咲-Saki- side K 京太郎、雀士への道   作:しおんの書棚

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日間5位とか普通に驚きました。
皆さんの応援のお陰です、ありがとうございます。

第八局から書いては投稿という形になりますので、お時間いただきたいと思います。
クオリティを少しでも上げて説得力を持たせるには何度も繰り返し添削が必要なので。

ちなみにモモ可愛いとのお言葉をかなりいただいています。
ユミちんはモモを孤独から救い気配を察知できて原作の様になるなら、見えてそれ以上の京太郎とは……ねえ?(笑
個人的にモモの体質は不遇だと思っているので、少しでも可愛いく幸せそうに表現できていたなら嬉しいです。
部屋で転がりながら悶えてるの想像したら萌えませんか?w


七本場 反応

咲 side

 

 今朝はいつもの待ち合わせ時間に京ちゃんが来なかった。

 京ちゃんは優しいから、あんな態度を取った私に気を使って……。

 

 休日で冷静さを取り戻した私はそう考えて。

 本当は来るまで待って謝りたかったんだけど遅刻しちゃうから仕方なく登校した。

 一人での登校は京ちゃんと友達になった三年前から殆ど記憶に無い、それ位いつも一緒だった。

 

 教室に着いて、先生が来ても京ちゃんの席は空いたまま。

 私は風邪でも引いたのかな?なんて心配してた。

 

「HRを始める前に残念な知らせがある」

 

 残念な知らせ?

 

「須賀がご家庭の事情により転校した、急な話で挨拶出来ない事を残念がってたが察してやれ。

 理由も転校先の詮索も禁止だ、いいな?」

 

 京ちゃんが転校!? 私は想像もしてなかった現実に動揺を隠せなかった。

 

 家庭の事情、そう言われても最近お邪魔した時は……。

 そこまで考えた時、京ちゃんの家に行ったのって麻雀部に入る前が最後だって気づいた。

 一緒に帰るのも最近はずっと原村さん……。

 

 私は京ちゃんの今をあまりにも知らない。

 あんなにサポートしてくれて、いつも助けてくれていた京ちゃんの事を……。

 

咲 side out

 

 

和 side

 

 部長は須賀君にああ言いましたが……。

 そもそも同じ一年の部員でありながら待遇に差があっていいわけがありません。

 今まで私は、私達は須賀君に甘えていたのです。

 

 ですから部長を説得して一緒に打つ事、準備や後片付けを分担する事。

 そう休日に決めた私は放課後の部室に向かいました。

 

 須賀君はいつも一番に来て準備し、最後に片付けてから帰るのがわかっています。

 ですから急いで部室に向かったのですが鍵が閉まっていました。

 

「何か用事でしょうか?」

 

 そう一人呟き、鍵を取りに戻ろうとして……。

 

「原村さん。京ちゃん、転校したんだって」

「宮永さん? 須賀君が転校、ですか?」

 

 聞こえて来たのは不意に現れた宮永さんの言葉。

 けれど私の問い掛けには何も言わず、鍵を開けると準備を始めました。

 

 雀卓の準備を黙々とする宮永さん。

 私は須賀君がいつもしてくれた様に飲み物の準備を始めました。

 

 少しして優希が珍しくおどおどしながら現れて一言。

 

「なんで、のどちゃんが飲み物の準備してるんだじょ? 京太郎は?」

「いない人に準備は出来ないよ、優希ちゃん。だって突然転校したんだから。

 理由もどこに行ったかも家庭の事情だから詮索禁止だって先生が」

「え?」

 

 優希も、勿論私もですが須賀君が突然転校したこと以外何もわかりませんでした。

 

 ただ淡々と感情の乗らない声で聞こえてくる宮永さんの言葉。

 それが宮永さんの喪失感から来るものだと何度も転校を繰り返した私にはわかったのでした。

 

和 side out

 

 

優希 side

 

 京太郎が転校した、わかったのはそれだけ。

 

 本当は今日謝って、部長にお願いして一緒に打つつもりだったんだじょ。

 だって南場ならいつもあんな感じだし、東場でも咲ちゃんやのどちゃん相手だと上がれない事が結構多いって思い出したから。

 

 私は休日、自分のメンタルが弱い事に気付いて。

 それを克服しようとして、京太郎に協力をお願いするって決めた。

 

 でも京太郎はもういない。

 そう思いながら部室を見回すとホワイトボードに張ってある封筒が目に入った。

 

「封筒が張ってあるじょ」

 

 そう言いながら封筒を手に取ってみる。表には“清澄高校麻雀部の皆さんへ”、裏には……。

 

「京太郎からだじょ!」

 

 私の声に二人が振り向くのと、部長と染谷先輩が入ってきたのはほとんど同時だった。

 

「何かあったんか?」

「須賀君がどうかしたの?」

 

 似たような言葉が聞こえてくる。

 

「京ちゃんが転校しました、麻雀部の誰にも理由すら知らせずに」

 

 咲ちゃん……。

 

「家庭の事情だから転校先も理由の詮索も禁止らしいじょ。

 でもホワイトボードに京太郎からの封筒が張ってあったんだじぇ」

 

 私はそう付け足して部長達に説明する、そして部長に封筒を手渡した。

 

優希 side out

 

 

久 side

 

 須賀君が転校した? 家庭の事情で?

 

 私は驚きも限度を超えるとかえって冷静になると知った。

 その結果、さっきの説明に違和感を覚える。

 

 理由は言えなくても転校することは伝えられる筈。

 それをあの須賀君がしなかったとしたら、伝える気がなかった(・・・・・・・・・)という事。

 

 それともう一つ、ここで二度と打たないって言うのはこう言う事ね。

 それは転校するからか、それとも……。

 

「本当に家庭の事情なのかしら……。

 

 いえ、それよりも大切なことが。

 須賀君の献身に恩返しが出来なくなってしまった事、本当に心苦しいわ……」

「家庭の事情じゃなかったら私達が追い出したんです!

 個人的な理由に京ちゃんを巻き込んで! だってクラスでは何も問題なかった!」

 

 しまった!

 最初の余計な一言が一番身近だった咲の燻っていた感情に火をつけて全員へと叩きつけられる。

 部室は静まりかえって誰も話し出せない空気が広がっていた。

 

「今日は解散じゃ」

 

 え?

 

「こんなんじゃ練習する気にもならんじゃろ、わしと部長で片付けるから三人は早う帰り」

 

 まこがそう言うと咲は鞄を持って無言で出て行く。

 

「宮永さん!」

「咲ちゃん! 待って!」

 

 そして、そんな咲を心配した二人が追いかけて行った。

 

久 side out

 

 

まこ side

 

 全く世話の焼けるやつじゃの、久は。私は二人きりになったところで話しかけた。

 

「久は、たまに余計な事をいう癖がなおっちょらんの。

 憶測で物を言わんとも封筒があったじゃろうに」

 

 わしの指摘に封筒を見ながら、そうねと一言。そして開けた封筒から出て来たのは退部届だった。

 

「一身上の都合により退部します、か」

 

 わしも久が予想した通り家庭の事情じゃないと思っとった、だから驚きは少ない。

 

「他に何か入っとるんじゃろ?」

 

 態々退部届だけを封筒に入れる必要はなか、同封する物が無い限りはの。

 

「一人一人に手紙があるわ」

 

 そう言うとわしの分を手渡された。

 

“染谷まこ様へ

 

 入部した当初、とても楽しい日々でした。

 あの日々が続けば、私が転校することはなかったでしょう。

 

 頂いたアドバイスの数々、遅くなりましたが私の力となり心から感謝しております。

 

 他校へ転校する私は、そこで麻雀部の一部員として。

 一人の雀士として研鑽を重ね大会に出場します。

 

 ですので清澄を応援することは出来ませんが健闘をお祈りいたします。

 

 元清澄高校麻雀部 サポート係 須賀京太郎より”

 

 手紙の内容に不満はなか、転校理由は恐らく麻雀を打たせなかったことかの。

 確かに入部当初、京太郎は楽しそうに打っとった。これはわしらに非があるの。問題は……。

 

「サポート係ってのはなんじゃ?」

「それは私のせいね……」

 

 そう言った久は酷くショックを受けたようじゃの。

 

「何が書いてあるか見ても大丈夫か?」

 

 そう聞いたわしに久は頷いた。

 

まこ side out

 

 

久 side

 

 私は何もわかってなかった、須賀君がどう思って日々を過ごしていたのか何一つ。

 

「自分の馬鹿さ加減に嫌気がさしたわ」

 

 そう言って、まこに手渡す。

 

“竹井久様へ

 

 今年最初に入部したのは私だったのを覚えておいででしょうか?

 入部した当初のとても楽しい日々。

 あの日々が続けば、私が転校することはなかったでしょう。

 

 初心者の私は女子経験者五人が揃った時点で居場所を失いかけました。

 そんな時、部長にサポート係を任せて頂いたお陰で、部に居場所ができたことを感謝しております。

 

 ですが私は麻雀を楽しむために、強くなるために入部したのです。

 

 ですから今週四日間。

 私は意欲を見せ、声をかけて頂けるのを待ちましたが残念ながら何もありませんでした。

 

 その結果、木曜日の放課後。

 私は転校手続きを行う事に決め、金曜日には既に秒読み段階まで進んでいたのです。

 

 他校へ転校する私は、そこで麻雀部の一部員として。

 一人の雀士として研鑽を重ね大会に出場します。

 

 転校先は事前調査で指導の確約と、環境が整っている事を確認済。

 また楽しく麻雀を打ち強くなる、それだけが私の望みです。

 

 ですが私は部長を責めている訳ではありません。

 二年待った団体戦、最後の機会に全力を尽くすのは当然です。

 どうか悔いのない大会となるよう祈っております。

 

 元清澄高校麻雀部 サポート係 須賀京太郎より”

 

「あいつ、なんちゅう勘違いを……」

「でも、須賀君がそう思うのも無理ないわ。

 私は須賀君の言う通り何もしなかったし、サポートを全面的に任せた。

 

 せめて一言で良かったのよ。

 大会が終わるまで専念させて欲しいってお願いするだけでも結果は違った筈。

 指導だって実力に合わせた課題を与えておけば……」

 

 “後悔先に立たず”とはこのことね、あの違和感を感じた時にもっと追究しておけば……。

 

 いえ、今更よね。

 私はベットに倒れ込むと腕で顔を覆った、去ってしまった大切な仲間の心中を想って。

 

「のう、久。気付いとるか?」

「何を?」

「おんし、今年のために悪待ちするっていっとったの?」

 

 ああ、言ったわね。そして団体戦メンバーが、全国すら目指せる女子が遂に揃った。

 

「ええ、そして遂に揃ったわ」

「いや、それは間違いじゃ。

 悪待ちでツモった牌は京太郎、京太郎が入部してなければ咲は来んかった。

 

 わしも人のことは言えん。

 じゃが久が卓に叩き付けたようとした京太郎は去ってしまった、これではもう上がれん。

 

 ……これから大変じゃぞ? 特に咲と和は」

 

 私は、まこの言葉に愕然とした。自分の犯した過ちの大きさに。

 

久 side out

 

 

和 side

 

 宮永さんを励ましてから帰宅した私は須賀君へ電話しました。

 

『おかけになった電話は現在お客様の都合によりお繋ぎ出来ません』

 

 繋がらない、優希はどうでしょう?

 

『どうしたんだじょ、のどちゃん』

「優希、須賀君に電話は……」

『繋がらなかったじょ……』

「清澄とは完全に縁を切るという事ですか……」

 

 これは部長の言う通り家庭の事情ではありませんね、あの封筒に答えがあるのでしょうか?

 

『のどちゃんも?』

「ええ、繋がりませんでした。とにかく今日は休んで、明日封筒の中身に期待しましょう。

 おやすみなさい、優希」

「おやすみだじょ、のどちゃん……」

 

 優希もショックが大きいようですね、須賀君とは仲が良かったから余計に。

 

「私もそろそろ休むとしましょう、今日はネット麻雀という気分になりませんから」

 

 人のことは言えないようですね。

 私自身、須賀君の堅いデジタル麻雀が嫌いではありませんでした。

 いえ、むしろ共感できて一緒に打つのが楽しみになっていたんだと気付いたのですから。

 

和 side out

 

 

透華 side

 

「という事でした、透華様」

 

 ハギヨシの報告を聞いた私は耳を疑いました。

 確かにやっと揃って出られる最初で最後の団体戦、かける意気込みはわからなくもありません。

 

 だからと言って部員一人を放置するのは筋違い。

 ご自身の言う通り、通すべき筋という物があります。それを何一つ行わないなんて……。

 

「論外ですわね」

 

「キョータローが不憫でならん。

 だが衣は鶴賀への転校を早期決断したキョータローの決意を推す。

 そこで研鑽錬磨したならば……。

 

 県大会男子個人戦。キョータローは台風の目となろう、間違いなく予想外の結果が出る。

 成長次第ではあるが全国へ行くことも十分考えられるぞ」

 

 確かに。男性雀士に能力者は少なく競技人口も同様、そのうえ京太郎に能力は効かない。

 ならば必要なのは実力ですが……。

 驚異的に伸びているところで指導が加われば更に加速することは自明の理。

 

「やはり惜しかったですわ」

「だが友達の門出だ、衣は祝おうぞ! キョータローに幸あれと」

 

 そう言った衣は笑顔でした、ただ……。

 

「まあ、清澄に活路無し。

 そのマコと言ったか? 奴の言う通り自滅するか、衣達に蹂躙されるかの違いはあろうがな」

「うちとあたるまで持つか?」

「京太郎の言う通りなら能力者の巣窟なんだよね。

 チームワークが取れなくても個人能力で県大会なら上がってくるよ、きっと」

「……どちらでも一緒、清澄は消える運命」

 

 やはりそうなりますのね、わたくしはその言葉に苦笑いで頷いたのでした。

 

透華 side out




残された清澄の面々、事情を知った龍門淵の友人、それぞれの反応が今話の内容になります。
まあ、妥当な線かな? と個人的には思っていますが如何でしょう?
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