暗中戦闘
「……ぐっ」
気づいたら俺は気絶していたらしい。うつ伏せで目をつぶっていた。ヘルメットをつけていた頭を除いて、全身が痛い。痛いということはまだ生きているのだろう。手足の感覚もちゃんとある。さて、目を明けたというのに、目の前はまだ真っ暗闇だ。頬にあるのはひんやりとした土の触感。もしかしたら、まだ洞窟なのかもしれない。だが
「……俺は確か子供に突き落とされたな。つまり、敵対勢力がいる可能性がある……警戒はしておこう」
俺は自分の異能力を使うことにした。
今回は位置を誤魔化す。わかりやすく言えば、自分の映像を少し自分からずらした位置にあると錯覚させるのだ。近接攻撃や狙撃などには強いものの、範囲攻撃やもう視覚に頼らない敵にはあまり効かない。ここの連中が格闘バカだといいが……。
一応地面に耳をつけて足音の有無を確認する。足音は全くない。
よし、コンディショングリーン。
と、俺の思い、仰向けになって、ウエストポーチからペンライトを出そうとした時だった。
上から何かが降ってきて、俺の上にいきなり乗っかってきた。
「ぐぁ!?」
「……つ〜かま〜えた〜♪」
少しずつ闇に慣れた目を凝らせば、それは女性のようだった。黄色の髪を後ろでリボンでまとめた女性。普段ならこの状況は歓喜物だろう。女性に乗っかられてなおかつ、俺の手はウエストポーチを探ってるが、絵面的にはスカートの中に手を突っ込んでる。だが、そう喜んでいられないと気づいたのに時間はかからなかった。
何故なら、その女性の目はギラギラとまるで餌を捉えた肉食獣の目をしていて、口は避けんばかりに開き、鋭い牙が覗く。何より、女性に触れられた瞬間から、全身に悪寒が走り、体全体が怠くなってきた。さっきまで超健康体だったのに。明らかにこれは普通ではない。
女性は俺の頬にそっと触れつつ、口を開いた。
「そんなに怖がらなくていいよ〜。大丈夫。一瞬だから」
「……っ!」
俺はウエストポーチからペンライト的なものをを見つけたので、ばっとそれを取り出し、女性の顔に突きつけてボタンを押した。
「きゃ!?」
その女性が怯んだ。当然だ。よく見たら、この前先コーに修学旅行のお土産をせがんだらなんかもらったレーザーポインターだからだ。ピンポイントをくっきり表す光を直接見たら少しはひるむだろう。
「……っせい!」
俺はだるい体をなんとか動かし、女性の頭をつかみ、思いっきり頭突きしてやった。ヘルメットの内側のスポンジなどがうまいこと衝撃吸収材となり、こっちは少しのダメージで済んだ。
「がっ……」
女性の上体がさっきの頭突きでどいとものの、まだ上に乗ってる。俺はヘルメットを取って、
「どけぇ!」
腰をひねり、腰の回転で思いっきりヘルメットで女性をスイングしてやった。
そして、足を頑張って動かして女性の足元から引き抜き、思いっきり蹴って反動で後転することで起き上がった。
懐中電灯を取り出し、女性に当てると、どうやら気絶してるらしい。だんだんと吐き気等が大人しくなってきた。
「……っと、あー、怠」
能力を適当に使って俺の幻影をひたすらぶれさせておく。今更遅いかもしれないが……まあ、やっておくに越したことはない。
と思いつつ、女性にあゆみよろうとした時、俺から少しズレだ位置にガィン!っと、何かが降ってきた音がした。
「!?」
俺がそちらにライトを向けると桶にはいった緑髪を両脇で縛った女の子が驚いたような表情でこっちを見ていた。
「……おい、お前の目的はなんだ?」
女の子は答えず、自分が入ってた桶をこっちに蹴って飛ばしてきた。
だが、ピンポイント攻撃だったらしく、俺の頬を削って行くだけですんだ。左頬がかなり擦れた気がするが、直撃よりかはマシだろう。
俺は走ってその女の子に近づき、左のストレートを頬ギリギリを行くように打つ。
女の子は俺にとっての右方向に進みつつ、俺に近づいてきた。ここで、俺は勝利を確信した。
「トゥ!」
サッカー部での日々を思い出しつつ、思いっきり蹴り抜いて、転んだところをさらに顎を蹴って女の子を気絶させた。
はい。ここまでが詐欺パートです。
ここら辺まで異常に真面目くさってかいてました。
次回の途中からふざけ始めてました。
ではではありがとうございました。