咲-Saki- side K 京太郎、雀士への道   作:しおんの書棚

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いやー、思いのほか長くなりそうなので分割しました、ご容赦を。
では後半戦東場、行ってみようか!


七本場 後半 大将戦 東場 試される時

ゆみ side

 

 今のところ順調だが……。

 これから天江はより一層強化されるんだったな、しかも今日はほぼ満月。

 それに清澄が搶樌を恐れず、侵されたテリトリーをもねじ伏せてきた。こっちもまったく油断できない。そして風越だが……。

 

「ごめんなさい、華菜。来てしまったわ……、何も言えない私だけど側にいていいかしら……」

 

「お願いします、キャプテン……」

 

 ……絆、か。得てしてこういう事が力になるものだ、名門風越で二年連続大将を務め天江と闘っているだけでも賞賛に値する。今の彼女は秘密兵器の無い私の姿(・・・・・・・・・・)。ここから立ち上がれれば波乱が起こりかねんな、四面楚歌ということか。

 

 ちなみに清澄は前半戦終了後、飛び出す様に会場を出て行った。何やら逼迫(ひっぱく)している様子だったが……。

 

「ユミちん」

 

 突然よく知る声、予定には無かった筈だが。

 

「蒲原か、どうした?」

 

「良い話と悪い話があってなー。良い話はモモが起きたぞ、キョウタが側にいて嬉しそうだ」

 

 ふっ、モモらしいな。だが安心した、懸念事項が消えたのは確かに良い話だ。

 

「そうか、悪い話は?」

 

「キョウタから伝言だぞ、予想以上になったら恐らく最後まで保たない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)ってなー」

 

 なるほどな、須賀君。まあ当然だろう、ならば……。

 

「全てを賭けて乗り越えてみせよう、鶴賀の麻雀(・・・・・)でな」

 

 私は須賀君から受け取った御守りを手にそう告げて、策を準備(・・・・)した……。

 

ゆみ side out

 

 

咲 side

 

 平気だったのは集中してた間だけ。前半戦終了でホッとしたら思い出した様に、その……。つまりトイレに向かったんだけど、また迷子になった。

 こんな時、前なら京ちゃんが助けてくれたんだっけって思い知らされて……。

 

「うう……、また迷っちゃっ……」

 

「宮永さん!」

 

「原村さん!」

 

 助かった……、でも来てくれた原村さんの目は赤くて腫れぼったい。そうだよね、だって自分の麻雀を否定されて……。

 

「大敗した私が言えた義理ではありませんが……。

 大将戦の最中ですよ? どうしたんですか!?」

 

 ううん、それは違うよ? 原村さん。でも、今はとりあえず説明しなきゃ。

 

「トイレに行こうと……」

 

「……そして、また迷子になったと?」

 

 うう、きっと呆れられてるよ。京ちゃんだけじゃなくて、原村さんまで失ったら……。

 

「……何度でも見つけます、さあ急ぎましょう!」

 

「! ありがとう、原村さん!」

 

 大急ぎでトイレを済ませた私を原村さんは会場まで送ってくれた、心配だからって言って。

 

「……私が不甲斐ないばかりにここまでの大差。

 ですが信じています、宮永さんなら逆転できると。

 そして私も含めた全員からのメッセージ……全てを託します、後悔の無い最高の麻雀を!」

 

 その言葉は、その想いは私の胸に火を点けた。そして思い出したんだ、初心を。私は強い人と戦いたい、もっと勝ちたいって思ったから麻雀部に入ったんだって。

 なら今はそれだけいい、お姉ちゃんも京ちゃんも関係無い。

 

「うん、行ってきます!」

 

 さあ、魔物退治に行くよ! そして私は……、私達は勝つんだから!

 

咲 side out

 

 

衣 side

 

 楽しさのあまり思考が疎かになるとは……我が事ながら笑止千万、落ち着き考えれば至極明瞭。

 キョータローとユミの差(・・・・・・・・・・・)など歴然ではないか、ユミはキョータローの劣化したモノに過ぎん。何故なら効果がユミ自身に限定されている(・・・・・・・・・・・・・・・)

 清澄の嶺上開花は狙った搶樌以外で止められず、衣の支配は風越に効いているのが証拠だ。

 

 であれば、その強度とて劣ろう。既に日は落ち、次第に夜闇が満ちゆく。衣の能力がユミを上回った時点で……、勿論清澄の嶺上使いとて例外では無い!

 

 そして衣にあって清澄の嶺上使いに無い物、それが勝負を分ける。ユミがどこまで耐えられるか、それを試すも一興。覚悟するがいい、同卓する(ともがら)よ、有象無象共よ。衣に双ぶ者無しと刻みつけ……、勝利を衣と家族の手に!

 

『二日間に渡る熱闘、遂にファイナルゲームを迎えました!

 県予選決戦大将戦、その後半戦で全てが決まります!

 

 最終決戦を制し、トップに昇り詰め、全国の切符を手にするのは果たして!?

 運命の後半戦、開始です!』

 

 運命など切り拓く物とキョータローが身をもって教えてくれた、ならば衣が!

 すまないな、キョータロー。その教えをもって勝たせて貰うぞ!

 

 起家は風越、衣、清澄の嶺上使い、ユミ。まずは見せてやろうではないか! 知るがいい、コレが衣だ!!

 

 そして始まった東一局、なんと! もう沈むのか、ユミ……?やはり衣と打ち合えるのはキョータローのみ! ならば一切合切沈むがいい(・・・・・)! 

 十七巡目、当然衣は……。

 

「リーチ」

 

 やはりユミも……、そして清澄の嶺上使いも手出しできず。

 

「ツモ。リーチ、一発、ツモ、海底撈月(ハイテイラオユエ)、断么、ドラ1。跳満、3,000/6,000」

 

 これで約八万点差、続く東二局の親は衣。ここで連荘するとしようか!

 そして再び訪れた十七巡目。

 

「リーチ」「カン!」

 

 なんだと!? 

 

「ツモ、嶺上開花(リンシャンカイホウ)、断么、赤2、ドラ4。倍満は4,000/8,000です!」

 

 またしても邪魔するか、清澄の嶺上使い! 衣は子より親が好きなのに!

 連荘を阻まれた衣は怒り心頭。そして決めたのだ、必ず清澄を潰す(・・)と……。

 

衣 side out

 

 

華菜 side

 

 私と何故か鶴賀が蚊帳の外……、優しいキャプテンを泣かせてしまったし。東三局の配牌を理牌しながら、私は考え込んで。

 

 このままで本当にいいのか、私?キャプテンを泣かせて何もできないままで? 去年の屈辱も反省も今日までの全てでリベンジするんじゃなかったのかって思ったら、何か……きっと何かができる筈だって思えてきた。

 それに文堂から聞いた……、あんなことしたチームにも絶対負けちゃ駄目だし!

 そして思い出したんだ、私は図々しい(・・・・・・)ってことを! ありがとうございます! キャプテン!! 助かったし! 文堂!!

 

「にゃぁぁぁあああ!!」

 

 気がつけば叫んでた。今さら人目なんて気にならない、それにまだまだ頑張れるし! だって華菜ちゃんは図太いんだから!!

 ん? あれ? こんなんだったっけ? って思ったら聞いてたし。

 

「誰かイジった、牌?」

 

「いや、何も」

 

 とりあえず、ありがとう鶴賀の。

 ……なんだ、これ。さっきまでは何も感じなかったのに今は! ならイメージするし! ここからの勝ち筋を!!

 

 再開して自巡が来る度、細かった道が開ける様に自然と手が進む。一歩、また一歩と進めば進むほど何かが強くなってる気がして。

 そうだ! しっかり前を見て進むし! 立ち向かわない者になんか勝利の女神は絶対に振り向く訳ないし!

 

 私はひたすら進む、泣かせてしまった優しいあの人(福路先輩)の笑顔を取り戻すためにも必ず勝つと決めた。なら理由はそれだけでいい、そう心に秘めて……。

 

華菜 side out

 

 

美穂子 side

 

 突然叫んでびっくりしたわ、華菜。でも雰囲気が一変してる、あれは私のよく知ってる強い華菜……。お願い、応えてあげて? 今の華菜にはその資格があるでしょう? 私はモニターを見ながらそう祈っていました。

 

 「ツモ……ですが、これだと1,100にしか……」

 

 ううん、違うわ、吉留さん。華菜の目が言ってるもの、ここで終われない(・・・・・・・・)って。そして次順。

 

「一盃口……、フリテンだけどツモれば!」

 

 文堂さん、まだよ? そうでしょ、華菜?

 

「ドラを引いた……」

 

 これで4,000、けど華菜の手は止まらない。

 

「フリテン解消の平和!」「高目なら三色も!!」

 

 そうね、そうよね、華菜。今、華菜は闘ってるのに見られてない(・・・・・・)わ。なら、振り向かせるのが華菜でしょ? そしてそれが今!

 

『……リーチせずには、いられないな!』

 

 お願い! 華菜!

 

『ツモ……。リーチ、一発、平和、純全三色(ジュンチャンサンショク)、一盃口、ドラ……3!

 数え役満は32,000、8,000/16,000だし。私も混ぜろよ、勝負はこれからだ!』

 

 よく一人で立ち直ったわ、華菜! 私が見るモニターは次第に滲んだの、歓喜の涙で……。

 

美穂子 side out

 

 

ゆみ side

 

 流石と言っておこうか、風越の大将。やはりこうなった訳だが、甘く見て貰っては困るな。

 比べる物では無い、しかし私は胸を張って誇れる。六人で築き上げた鶴賀の麻雀とその結果(・・・・・・・・・・)を。

 現時点での二位は風越の約十万、そしてこちらは十六万程……。ここはもう一度、差を広げる必要があるだろう。

 

 天江は私に失望したのか清澄に目が行っている、その結果として風越がチャンスを掴んだ。

 それこそが天江の支配が緩んでいる(・・・・・・・・・・・)動かぬ証拠。

 東四局は私が親、まさにうってつけだな、須賀君。ここは君の言う私のセンスとやらを活かす時と見た。

 

 手牌から言って速攻で仕上げるには……、清澄の捨て牌を利用させて貰うのが一番だな。ならば、鳴いていく(・・・・・)

 

「チー」

 

 副露で一向聴。

 

「チー」

 

 二副露で聴牌、さて謀る(たばか)としようか。そうだろう、須賀君?

 次順、四枚目の東。態と入れ替えて目眩し(・・・・・・・・・・)、利用できるものは全て利用してペテンにかけろ!

 

 ……そして、当たり牌は天江から溢れた。

 

「ロン、ダブ東、ドラ3、赤2。跳満、18,000」

 

 さて、続けるとしようか。

 

「一本場」

 

 そう宣言した後だった、清澄が不可思議なことを言い出したのは……。

 

ゆみ side out

 

 

咲 side

 

 気持ちは本調子なのに何かが違う、私は違和感を感じて原因を探してた。合宿の時との違いは何? 昔、打ってた時とどこが違うの? そしてやっと思い出したんだ!

 

「あの、靴脱いでもいいですか(・・・・・・・・・・)?」

 

「え? あ、ああ」

 

 ちょっと変な子って思われたかな、でもやっぱり必要なことだったって脱いだら確信したんだ。

 昔、打っていた時も。合宿で打った時も、裸足の方が強かった(・・・・・・・・・)って。

 

 今は東四局一本場、トップの鶴賀とは十万点差。けど……手はある!

 

 七巡目、風越の人が張った。私の準備にはもう少しかかる、そして八巡目。

 

「ツモ、四暗刻! 一本場は8,100/16,100だし!」

 

 今回は(・・・)間に合わなかった、けどチャンスは最低四回ある。それにトップとの差が縮まるのはありがたいよね。

 

 さあ、切り替えていこうか!

 私は手ごたえを感じていた、次の機会を物にできるって確信と一緒に。

 

 

【大将戦後半東場時点結果】

龍門淵高校 天 江 衣   49,300点(-15,200点)

風 越 女 子 池 田 華 菜  128,100点(+31,200点)

鶴 賀 学 園 加治木 ゆみ 163,900点(-20,000点)

清 澄 高 校 宮 永 咲   58,700点(+ 4,000点)

 

 

咲 side out




まず最初に、この展開は原作で龍門淵がトップだった時の各部分をほぼ模しています。
その結果、華菜は原作ではあがれなかった四暗刻をあがれる訳です。

これは池田あぁぁっ!とはなりませんね、区間トップですし、今。
そして苦しいのは衣と咲ですが、まだまだ余裕で逆転できるんですよね、二人に関しては。

という事で、下手すると一万字行くんじゃ?って思いまして、東場だけを先出し。
南場は少々お待ちくださいませ♪
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