咲-Saki- side K 京太郎、雀士への道   作:しおんの書棚

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思った以上には反響がある様で投稿します、問題はストック切れが近いことですね。
読んでいただいてお分かりかと思いますが、咲で小説を書くのはかなり難しいのです。
特に私程度の実力ではどうしても時間がかかります。
加えて京太郎を説得力があるよう育てながらと言うのは結構な難題です。

好きな漫画ですし、読書の皆さんにも推しなどいると思いますのでキャラクターの扱いにもある程度の説得力を持たせるため非常に気を使いますので……。

ちなみに私は承認欲求が強いくせに豆腐メンタルという難儀な奴です。
これは一人言ですが赤いままで増えていけばいいなあと思っています、贅沢な話ですが……。


五本場 開花

京太郎 side

 

 帰宅した俺は両親から鶴賀学園への転入手続きが無事終わったと告げられた。

 本来なら転入試験があるんだけど、清澄の入試問題と答案。それに加えて清澄での素行を確認した鶴賀側がOKを出して免除になったそうな。

 モモが言ってた定員割れを少しでも解消したいがための優遇措置臭いがありがたい。

 

 教科書は他に転校していった生徒の物が新品同様であるから譲ってくれるそうだ、買わなきゃいけないのは指定の制服と体育着だけ。

 

 とりあえずそんな話を聞いた後、両親に礼を言って今に至る。

 

 持っていくのは寮生活に必要な私服類と洗面用具にノートPC、後は寝具で十分だな。

 テレビとかエアコンなんかの一般家電は備え付けってどんだけ力入れてんだか。

 

 さて、モモに連絡するか。

 

「もしもし、須賀ですが」

『モモっすよ、どうなったっすか? 京さん』

「月曜から俺も鶴賀の一員だ、クラスは1-A」

『同じクラスっす!』

 

 随分喜んでる気がするな。ま、俺も知らない人間ばかりじゃないのはありがたい。

 

『ところで麻雀はどうだったっすか?』

「東風戦二回でトップと二位……、だったんだけどなぁ。

 なんか俺には相手の能力を制限する影響力があるらしい、何もした覚えはないんだけどさ。

 

 まあ、去年の全中チャンプのデジタル打ちからお墨付きを貰ったからな。

 それなりに腕は上がったってことでいいんじゃないか?」

 

 俺はモモにそう報告した、釈然としないものを感じながら……。

 

京太郎 side out

 

 

モモ side

 

 私は、京さんの話を聞いて、見えた理由を察したっす、その影響力の副産物だと。

 でも、それだとおかしいっすね? 手を繋いで見えてなかったのを確認した時は効果が無かったっす。

 

 何かの要因であの日以降に影響力が強くなったんすかね? 私の体質に近い物を感じるっす。

 

 でも、今聞くのは京さんの気持ちを考えるとちょっと……。

 なら元気を出して貰える様に話をするっす!

 

「とりあえず余計なことは全部忘れて強くなったことを誇るっすよ!

 こんな短期間で凄すぎるっす!」

『そうだな! これもモモと出会って色々アドバイスしてくれたお陰だ、ありがとな』

 

 それだけで強くはなれないっすよ? 京さん、でも気持ちは嬉しいっす!

 

「京さんの努力の結果っすよ、けど少しでも力になれたなら嬉しいっすね。

 皆も待ってるっす、早く一緒に打ちたいっすね!」

『そっか、俺の居場所があるんだな! 俺も同じ気持ちだ』

 

 そう言った京さんの声にはさっきまでの陰りは無かったっす、私はそのことに安堵した……。

 

モモ side out

 

 

京太郎 side

 

 土曜日、新しい寝具を買って荷造り・発送。

 その後は制服を頼みに鶴賀方面へ行ったり、寮で荷解きしたりと忙しく動いた。

 

 で、今はなんだかんだで夜、俺は黒塗りの高級車に乗ってる。そして、着いた先は……。

 

「着きましたわ! 衣が待ってますわよ!」

 

 声の主は龍門淵透華(りゅうもんぶちとうか)さん、つまり此処は彼女の実家だ。

 

 いやぁ、金持ちってすげーなーと棒読みになるレベルの豪邸。

 なんでこうなったかと言えば俺が無謀にも電話して頼んだからだ。

 

 実は去年の牌譜を女子団体戦情報収集のため見てたら、当然龍門淵高校は嫌でも目に入る。

 その牌譜の中で見つけた異常な打ち手が天江衣さんと井上純さん。

 特に天江さんは海底一巡前にリーチしたら必ず海底撈月(ハイテイラオユエ)であがる。

 カンしたら嶺上開花で必ずあがる咲と同じ位の異常さだ。

 

 部長、いや、もう退部したから竹井さんって呼ぶか……。

 その竹井さんに指摘されたことが本当か確信を得るため異常な打ち手を求めた結果だ。

 

「しかし貴方もついてませんわね、今日の衣と打つなんて」

「電話でお話しましたが私の影響力が本当ならいつでも一緒では?」

「まあ、そうですわね。ですが此方もお話したように壊されても責任は持てませんわ」

「重々承知しています。

 とはいえ、自慢にもなりませんが私ほど負け慣れている打ち手はそうそういないと思います」

 

 そう話しながら豪邸を進んで行った、そうですかと言った龍門淵さんの後に続いて……。

 

京太郎 side out

 

 

透華 side

 

 この方、須賀京太郎さんといいましたか。

 彼のいう影響力が本当なら衣は閉じ籠った殻から出ることが出来る。

 

 わたくし達がどれだけ時間をかけても衣は未だ孤独のまま。

 正直なところ自分自身の力不足をこれほど嘆いたことはありませんわ。

 

 ですから賭けたのです、その影響力とやらに。

 

「衣と打ちたいなどと言う奇特な輩は(なんじ)か。

 金剛不壊(こんごうふえ)でなければ(にえ)供御(くぎょ)となるは必定、覚悟はできているな?」

「衣が自分から来るなんて珍しいですわね」

 

 何か感じるものがあったのかしら?

 

「貴女が天江衣さんですか?」

「如何にも、衣は衣だ」

 

 まあ、普通の反応ですわね。

 

「そうですか、初めまして。私は須賀京太郎と申します、今日は是非一緒に麻雀を楽しみましょう」

「衣と麻雀を楽しむ?」

「ええ、そのために来たのですから」

 

 この男、今まで出会ったことのないタイプですわ。

 今の衣を前にして、よくそんなことを! やばげ、やばげですわ!

 

「さあ始めましょうか! 最高の麻雀を!」

 

 そう言った彼、須賀京太郎さんは笑っていましたわ。本当に楽しみだと言う様に。

 

透華 side out

 

 

衣 side

 

 この男、衣と麻雀を楽しむと言ったか?

 今宵は満月、所詮は有象無象の戯言……いつまで続くか見てやろう。

 

「トーカ、ジュン」

「俺か!?」

「当然ですわね」

「では、東風戦でお願いします」

 

 ふん、即刻終了、衣の親で飛ばす!

 

 起家は衣。トーカ、ジュン、そして、キョータローとか言ったな。

 

 賽を回して配牌、理牌……。なんだ、これは? とはいえ他は海に沈むのみ!

 そう衣は思っていたのだ、この時は。

 

衣 side out

 

 

純 side

 

 おかしい、今日は満月で夜だぞ? なんで手が進む?

 しかも、あの衣からプレッシャーを感じないだと!?

 

 透華から聞いたアイツの影響力ってのは本物か?

 特に影響も無く淡々と進む場は衣を知ってる俺からすればかえって不気味だ。

 

 そして俺は気づくのに遅れたことすらわかっていなかった。

 

 アイツ! いつの間に張った!? っく、河から待ちが読みきれねぇ。

 とりあえず安牌でここを凌いで次順に流れを……流れを? 流れが感じられないだと!?

 とにかく安牌だ!

 

 衣も透華も張ってないなんてありえんのか!? 一巡がこんなにも長く感じたことはねぇぞ……。

 

「ツモ、断么、平和、一盃口、ドラ2。跳満は3,000/6,000点です」 

 

 くそ、やられた! いつもの俺なら須賀に一杯口はつかねぇ。

 鳴きを入れてるんだから、ここでツモることも無かった。

 衣の支配も効いてねぇ、俺は流れが見えない。

 

 アイツ以外全員が驚愕した、この影響力の恐ろしさに。

 

純 side out

 

 

透華 side

 

 衣の支配が……しかも満月の夜、最高の状態で破られるなんて……。

 

 それも須賀さん一人じゃなく恐らく全員、本当に場の能力者全てへの影響力。

 純が鳴けなかった所を見れば、流れも見えていなかったと言うことですわ。

 

 ですが私には関係ありませんわね、デジタル打ちで巻き返すのみですわ!

 

「わたくしの親番ですわ!」

 

 彼が理牌しないのは先程わかりました、あたり牌は河から読むしかありませんわね。

 配牌は良形、先ずは連荘を目指しましてよ! とはいえなかなか手が進みませんわ。

 

生猪口才(なまちょこざい)な、衣の支配を逃れたとて勝てると思うか? ポン!」

 

 東をポン!? 回る、衣まで回っていく。

 

「ツモ! 対々和、三暗刻、東、赤ドラ! 跳満は3,000/6,000!」 

 

 流石は衣ですわね、でも負けませんわ!

 

透華 side out

 

 

京太郎 side

 

 天江さんが海底ではあがれてない。

 海底であがるにはそこまで行く必要がある、逆に言えば、海底まで行けなくなったという事。

 

 だが流石最多得点王の名は伊達じゃない、ツモあがりは折り込み済だし腕が違う。

 けど、俺は振らない。

 

 それに楽しいだろ、天江さん?俺は楽しいぜ?

 

「俺の親番か」

 

 この人が井上純さん、あのよくわからない鳴きで他家(ターチャ)を悉く安目にしてた打ち手。

 けど俺があがった時に鳴きは無かったから、あがり目は一杯口になって高めだった。

 

 清澄での二戦、ここでの二局で竹井さんの言う通り影響力があるのは証明された訳だが……。

 それはそれで俺にとってはいいことか、純粋な麻雀を楽しめるんだからな。

 

 配牌は……ははっ、マジかよ! 俺は優希じゃねぇぞ?

 ここは行く所だろ? 俺はツモ切りで……。

 

「リーチ」

「何!?」

 

 俺の方が驚いてるさ。

 けど、この安牌がたった三枚しかない現状なら解禁するしかないだろ? リーチを……。

 さあ、もっと楽しもうぜ! 天江さん!

 

京太郎 side out

 

 

衣 side

 

 っく、何故だ? いつもなら見えるあたり牌も海底牌も見えん。

 

 だが、ツキはある! 安牌が手牌にある今は! 衣が運に期待するなど初めての事。

 しかし、この気持ちはなんだ?

 いつもは結果など見えている、それが今や一寸先は闇。衣は楽しんでいるのか? この麻雀を……。

 

「天江さん、楽しいでしょう? 自分の力で打つ麻雀は」

「己が力量のみでの闘牌、それが汝の言う麻雀なのか?」

「私だけではありません、能力の無い雀士は皆いつもこんな闘いをしてるんです」

 

 衣は問う。

 

「トーカ、ハジメ、トモキ、そうなのか?」

「そうですわね」

「ぼくも透華と同じかな」

「……同じ」

 

 ……そうなのか。

 

「俺は!?」

「貴女は運の流れを変える能力者ですわ」

「透華だって、ほら冷たい透華? がいるだろ!?」

「あれはわたくしの意思ではありません! それにあんな麻雀、わたくしは認めませんわ!」

 

 笑いが込み上げてくる。

 

「くくくっ、あっははははっ! 気に入ったぞ? キョータロー。

 衣のことは衣と呼ぶがいい、存分に楽しもうぞ!」

 

 そう告げ安牌を打つ、そして一巡後。

 

「ロン。リーチ、混一色、發、赤1、ドラ1。跳満は12,000点です」

 

安牌の無い中から衣の意思で選んだ牌は久方ぶりの振り込み。

悔しい……しかし楽しくもある、これが本当の麻雀。

 

「見事、だが次は衣があがる!」

「負けませんよ」

「わたくしもですわ!」

「てか次オーラスだし、あがれなかったら透華と俺は焼き鳥」

 

皆が騒ぐ中、キョータローは楽しそう告げた。

 

「オーラスは私の親ですね! 勝負です、皆さん!」

 

 そしてオーラスが始まった。負けぬ、絶対に。衣は初めての感情と共に気炎をあげた。

 

衣 side out

 

 

京太郎 side

 

 正直な話、地力でこのメンバーにはまず勝てない。

 あがった二回、全員が制限された能力に動揺していた。

 

 しかし呼べって言われても先輩だから、“衣さん”でいくか。

 恐らく衣さんからの出上がりは素で打った事が殆ど無かったからだろう。

 その上で安牌が無ければ、読み切れるほど河に捨て牌は無かったからな。

 

 だが、この局は違う。勝負と焼き鳥(笑)がかかっているから誰一人として油断も慢心も無い。

 

 けど、俺のやる事はただ一つ。

 振らない麻雀を打ち、期待出来ない出上がりじゃなくツモを目指す、それだけだ。

 

 配牌はまあまあな良形、高く仕上げる必要は無いな。

 他も観察しているが悪くはなさそうだし。

 

 聴牌気配に注意しつつ、局は淡々と進み中盤へ。張った……、周りも察した様に感じる。

 

 だが直後のツモで衣さんが張ったのを感じた。逆転を狙っている以上、デカイのは予想が付く。

 

「勝負だ、キョータロー!」

 

 良い笑顔が出来るじゃないか! 手出しの牌が不要牌で安牌、強いな全く。

 

「ええ、勝負です!」

 

 それでも俺は俺の麻雀を打つ。

 龍門淵さんが、井上さんが安牌を捨てながら冷や汗をかいている、やっぱり相当でかそうだ。

 

 俺のツモ、安牌を捨てて役が増えた。

 

 衣さんがツモって……。

 

「キョータロー、良い勝負であった! しかし今宵は衣の勝ちだ。

 

 ツモ! 混一色、平和、二盃口、赤1、ドラ2! 三倍満、6,000/12,000だ!」

 

 此処でツモれるのか、それでこそ最多得点王。

 

「や、焼き鳥…」×2

 

 そういえばそうだった、龍門淵さんは椅子にもたれて、井上さんは卓に突っ伏してる。

 特に龍門淵さんはショックがでかそうで、口から魂が出てる様に見えるほど。

 まったくどこに行っても俺はフォロー役か?

 

「東風戦ですから起きますよ、これが半荘なら無かったんじゃないかと」

 

 そう言うと、ガバッと起き上がる二人。

 

「そ、そうですわね!」

 

「ああ、そうだなぁ」

 

 あ、井上さんは察したのか、そこまではフォロー出来ないから自分でなんとかしてくれ。

 

【東風戦一回戦】

 衣   +27

 透華  -17

 純   -14

 京太郎 + 4

 

 まあ、出来過ぎだろうが結論は出た。

 俺の意思に関係なく同卓した能力者はそれを発揮できなくなる……、まるでモモの体質みたいだな。

 

 さて、それはそれとしてだ。

 

「衣さん、麻雀楽しかったですか?」

「楽しかったぞ! キョータロー、それでな? その……」

 

 なんだ?

 

「キョータロー、衣の友達になってはくれぬか?」

「喜んで」

「ホントか!? 二言は無いな!?」

「ありませんよ。ああ、二言は無いんですけど一つお願いが」

 

 そうなんだよ、これが辛い。

 

「願いとは?」

「普通に話してもいいですか? この畏まった口調はすごく疲れるんです」

「そんなことか! 好きにするがいい、衣は気にしない」

 

 マジか、良かった〜。

 

「あ〜息苦しかった! ありがとう、衣さん」

 

 俺の一言に全員の笑い声が響いたのは言うまでもない。

 

京太郎 side out




京太郎が影響力を持つことは証明されました、しかし何故発現したのか……。
どの様な影響力かは判明しましたが今の所そこまで、今後詳細が明らかになって行くでしょう。

ちなみにこの作品の京太郎は麻雀に対して非常にクレバーな努力家です。
また原作でもありましたがハギヨシからタコスの作り方を習った様に行動力もあります。
勿論、ハンドボール部時代に培った経験から正しい努力の仕方を知っている。
……これで育たない方がオカシイというキャラ付けがなされているとご理解下さい。
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