーチですわ!』

 

 透華さんの追っかけリーチ、本人は自分だけだと思ってるんだろうが。

 

『鶴賀の東横選手リーチ、負けじと龍門淵透華選手が追っかけリーチ! ああっと、これは!』

 

 風越が振ったか。

 

『ロン、リーチ、一発、南、ドラ1、裏1。満貫っすね、8,000っす』

 

『前半戦、あれほど堅かったメンバーが次々と東横選手に振り込んでいます!

 そして二位の風越とは七万点差! 鶴賀の独走状態です!』

 

 一度見破った和を抑えてしまえばモモは無敵だ、唯一の弱点といえるのが風越のやった速攻でのツモのみ。

 これは……、ちょっと待てよ? そう言えば純さんが何か言ってた様な……。そうだ、冷たい透華さんだ。けど、俺はどういう状態か能力かも知らない。

 

 どちらにせよ、まだ安心はできないな、なんせ衣さんと咲がいる。点差は多いに越したことはないけど……モモ、無理はするなよ? 俺は頑張るモモを応援しつつ同時に心配していた……。

 

京太郎 side out

 

 

透華 side

 

 なんなんですの、なんなんですの!? リーチ宣言を聞き逃し、捨て牌を見逃す? このわたくしが? ありえませんわ!

 ここまでくれば、もうなんらかの能力と見て間違いありませんわね! そして比較的安全なのは風越があがったツモのみですか。

 

 いくら京太郎のチームメイトとはいえ、この場では敵。原村和はのどっちに戻れない(・・・・・・・・・)ようですし、倒すべきは鶴賀ですわ。

 やることはただ一つ、最速で手作りしてのツモあがり。それまでに振ったなら当たりご不幸、いえ先にあがってみせます、絶対に!

 

 既に南三局、残り二回はわたくしがあがって終わらせる。そう決意しての配牌は良い感じの二向聴! ツイてますわね、ここで一気に追いつけという啓示に違いありませんわ!

 

 一巡目、有効牌。二巡目、こちらも有効牌で最速聴牌ですわ! 役も跳満は確定、裏が乗れば倍満……。危険ですがこの捨て牌であがられる可能性がある以上、リスクは変わりませんわね。なら、貴女の網を潜り抜けてツモるのみです!

 

「リーチ! ですわ!!」

 

 ……通った? ならば引いてみせますわ! そして一巡後わたくしのツモ番……、っく! 何故引けませんの!? いえ、まだですわ!

 これを通して次こそは! ……通りましたわ! さあ、いらっしゃいまし!! 次こそ次こそは! そしてツモったのはまたしても!!

 

「ロン、リーチ、一発、中、ドラ3。跳満は12,000っす」

 

 その瞬間、わたくしは……。

 

透華 side out

 

 

モモ side

 

 龍門さんから跳満をあがって申告した直後から寒気がするっす、なんすかこれ……。それに点棒を渡す龍門さんの雰囲気が……。

 でもこれでオーラス、何をどうやっても36,000以上は稼げない。なら、私は最後まで打ち切ってみせるっす!

 

 配牌は……、五向聴。流石に遠いっすね、なんか急に遠くなった気がするんすけど……。

 やっぱり何かおかしいっす、なんすか? この妙な静けさは。周りを見回しても同じ様な雰囲気、龍門さんも含めてっす。

 

 今までで一番長い局になってきたっすね、誰も聴牌気配が無くてかえって不気味っす。

 けど……、遂に来たっすね? 多分この妙な静けさの原因、龍門さん!

 

「リーチ……」

 

 雰囲気が違い過ぎるっす、本当に龍門さんっすか? こっちはまだ聴牌できてないっす。

 

「ツモ……、リーチ、一発、ツモ、断么、平和、ドラ1。跳満……、3,000/6,000」

 

 終わったっすか……。でも、ちゃんと勝ったっす……よ? 京……さんって、あ……れ……?

 

『遂に決着! 副将戦最多得点は鶴賀学園の東横桃子選手!

 他校を大差で引き離し、大将戦に全国の切符を託します!』

 

 そんなアナウンスが聞こえた様な気がした……。

 

モモ side out

 

 

京太郎 side

 

「やばい!」

 

 終わった瞬間、モモの様子がおかしかった。そしてさっきのが冷たい透華さん(・・・・・・・)。走り出した俺に加治木先輩も急ぎ着いてきた。

 

「どうした! 須賀君!」

 

「モモが意識を失ったかもしれません!」

 

「何!?」

 

 一気に会場へ足を踏み入れると、ゆっくりモモが!

 

「誰か! モモを支えてくれ! 意識を失ってる!!」

 

 俺の声にいち早く動いたのは隣の和、そしてすぐに風越も。とりあえず間に合ったがギリギリだったな。

 状況を見て気づいたのか、少し遅れてストレッチャーが。そのままモモを乗せると救護室に搬送された。

 追って来た部長達がモモに付き添ってくれて助かったよ、本当に。

 

「ありがとうございました、後程お礼に窺います」

 

 俺は礼を言うと頭を下げて、その場を後にする。和が何か言いたそうだったが今はそれどころじゃないんだから……。

 

 

【副将戦最終結果】

龍門淵高校 龍門淵 透華  64,500点(-15,100点)

風 越 女 子 深 堀 純 代  96,900点(-17,400点)

鶴 賀 学 園 東 横 桃 子 183,900点(+34,700点)

清 澄 高 校 原 村 和   54,700点(- 2,200点)

 

 

京太郎 side out




原作ではあっさり受け入れたモモですが、本作では認められませんでした。
その結果、体質になんらかの強化がかかり、勝ちはしましたがリスクもある様です。

いくら和がデジタルの化身とはいえ、機械ではありません。強化されたモモの声は聞こえず、捨て牌が見えなくなり“のどっちは原村和に戻りました”。

そして遂に登場、冷たい透華こと治水の透華。しかし、出て来るのが遅かった様です。
原作でも能力者まみれでなければ簡単には出て来なかったので、モモ一人だと透華が追い詰められてやっと出て来たといったところです。

さて通常ならもう決まった様な点差ですが、化物が二人も待っている大将戦。
怖いわー、マジでw
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