「……」
そういえば、地霊殿ってとこに泊まってたんだっけ?いきなり知らない天井があったからびっくりした。
「……ん?」
なんか違和感がある……左腕に微かに柔らかい感触がある気がするし……少し布団が狭い気が。
俺はちらりと左を見るとあり得ないものがあった。
いや、俺も男だ。嬉しくないわけではない。でも、身に覚えがないから、昨日自分が何したのか。人間としてのモラルを保っていたのか不安になってしまった。あ、俺、今妖怪か。それにしても、これは、ここにあってはならない。
まぁ、こう言っても仕方ないから話してしまおう。
そこには長く帽子をつけてたらしい跡がある、短いショートカットで淡い緑色の髪を持った少女がよだれたらしながら俺に抱きついて寝ていた。ぱっと見、仮に俺がこの少女を犯していたらポリ公のお世話になると思われる年齢だと思われる。服装は黄色い服に、黒のミニスカート。青い球とケーブルのようなものがどうやってかは知らないがついていた。
「!?」
俺は左腕を引っ張ったが引き離せなそうにない力でがっちりホールドされてるので、左腕を軸に身を起こし、そっと少女の脚を抱えて、立ち上がった。少女が起きないので、扉を調べにいった。
「はぁ!?」
あ……ありのまま目の前にある光景を話すぜ。
木で作られた厚さ2cmくらいの扉の鍵がある部分はくりぬかれていて、扉の傍にはぐちゃぐちゃになった木と、所々鍵と同じ材質の金属が見える塊を発見した。まるで紙をくしゃくしゃにしてボールにしたかのような。いや、正にそれの木verだった。
木をくり抜くなんてかなり大きな音が出そうである。俺は夜音がするとすぐ起きてしまう性質だが、それを今の今まで気づかなかった。
な……何を言ってるかわからねえだろうが安心しろ。俺も何が起きてるのか全くわからん。
頭がどうにかなりそうだ……キーブレードとか石破天驚拳とかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
「zzz……」
よだれを垂らして寝てるこの少女、実はかなりヤバいんじゃね?
でも、こんな驚かされたんだ……ちょっとくらい遊んでもいいよね。
俺はそう思い、左腕を少し動かした後、太ももで少女を支えた。そして、右手でミニスカートから出てる少女の脚を撫で回してやった。
「うぃんうぃんうぃんうぃん」
少女の足の表面はすべすべしていた。それでいて、年頃のやんちゃな子供くらいには筋肉がついていた。これは普段から歩き回ってる者の足だ。最近、外で遊ばない子供が多いとされているこの世の中で、この少女は歩いていたのだ。この右手を伝わり感じる温もりも何処か世間を無視できるようなたくましさを感じれる気がする。わんぱくでもいい。このままたくましく育ってくれ。俺みたいに全くぶれないで。と、少女を見ながら考えていた。
「……ふぇ?」
少女が目を覚ました。
少女は半開きの目で俺をしばらく眺めた後、俺の左腕から手を離しながら太ももの上から降り、俺に向き直って笑顔で伝えた。
「大好き」
「はぁ!?何言ってんのお前!?」
顔が無垢な子供のようだったから、多分深い意味とかはないんだろうが、なんでいきなりこんなことを言われなきゃいけないんだ?
とりあえず、仕切り直すことにした。
「えーっと。まあ、おはよう。俺の名前は木亥広星。お前は?」
「ポニョ!そーすけ!好きー!」
何が言いたいのか全くわからん。明らかに特に何も考えずに発言してる。会話する気がないのか、それども外国語なのか、こういう鳴き声なのか、全くわからん。
「……OK。もしかして、あの扉の鍵を粉砕したのお前?」
「あ、私の名前は古明地こいしだよ〜♪」
「なんでこのタイミング!?」
さっきから会話が成り立たん。
いや、待てよ?もしかしたら一つ遅れて質問に返事してくれるのかもしれない。
「えーっと、さっき俺を好きとか言ってたけど、なんでそんなこと言ったの?」
「ここ、地底は昔は地獄だったんだよ♪」
誰も聞いてねえよそんなもん。というかそれもう知ってるから。
「それj」
「それでね、私の苗字は古明地だからわかると思うけどね、私はここの主、古明地さとりの妹なんだよ!」
質問する前に一番目の質問の続きをされた。自由奔放すぎるぜ……。
とか話してると、扉がノックされた。つられて俺は扉を見た。
続いて、さとりの声。
「朝よ。起きなさい」
「俺は朝は早い方だ。元サッカー部だったのでな。っと、おいさとり?そういや、さっきお前の妹が……ん?」
俺はちらりとこいしの方を見た。が、そこには誰もいなかった。気配も、何も感じられない。
「妹?こいしのこと?いないじゃない。ここ出入り口はここだけだから、この部屋から出たら私がわかるはず」
そんなことはない。俺は今でも覚えてる。こいしの足の感触を。
…………?そうだ。呼吸音だ。呼吸音は未だ三つある……ってあれ?急に二つになった?
「何してるの?早く来て」
「あ、ああ」
俺はさとりに招かれて、リュックサックとウェストポーチを回収してからさとりについて行った。
地霊殿を出て、地底を歩む。
地下だから、太陽の光が全く来ない。いつもそこらにある松明や苔を光源にして道を行く。いつも陽の光を朝に浴びていた俺の体内時計がちょっと狂ってしまいそうだった。
すると、さとりは俺の方を見て言った。
「私にとっては住めば都。唯一無二の家」
「まぁそらそうだろうな」
「あなたが言いたいことはわかるから口にする必要はない」
「でもあえて言わせてもらうぜ。ここは世間から見たら元地獄だけど、さとりたちからしたら地上を捨てた自分達で勝ち取った自由たる家。だけど、目標があって満たされてるわけでもない。天国でも地獄でもない。アウター・ヘイヴンだな」
「うん。あなたはすぐに全国のその作品のファンの方々に処刑されるべき」
「あいえぇ!?」
とか話してると、旧地獄街道と看板が建てられた地域に入って行った。
行きに来た道と違うルートを歩むと、聞いてすぐ体育系だとわかるような掛け声が聞こえてきた。そして、たくさんの人達がシャベルやピッケルで地底を掘り進めていた。
何をしているのだろうか。労働環境が昔の奴隷達にさせてることと同じような感じなのだが……。
俺の心を読んだらしいさとりが説明してくれた。
「安心して。志願制だから。ちゃんと事前説明をした上で、ギリギリの状況に身を置いて鍛えたいという人にだけ任せてる。あれはちょっと資材採掘ついでにエリアを拡張してるの。あと、あれは人じゃなくて鬼よ」
え?鬼って乱暴なイメージがあるけどちゃんと働いてくれるの?
「大丈夫。確かに攻撃的な面もあるけど、スペルカード戦にはちゃんと肉弾戦があるから、鬼としての面目は立ってる。それに利益を棒に振るようなマネはしない」
「なるほどね。でもなんでここに?俺働きたくないぜ?バイトもしたくない。引きこもりたい」
「それはそれでどうなのよ……それに、昨日行ったでしょ?実戦で慣らしていくと。そういうことよ。そうね。少しだけここで待っててなさい」
「三分間待ってやろう!」
さとりは近くの人……じゃねえ鬼に話しかけて、何かを話した後、すぐ何処かに人混み……いや、鬼混みの中に紛れて行った。
俺は暇だったので、リュックサックにある装備の点検を済ませて、ケータイを確認しておく。
圏外なのは仕方がないかな。逆にアンテナがあったらなんか嫌だ。
俺は携帯の充電を切ると、さとりが大柄な女性一人を連れてきた。
女性は肩よりも下へ髪を伸ばした黄色の髪で、額から赤いツノを生やしてた。服装は白の体操服みたいな服と、群青色の足首まで丈がありそうなスカートをはいていて、下駄を着用してた。手には杯を持っていて、こうやって眺めている間にも飲んでいる。そして、何より男として特筆したいのが、その胸部である。
すごい質量を感じる。そーいやお空のも凄かった。この勇儀という働いてたのだろうか、少し服には汗が滲んでて、さらにそのボディラインが見事なものであると誇示していた。
とか眺めてると、勇儀が自分の胸を少し持ち上げて、にやけながらこう言ってきた。
「なんだ?地上の。これで何を考えてんだ?ん?」
俺はふと笑い、適当に取り繕うことにした。
「いや、ただ服が何処かで見たことあるような物だなと」
と話してると、さとりが割って入ってきた。
「じゃあ、広星さん。フィールドを展開してみて」
「はいはーい」
俺は一呼吸して、自分の内側に力を圧縮し、それを思いっきり解放した。
「じゃあ、ルールは弾幕ごっこで、勇儀が攻めね」
「あいよ」
「りょーかい」
俺はまず後方に跳び、停滞してみた。すると。うまいこと滞空できた。横にも移動することができるし、とりあえずこの感じを覚えておこう。
「よし。これで!」
横にスライド回避しようとする。が、
「ぐあ!」
もろに当たってしまった。思いのほか修正が効かず、移動しすぎたらしい。
「おいおーい。まだスペルカードじゃない通常弾幕で食らってどうするんだい?」
向こうで勇儀が酒を飲みながら言ってきた。
次はさっきとは逆回りの弾幕が飛んできた。
気持ち小さく左によける。すると、ギリギリのラインでよこることができた。
「そうそう。そうやって針に糸通すような気持ちで、必要最小限の動きでよけな」
と言った後、カードを掲げた。
「NT-D【可能性の獣】」
すると、いきなりまず、開始した途端に飛んできたのは黒い弾が計三発と、禍々しい赤い尾を引く弾が計五発が飛んできた。タイミングは同時だったらしいが、赤い弾の方が先俺の方に少しずつ向きを修正しながら向かってきた。
「この程度!」
俺は紙一重でよけていると、黒い弾からはだいぶ距離を取れていて、当たらないはずだった。が、
黒い玉がいきなり赤い散弾に変わり、飛んできた。
「な!?」
腕に被弾してしまった。が、まだ攻撃は終わってなく、勇儀は緑色の小さく少し速めの弾をばらまいてきている。
こちらは誘導が全くない物の、なにぶん数が多い。このままでは当たってしまう。なら、
俺はウェストポーチから一枚のカードを出し、掲げてその名を叫んだ。
「嘘符【刹那に咲く花】!」
俺は背中に背負ったリュックサックから導火線を短くしたロケット花火を大量に取り出し、高速で火をつけた後、前に手首を捻って回転を加えながら投げまくる。そして、導火線から火薬に火が付いた花火達はそれぞれがまばらな方向に飛んで行き、火の花を咲かせる。
ボム効果により、緑色の弾を消し飛ばすことができたし、これならいくつかは牽制ができるだろう。
「おお、やるねぇ」
ぐびっと酒を飲みつつ、勇儀は呟いた。
「どうだ!すげぇだろ!へへっ!」
「ああ。まぁ、とりあえずここまでできればなんとかなるよな。このまま続けたいが……私は仕事に戻らなきゃならん。じゃ、頑張れよ。地上の」
「のし!」
俺が能力を解除しようとした時、声が聞こえた。
「いいなぁ♪私も戦いたい」
それは紛れもなく、こいしの声だった。だが、姿が見えない。
「!?どこだ!出てこい!」
俺はキョロキョロと周りを見てると、いきなり正面に、何の前触れもなく、途中のページがないパラパラ漫画のように、パッとこいしが現れた。
「のわっ!?」
「クスクス♪変な声♪『のわっ!?』だってさ♪」
指を指して笑われた。正直かなりいらっとしたが、ここで怒らないのが大人である。
「OK。戦いたいってルールは?弾幕ごっこ?」
「格闘戦がいいなぁ♪」
なるほど。舐められてるのか。流石に喧嘩をベースにしたような戦いで男の俺に勝とうってのか。よし。
「わかった。領域のシステムを組換えっと」
俺は少し長く息を吸い、結界を貼り直した。
そして。こいしを見据えて、こいしに向けてちょっと小細工した水風船を投げつけた。
こいしはくすりと笑いつつ、こちらに接近してきてる。こいしの下から妖力波が出てきて、こいしを軸に一周しようとしてるかのように少しずつ動いてる。
「やるかよ!」
水風船を妖力弾で撃ち抜くと、水風船が割れ、火がついた油がこいしにふりかかる。
「にゃ!?」
なんとか当てれた。妖力波は消えた。
俺はロケット花火を一発こいしに撃つが、かわされる。
やっぱり遠距離は埒が明かん!
このまま殴り抜ける!
「おおおおお!」
俺は軽めのフックを出そうとこいしに殴りかかった。が、その前にこいしの身体の周りにあるチューブみたいな物に捕まった。
「つーかまえた♪」
そう、声が聞こえた後、黄色い膜に囲まれた。その瞬間、電撃のように一瞬にして痛みが身体を駆け抜けて行った。
「ぐぁぁ!くそ!」
すぐに姿勢を立て直そうとするが、こいしは足で俺を蹴ろうとしていた。
「トゥ!」
俺も蹴りを繰り出し、こいしの蹴りを相殺させる。やはり女の子なので無理な体勢で蹴っても十分相殺はできた。
こいしがいきなり頭を抱えるモーションをした。嫌な予感がしたので下に下がると、頭のすぐ上を光線が通り過ぎて行った。これで髪の毛が持ってかれてたりしたら嫌だな……
「へァー!」
俺はこいしに下から接近しみぞおちを蹴った。どうでもいいが、朝確認するのを忘れたが、さっきちらっと見た限り、こいしのは白だった。
「ひゃん!」
こいしはすぐに体勢を立て直して、一枚のカードを取り出した。
「【抑制】スーパーエゴ」
確か、格闘戦用スペルカードはかざして任意のタイミングで使ってよかった気がする。つまり、使わせる前に倒せば何の問題もない。
「当たれェ!」
ロケット花火を四つ構えて順番に発射させる。
こいしがいた位置で花が咲く。
「やったか!?」
だが、前には誰もいなかった。
「逃げたか?」
「違うよ〜♪遠くで私を待ってるようだったから迎えに来てあげたの〜♪」
後ろで声がした。
そして、背後でダイソンもびっくりしそうな吸引力が発生した。
「ヤマツカミィ!?」
「うふふ♪逃がさないよ♪」
無理な身体の動かし方をされて骨が軋む。
「ぎゃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!」
身体の自由も効かず、ただ純粋に痛みのみ与えられる時間がしばらく続いた後、弾き飛ばされた。
血反吐を吐きつつ体勢を立て直すと、もう近くにこいしが居た。
「トドメ♪」
こいしは身体をそってから紫色のチューブのようなものを伸ばしてきた。
「死んでたまるか!」
俺は後ろに飛びつつ、自分の目の前に妖力を展開し、チューブを弾いた後、彫刻刀を取り出してこいしに投げつけた。
「!?」
こいしは上に登り、また下に妖力波を出してきた、
俺は蜘蛛の糸を手首から出して、急上昇して、こいしの前に躍り出る。
そして、俺はウエストポーチから一つのカードを取り出し、掲げて高らかに宣言する。
「詐欺【ブロッケンの妖怪】!」
カードが光を放ちながらこいしの背後に回り込み、俺は霧吹きを取り出し、大量の水を空気中に停滞させる。
こいしはその様子を見て首を傾げ、俺に蹴りかかるが、こいしの目の前で俺はちょっと本物より大きいこいしの立体映像を目の前に出した。
そして、俺自信をほぼ見えなくして、こいしの背後に回り込み、チェーンソーを構える。
「今お前が見たものは、未来のお前自身だ……今終わらせてやる」
チュミミーンと暴力的な音を鳴らしながら回転するチェーンソーはこいしの胴体を通過するのにあまり時間をかけなかった。
そして、チェーンソーをしまうと、空に浮かんだままこいしが倒れてた。領域の中にいるので上半身と下半身はいつの間にかつながってるが、ダメージは通るのでもうたてまい。ぱっと見意識ないし。いや、もともとほとんど何も考えず、まるで無意識で動いてるようなやつだったけど。しばらくは起きないだろう。
「決着……だな」
領域を解除し、そっとこいしを下ろしてやる。
「俺の勝ちね」
「お疲れ様。二連続で戦闘してたけどどうだった?」
さとりが声をかけてきた。
うん。すっげー疲れたとしか言いようがないな。
「うん。でしょうね」
でも、二回連続で泊まるのもアレだから今日からもう移動しようかな。
「そう……なら、地上でしっかりと宣伝してね。地霊温泉郷」
宣伝だな。よし。んじゃ、世話になった。
俺は深々と礼をした後、リュックサックとウエストポーチがあることをしっかりと確認し、地霊殿前に置いてた自転車に乗って移動を開始した。
はい。地霊殿編終わり。原作は全くやったことないのでこれからもスペカはだいたいパロディとかの予定。というか、原作の弾幕を言葉で表現するのってどうなの?わかりやすいの?