人狼ゲーム BLOOMS《ブルームズ》   作:海老原

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5話 予言者と霊媒師

 茶髪の大柄の男は「予言者を引いた」と言った。

 少しの間を置いて、ようやく理解した。

 

 ――あれ?予言者って、私が引いた……

 

「あ、あの!」

「あの」

 

 私は、急いで手を挙げた。

 そして、短髪メガネも自分と同じタイミングで言葉を発した。

 

「お?なんだ?」

「私が、予言者引いた……よ?」

 

 大柄の男は「そっちは?」と短髪メガネの方に顔を向ける。短髪メガネは少し戸惑い、首を横に振った。

 

「いや、ちょっとルールが曖昧で」

「んだよ、紛らわしい」

 

 そう言うと、大柄の男は私の方に歩いてくる。

 この男は確実に嘘をついている。

 

「俺は撤回する。てことで、予言者は彼女で決定な?」

 

 頭が追いついていない。

 すると、大柄の男はクククク……と笑い始めた。

 

「あはははは!バカだなぁ!あはははは!」

 

 突然大きな声で笑い始めた男。

 

「このゲーム、村人側の勝ちだよ!あはははは!」

「……へ?」

 

 私は、言ってる意味が分からなかった。

 

「予言者は確定!そこを用心棒が守る。毎日、確実に陣営が判明していく。人狼ならばラッキー、村人ならば投票の候補から外す!」

 

 演説をするように、ペラペラとジェスチャーありで語っていく男を見て、少しの怖さを覚えた。

 

「じゃあ次、霊媒師」

「はい!俺っす」

 

 すぐに手を挙げたのは、背の低い男子だった。

 

「あーお前?」

「そうですっ!」

「他は!」

 

 だが、誰も手を挙げない。

 その様子を見て、大柄の男は呟く。

 

「こりゃ、人狼2人とも、さっき手を挙げた人狼ゲーム経験者の可能性が高いなぁ〜」

 

 人数的に、未経験者が2人減って、残り未経験者がショートカット女子とお嬢様女子だけになったというのもあるだろうし、何か別の考えがあるのだろう。

 

「今日の投票は、海老原を加えた男子4人、計5人の中から行う!とりあえず、今は議論しても仕方ない。それぞれこの建物を探検なり、互いにコミュニケーションをとるなり、好きにしてくれ。ただ、禁止行為で自殺はしないように!それじゃ!」

 

 大柄の男はそう言うと、ひとりで出て行った。

 続くように、海老原さんも出て行く。

 

「予言者さん」

 

 短髪メガネの男子に、突然呼ばれた。

 

「あの仕切ってる男、あいつが怪しいです」

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 私は「よく分かんない」とその場を流し、大広間を後にした。廊下を進み、自分達の部屋の階らしき場所に来た。

 

 ドアには名前のプレートが貼ってある。

 503の自分の部屋を見つけ、中に入った。

 

 ベッドにタンス、机にテレビ、質素な場所だが、とりあえずこう言った家具はあるらしい。部屋の小さい古いテレビを付けてみるが、電波が悪いのか何も映らない。

 

 何用なのだろう?

 菜穂は、自分のポケットから役職カードを取り出すと、下の方に文字が書いているのを見つけた。

 

『夜10時から12時までの間に、テレビをつけて、正体の知りたい人の部屋番号を選択してください。テレビの画面に表示されます』

 

 テレビは観るようではなく、

 役職の為にあるものらしい。

 

 ベッドに横になり、天井を見上げる。

 褒められた事で緊張は少しだけ和らいだが、ひとりだと心細かった。部屋を出て、探検をすることにした。階段を上がり、屋上にやってきた。

 

 秋の涼しい風が吹いている。

 遠くを見るが、木々ばかりで建物の気配はない。

 

「あーーーーーーっ!!」

 

 私は叫んだ。

 山じゃないから、山彦は帰って来なかった。

 

「だ〜れにも〜気づかせたり〜は〜」

 

 次は、歌い始めた。

 それも、大きな声で。

 

 不安を少しでも消す為に、大きな声で。

 叫ぶように歌った。

 

「歌!……上手いのね」

 

 屋上のドアの前には、海老原さんが立っていた。

 夢中で歌ってたから、全然気配に気づかなかった。

 

「あ、いや……」

「ごめんなさい?あまりにも気持ちよさそうに歌ってたから、少し聴いてた」

「は、恥ずかしいなぁ〜あははは……」

 

 海老原さんは、隣に来てその場にしゃがんだ。

 

「余裕?」

「へ?」

「絶対に殺されない位置。少し余裕があるでしょう?」

「……あ、いや」

「嘘つかなくていいわ」

 

 海老原さんの言う通りだ。

 褒められたって言うのもあるし、夜は守られていて、昼は投票されない。自分は絶対に死なないのだ。

 

 さっきまでの安心感は、そのせいかもしれない。

 そして今、それを指摘されて安心感が確信に変わった。

 

 その瞬間、不安と緊張は一気に解けた。

 

「あなたに占われたら、私は明日から投票対象から外れるわね」

「あ、じゃあ今日の夜……」

「軽い冗談。本日の議論から、あなたが思った場所を選んでもらっていいわ」

 

 海老原さんはそう言うと、前髪をさっと流すしぐさを見せた。

 

「さっきの、このゲーム2回目って話……」

「事実よ。8人は死んだわ」

「本当に、死ぬんですか……?」

「ええ、死ぬわ」

「……あの男の人は、前回の仲間なんですよね」

「仲間っていうか……何とも言えないわ」

「凄いですよね、あの人」

「凄くないわ。前回、私はあの男のせいで死にかけた」

 

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