魔王の村長さん   作:神楽弓楽

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・レナが目覚める前の前日の夕方の話。
・生産班との交流。
・頑冶からこの世界の未知の技術についての示唆。
・主人公から鎮静薬みたいな気分を落ち着かせる薬について、相談。
・そこからオリーのところへ行き、具体的に薬の作成とその素材のあてを相談する。

鎮静作用があるものとすると、夢魔の唾液や眠り花の花粉や蜜、だが副作用があるし、鎮静というより睡眠に近いという話になる。
あーだーこーだ議論していたら、竜の角と世界樹の葉を主体に仲間で持ち寄って素材を提供したらカケルにも効いて、効き目を安定させる魔法薬をつくれるという話になる。

そこで、仲間から素材を採取できる話になる。それは、スキルで素材作成などがなくても可能であり、角や肉をえぐることも回復魔法で欠損を回復できるため可能という話になってカケルがドンびく話


そして次の話あたりで、喧嘩早いやつらがしょうもないことで喧嘩して素材として提供しちゃう感じ。

下は、丸ぱくだから、いじりながら作る


7 「」

村の中央にある広場

 以前は雑草が疎らに生えている広い空き地だった場所では、金属を叩く甲高い音が響き、木槌を叩く澄んだ音が響いていた。今では、生産スキルに秀でた者で構成された生産班の作業場になっていた。日夜、必要な道具や物を作り、壊れた家の修理が行われていた。

 

「おーい、食事持ってきたぞー! 」

 

 みんなが忙しそうに作業しているところを料理を持ってきた俺は、周囲の音に負けないよう声を張り上げて伝える。

 

 すると、作業場の音がピタリと止まった。

 

「今、食事といったか? 」「飯がきた! 」「飯だ! 飯! 」「肉の匂いがする! 」「いい匂い~! 」

 

 

 両手に持った大皿から漂う食事の匂いで手が止まったようで、自然と食事休憩に移ることになった。

 作業途中に出た端材などでごちゃごちゃとしている広場を食事が食べれるように大雑把に片付けをして食べれるスペースを確保したら、料理を盛りつけた大皿を配った。

 

 大皿は多人数用なので、個人用の小皿とお箸を労いの言葉とともに配った。

 

 小皿やお箸は、用意するのを忘れていたけど、【木工】スキルのレシピで材料を用意して魔力を消費するだけで必要な分はすぐに用意できた。材料には、隅に集めた端材を使った。

 

 

 こういった時にスキルは便利だ。

 パパッと作る分、質は落ちるが皿や箸は使えればいいので問題ないだろう。

 

 ただ椅子やテーブルまでは端材では足りなかったので、食事を受け取った仲間たちは広場に散らばって、胡坐を組んで地面に直接座ったり、角材に腰かけたりと各自好きな場所で好きに座っていた。それぞれ何人かでまとまって、ワイワイガヤガヤと賑やかに大皿を囲んで食事をしていた。

 

 

 自然と仲のいい者同士で集まって食べている様子は、ゲームの時では見られなかった光景だった。

 こうして見ると、同じ種族同士で楽しく話してる姿が多い。中には仲が悪そうな種族同士の意外な組み合わせもあった。

 

 まぁ、種族的に仲が悪そうというイメージは『モントモ』からというより、他のゲームや小説を基にした勝手なイメージであって、ゲームの時の『モントモ』がそうだったわけではない。

 

 『モントモ』では数多の多様な種族を仲間にして楽しむゲームだったので、種族同士で能力的な相性や特徴はあっても、仲間にしたこの種族とこの種族は一緒に行動させてはダメ、ということは特になかった。

 

 ゲームの時と一緒とは限らないが、天使長であるミカエルと淫魔女王(サキュバスクイーン)の妖鈴も、天使と悪魔、能力的には相反する種族だけど仲が悪そうな印象はなかった。

 

 むしろ、妖鈴が子供達を発見した時に真っ先に呼んだのがミカエルだったことを考えれば、種族的な面での相性というのは無さそうだ。

 

 この様子だと、ここ(異世界)にきて自我を持った皆が種族ごとに分かれて対立するような事態は起きそうにない。

 

 黒骸とサタンが喧嘩してたのは、すごく個人的な話だったし、仲間内で激しく対立するようなことはない筈だ……多分……きっと……そうであったらいいなー

 

 黒骸とサタンが喧嘩したことが頭を過って、仲間たちが楽しく食事しているのを眺めながら思わず遠い目をしてしまった。

 

 

 

「村長、こんなところにいたか」

 

 そんな時、頑冶が声をかけてきた。

 

「頑冶。もう食べ終わったのか? 」

 

「ああ、旨かったぞ。まぁ、もう少し濃い味付けの方が儂は好きじゃがの。それよりも報告したいことがある」

 

 頑冶はそう言うと俺に何か物を投げてきた。放物線を描きながら飛んできた物をキャッチする。

 

「っと……石? 」

 

 頑冶が投げてきたのは、ちょうど掌に収まるぐらいの大きさの丸みのある石だった。野球ボールよりは大きい。磨かれているのか表面はつるつるとしている。

 

 何これ? という目で頑冶を見ると、頑冶は片方のまぶたを親指で指した。

 

「それを視て(・・)みろ」

 

 多分【鑑定】のことを言っているのかな?

 頑冶の言いたいことを何となく汲み取って、手に持った石に【鑑定】を使用した。

 

 すると、石の詳細が目の前に表示された。

 

「魔除け石、ねぇ……」

 

 等級(ランク)が低いものなら割とどこにでも転がっている鉱物の一種だ。

 

 確か魔物(モンスター)避けの魔導具を作る際に必要な素材の1つだったはずだ。

 頑冶が渡してきたこの石の等級はそれなりに高い。これ単体で周囲に効果が表れるぐらいだ。これぐらいのものになると、ありふれた鉱物とはいえ希少だ。

 だけど、頑冶がこれを俺に渡してきたのは多分それだけが理由じゃない。恐らく説明の中に書かれているこの一文が問題なんだろう。

 

「人の手によって質が向上した魔除け石か……」

 

 魔導具で魔除け石の効果を増幅させる方法はあっても、表面が磨かれているくらいの変化で質を向上させる方法というのは初耳だ。

 

 少なくとも俺は知らない。

 

「その魔除け石、どういう方法か詳しくはわからんが魔除け石としての純度が高くなっている。精錬のように不純物を取り除いていくような方法だろうとは儂は思ってるが、魔除け石にそのようなことをするのは儂も知らん」

 

「んー異世界独自の技術ってことか」

 

「かもしれんな」

 

 自分の知らない独自技術が異世界にあることが嬉しいのか、頑冶は厳つい顔に笑みを浮かべていた。

 

「……で、これはどこにあったんだ? 」

 

 その笑顔がちょっと怖いな、とは口には出さずにどこで見つけたのか聞いてみる。人の手が加わってるのだから、その辺に転がっていたわけではないはずだ。

 

「ここの広場にある井戸の屋根の上に嵌めてあった。屋根を支える柱の一つが剣で斬られたのかひどく損傷しててな。それを修理するときに見つけた」

 

 広場の井戸と言えば、確か枯れかかっていたのをセレナが再び綺麗な水が出るようにした井戸のことだな。

 

「他にこれと同じ物は見つかってないのか? 」

 

「いや、ないな。家の修理は粗方済ませているがそれらしいものは他に見つかってない。ただ見落としてるかもしれんからないとも言い切れないな。何か気づいたのか? 」

 

「いや、ここの広場は村のほぼ中央にあるだろ? いくら等級(ランク)が高い魔除け石だからと言って魔導具にもなってない魔除け石だけだと、効果範囲は精々広場ぐらいまでだ。だから、他にもいくつか同じくらいの魔除け石がないと村全体をカバーできないんじゃないかと思っただけだ」

 

「……なるほど、確かに気になるな。余裕が出来たらこっちで少し調べみる」

 

「そっか。何か分かったらまた教えてくれ」

 

 この件は頑冶に任せておこう。

 

「それじゃ、他のみんなにも食事を配らないといけないからそろそろいくね。食べ終わった後の皿は後で回収に行くからどこかに纏めて置いといて」

 

「洗ってた方がいいか? 」

 

「その方が楽だけど、そのままでもいいよ」

 

「わかった。村長、あんま無理すんなよ」

 

「ありがとう頑冶、それじゃ」

 

 俺は、頑冶に別れを言ってその場を後にした。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 次に向かった場所は、村の広場から東側にある畑。

 そこでオリーたち農耕班が亡き村人たちに代わって畑の世話をしていた。ついでに村が育ている農作物の確認もしてもらっている。

 

 ここから見ると、青々とした作物が育つ畑の中にチラホラと動く影が見える。多分、作業しているオリー達だ。

 

「おーい、食事持ってきたぞー! 」

 

 頑冶達の時と同じように、畑に着いた俺は両手に料理を盛り付けた大皿を持って、広大な畑で作業しているみんなに聞こえるよう声を張り上げた。

 

 すると、畑のあちらこちらからひょっこりと顔を出して、キョロキョロと周りを見渡す仲間が現れる。こちらに気付くと作業を中断してきてくれた。

 

 中には、お腹が空いていたのか嬉しそうな表情で早足でくる子もいた。その中にはオリーも含まれていた。

 

 

「そんちょうだー! ごはんもあるー! 」

 

「村長が食事持ってきてくれたんだ」

 

「ごはん! ごはん! 」

 

「あ、私が採ってきた野草が入ってる」

 

「俺が採ったのも入ってるな。うん、美味い! 」

 

「おいしいねー」「ねー」

 

 頑冶達のようにお皿や箸を配って料理を渡すと、各自好きな場所で食べている。

 

 農耕班には植物を操る種族や意思を持つ植物の種族が多く所属しているので、中には地面から植物を生やして即席の机や椅子を作って座る者もいた。ただ、地面に座って食べる方が好きなのか、わざわざそんなことをする人は少数派で、ほとんどは地面に座って食べていた。

 

 頑冶たち生産班の時は、料理をかきこんで食べる人が多く、一部では料理の取り合いが勃発している所があるような騒がしい賑やかさだった。しかし、オリーたち農耕班は、みんなで平等に大皿の料理を分けて大人数で輪になって食事をする和やかな雰囲気だった。

 

 食べながら近くの人と喋ってるから賑やかなんだけど、生産班の時とはまた違った穏やかな賑やかさだった。

 

 班が違えば雰囲気も変わるんだな。

 

 そんな新しい発見をしながら、俺はその輪の中に入ってオリーの報告を聞いていた。オリーは、地面に胡坐をかいて座る俺の膝の上に座っていた。

 

 

「それでねっ。みんなでお水あげたり、土をこねこねしたんだっ! んっとね、この子たちもありがとーってよろこんでくれたのっ! 」

 

「うんうん。オリーは偉いなー」

 

 下から見上げて、こちらを見つめるオリーがほめてほめてーとばかりに嬉しそうに話をするので、自然と頬が緩んでオリーの頭を撫でた。

 

 幼い子供の見た目のオリーは小柄なので、足を前に投げ出して俺の上に座っていると、頭はちょうど撫でやすい位置にあった。

 

 オリーの髪は日の光を浴びて照り返すほど艶々で、新緑色で若々しい植物を連想させる艶があった。癖のないサラサラとした手触りをしつつも、程よくしっとりしていてとても触り心地がいい。それに撫でてると髪飾りのようにも見える頭に実った果実から甘いいい香りがしてくる。

 

「えへへ~」

 

 頭を撫でられて嬉しいのか笑うオリーに癒される。

 

 幼い頃の従妹の世話をしていた頃を思い出す。今は、もう高校生くらいか?

 オリーの頭を撫でながら少し昔のことを思い出しつつ、時折周りから捕捉をもらいながらオリーの報告を最後まで聞いた。

 

 オリーたちはゲームの時とほとんど同じ方法で農作物の世話をしていた。今の所、問題は起きてないようだ。

 と言っても、農作物の世話を始めてまだ数日。しばらく継続して農作物の様子を観察するつもりらしい。

 

 ついでに頼んでいた農作物の調査に関しては、育てられている農作物のほとんどはオリー達が知っている既知のものだった。しかし、オリー達の知らない農作物もいくつか見つかったそうだ。

 

 調べた限り問題なく食べれそうで、他と同じようにゲームの時の育て方でも問題なく育っているそうなので、取りあえずこのまま様子見することになった。

 

 できるなら、村で行っていた育て方でしたかった。だけど、本来の育て方を知っている村人たちが今ここにいないので、自分達なりの育て方でやるしかなかった。

 

 それにしても、異世界独自の技術に続いて異世界の未知の作物だ。

 成熟しきった時にどんな味がするのか、どんな薬が作れるか、調べてみたい気もするけど、村人が育ててた農作物を勝手に収穫するのには抵抗があるので、まずは野生で似た作物が生息していないか調べてみよう。

 

 

 その後は、オリーのようにほめてーほめてーと希望をしてきた子がいたので労いの言葉をかけながら頭を撫でることになった。見た目が子供や動物の仲間を撫でるのには抵抗はなかったけど、自分よりも年上の美男美女の頭を撫でるのは、何だか変な感じだった。

 

 まぁ、撫でられた本人が嬉しいならいいんだけどね。うん……

 

 

 そんなことがあったりしたが、オリーたちと別れて俺は次の場所に向った。

 

「オリー、畑のことは任せたよ」

 

「うん! みんなといっしょにがんばる! 」

 

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