『人狼ゲームの始まりです』
突然、青い光を放ったテレビには、白い文字で、そう表示されていた。
「人狼ゲーム?」
円形の椅子の中のもうひとり、私よりテレビ側に立っていたショートカットの女子は、首を傾げる。
『建物の備品の破壊・建物からの脱出・他人への暴力 その他ルール違反を犯した場合、処罰の対象となります。』
「その他ってなんだよ?」
「外部との連絡とか、犯人たちに都合の悪い事」
センター分けの男子が呟き、近くにいた細くて顔立ちの良い、長いポニーテールの女子がそう答える。
『各自、椅子の上の封筒から、自分の役職を確認してください。自分の役職カードを他人に見せたり、見られたりしても、処罰の対象になります』
「みんな、それぞれ封筒を取って、壁に背を向けて見ろ」
茶髪の大柄の男はそう言うと、自分の名前の書いてある封筒を探し、椅子の上から取って壁側に向かっていく。
次に動いたのは、長いポニーテールの女子。
その様子を見て、ひとり、またひとりと封筒を取っていく。
「岳田さん……?これ」
「あ、ありがとう!」
残りふたつになった時、ショートカットの女子が封筒を取って、手渡ししてくれた。名前も、恐らくその時に見たのだろう。
私・岳田菜穂はテレビの後ろ側に行って、封筒の中身を取り出す。白い厚い紙が折って入っていて、その中に役職のカードが入っていた。
“予言者”
そう書かれていた。
「人狼2人に狂人1人か……じだな」
茶髪の大柄の男は、そう呟く。
最後の辺りは、小さな声だったから、何を言っているのか聞き取れなかった。
「岳田さん、画面変わったよ。見た方がいい」
「へ?あ、うん」
ショートカットの女子に指摘され、カードは急いでスカートのポケットにしまい、封筒を片手に、再びテレビの前に移動する。
『構成 人狼側:人狼2人
村人側:村人4人・予言者1人・用心棒1人・霊媒師1人
その他:狂人1人』
自分の役職の文字、予言者が1人と書いてある。
菜穂は、意味がわからず、じっと画面を見つめていた。
『予言者は、毎晩1人を選んで、その人が人狼側か村人側かが分かります。狂人は村人側と表示されます』
『用心棒は、毎晩1人を選んで、その人を人狼の襲撃から守る事ができます。ただし自分は守れません』
『霊媒師は、その日の投票で殺された人が、村人側か、人狼側かが分かります。狂人は村人側と表示されます』
『狂人は、人狼の勝利時に勝利します。村人側としてカウントされ、予言者、霊媒師の結果には村人側として表示されます。』
と、役職の説明が流れていく。
自分の役職は、どうやら毎晩、誰かひとりの陣営を知る事ができるものらしい。
『毎晩9時までに、この部屋に集まり、人狼と思う人をひとり、投票で決めてください。最多表を集めた者は、処刑されます。』
『皆さんは、夜10時から朝6時までは、自分の部屋にいてください。』
『ただし人狼は、夜12時から2時までの間に、部屋を出て、村人をひとり、殺してください』
『従わない場合、全員死亡します』
処刑される。死亡する。
その文字に、変な重みを感じた。
「死なない、よね?」
お嬢様女子は、近くにいた前髪を分けたのロング女子にそう訊ねる。ロング女子は「知らない」と冷たく流す。
『人狼が全滅した場合、村人側の勝利、』
『人狼と村人側の人数が同数になった場合、人狼の勝利となります。』
『勝利した側には、1億円をお支払いします』
『それでは皆さん、頑張って生き抜いてください』