『それでは皆さん、頑張って生き抜いてください』
その文字が最後、テレビは音を立てて暗くなった。
そんな時も束の間、男性陣の中でひとりだけ背の低い男子は、両手をポケットに入れながら「ルール説明ってか?」と苦笑を交え、呟いた。
「この中で、人狼ゲームをやった事ある奴は?」
茶髪の大柄の男は、自分の右手を挙げ、全員に向かって問いかける。ずっと壁に寄りかかっているポニーテールの女子は静かに手を挙げる。
それから、ロング女子に窓側のメガネ男子、センター分け男子と短髪メガネの男子が手を挙げる。
遊びで人狼ゲームをやった事がある人は6人。
自分とショートカット女子、お嬢様女子に背の低い男子の4人は未経験だ。
「ま、やった事があると言っても1回くらいだけどな。俺は」
大柄の男はそう言うと、ポニーテールの女子の方に視線を送った。同じように私も、ポニーテールの女子に視線を送るも、彼女は窓側ばかりを眺めていた。
「知り合い?」
その視線を不審に思ったのか、前髪を分けたロング女子はそう質問する。
「……その件で、全員に話しておく」
茶髪の大柄の男は、テレビの前に立って全員の視線を集めた。
「俺は、この命懸けの人狼ゲーム、2回目だ」
◇◆◇
最初に口を開いたのは、背の低い男子。
「2回目って、どういう事っすか」
「昨日くらいかな……まで、あの女と、それ以外の知らない8人と同じように人狼ゲームをさせられてた。俺とあの女以外、全員死んだよ」
全員死んだ。
その言葉は、この場のほとんどを凍らせた。
「ちょっと待って……マジ?」
ショートカット女子は、不安そうな声で訊ねる。
「ねえ、ほんとなの……?」
お嬢様女子は、ポニーテール女子にそう訊ねる。
茶髪の大柄の男は、静かに頷く。
同じように、ポニーテール女子も頷いた。
「だから、俺はこのゲームを一度やってる人間として、絶対に勝ちたい!いや、勝たないといけない!死にたくないし、それに、俺は前半戦の8人の命を背負ってる!ここで死んだら、あいつらの死が無意味だ!」
その時、ポニーテール女子はふっと笑った。
「あ?おい、海老原!」
「……なに」
「こっちの台詞だ。何笑ってんだよ?あ?」
「別に」
大柄の男は舌打ちをする。
「ちょっと待って、後半戦ってなに」
「お前らは初めてだろ?このゲーム、1回だけ勝っても解放されない。また眠らされて、後半戦をやらされる。俺とあそこの海老原がそうだ」
ポニーテール女子・海老原さんの方を見つめる。
彼女は、大柄の男と一切視線を合わせない。
「今の話を聞いて、前半戦だの後半戦だの、よく分かんないし、まだ軽く感じてると思うが、それも今だけだ。全員、覚悟してこのゲームをやれ!」
大柄の男は、大きな声で全員に忠告した。
そのタイミングで、海老原は壁から離れる。そして、ひとりでこの大広間の出口に向かって行った。
「おい海老原、待て」
「なに?説明は終わったでしょう?」
「役職確認だろ?」
「……今?」
「ああ、今」
海老原さんは、扉の前で足を止めた。
すると、大柄の男は再び、右手を上に挙げた。
「俺は、予言者を引いた」