「ねえ広星だっけ?あの城はなに!?」
俺がETよろしくチャリンコで空中散歩(強制)してると、八つ橋などが俺に飛んで追いついてきた。
「俺もわからん!」
「そういえば私のご先祖様が昔、上下逆の城を打ち出の小槌で出したって聞いたの!」
「なんだっていい。拠点を手に入れるチャンスだ」
「思いの外冷静だな。正邪」
「わぁ〜、すっごぉい〜♪これで満足?」
「誰がゴロリの真似しろっつった!?」
とか話し込んでたら、もう城の入り口は目の前だった。
城はやはり和風だが、修学旅行とかで入った城と圧倒的に違ったのは、木製のなんかデコボコした天井を踏みしめ、見上げれば畳があることだ。そして、箪笥などの大きな家具は上の畳にへばりついてるようだが、本や刀など、小物は天井に転がってるものもあり、奇妙でたまらなかった。
正邪はキョロキョロと辺りを見ながら言った。
「中は思ったより綺麗だな」
すると弁々が身震いして言った、
「なんだか寒いわね」
そして針妙丸がおずおずといった。
「ね、ねえ……もう帰ろう?」
正邪はけらけらとからかう。
「なんだよ針妙丸。びびってんの?」
その時。
パリンッ
「!?」
皿が割れた音に針妙丸がすくみあがった。
俺は何と無くその辺に落ちてた伊達眼鏡を拾い上げてかけて、指でメガネを抑えながら言う。
「バカバカしい。お化けなんているわけないでしょう。常識的に考えて」
俺はスタスタと歩き出すと、後ろから針妙丸の声がした。
「あ、ねえ広星!気をつけてね!」
廊下を歩き、台所らしきところのドアを開けた。
やはり上下逆転していて、本来は換気用の窓から外が覗けそうだった。
そして、さっきの音の発生源を見つけるのにはそこまで時間はかからなかった。
「皿が割れてるな」
なんとなく皿の破片を回収した後、窓から外を見下ろしてみた。
そして、何かが近づいてることに気づいた。
遠くてわかりにくいが、遠くから見えたのは銀と緑の人型、そしてそれについていってるビニール袋のようなものだった。
『ご主人様!注意してください!多分あの人は敵です!』
「うわ!?なんだサユリか……なんかお前声の音質良くなってね?」
『そんなことどうでもいいですから!さっさとあれを止めに行くべきです!』
「はいはい、うるせえな……まぁ、一応連絡してからな」
俺は走ってさっきまで正邪達がいた玄関に戻った。
「おい!皆!敵襲だ……あれ?」
がらんとした空間に届け先をなくした俺の声が虚しくとけていく。
「……みなさん?」
舌打ちし、天井に落ちてた刀を何と無く拾い、俺は外に飛び出した。
「うわ……くそ」
俺が城からでてくると、外は嵐が吹き荒れてた。
そして遠くから琴や琵琶の音色が聞こえる気がする。
俺が風の中でなんとか方向制御をなして先ほど見えた者に接近すると、それは俺に刀を向けた。
銀のおかっぱに黒いカチューシャ、ワイシャツの上に緑の上着をきたようで、白くてでかいビニール袋のようなもののおまけ付きの少女だ。
「単刀直入にいいます。あなたがこの異変の首謀者ですか?」
「答えはNo」
「なら通行の邪魔です。今どいてくれたら命は保証します」
「答えはNo」
「……全く、正面突破にかかった霊夢さん達に二人もいってるから、こっちは手薄かと思いましたが……うまくいきませんね」
「世の中は甘くはねえぜ」
俺は息をはき、魔力をためる。
「ルールは俺の攻めで、カードは五枚、OK?」
「いいですよ。どのみちあなたの負けですから」
俺は領域を展開し、弾幕を適当にばらまく。気の赴くまま適当に。
そして、ちゃっかりウェストポーチに手を突っ込み、カードを取り出し、そこで少し驚いた。
スペルカードの名前が変わってたのだ。道具を使う俺のスペカ、全部。
「……なんじゃこりゃ……」
左右に特に意味もなく飛び回りながら呟いた。そして、何故かに気づいた。
「あのチャリンコといい…もしかしたらあの打ち出の小槌は道具全てに影響を与えたのか?」
少女が通常弾幕に当たってくれる気がしないので、スペルカードを発動する。
「妖器【ビームコンフューズ】!」
スペルカードをつかんで叫んだ途端、自分が何をすべきか頭にパッと理解した。
俺はリュックサックから彫刻刀をケースごと取り出し、ケースの蓋を開けて少女の方向に投げつけると、空いた蓋から彫刻刀が飛び出して空中で停滞する。
「でぇい!」
尾を引く妖力弾を主に彫刻刀狙い、たまに少女狙いでばらまく。
彫刻刀に当たった弾は拡散し、あたりに比較的小さい妖力弾をばらまく。彫刻刀に当たるたびに弾は拡散し、連鎖する。
「こ、これは……こうか」
少女はうろたえつつも順調にかわしていく。
「なら、これはどうする!?」
俺が尾を引く妖力弾を彫刻刀のケースに当てると、彫刻刀達がガタガタと動き、拡散のパターンも変わる。
「うっ!?妖器【一刀両断剣!】」
少女は手に持った刀を二本を柄で連結し、頭の上で掲げて振り回してから袈裟斬りをすると、剣の軌道の形に光が現れ、こちらに飛んできた。
「また戦争がしたいんですか!あなた達は!」
こちらが攻めなのでかわせるわけもなく、胸から腹にかけて斜めに鋭い痛みをおぼえながらスペルカードを取り出して、叫んだ。領域を貼ってなかったら多分内臓までズタズタにされたんだろうなぁ。さっきの。
スペルカードを取り出し、叫ぶ。
「ちっ!妖器【疑似餌と釣り】!」
俺は御守りを取り出し、くるくると指の先で回してから、投げると御守りは光を放ちながら大きくなり、ゆるりと飛び回りながら弾幕をばらまく。
「……?その程度で!侮らないでください!」
少女の弾が御守りを捉えると、一撃で御守りは点数などをぶちまけ、光をなくして小さくなり、消える。
そして、俺はこっそりと点数そっくりの形をした妖力弾を放ち、それを誤魔化すためにちゃっかり点数がとりやすいように弾をばらまく。
「……?」
少女はが点数を回収していると、突如、ぴちゅーんと音を立てた。
「ぐはっ!?」
「計画通り……」
「ひ、卑怯な……」
「勝てば官軍!おらぁ!」
次のスペルカードを掲げる。
「妖器【長くて短い夢】」
俺はロケット花火をリュックサックからとりだす。それも一段と強くて威力が高いの。そして、点火して飛ばすと、しばらく飛び、空中でゆっくりと大輪の花が咲く。
もう一発、もう一発。連鎖させることで火が飛び交わせる。
「綺麗です……が、見た目だけ派手でもねぇ!って、妖器【一刀両断剣】!」
「結局やべえんじゃねえの!?口先だけは達者だな!」
ともあれ、倒しきれなかったので、次のスペルカードを掲げる。
「妖器【宣戦布告】だぜ!」
マシンガンのエアガンに妖力を伝え、銃口から妖力弾を高速発射する。
例えばホースで水を出すとする。その時、ホースの出口を指で潰す場合、潰さない場合よりも勢いよく水が出る。
だからだろう。普段は特に銃口など意識せず撃ってる時よりも速く妖力弾を飛ばせたのは。
「速いっ!?妖器【一刀両断剣】!」
俺は能力で自分が弾を撃ってるという嘘情報に少女の注意を引きながら、俺はマシンガンを握って少女に近づき、殴りかかった。
「ぶっこわす程の!しゅーぞー!」
みしっと音をたてて、少女にエアガンがぶつかる。ぴちゅーんという音がなる。
「がは……やりますね……ですが、ラスト一枚さえしのげば」
「いいや、俺の勝ちだね」
俺は元の距離に戻り、スペルカードを取り出しながらいう。
「愚かな。知らないんですか?戦場で勝ちを確信して自惚れたセリフを吐いた時、負けは決まっているのですよ?」
「ああ、そういや、俺、お前に自己紹介してなかったな」
スペルカードとともに刀を構えて言う。
「俺の名前は木亥広星、能力は、これから使うスペルカードで、一緒に紹介させてもらうぜ」
ばっとスペルカードを掲げて叫ぶ。
「永愛【能力を作る程度の能力】!」
……もちろん嘘だ。俺は誤魔化す程度の能力。そう、騙すがための能力だ。永愛ってのはさっき思いついたこの刀の名前。とでもしておこうかな。とりあえず、なんとか取り乱させて、その隙にさっさと倒しちまおう。さて、まずはどうやって騙そうか。
「よし、んじゃあ。【属性を変換する程度の能力】」
俺はティッシュにくるんだナトリウムを投げてから、水鉄砲をうち、着火させる。
「みょん!?いきなり火が!」
「【死霊を呼ぶ程度の能力】」
ちょうど嵐なので、適当にゴミ袋にしようとしてたビニール袋を投げると、いい感じに飛んでくれる。それにちょっと俺の妖力を流し、誤魔化す力で少女を騙す。
「うわぁ!?来ないでぇ!」
突如涙目になり、少女がブンブンと刀をビニール袋めがけて振り回し始める。
俺は先ほどのビニール袋からだいたいの風の動きを読んだ後、iPhoneを取り出した。
「……サユリ、よろしく」
「え!?ちょっと!?」
iPhoneのアクセサリーに紐をくくりつけた後、ビニール袋にくるんで放り投げる。
「っ!……ママァ……ママァ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
サユリがいい感じにホラーな声を演出してくれたので、少女の目は狙いは完全にiPhoneにいった。俺は黒い妖力弾を撃つ。夜に隠れる保護色の隠れる黒の弾丸。
少女が刀でiPhoneを切りつけようとしたので引っ張ってよけさせた後、弾を撃った。
弾は風に乗り、カーブして少女の背中に当たる。
「ぐ……」
少女の全身から力が抜け、ゆっくりと落下して行く。領域にいるので、怪我はないはず。
「……ふう」
「メカクシ完了……って気分ですか?」
声がした。聞いたことのある声だ。
「……早苗か」
「ええ。あなたを止めに来ました」
「知り合いを手にかけたくはない。撃ちたくない……撃たせないで」
「ならもう帰りましょう?こんな戯れはやめて」
俺はカチンとした。
「……戯れだと!?俺がどんな思いでここにいると思ってる!変えなきゃいけないんだよ!これ以上、格差をうんじゃいけないんだ!」
「そうはいいますがね、今回の出来事で、何人の何の罪のない一般人から被害が出てると思いますか!?目を覚まして、そしてしっかり舞台裏をみて考えてください!あなたが欲しかったのは、本当にそんな力ですか!?」
「うるせぇ!俺があいつらを救うんだ!あいつらの頑張りが報われるような世界じゃなきゃ……いけないんだ!邪魔をするなら……俺がお前を討つ!」
俺はスペルカードを取り出し、叫ぶ。
「核符【対メタルギア用メタルギア】!」
俺はこけおどしの黒い大きな二足歩行戦車の立体映像を出しつつ、ミサイルを全弾早苗に撃つ。
それに対して、早苗は静かに足を踏ん張り、手を前に向けて呟いた。
「……私は幸運の女神……」
すると、ミサイルは一つ残らずそれて何処かに飛んで行ってしまった。
「レールガンはあいにく持ってませんね……ちなみに、私は心臓が右にあります」
「くそ……でも、俺がここでひいたら……正邪達に申し訳ない……」
「……その正邪ってのはあれですか?」
早苗が俺の後ろの方を指差す。
俺が後ろを見ると、そこには、何処かに行ってる正邪の姿があった。明らかに逃げてる。と思われる。
「……」
「……追いましょうか」
「……なぁ、早苗。一つ聞いていいか?」
「なんですか?」
「そんなに被害がひどいのか?」
「草の根妖怪ネットワークを覗いてみてください。バカッターがたくさんいます」
俺は紐を引っ張り、携帯を回収した。
携帯はすでにタイムラインを表示していて、たくさんの妖怪達の声がそこにあった。
『むしゃくしゃするから人間をサンドバッグにしてるお。楽しい!』
『きんけどぅなう!」
『人間カツアゲした金でトンカツくったぽよーんwww』
『道具に襲われてる人間がいたから、助けるふりをして地面に投げつけたら白目になった。ちょっと撮ってみる』
『人間の幼女を拉致監禁☆』
『さっきチルノちゃんが戦いを挑んでた紅白巫女に攻撃をしかけたら返り討ちにあった。ばんきっきの住んでる方行ったけど大丈夫かな……』
その他。たくさん。いろんなことが書いてあった。
「なんというか……ごめん。早苗。そしてありがとう」
「とりあえず、あの正邪って人を追ってからにしましょう。まだ何かあるなら止めなくては行けませんし」
「ああ!おっと、なぁ早苗。こいつどうしよ」
俺は気絶してる銀髪の少女を指差す。
「一応半人半霊なので、置いといても死にはしないはず」
「OK。んじゃ、とっとと行くか!」
「ええ」
俺は早苗と共に正邪を追い始めた。
「……あ、そうだ早苗。ちょっと小細工させて?……っていうのをやりたいんだけど」
「え?……まあいいですけど」
「さんきゅ」
なんかこう、すごい早苗さんがいい人に見える。あれ?おかしいな……