2話 目覚め
最初に見えたのは、白い天井だった。
視界は、まるで天国のように白いモヤに包まれていた。
目覚めたばかりのためか、それとも、部屋の横にある、一面の大きな窓から差し込む日の光のせいか。
「なに……っ!?」
短い女の声が聞こえた。
顔だけを斜め横に向け、目を上の方に向ける。
ショートカットで巨乳の女子生徒は、座ったまま、辺りをキョロキョロと見渡していた。
そして気づいた。
ふたりは、円形に設置された椅子の中心にいることを。
私はようやく、身体を起こした。
眼鏡をかけた男子は、大きな窓の並ぶ方へ向かった。
窓を片手で横にスライドさせると、簡単に開いた。開かないと思っていたのか、眼鏡男子は私たちの方に顔を向ける。
「やめた方がいいぜ」
茶髪の大柄の男は、椅子の背もたれに腕を乗せ、眼鏡男子にそう言った。
「天井の監視カメラ。あとコレ」
天井に吊るされている、複数の監視カメラのうちのひとつを指差し、次に自分の首に手を持ってきて、パチンとデコピンをする。
彼の首に付いている銀色の鉄製の首輪。
それは私にも。そしてすぐそばに座ってる、ショートカットの女子の首にも付いていた。
「どういう状況……?」
センター分けの男子は、そう言ってゆっくりと立ち上がる。茶髪の大柄の男は、そっちを見ろと言うように、顎をくいっと動かす。
「古いテレビ?」
と、私は静かに呟く。
「おい、そこの髪短いメガネ!」
「……あ?俺の事?」
短髪のメガネ男子は、自分の事だと気づくと、茶髪の男の言い方に不満があるように、怒り交えの返事をする。
「そうだよ、お前」
この場で眼鏡をかけているのは、窓側の壁にいる、髪の長い男子と、テレビ付近に座っている短髪の男子の2人だった。
「そこに寝てるやつ、起こせ」
「は……?起こせって……」
彼の視線の先には、まだ目覚めていない女子がいた。
「良いから、はやく」
「……いや、でも」
寝ている子が女子のせいか、躊躇う短髪のメガネ男子。
茶髪の大柄の男は「はぁ〜〜」と深いため息をつくと、ズカズカと寝ている女子の方へ進んでいく。
男は女子の身体を揺すり「起きろ」と声を掛ける。
「……ん」
パーマのかかった、お嬢様のような女子はゆっくりと目を開ける。
「お前がラストだな」
その言葉のあと、私は周りの男女を確認する。
全員がバラバラの制服を着ている高校生だと認識した。だけど自分の住んでいる市にある高校の制服ではないモノばかりで、別の県や市から集められたモノだと理解した。
彼がそう言って、5秒くらいが経った。
ブゥンと音を立てて、古いテレビは青い光を放った。
『人狼ゲームの始まりです』
画面には、白い文字でそう表示されていた。